黒い龍は幻想で笑う   作:青い灰

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この小説の問題は内容が薄いということでした。
見返すと確かに薄くなってるような
気がしましたので努力してみます。



番外編 昔話 諏訪大戦 中編

「手紙?」

 

「う、うん。見てみて」

 

 

朧は諏訪子から手紙を受けとる。

横から風祝の色葉(いろは)も覗き込む。

 

手紙には、こう書かれていた。

 

 

─────────────────────── 

  

一年後、諏訪の地を我等が日の本の

神々のものとする故、貴様の決断を聞くとする。

 

選択肢は2つ、

大人しく明け渡すか、

死して消えるか。

 

大人しく明け渡すのなら、

諏訪の地、民を傷つけはしない。

 

良い決断を待つ。

 

 

───────────────────────   

 

 

 

「………ふむ」

 

「え、す、諏訪子様!?

 どうなされるのですか!?」

 

 

諏訪子は顔を伏せる。

 

 

「……明け、わたすしか」

「駄目だ」

 

「え、朧……?」

 

「お前がこの土地を明け渡したとして、

 一体どうなるか……分かっているんだろうな?」

 

「え?どういう………」

 

 

色葉が困惑する。

諏訪子は黙ったままだ。

 

 

「お前、どちらの選択肢でも死ぬぞ」

 

「あっ! そうか、

 信仰されなくなれば、神様は消滅して………」

 

「……じゃ、どうすればいいのさ」

 

 

諏訪子は顔を上げ、朧を見る。

 

 

「お前はこの土地を、民を捨てるのか?」

「違う!!」

 

「ならば、戦え」

 

 

朧は、今までにないほど、

険しい目で諏訪子を試すように見る。

 

 

「戦う……私じゃ、大陸の神に勝てる見込みなんて」

 

「なら、強くなれ」

 

「どうやって!?こんなこと言いたくないけど、

 この土地の人達じゃ、信仰が足りないんだよ!」

 

「違う、お前の力で、勝つんだ」

 

「え…………私の、力?」

 

「そうだ、お前の能力は、

 ″坤を創造する程度の能力″、

 一つの存在として、神として、十分に協力だ。

 国を容易く滅ぼせるほどのな。

 

 力、能力はお前だけのものだ。

 自分の力を、自分を信じろ、諏訪子!」

 

 

朧は、諏訪子の肩を掴み、

言い聞かせるように、そう言った。

 

 

「自分を、信じる」

 

「そうだ、戦え、

 誰の力でもない、お前だけの力で。

 

 この土地が、人々が、好きなんだろ?」

 

「………分かったよ。そこまで言われて、

 引き下がる訳にはいかないからね。

 

 色葉と、朧ともっと一緒にいたいから」

 

 

色葉はニコリと笑い、

朧は優しく微笑む。

 

 

「そうと決まれば、手紙の返事、

 腹立つくらいのやつを返さないとね!」

 

 

諏訪子は、手紙の返事を書く。

 

 

「手紙を届けたら強くならないと!」

 

「あぁ、諏訪子、手紙は俺が届ける。

 その内に鍛えておくと良い」

 

「ちょっ、朧さん!?危険過ぎですよ!」

 

「本拠地に乗り込む気かい!?」

 

「安心しろ、俺は必ず帰るから、な?

 だから、どのくらい強くなったか、

 帰った俺に見せてくれよ」

 

 

朧は、諏訪子から手紙をひったくる。

 

 

「………うん、分かった。

 度肝抜くくらい、強くなってみせるよ」

 

「クハハ、楽しみにしている」

 

 

朧は、扉を開け、

空へと飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朧は、神々の宮殿にたどり着く。

 

 

「まぁ、俺自身、お前たちが気に入ったから

 消えて欲しくないだけの我儘だがな」

 

「貴様、何者だ!

 ここに鎮座する者が誰か分かっているのか!?」

 

 

朧は、宮殿入り口の衛兵に手紙を投げ渡し、

帰ろうと向きを変える。

 

 

「諏訪の地から手紙の返事だ」

 

「使者は返すな、そう言われておるのだ。

 ……ご足労疲れただろう。楽にしてやる」

 

 

衛兵が剣を構え、

朧は周囲を包囲される。

 

対する朧も、両手で刀を抜いた。

 

 

「クハハ、そうさな。

 神々への土産は、お前たちの首かな?」

 

「戯れ言を………」

 

「少し、怒っていてな。

 戯れ言が過ぎるぞ、大陸の神々。

 あの土地は本当に気に入っていてな。

 

 あまり、調子に乗るなよ?」

 

 

朧の瞳が紫色に光り、宮殿は炎と氷に包まれた。

 


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