ガルグ、ベルベ、そしてナノメタル化した他のビルサルドたちはコツコツと最新のメカゴジラ建設に時間を費やした。その間にも天変地異は続き、基地の近くに新たな活火山が出来てしまう程だった。
ワタルたちは焦りを隠しながらも、早くメカゴジラが出来ないかと待ち続けた。
その退屈凌ぎにコンバートされた揚陸艇の中を彷徨いていたが、今までとは比べられないくらいに機能が大いに向上、巨大化していた。
まずサーモバリック爆弾を積んでいたところには何台ものヴァルチャーが置かれた。他にも高射砲台が至るところに設置されており、空中でセルヴァムの大群に襲われても問題ない設計になっている。
揚陸艇の改造具合にワタルたち人類は舌を巻いてしまう。
そして2日後…ビルサルドが納得するメカゴジラが完成したとの報告を受けたワタルは基地に戻った。
「出来たのか⁈」
「ああ!スペースゴジラの居場所も分かっている。あとは…決戦の舞台に向かうだけだ」
「だけど…どうやってこんな巨大な金属の塊を運ぶ気だ?」
そう…ワタルたちの前には既に完成されたメカゴジラが鎮座しているのだが、大きさはあのゴジラと比肩する。これを持ち運べるのかと思ったマーティンだが、ガルグは余裕の表情を浮かべたままだ。
「心配する必要はない。揚陸艇から吊るせばいいだけだ」
「それで行けるのか?」
「私を信用しろ」
そう言ってガルグは先に改造した揚陸艇の方へと向かってしまった。
「大丈夫……なんでしょうか?」
「信じるしかない。俺たちも行くぞ」
ワタルはすぐにガルグの後を追っていく。
しかしリカから見て、彼の後ろ姿に迷いは無いように思えるのだった。
揚陸艇は地下基地から迫り上がるようにして、地上に到達した。
そこから揚陸艇はエンジンを最大出力で上昇し、メカゴジラを金属の鎖で繋いだ。乗っている人類の大半は持ち上がらないのではと思っていたが、そんな心配はすぐに無くなった。
体高300mオーバーのメカゴジラは軽々と宙に浮き、揚陸艇と共にスペースゴジラの元へと出航する。出航と言うが、この揚陸艇を運転する者はいない。これも全てナノメタルが動かしているのだ。
「それで…到着までどれくらいだ?」
「すぐだ。亜空間航行を可能にしたのだ」
「そいつは凄い」
ワタルはここまでの技術までこの船に入れているとは思わず、自然と笑ってしまった。
「これも全て…ナノメタルのお陰だ」
すぐに船の中にエンジン音が高く、回転が上がっていく音が響き、窓に映る景色もオラティオ号で見たものと同じようになる。
そして一瞬の間に景色は一変し、彼らの前にスペースゴジラが現れる。だが、奴がいる周りの地形はもはや地球でありのかと疑いたくなるようなところだった。
平坦だったであろう地面は大きく抉れ、小高い崖を無数に形成し、水晶を蟻地獄のように置いていた。そのせいか分厚い雲はなく、ここだけ太陽が出ていて、非常に眩しかった。
「…こいつは驚きだ。たった数日の間でここまで地形を変えてしまうとはな…」
「要するに1ヶ月もあれば地球はこいつに好きなように変えられるってわけだ」
「よし、メカゴジラを投下だ‼︎」
ガルグの命令に従って、揚陸艇と繋いでいる鎖は解き放たれ、スペースゴジラと同じ地面に降り立った。
スペースゴジラは目の前に立った金属質のゴジラに完璧な敵意の視線を向けていた。尻尾を何度も地面に叩きつけ、相手を威嚇したが、機械の心しか持たないメカゴジラは赤く発光する目を向けたまま微動だにしない。
それに苛立ちを覚えたのか、スペースゴジラは電撃熱線を放出する。熱線はメカゴジラの身体に命中し、片腕と腹の一部が大きく破損した。だが、メカゴジラは身体から更なる液体状のナノメタルを浸み出し、破損した部位を一瞬にして再生させてしまった。
