GODZILLA Another stage   作:GZL

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恐らく、2章はこれで終幕。
遂に『奴』の登場です。


第13話

ヴァルチャーから聞こえてきたワタルの返答に誰しも驚いた。

今、ゴジラはスペースゴジラによって結晶の蟻地獄に閉じ込められ尚且つ、体内のエネルギーを奪われている。このままスペースゴジラに生きてもらい、エネルギーを使い続けさせれば、もしかしたらゴジラは絶命するかもしれないのだ。

それなのに…ワタルは理解してないのか、『ゴジラを解放する』など馬鹿げたことを言い出したのだ。もちろんガルグは猛反論した。

 

「何を言っているんだ⁈今解放すればゴジラとスペースゴジラは闘い、どちらかが死ぬがその代わりに俺たちが次のターゲットになるのだ‼︎それを理解してるのか⁈」

『してる!してないはずがない‼︎だが、メカゴジラが破壊された以上、今はゴジラを解放させて奴に賭けるしかないんだ!……少し(しゃく)だけどな…』

「…言いたいことは分かる。だが今は引き返して、次の機会にしろ!またメカゴジラを作れば……」

『あんたらはいつもそうだ!』

 

唐突にワタルは怒声を上げた。

これには流石にガルグも虚を突かれたか、少しだけ身体をビクつかせた。

 

『ビルサルドのやり方はいつも論理的で効率的だ…!そんなこと言って、それが100%正しかったことなんてあるか⁈オペレーション・エターナルライトも…ロングマーチもだ‼︎メカゴジラ作製の時間稼ぎやらなんやら……。ふざけんのも大概にしろ‼︎俺たちがここにいるのは何のためだ!ゴジラを倒すためだ‼︎主戦力が損失しただけで逃げ帰るなんて、弱い奴がすることだ!』

 

ワタルの言ってることは滅茶苦茶だった。

滅茶苦茶なことに変わりはない…はずなのだが、彼の意志がとても詰まったこの発言は揚陸艇に乗っている隊員の大半の心に深く刻んだ。

 

『今回はもう逃げない。ゴジラに背を向けるのはもう散々だ。俺だけでも戦う』

 

そう宣言するワタル。

自分でもよく言えたものだと感心したくなった。ゴジラよりも恐ろしいスペースゴジラを周回しながら言ってるから尚更だった。

反論する者もいる…そう思っていると、リカの声がワタルの無線から聞こえた。

 

「大佐!大佐の言う通りです‼︎もう逃げるのは終わりです!ゴジラを…解放してください!」

『リカ…』

「そうだ!逃げ続けるのはもう嫌だ‼︎」

「戦うんだ!」

 

リカに続いて様々な声が聞こえた。

自分が勢いだけで言ったことにこんなに賛同してくれる人がいるなんて思っていなかったため、少しだけ目頭が熱くなる程嬉しかった。

この様子を見ていたベルベは溜め息を吐いた。

 

「やはり……地球人は好戦的種族だったか…。嫌いではないが…」

「…ワタル、あとは任せる。俺たちはナノメタルでエンジンを強化する!それまで時間稼ぎを頼む」

 

最初は反対していたガルグもワタルの考えに賛成してくれたようだ。

ワタルは『分かった』と答えると、ヴァルチャーのエンジンをフル出力にして、スペースゴジラに向かっていく。

ヴァルチャーの翼は大きく開き、噴射口から紫色の炎が複数個出ている。それがスペースゴジラの目に入り、電撃熱線を放とうとしたが、破壊された肩の結晶から暴発して上手く吐き出せずに散発する。

しかしそれはそれで、熱線が1本から複数になってしまうため厄介になってしまった。

ワタルはゴジラが閉じ込められている結晶に向かうが、散発した電撃熱線を避けながら向かうのは骨が折れそうだった。ヴァルチャーの大きさでは、ゴジラだろうとスペースゴジラだろうと熱線を食らえば一撃で撃墜されてしまう。

そう分かっているが、回り道をして向かうのは揚陸艇を墜落される可能性が上がってしまうため、その行動は取れない。

ワタルは死ぬ覚悟の上でスペースゴジラの方に向かい、奴の脇腹の辺りを避けつつ、ゴジラに向かって砲撃した。奴を閉じ込める結晶を破壊していくが、ワタルの乗るヴァルチャーの1機だけでは全てを破壊することは出来そうもないと思われた。

