第20話
ナノメタルが完全に…前回のように残ることなく、ゴジラによって消滅した。今回はゴジラも念入りにやっていたのか、基地が溶けて跡形が無くなっても尚、何度も何度も熱線を打ち込んでいた。
そこに残っていたガルグやベルド…ビルサルドの隊員たちは死に絶えただろう。
ゴジラを唯一倒せると思われていたデストロイアも…オキシジェンデストロイヤー の影響で何度も再生を繰り返したが、それも限度があったのか、最後は十字のプラズマカッターを正面から受けて焼き切られ、熱線を打ち込まれて、ナノメタル同様に細胞の一欠片も残らないレベルにまで焼き尽くされた。
G細胞の樹海も…ゴジラの熱線やプラズマカッターを受けて燃え上がり、その火は2日程続いたのだった。
その光景をよく見ていたワタルたち人類は、もうゴジラには勝てないと確信した瞬間だった。人類がいくら知恵を絞り、その力を集めたところで神にも匹敵する奴を殺そうという考え事態が愚かだと分かったのだ。
ワタルも今回の戦いでゴジラ殲滅作戦は終わりにしようと考えていた。
自分が何故…ここまでゴジラに固執していたのかも、今となっては分からなかった。
ただ…負けを認めたくなかっただけなのかもしれないと、ワタルは思いつつ保存食が入った壺を抱え上げた。
ナノメタル基地を失い、母船もない今はフツアの洞窟で居候の身で住ませてもらっていた。一部の隊員は原始時代の生活に耐えられずに何処かへと出て行ったが、今はどうしてるのか…。
あの後、デストロイアを殺したのでフツアと人類の溝は無くなり、再び友好関係を築けた。これも説得を行ってくれたミアナのお陰だった。
片言の日本語だが、彼女はこう言っていたのをワタルは覚えている。
「みんなで……命、繋ぐため…。だから…仲良し……」
ミアナの言葉に何度救われたことかとワタルは思った。
迷った時もミアナが助言してくれなかったら、今頃あの基地で心中しているかもしれない。
何はともあれ、ワタルはここで静かに…幸せに暮らしていこうと思っていた。
その晩、ワタルは再び夢を見た。
暗闇に光る七芒星…。それらが何度も組み合わさったり、離れていったり…。どうしてこんなものを見ているのかと思っていると、ワタルの前に背の高い…髪を結っている男が現れる。
そして彼は手を挙げて、こう言い出す。
「君は本当に諦めるのかね?ゴジラを倒すことを…」
「何を今更…。俺はもう勝てないと判断したんだ。負けると分かってる戦いに何故身を投じる?」
「そんな軽い気持ちでこの星に戻ってきたというのか?」
彼がそう言うと、奥の七芒星から3つの頭を持つ龍が現れた。
そいつは男に巻きつき、俺に目を向ける。
「これが我らの神…ギドラだ。これを使うが良い…。そうすればゴジラも…この星の動植物も全て蹂躙出来るだろう」
「……何なんだ…お前は」
今更ながら思ったことを呟いた。
すると男は笑いながら言った。
「君の瞳に何度も呟いただろう?これで良いのかと…」
瞳にという言葉でワタルは思い出した。
時折右目が痛くなり、右目にだけ何かが写っているように見えたことがあったことを…。
「何が目的だ」
「ゴジラを殺したい者に、力を与えたいだけだ」
「そんなものに騙されるか!もう俺は…ゴジラとは関わらないことにしたんだ‼︎」
「…それでいい…。それでいいのだ…。いずれ君は…『こちら』側に身を置くことになるだろうから…」
途端、巻きついていた龍がワタルに向かって来た。
そいつらがワタルの顔に食らいついたと同時にワタルは目を覚ました。
「はっ…はっ…!」
服は汗まみれで息も荒い。
自分でもどこかおかしいことくらいすぐに分かった。
「何なんだ…今の……」
暫く息を整えようと深呼吸していると、右目が焼けるような刺激が走った。
「くっ…」
ワタルがふと自らの防護服に目をやると、そのプレートに写った自身の右目に…言葉を失った。
右目はさっきの夢の中に出てきた男と同様に黄金に光り、七芒星がゆっくりと回転を続けていた。
それを見たワタルは途端に恐怖に駆られた。
すぐに布を引き千切り、右目を封印する。
だが…これで右目が元に戻るなんて思えなかった。
「何が……一体どうなっているんだ?俺は……」
その日、ワタルは安眠に就くことは出来なかった。
黄金の翼は…すぐそこにまで戻って来ている…。
美しくも恐ろしい黄金の三つ首龍は…優雅に地球へと飛んでいく…。
短くてすいません。
次回予告
悪夢にうなされるワタルは寝ることも…まともに会話することもままならない程に症状が悪化する。
そしてうつ病になりかけて、助けを求めるワタルは…。
「助けてくれ…。俺は…どうしたらいいんだ…」
「ゴジラを殺すことが…君を救う方法だ」
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