黒い龍は幻想で笑う   作:青い灰

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終章 第4話「天穿つ極光」

 

 

 

 

人里周辺────

 

 

「…………永琳、アレ撃ちなさい」

 

 

異形の妖獣たちと戦闘を行っている最中、

唐突に、輝夜がそう切り出した。

 

 

「は………アレ、と言いますと」

 

「分かってるでしょう」

 

「何をする気だ、医者!

 今はそれどころじゃないだろう!」

 

 

レミリアがそれを止めようとするが、

永琳にとって輝夜の命令は絶対、

拒むことはせず、静かに頷く。

鈴仙も顔を強ばらせ、それに同意していた。

 

 

「何を────!」

 

「そろそろ、来る筈の奴を撃ち落とす。

 貴女たち姉妹も永琳に合わせなさい、

 特別に私の力の一端に巻き込んであげるわ」

 

「レミリア様、お願いです。

 これは最速でこの異変を止めるための策。

 貴女方の力が必要です」 

 

「……………異変が止められることに

 越したことはない、か。いいだろう」

 

 

レミリアが頷く。

それを見た永琳がスペルを発動し、

周囲を一掃する。

 

そして、唐突に雲から何かが出てくる。

 

 

 

 

 

「来たわね、行くわよ」

 

 

 

 

 

黒龍を前に、輝夜が能力、

〝永遠と須臾を操る程度の能力〟で

世界の時間を極度に遅くする。

黒龍も力の発動者に気づく。

 

その隣で、得物を構えた2人にも。

 

 

「奉れ、人々よ。

 そして我が力、畏れ見よ」

 

「雷神の槍よ!」

 

 

極度の世界では黒龍の動きは鈍く、

2人には完全に力を溜める時間すらある。

だが黒龍も大きく巨大な翼を広げ、

大きく息を吸い上げる。

 

輝夜はほぼ止まった時間の中ですら

ゆっくりでも動く黒龍に苦い顔をするが、

だが。

 

 

「我が名、八意思兼神なりて」

 

 

永琳が弓を大きく引いた。

溢れ出す光がそこに凝縮し、そして矢を覆った。

 

 

「龍を───!」

 

 

レミリアが槍を大きく引き絞る。

紫電を纏った雷霆が弾けるような音を立てる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「穿て!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

永琳が矢を放ち、レミリアが槍を投擲した。

黒龍もそれに合わせ、一直線のブレスを放つ。

 

両方向からの攻撃が衝突する。

巨大な衝撃波が発生し、

それが幻想郷の地表を抉った。

 

力を使い果たした輝夜は疲弊し、膝をつく。

攻撃を放った2人も同様に、

息を切らしてその場に膝から崩れ落ちる。

 

 

 

『度しがたい』

 

 

 

声が、その場の全員に聞こえた。

重々しく、哀れむような声だ。

無駄だとでも言うように、それは声を発した。

 

そして声の主の黒龍は

更にブレスの勢いを強める。

 

拮抗していた両方からの攻撃を

ブレスが呑み込み始める。

 

 

『散れ。我が理想、我が力の前に!!

 生命は終わり、そして再び始まりを迎える!!』

 

 

輝夜による世界の速度が元に戻ったため、

黒龍はそのブレスの勢いを更に強めていく。

 

だが。

 

 

「やっと、来たわね」

 

『─────無謀なり』

 

 

その場に、十六夜咲夜が現れる。

それを見て、永琳とレミリアは再び立ち上がり、

弓をつがえ、槍を構えた。

 

 

「まだ、終わりではないわ」

 

「ナイスタイミングよ、咲夜」

 

 

そして、再度同じ攻撃を放つ。

 

 

『無駄だ───何!?』

 

「果たしてそうでしょうか?」

 

「調子乗ってんじゃねぇよ!」

 

 

天魔と鬼神が、黒龍の前に現れる。

そして、まだ援軍はいる。

 

 

「さて、馬鹿なことしてる

 トカゲさんはここかしらん?」

 

『────地獄の女神か………!』

 

 

最強の援軍が現れる。

それぞれが黒龍への攻撃へ加勢し、

遂に形成逆転、人里側の攻撃がブレスを押し返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『────せいぜい、足掻くがいい。

 カウントダウンは既に始まっている』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、黒龍へ攻撃が命中した。

 

人、妖怪、神の全力の攻撃の極光が龍を飲む。

 

 

 

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