が、ここでワタルの背後から数発の砲撃が飛んで来た。振り向くと、そこにはワタルと同じヴァルチャーが飛んでいた。

 

「⁈誰だ?」

『私です‼︎大佐!』

「その声…まさかリカか⁈」

 

どうしてリカがとワタルは思ったが、今はそんなことを考えている余裕もない。だからワタルは怒りを彼女にぶつける前に、指示をした。

 

「…よし!リカ!やることは分かっているな?」

『はい‼︎ゴジラの周りの結晶を破壊するんですね‼︎』

 

何をするか分かっているリカはやることが早かった。

ワタルよりも上手にヴァルチャーを操り、結晶を壊していく。

だがスペースゴジラもワタルたちがしていることをみすみす逃すようなことはしない。上手くエネルギーを操れないとは言っても、スペースゴジラからして蟻みたいに小さいヴァルチャーを落とすことなんて難しいことではない。

すぐさま電撃熱線を放ち、ワタルとリカの邪魔をする。

そこでリカは自殺とも思える行動に移る。

 

『大佐!私は奴を引き寄せるのでそのうちに…!』

「ふざけるな!そんなことが出来るか‼︎」

『でもそうしないと私たち2人共撃ち落とされます!』

「……だが…!」

『いいから早くしてください‼︎』

 

リカの必死の願いにワタルは根負けした。

リカが真っ向からスペースゴジラに向かっていくとは逆にワタルはゴジラに向かっていく。

砲撃を繰り返していくうちに、ゴジラの周りの結晶が細かに震え始めた。もうじき、解放される……そう分かったところでワタルはリカに叫ぶ。

 

「離れるんだ‼︎リカ!」

 

しかし、その声が届く前に無線に耳障りなノイズは走った。

それもそのはずだった。

ヴァルチャーをスペースゴジラの方に向けたところで、強烈な爆発が空中で炸裂した。

 

「あ……」

 

爆発の原因は、リカが乗っていたヴァルチャーによるものだった。

電撃熱線を直撃したリカのヴァルチャーは破片が残らないまで、粉々になっていた。

 

「リカーーーーーーーーー‼︎‼︎」

 

ワタルは叫んで、怒りのままにヴァルチャーに向かわせようとエンジンをフル稼動させようと思った時、青い光線がワタルのすぐ横を通り過ぎた。

 

「‼︎」

 

青い熱線はスペースゴジラの砕けた肩に再び直撃し、地面に倒した。

振り返ると、背びれに青いプラズマを放ちながらもスペースゴジラにリベンジする眼差しを向けるゴジラ・アースの姿があった。

漸く立ち上がったかと思っていると、雑音が混じった無線が入った。

 

『……ガガッ!大佐…!私は……無事…す…!』

「リカ⁈リカなのか⁈どうやって脱出を…?」

『緊急……ザザザッ……を使った…です…!私は…今…ガガガッ‼︎揚陸艇…の助け……待って…』

「分かった!俺もすぐ帰還する!」

 

ワタルはリカの安全が無事だと分かり、ホッとする。

そしてすぐにゴジラたちの側から逃げる。

悔しいが、スペースゴジラを倒す最終手段であるゴジラ…奴に全てを託して…。

 

 

 

 

ゴジラはスペースゴジラが倒れた後でも構わず熱線を吐いた。

スペースゴジラはそれを食らってたまるかと言いたげに、非対称性透過シールドを展開し、ゴジラの熱線を弾き返そうとする。

しかし、肩の結晶の損傷の影響で上手くシールドを作れず、最初は弾き返すような予兆があったが、すぐにゴジラの熱線の勢い…威力に負けて、スペースゴジラに直撃する。

熱線はスペースゴジラの肩に風穴を開けて、奴を苦しめた。

更に間髪入れずに第2波の熱線を撃ち込むと、今度はもう片方の肩の結晶に熱線が直撃して、粉々に打ち砕かれた。

そのせいか、完全にエネルギーを操れなくなったスペースゴジラは体内に蓄えられていたエネルギーが拡散し、それが2体のゴジラの周りに漂う。

このエネルギーは皮肉にもゴジラの力を更に高める要因となってしまった。背びれにエネルギーが吸収され、青い電撃は真紅の電撃へと色が変化した。

そしてエネルギーを余すことなく、赤色の太い熱線を撃ってスペースゴジラの胸部にぶち当たる。奴の胸からは血が噴き上がり、スペースゴジラは苦しそうな咆哮を上げるばかりで、ゴジラの攻撃を何も防ぐことが出来なかった。

