ワタルとカイルはカール船長に言われた通りに志願した隊員1000人超から選別して、5機の
「地球……どうなってるかな?もしかして…自然豊かな星に戻ってたりして……!」
「あり得るな!だって20000年も経ってるなら、あのゴジラだって流石に生きては…」
「随分とそんな夢物語を語れるな…」
ワタルはそうやって楽しい話をしている隊員の間に割って入った。
「ゴジラが死んだかどうかはちっとも分からないんだ。そんな根拠もない話ばかりしてると、後で最悪な事態になった時に心が持たないぞ?それより、大気圏突入の準備を開始しろ」
ワタルがそう言うと、彼が大佐という階級だからか…その口調が恐ろしかったのか…または、ワタルが他の隊員から非常に信頼されているからなのか…すぐに準備を始めた。
ワタルたちが乗る揚陸艇が先頭で、1番最初に地球へと上陸する予定だ。こういう場合、あの委員会の幹部クラスは食事の毒味をさせるのと同じように、先に危ないことは部下にさせていることが多い。だが、ワタルだけは別だった。何をする時でも先頭に立ち、全員を引っ張って来た印象が強く残っていた。
「ワタル、もし…ゴジラが生きていたら、どうするつもりだ?」
「それはその時考えるさ。まあ、お前がベルドと一緒に作った原子化エネルギー砲とかいうやつもあるからな…」
「……ああ」
カイルはワタルが自分に全幅の信頼を託しているのがすぐに分かった。だが、その分…カイルはワタルだけでなく、5機全てに乗っている隊員全員を騙して地球に戻してしまったことに後悔ばかりが募っていく。
カイルは思い切って、ワタルにはその事を伝えようと口を開きかけたところで…リカの声が重なった。
「ワタル大佐、大気圏突入します」
「そうか。全艇、着陸用意!…で、カイル、何か言ったか?」
「い、いや…」
カイルの反応や言動に少し違和感を感じたが、それは後にして、ワタルは外の光景を見る。パワードスーツを着て尚且つ、防護マスクをするという、地球に降り立つにはおかしい格好ではあるが、現在の地球の空気や気圧がどうなっているかは全く分かっていない。
だからなのだが……ワタルたちはこんな姿で降り立つなんて、まるで今降り立とうとしている星は異星なのではとも思えてしまう。
大気圏に突入した揚陸艇は激しい炎に包まれるが、それはすぐに無くなり、分厚い雲が最初に見えた。
「厚い雲だ。これじゃあ太陽は地表にはまともに届きそうにはなさそうだな…」
「そうですね…。現在の地球環境は20年前…いや、それは私たちの感覚か…。約20000年前よりかは劣悪と考えられます」
「…そうか」
ワタルは悲しげな声で答えた。
厚い雲の中を通過すると、鬱蒼としたジャングルが広大に広がっていた。まだ地表から数百mはあるが、ここから見る限りゴジラも、他の生物も見当たらない。
すると、そんなジャングルの真ん中だけ焼け野原のように木々が消えており、その真ん中にはツタが絡まった何かの機械らしきものが放置してあった。
「おい!アレを見てみろ!」
ワタルが声を出すと、全員の視線がそこに向いた。
アレは間違いなく揚陸艇だった。しかし、オラティオ号から出されたものではないのは明白だった。
「着陸だ。あの揚陸艇を調べる。コンピュータを引き抜いてこちらに移せば何か分かるかもしれない」
「了解。全機、着陸せよ」
リカが言うと、ワタルたちが乗る揚陸艇の周りを囲むように5機全てが人類からしたら約20年……地球からすれば20000年ぶりに地球の大地に足を付けた。
酸素濃度が昔より低くなってしまったため、生身で外の空気を吸うことは出来ない。ワタルたちは防護マスクを装備したまま、降りざるを得なかった。
外は幻想的だった。不思議な植生が地球を覆い、雲の切れ間から時折太陽の光が漏れていた。地形も変わっている。ここは元丹沢大関門だったとされているが、昔の名残は何1つとしてなかった。更に険しく、激しい山々や崖が連なる非常に危険な場所となっていた。
それよりもワタルたちは捨てられたかのように置かれた揚陸艇の中に入って行く。中は静かで、草木も入っておらず、自分たちが乗ってきた揚陸艇と大差ない。