その様子を見ていたスペースゴジラであったが、構うことなく更に熱線で攻撃する。メカゴジラはというと、身体の隙間からナノメタル粒子を放出させ、熱線を捻じ曲げて逆にスペースゴジラに当てた。
「あんなことも出来るのか…」
「あれだけじゃない。我々が作ったメカゴジラはな、ゴジラに対抗するためだけに特化して他にも強力な攻撃方法を有している」
ガルグに言ったことに応えるかのようにメカゴジラは頭部を変形させ始めた。砲台のように長い形状に変化し、それをスペースゴジラに向ける。砲台には赤い粒子が蓄積されていき、ゴジラが熱線を撃つ時のように背びれが順番に染まっていく。
あれはメカゴジラ計画発案書に書いてあった攻撃方法だとワタルには分かった。
通称『荷電粒子攻撃』
スペースゴジラは自身の熱線が胸に当たったことで少しだけメカゴジラから視線を逸らしていたために何をしているのか、判断が一瞬遅れた。視線を戻した時には、荷電粒子は熱線となり、赤い光線がメカゴジラの腹部を貫き、激しい爆発を引き起こした。
爆風は周囲の地面を隆起させ、揚陸艇にまで衝撃波は飛んで来た。
「凄い!大佐、これならスペースゴジラもゴジラも…!」
リカは興奮気味でそう言うが、ワタルはそんな簡単に殺せるものではないと分かっていたから何も発することはなかった。
と、ここでマーティンが窓にべったりと張り付いて一点をよく見詰め出した。
「博士?どうしたんです?」
「アレを見たまえ!あの水晶の檻に入っているのを…‼︎」
博士指差す先には結晶の蟻地獄があった。そしてその中には、黒い背びれが姿を見せていた。あれが何なのか……分からない者などいるはずがない。
「ゴジラだ!スペースゴジラに負けて、恐らく閉じ込められたのだろう」
「でも…おかしくないですか?あのゴジラなら、やろうと思えばすぐに水晶を破壊出来ると思うんですが…」
「確かに…」
博士も何故か悩んでいると、スペースゴジラが吼えた。
途端に肩の結晶が発光し、地面にある結晶も同じように光り、肉眼でも見えるくらいの電気エネルギーの供給を開始した。
その影響か、スペースゴジラの背びれは白色から黄色になり、腹に空いた穴も即座に再生した。
「分かったぞ!スペースゴジラはこの結晶にエネルギーを蓄えておいて、そこからエネルギーを得ているんだ。ということは閉じ込められたゴジラは中でエネルギーを奪われている可能性がある」
「それなら…ゴジラはあそこから出さない方がいいな…。スペースゴジラに大量のエネルギーを奪わせてゴジラ共々倒すとしよう」
ガルグはそう言う。
これに反対の者はいない。なんせ、こんなチャンスはないかもしれないからだ。
それを理解したのか、メカゴジラはゴジラが閉じ込められている結晶から離れさせるために、脚部に付いているエンジンを稼働させ、スペースゴジラを捕まえて少し遠くに運ぶ。
多少遠くてもスペースゴジラはエネルギーを得れるから問題はない。
暴れるスペースゴジラだが、機械の腕に掴まれては逃れられなかった。
「よし、このまま圧倒して殺してしまえ!」
メカゴジラは脚部のエンジンを停止させ、スペースゴジラと距離を取ると尻尾の先端の刃を高速回転させる。上半身を低くして、尻尾を高々と上げると、回転した先端の刃をスペースゴジラの首目掛けて振り下ろした。
これで殺せる……今まで圧倒的に優勢だったメカゴジラが負けるはずがないと思っていたガルグ率いるビルサルド。
しかし…回転刃はスペースゴジラの身体の前で何かに引っ掛かったように突然停止した。その原因は結晶から放たれた非対称性透過シールドだった。
しかもただのシールドではない。止まった尻尾の回転刃を戻そうとしても、メカゴジラは己の意志で動かすことは出来ず、何かに引き千切られる形で壊れた。
「な、何だ?」
更には尻尾だけでなく、メカゴジラの身体自体が動かなくなった。まるでメカゴジラが立つ場所だけ重力が何倍にもなったかのようだった。
