黒い龍は幻想で笑う   作:青い灰

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  45話ですね。

  朧さんが戦います。
  やっぱり書いてて楽しいのは朧さん。

  次回予告を変更しました。


45話

  

  「あァァぁァぁぁ、

   口惜シい、口惜しイ」

 

  「さて、誰か気付く前に終わらせないとな」

 

  

  朧は式神をしまい、日蝕を抜く。

 

  形は禍々しく変化する。

  刀、ではあるのだが、

  

  刀身が黒く染まり、

  反りの部分が炎の様に歪になっている。

 

  大きさも変わり、刀というより、

  大剣と言った方がいいだろうか。

 

 

  「やっぱり、あれだな。

   翡翠と俺はあれを斬ろうとしてるのか」

 

 

  朧は亡霊武者ではなく、

  その野原の奥を見据える。

 

 

  「カぁァァぁ……

   生者ァ、邪魔をスるか?」

 

  「喋れるか?」

 

  「あァ、龍、名ハ何と言ウ」

 

  「朧だ、そこを退いてもらえるか?」

 

  

  一応、朧は聞く。

 

 

  「出来ヌ、我が名は業(ごう)。

   此処は通セぬ、朧よ。通りタけレば」

 

  「あんたを倒す、と」

 

  「そノ通り、どちラにせヨ、

   戦イはするつモりだっタろう」

 

  

  朧も業も既に剣を抜いている状態だ。

 

 

  「まぁな、あんただろう。

   外の奴等の封印を解いたのは」

 

  「そウだ」

 

  「なら、斬らせてもらうぞ」

 

  「我が目的ハ、妖を人を神ヲ、滅ぼすコと

   邪魔をすルなら、貴様を斬ル」

 

  

  二人は一瞬で接近し、剣を打ち付ける。

 

 

  「重い………!」

 

  「まサか、反応出来ルとは思わナかッたぞ」

 

  「そちらこそっ!!」

 

 

  朧は右から剣を薙ぎ、水平斬り、

  業はそれを大太刀で防ぎ、突きを放つ。

 

  朧は突きを剣で反らし、

  体を回転させ左上から

  袈裟斬りを繰り出した。

 

  

  「せりゃぁッ!!」

 

  「ヌァぁぁッ!!」

 

 

  業は右下からの斬り上げで撃ち合う。

  衝撃波が飛び、辺りの地面が割れる。

  

  二人は後ろへ跳び、距離を取る。

 

  業は3メートルの巨体から有り得ない程の

  速度で太刀を撃ち込んで来る。

  

  朧は大剣を下ろし構えとは言えない形、

  業は下段に構える。

 

 

  「ほウ、貴様、朧と

   名乗っタが、ヤはり天剣ダったカ」

 

  「知ってるのか?」

 

  「貴様の噂ハ戦国の世ノ中でも

   人々に知レわたッていたハずだ」

 

  「……へぇ」

 

  「何でもモ、刀を下ろし、

   構えてイない状態デも斬らレる、とナ」

 

  

  朧は少し恥ずかしくなる。

  確かにあの頃はよく戦いを挑まれた。

 

  まぁ負けはしなかったが。

 

 

  「あんたに言ってもらえると、

     光栄だな。一騎当千、業」

 

  「ほウ、我を知っテいたカ」

 

 

  彼は、戦国の世で傭兵をやっており、

  一騎当千と言われる程の実力者だった。

 

  しかし彼は討ち取られ、戦場で散った。

 

 

  「あぁ、お互い有名だった様だな」

 

  「あァ、だが、

   一番大切な物を我は守れなかった」

 

  「………」

 

 

  その言葉は、酷くはっきりと聞こえた。

  

 

  「だから、他を切り捨てるか」

 

  「ソの通りダ」

 

  「同じだな、俺と」

 

  「………そうカ」

 

 

  二人が再び、接近し、剣を撃ち込む。

 

 

  「これ以上の問答は不要」

 

  「本気デ貴様を殺ス」

 

 

  朧は剣を振り下ろし、その後

  斬り上げを連続で放つ。

 

  両方を防ぎ、業は太刀を右上から

  袈裟斬り。

  

  朧はそれを腰を落として膝を曲げ回避、

  脚に力を入れ、跳躍して上から斬りかかる。

 

  業は返す刀で斬り上げ、弾く。

 