コックピットの方に行くが、そこでワタルやリカは戦慄した。
操縦席には死体があった。防護マスクの上から側頭部を撃ち抜かれた人の死体が…。それに今はマスクをしているから、2人は分からないかもしれないが、この死体は途轍もない腐臭を放っている。かなりの時間が経っている証拠だ。
「…ここで、自殺したのか…」
「……す、すみません!」
リカは耐えられなくなったのか、速攻でここから出て行った。
ワタルも死体が残ったままのコックピットに居続けるのは不愉快極まりなかったため、すぐにデータを移して、自らの艦へと戻った。
外では周囲を警戒する隊員たちが立っていた。だが、ゴジラが来れば、人など一瞬であの世行きだ。勇気だけあっても意味はない。
ワタルは先程移したデータを確認する。周りにはカイル、未だに吐きそうな表情のリカ、そしてどうしてかユリも見守っている。
中に残っているデータは、ゴジラに関するものだった。
ゴジラがどうして熱戦を放出出来るのか…、何故異常なまでの自己再生能力を持っているかの仮説…。そして…何より1番ワタルたちの気を引いたのが…。
「「「「ゴジラを倒す方法…」」」」
4人とも、声が重なってしまった。ワタルはそんなの気にせずに淡々と見ていく。
作成者の名前は書いてないが、どうやったらここまで計算出来たのかを尋ねたいくらい素晴らしい内容だった。
これによると、ゴジラは電磁パルスを増幅させる器官をどこかに有しており、増幅させることでどんな武器も通さないレベルの非対称性透過シールドを開く…とのことだった。そして、増幅させるパターンには周期的なノイズがあり、パルスを増幅させる部位を集中的に攻撃、そして破壊すればゴジラを殺せる…と書かれている。
はっきり、理論は通っていそうな仮説ではあるが、ワタルはこの仮説を簡単に鵜呑みにすることは出来なかった。もし、本当ならどうしてあの隊員は自殺をしていた?ゴジラを倒せなかったからなのではと、考えてしまう。
「ワタル大佐、どうします?この仮説を検証する方法は、実践するしか……」
「簡単に言うな。仮にこの通りの作戦をやるにしても、問題がありすぎる」
「そうよね…。まずゴジラのどこの部位を破壊すればっていいって言うの?それに…分かっても、そう簡単に出来るものじゃないわ」
「他にもある。この作戦は人力戦だ。人類が今までやってきた作戦となんら変わっていない。他人を犠牲にしてまで、この作戦をやるのは俺は反対だ」
ワタルはそう断言した。ワタルは確かにゴジラを倒したいと強く思っている数少ない人物だ。他はあの地獄の話を先代から聞かされたお陰で全員が戦意を喪失している。そんな状態で勝てるわけがない。
「じゃあ、どうするんですか?」
「…暫く様子を見よう。ゴジラの姿は見えないし、もう少しこのデータを深く調べて……」
その時、外から悲鳴と銃声が入り乱れた。ワタルたちも銃を持って外に出ると、見張りをしていた部隊が謎の生物に襲われ、応戦しているところだった。
「な、なんだアイツは⁈」
「パワードスーツ部隊はすぐ様援護しろ‼︎急げ!」
「大佐!危ない‼︎」
リカの声がしたかと思えば、横からあの生物が突っ込んで来た。しかしそれをリカが救ってくれた。
「すまない、リカ!」
「いえ!このくらい…!」
空を飛び、地面を走る生物にワタルたちは容赦なく銃の弾を撃ち込んだ。しかし、弾はめり込まずに体表に当たる度に金属質の音を奏でる。だけどきちんと倒れてくれるから、まだ良かった。
パワードスーツや多脚砲台のお陰で大体の数は制圧出来た。
負傷者をすぐに揚陸艇に乗せて、手当をさせている間に…ワタルはこの生物にゆっくりと近付いた。
黒い皮膚で、触ってみるとまるで鋼鉄みたいな硬さだった。歯並びは乱雑で、赤色の目がタランチュラのように複数付いている。
「なんだ…この生物は……」
ワタルは、この不気味な生物を見て、思わずそう呟いた。
そして気付いた。この星で危険なのはゴジラだけではないと…。
現在アンケート…デストロイアが1位ですか…。
結構意外です。てっきりラドンかスペゴかと…。
一応この章が終わるまでアンケートは続けます。