ギギギと金属と金属が擦れる音が響く。
そして、スペースゴジラが天に向かって2度吼えると、不意に白みがかかった空が朱色になり始めた。メカゴジラだけでなく、ワタルたちも空の方を向くと、上空からは信じられない『もの』が落下して来ていた。
「おい!嘘だろ⁈」
「そんな…⁈これが…1つの怪獣が成せるものだっていうの⁈」
船員たちはスペースゴジラの更なる力に声を震わせた。
降って来ているのは、隕石だった。大きさは恐らく直径1kmはあるだろう。あんなのが直撃すれば、いくらメカゴジラとは言え大したダメージでは済まされない。
だが、隕石が落下してくる前にメカゴジラは最後の抵抗と言うべきなのか、両腕に砲台を作り出し、小さな荷電粒子を光弾にして発射した。2つの赤い光弾はスペースゴジラの両肩の結晶の内の1つに命中し、破壊した。
スペースゴジラは肩の結晶が破壊され、痛みによってか大きな雄叫びを上げた。
するとメカゴジラの動きが少しだけ良くなり、隕石落下前にほんの少しだけ右に避けることが出来た。だが、メカゴジラの左側に隕石が命中し、頭部も含めて左側が全て失われてしまった。
肩の結晶を壊されたスペースゴジラは怒りによってなのか、肩の結晶や頭部の十字結晶、目まで煌々と紅く煌めきだした。
そして、壊れている肩の結晶も含めた両肩の結晶から電撃を放出して周りに設置された結晶を浮遊させ、メカゴジラに向けて投射した。
身体の半分を失ったメカゴジラはこの攻撃を防ぐ事も出来ずに、結晶攻撃をもろに受けてしまう。残った右半分の身体もほぼ全壊し、メカゴジラの身体は遂に頭部と脚部だけになってしまう。
「……クソ‼︎スペースゴジラめ…!」
ガルグはそう悔しそうに声を荒げた。
メカゴジラの目はまだ赤く輝いていたが、既に攻撃手段を全て損失したメカゴジラを攻撃すると気はもうスペースゴジラにはなく、今度は揚陸艇に目を付けた。
「マズイ!急いでここから離れるんだ!」
ガルグはそう叫んだが、時既に遅く、スペースゴジラは電撃熱線を確実に当てるために、揚陸艇の周りの重力を操って、緊急離脱させないようにした。
「間に合いません!」
「ナノメタル粒子散布‼︎奴の攻撃をなるべく防ぐんだ!」
ガルグが命令するなり、揚陸艇前部にナノメタル粒子が放出される。
これによって電撃熱線は跳ね返すことは出来たが、そう何度も同じ手は使えない。
ガルグは今は攻撃を防いでいるが、この後どうするかを必死に考えていた。メカゴジラを破壊された今、攻撃手段は揚陸艇に付いている高射砲台と整備されたヴァルチャーしかない。これではスペースゴジラから逃れることはおろか、立ち向かうこともままならない。
そんな時、ワタル1人どこかへと走り出す。
「大佐⁈」
ワタルは激しく揺れる揚陸艇の中を必死に駆けて、ヴァルチャーが保管されている倉庫へと急ぐ。
ヴァルチャーに乗り込んだワタルはエンジンを起動させ、単独で揚陸艇から飛び出した。初めての操縦で慣れず、上手く飛ばせずにいたが、すぐに慣れていき、真っ直ぐ飛ばせるようになった。
暫くして…ガルグやリカから無線が入った。
『大佐‼︎』
『ワタル‼︎何をするつもりだ⁈』
ワタルの口から飛び出した発言は…信じられないものだった。
「ゴジラを解放する‼︎」
次回予告
『ゴジラを解き放つ』と言うワタルに反対するビルサルドたち。
迷いながらもワタルはゴジラを解放させる。
そして、スペースゴジラに憤激するゴジラ・アース…。
2体のゴジラの闘いが更に激しさを増していく…。
評価の際の一言欄を変更しました。
どうして読者がこういう評価をするか、気になってしまうからです。
よろしくお願いします。
好きな怪獣は?
-
ゴジラ・アース
-
ギドラ
-
モスラ
-
メカゴジラ
-
デストロイア