春雪異変の後の話。
春雪異変は無事に終わった。
長く続いた雪は、朧が熱を操って
溶かすことができた。
幻想郷中の季候が半日ほど夏に変わったが
妖力の燃費が悪い能力で何とかやりきった。
しかし、その大きな季候の変化により、
積もった雪が溶けて喜ぶ者もいれば……
「朧?私が育てていた花達がね、急な
季候の変化でみんな枯れちゃったのよ」
「…そうかそれはざんね」
「貴方のせいね死になさい」
唐突なフラワーマスターの呼び出しに
朧は太陽の丘へ向かった。
そして待っていたのは
不意討ちの死刑宣告だった。
フラワーマスター、風見 幽香の
日傘による近距離の串刺しを
後方へ跳躍で避ける朧。
「くっ…」
「なんで避けるのよ」
「……避けないと死ぬから、かな」
「貴方はいい人だと思ってたのに」
「その辺については色々と訳があってだな」
「言い訳なんか聞きたくないわッ!」
幽香は妖力を日傘に込め、
日傘の先端からレーザーを発射する。
「……悪く思わないでくれよ」
朧は日蝕を抜きレーザーを拡散させる。
そして幽香が再び放った弾幕を掻い潜り、
幽香の目の前で睡眠魔法を発動させ、
眠らせる。
「うっ…zzz」
「ふぅ……」
瑠璃が姿を隠す結界から出てくる。
危険だから隠れていてもらって
正解だったと朧は思う。
「相変わらず、宝の持ち腐れやなぁ」
「あんまりこの能力は使いたくないんだよ」
朧の能力、熱を操る程度の能力は
温度の熱だけではなく感情の熱、
落ち着かせたり興奮させたり
することが可能なのだ。
だが朧は相手の感情を操作するのが
嫌なため、能力を頑なに使おうとしない。
「瑠璃、幽香を頼んで良いか?」
「主はんが連れて行けばええやろ」
「さっきの誤解もあるしな……
少しあいつを迎えに彼岸へ行ってくる」
「あ、起きたん?」
「らしいな」
「流石、式一番の寝坊者やねぇ」
「此処に来るのも大分久しぶりだな」
朧は彼岸のとある場所に来ていた。
小町が船渡しをする三途の川の
上流にある彼岸花が咲き誇る野原。
空には満月が昇っていた。
そこに、一人の女性がいた。
長い紫色の髪に、
灰色の帯を巻いた純白の
着物の美しい女性だった。
そしてその背中には巨大な太刀がある。
「久しぶりですね、主」
「久しぶり、お影。元気か?」
「少し、体がだるいくらいです……
肩慣らし、付き合ってもらっても?」
「あぁ、映姫に許可は貰ってるからな」
朧が言った瞬間、お影と呼ばれた女性から
凄まじい威圧感が放たれる。
「死神、影、参る……!」
お影が大太刀を抜き放ち、
素早く朧に斬りかかった。
幽香さん、そして新キャラ、
朧の式にして死神、お影の登場です。
次回、「お影の肩慣らし」