  朧は、弾かれた勢いを利用して体を

  横に回し、横回転しながら斬る。

 

  業は太刀を利用してそれを反らし、

  勢いがなくなった朧に太刀を振り下ろす。

 

  朧は体勢を立て直し、防御するが、

  足が地面に着いたとき、地面が陥没する

  程の衝撃を受ける。

 

 

  「ぐ………っ」

 

  

  朧は腕を半龍化させ、太刀を上へ

  弾き、そして、

 

  業の体勢が崩れる。

 

  朧の並み外れた集中力が発揮され、

  時間がゆっくりになる。

 

  

  「"天邪剣・一天"」

 

 

  黒い大剣が闇を纏って、

  業の腹を貫いた。

 

 

  「ガはッ………!!」

 

  「………」

 

 

  朧は腹から剣を抜く。

 

 

  「見事……」

 

 

  そう言い、業は太刀をしまい、

  その場に腰を下ろした。

 

 

  「……最後に一つ、聞いても」

 

  「…………何ダ、朧よ」

 

 

  朧は剣を下ろし、

  気になっていたことを聞いた。

 

  

  「業、あんたの、守れなかったものは?」

 

  「………娘ダ、名は、影」

 

  「何!?」

 

  

  朧は目を丸くする。

  業は、話し始める。

 

 

  「娘は……一人娘でな、

   妻は早くに病に倒れ、

   我は金を稼ぐ為、傭兵となった」

 

  「…………」

 

  「だが、ある時のことだ。

   我は戦場から帰路につき、家に戻った」

 

  「…………」

 

  「娘は、死んでいたのだ。

   胸を刺され、そして金はなくなっていた」

 

  「そう、か」

 

  「なぁ、龍よ………

   我は、何をしていたのだろうな」

 

 

  業は、兜を外し、涙を流す。

  顔は、戦の火傷の跡が残り、

  傷がつき、爛れていた。

 

 

  「我は…………」

 

  「その娘、名は影で間違いないか?」

 

  「……あぁ」

 

  「髪の色は?」

 

  「桔梗のような、紫の美しい色であったよ」

 

  

  やはり、まさかとは思ったが………

 

 

  「業、その太刀、もう一本あっただろう」

 

  「そうだが………龍、何が言いたい」

 

  「………俺の式に、

   お影と名乗った妖怪がいる」

 

  「何、だと!?」

 

  「紫の髪に、

   お前の太刀と同じ物を持っていた」 

 

  「そんな、まさか、

   奴は、娘は、生きて…………!?」 

 

  「いや、お影は一度死んだはずだ。

    おそらく、死して妖怪となった」 

 

  「そうか…………影は、元気か?」

 

  「あぁ」

 

 

  業は、笑った。

  その目に涙を浮かべて。

 

 

  「………我は、もう、寝るとするよ」

 

  「娘と会わなくて良いのか?」

 

  「良い、龍よ………頼む」

 

  「そうか………」

 

 

  朧は、剣を持ち直し、業の背中へ回る。

 

 

  「我の止め、それともう一つ頼みがある」

 

  「………聞こう」

 

  「娘を、幸せにしてやってくれ」

 

  「………クハハ、無論。

   ────去らば、一騎当千、業よ」 

 

 

  朧は剣を振り下ろし、業を斬った。

  

  すると、業は黒い光の束となって消えた。

 

  赤い刀身の大太刀を残して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「いつから、いたんだ?」

 

  「全て、見せて頂きました」

 

  「そうか………悪かった、お前の父は」

  「良いのです、主」

 

  「………」

 

  「父を、思い出すことが出来ましたから」

 

 

  その後、朧の家の裏には墓が作られ、

  そこには、一本の大太刀が刺さっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「ふぅ、紫、幽々子、終わったのか?」

 

  「少なくとも、私達はね」

 

  「この先、何が

   あるのか聞いてもいいかしら」

 

  「近付かない方が身のためだ、

    今度は映姫にでも聞くといい」

 

 

  地獄野原、その先には、

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  混沌が封じ込められた、無限地獄がある。

 

 




  これで戦闘は終わりですね。
  なんか隻狼っぽくなったなぁ………

  次回、「異変後の話」

  
  桔梗(ききょう) 花の名前です。

  ゆかりんは冬眠に入ったのでいません。
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