黒い龍は幻想で笑う   作:青い灰

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  21話です。


21話

  「主はん、ぶちギレとるやん」

 

  「…ここ吹き飛ばないかしら」

 

  「そんときは全力で結界張るわ」

 

 

  怒り、静かに西行妖に近付く朧に

  瑠璃と紫は恐怖を覚えるが、

  それ以上の安心感があった。

  軽口を叩ける理由もそれだった。

 

 

  「紫様、一体、何者ですか、あの方は…」

 

 

  正気に戻った妖夢が尋ねる。

 

 

  「そうね、幻想郷……

    いえ、世界最強の人よ」

 

  「あぁなったら、多分

    止められるのは妹はんくらいやろうね」

 

 

  冥界に溢れる西行妖の妖力を

  塗り替えるほどの凄まじい威圧感を

  ただ漏れにする朧の怒りを

  止められるその妹も、

  十分おかしい存在であることを

  紫と瑠璃は思い出し、苦笑いを浮かべる。

 

  彼の妹は、現在の龍神なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「あらあら、霊花じゃない♪

        皆久しぶりね~♪」

 

  「ええ、久しぶりね、幽々子。

   今は西行妖、って言った方がいいかしら」

 

  「あら、気づいたの?

    あぁ、朧ね、気づいたのは」

 

  

  霊花は、とてつもなく

  珍しい能力の二つ持ちだ。

  一つ目は、博麗の巫女に与えられる、

  "浮く程度の能力"

  二つ目は、朧に匹敵する凄まじい能力、

  "光を操る程度の能力"

 

  その能力は、光を操るという

  馬鹿馬鹿しい物。

  体を光と一体化させれば、

  光速で動くことが可能になり、

  常に攻撃をすり抜ける。

  攻撃に転じれば、

  光は炎すらも灼き尽くす。

 

  

  「もう引退した身だけどね、

   博麗の巫女として、幽々子の友達として

   あなたを倒すわ、西行妖」

 

 

  光を纏う巫女が、再び空を舞った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「はッ!」

 

  

  迫り来る西行妖の枝を朧は黒い刀、

  "日蝕"(にっしょく)で切り刻んでいく。

  だが、範囲、長さが足りない。

 

 

  「刀じゃだめだ、なら……」

 

 

  なんと、日蝕が、形を変える。

 

  柄は丸みを帯び、鍔は無くなる。

  刀身は鎖へ形を変え、その鎖の先には

  棘付きの鉄球がある、西洋の武器。

 

 

  「フレイル・モーニングスター」

 

 

  朧は妖怪化し、筋力を上げる。

 

 

  「ハァッ!!」

 

 

  フレイル型のモーニングスターに炎を

  纏わせ、振るう。

  鎖で枝を切り裂き、その先の鉄球を

  西行妖に叩きつける。

 

  ミシッ、とそんな音が聞こえ、鉄球が

  西行妖を抉り、燃え上がらせる、

  凶悪な一撃。

 

 

  「そらァッ!」

 

  

  朧は体ごと腕を回転させ、

  もう一度鉄球を叩きつける。

 

  西行妖が、大きく怯む。

 

 

  「止めだッ!!!」

 

  

  朧は日蝕を刀に戻し、

  隙を見せた西行妖に接近する。

 

  西行妖が、最後の抵抗とばかりに、

  妖力弾を大量に放つが、

  全てを切り落とし、更に接近する。

 

 

  「 "天剣・亡霊の姫の泡沫" 」

 

 

  黒い炎が、日蝕を包み、

  西行妖を一閃した。

 

  地面に降り立った朧は、

  まだ、初めて会ったばかりだった

  人間だった頃の幼い少女が、

  西行妖の下で微笑んでいたのを目にした。

 

  それが、西行妖の見せた幻なのか…

  分かりはしないが、朧は彼女に

  微笑みを返した。

 

 

  いつの間にか、西行妖も、その少女も

  全ては、泡沫のように、

  消え失せていた。

 

 

  





  霊花さんの戦闘はありません。

  だって西行妖の精神灼いて終わりだし。

 
  次回、「亡霊姫の涙」 番外編です。
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