何度熱線を当て、最後にゴジラは尻尾を地面に叩きつけ、下半身に力を込めると、勢いそのままに一気に尻尾を振り抜いた。尻尾が動いた軌道上に赤い斬撃が飛び、スペースゴジラの首に当たった。

スペースゴジラは目を丸くさせて、身体を硬直させた。

数秒だけスペースゴジラは固まっていたが、すぐにその首はずるりと落ちた。

スペースゴジラの死を見取ったゴジラ・アースは地球上全てに聞こえる程の大きな雄叫びを高々と上げるのだった。

 

 

 

 

ゴジラがスペースゴジラを殺した瞬間を見ていたワタルやマーティン、ビルサルドは一言も言葉を発せなかった。

ゴジラ・アースの圧倒的な力の前に、勝てるのか…と何度となく思ってしまったのだ。最強のメカゴジラを作ったビルサルドでさえ、そう思ってしまったのだ。

勝利の咆哮を上げているゴジラだったが、すぐに顔を俯かせて、身体を硬直させていった。マーティンはこの状態をメカゴジラシティー破壊の時に見た以来だった。

 

「あれは?」

 

それを知らないワタルは誰に聞くわけでもなく、そう呟いた。

 

「エネルギーを大量に消費したから、眠っているんだ」

「…そうですか…」

 

それなら今叩けば倒せるかもしれない……。

そんな考えが思いついたが、ワタルはおろか、誰も今奴を攻撃しようと思った奴はいなかった。

威圧感、荘厳としたゴジラ・アースの前にワタルたちは萎縮してしまっていたのだ。

 

「…一時帰還するぞ。メカゴジラの更なる改造と強化をする」

「…そうしてくれ」

 

力なく、ワタルは言った。

そんな弱々しい姿を、リカは横から見ていて、寂しくなるのだった。

 

 

 

 

スペースゴジラが結晶を身体に纏って落ちてきた場所はまるで隕石が落ちたかのように巨大なクレーターが出来上がっている。そこの一角にはポツンとそれなりの大きさの穴が空いていた。

その穴の中を寝ぐらにしようと、ワーム型のセルヴァムが集まっていた。更にそのワーム型セルヴァムを狙おうと、翼竜型も上空から狙いを定めていた。

しかし、ワーム型が入ろうとした時、紅い足がワーム型の身体を意図も簡単に突き刺した。足に突き刺したまま、穴から出てきた紅色の生物は、ワーム型の腹に口を付けて、エネルギーを吸収した。

それを見ていた翼竜型セルヴァムは、ワーム型からそいつに狙いを変更した。勢いよく降下して、奴の身体を後ろ足で掴んだが、重くて持ち上がらなかった。

何度も翼を羽ばたかせても、奴の身体が地面から上がることはない。そうやっていると、側面から紅色の足が翼竜型セルヴァムの翼に食い込み、地面に叩きつけると、口を首元に付けて、何かを注入とエネルギー吸収を同時に行った。

穴から出てきた紅色の生物は1匹だけではない。

数え切れない数がクレーター内に集結し、不気味な目を光らせる。

奴ら『破壊者』はまだ…動き始めたばかりである。




はい、2章終了です。
そして、デストロイア登場です。

次章予告
ゴジラが眠っている間に再び作戦を練り直そうと考えたワタルとビルサルド一派。元丹沢大関門に戻ると、オラティオ号にいたはずのベルドらがいた。
奴らはガルグたちの上司的な存在で、何か企んでいる様子だった。
しかし、その間に樹海の中で不自然なセルヴァムの死骸を見つける。
そして…ワタルたちは、スペースゴジラ以上の破壊者に出会ってしまうのだった。
更に、ワタルの心情にも変化が…。

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