黒い龍は幻想で笑う   作:青い灰

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  昔話、朧と美鈴のお話。


番外編 昔話 美鈴と朧

 

  これは、ある館の門番と、黒い竜の昔話。

 

  

  

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「弟子にしてくださいっ!!!」

 

  「は?」

 

  「弟子にしてくださいッ!!!」

 

  「…聞こえてるんだが」

 

 

  此処はとある平原。そこで中華風の服の

  美鈴と名乗った少女に勝負を挑まれた

  (襲われた)朧は、刀すら使わず少女を

  伸した。しかし…

 

 

  「どうか私を弟子にっ!!」

 

  「いや、何故そうなる」

 

  「貴方はその二本の剣を使わす、

   さらに、私の攻撃を全て避け、

   そのあげく襲いかかった私を殺さなかった」

 

  「襲いかかった自覚はあるのか…」

 

  「私は貴方の強さと優しさに惚れました!!

    結婚してくださいッ!!!」

 

  「よし、一旦落ち着け」

 

 

  何故かいつの間にか求婚されている朧。

  とりあえず美鈴をデコピンで落ち着かせる。

 

  

  「あたっ!」

 

  「落ち着いたか?」

 

  「はい!弟子にしてください!」

 

 

  不味い、このままでは終わらない

  そう考えた朧は睡眠魔法を発動ーーー

 

  

  「ーーーッ!」

 

  「きゃっ!」

 

 

  魔法の発動を辞め刀を抜き、美鈴と

  自分の死角の茂みから飛び出した妖怪

  を切り裂く。

 

 

  「ふぅ…大丈夫だったか?」

 

  「あっ、はい。というか今ので

   確信しました。弟子にしてください」

 

  「…分かったよ」

 

 

  こうして朧は美鈴を弟子にする事になった。

 

 

 

 

  朧はこの頃様々なところを旅していた。

  その副業として刀を使い、悪さをする妖怪

  を退治していた朧は、いつの間にか"天剣"

  という異名を持ってしまっていた。

 

  美鈴もその"天剣"に挑む為、旅を始めた

  という。

 

 

  「俺はそんな大層な者じゃないさ」

 

  「…さっき私、剣筋見えなかったんですが?」

 

  「…そこそこ剣は使えるんだ」

 

  「私、天剣を探していろんな剣使いに

  挑みましたけど貴方多分一番強いですよ」

 

  「…」

 

  「しかも、私と戦ったとき全て体術で

  攻撃を受け流してましたよね、それも無傷で」

 

  「…あー!分かったよ!!

    武術でもなんでも教えてやる!」

 

 

  

 

  様々な所へ行き、食事をとり、修行をして

 

  そして100年の時が過ぎた。

 

 

  「美鈴、話がある」

 

  「なんですか?」

 

  「お前には教えられる事は教えた。そこでだ、

    一度、俺と別れて世界を見てみろ」

 

  「え?な、何故ですか!?」

 

  「この国だけでは視野が狭い、

   お前は強くなりたいんだろう。なら世界

   を見てみろ。世界を巡り、強くなれ。

   俺は用事ができてな、少し争いを静めてくる」

 

  「……そうですか、確かに東洋には

    行ったことがありませんし…

        行ってみることにします」

 

  「分かった、ほれ」

 

 

  朧は、それを取り出し、美鈴に渡す。

 

 

  「? なんですかこれ?水晶玉ですか?」

 

  「俺との、まぁ連絡手段だな。

      それに妖力を流してみろ」

 

  「あ、師匠が写った」

 

  「話すこともできる。俺の用事が

   終わったらそれに連絡する。300年程

   時間がかかるからな、それを渡すことにする。

 

   あと、それはどちらかが力を流せば

   感覚的に分かる。気付いたら力を流せば

   話ができるって仕組みだ」

 

  「分かりました」

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  朧と美鈴が別れ、300年が経過した。

  美鈴は今、吸血鬼の館の門番をしている。

  毎晩どれだけ力を流しても、反応のない水晶玉を

  見つめながら。

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  美鈴は………

  再び現れ、館の主の妹を救い、今は

  酒に酔って皆が眠り、寝ている自身の

  師の腕に抱き着き、誰にも聞こえない声で、

  呟く。

 

 

  「…あの時、何があったのか貴方は

   言いませんでした。ですから、聞きません」

 

  

  美鈴は涙を流しながら、続ける。

 

 

  「ですが、本当に、本当に、

    無事でいてくれて、良かった…………!!」

 

  

  意図したものではないだろう。朧の手が、

  美鈴の頭を優しく撫でた。

 

  その心地よさに、美鈴は目を閉じ、

  眠りについた。

 




 番外 美鈴編 でした。
 感動系でしたが、いかがだったでしょうか。

 番外編はちょこちょこ書きます。
 昔話とついていれば過去、ついていなければ
 本編に合わせた時期の話です。
 
 ちなみに感動系とは限りません。
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