見返すと確かに薄くなってるような
気がしましたので努力してみます。
「手紙?」
「う、うん。見てみて」
朧は諏訪子から手紙を受けとる。
横から風祝の色葉(いろは)も覗き込む。
手紙には、こう書かれていた。
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一年後、諏訪の地を我等が日の本の
神々のものとする故、貴様の決断を聞くとする。
選択肢は2つ、
大人しく明け渡すか、
死して消えるか。
大人しく明け渡すのなら、
諏訪の地、民を傷つけはしない。
良い決断を待つ。
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「………ふむ」
「え、す、諏訪子様!?
どうなされるのですか!?」
諏訪子は顔を伏せる。
「……明け、わたすしか」
「駄目だ」
「え、朧……?」
「お前がこの土地を明け渡したとして、
一体どうなるか……分かっているんだろうな?」
「え?どういう………」
色葉が困惑する。
諏訪子は黙ったままだ。
「お前、どちらの選択肢でも死ぬぞ」
「あっ! そうか、
信仰されなくなれば、神様は消滅して………」
「……じゃ、どうすればいいのさ」
諏訪子は顔を上げ、朧を見る。
「お前はこの土地を、民を捨てるのか?」
「違う!!」
「ならば、戦え」
朧は、今までにないほど、
険しい目で諏訪子を試すように見る。
「戦う……私じゃ、大陸の神に勝てる見込みなんて」
「なら、強くなれ」
「どうやって!?こんなこと言いたくないけど、
この土地の人達じゃ、信仰が足りないんだよ!」
「違う、お前の力で、勝つんだ」
「え…………私の、力?」
「そうだ、お前の能力は、
″坤を創造する程度の能力″、
一つの存在として、神として、十分に協力だ。
国を容易く滅ぼせるほどのな。
力、能力はお前だけのものだ。
自分の力を、自分を信じろ、諏訪子!」
朧は、諏訪子の肩を掴み、
言い聞かせるように、そう言った。
「自分を、信じる」
「そうだ、戦え、
誰の力でもない、お前だけの力で。
この土地が、人々が、好きなんだろ?」
「………分かったよ。そこまで言われて、
引き下がる訳にはいかないからね。
色葉と、朧ともっと一緒にいたいから」
色葉はニコリと笑い、
朧は優しく微笑む。
「そうと決まれば、手紙の返事、
腹立つくらいのやつを返さないとね!」
諏訪子は、手紙の返事を書く。
「手紙を届けたら強くならないと!」
「あぁ、諏訪子、手紙は俺が届ける。
その内に鍛えておくと良い」
「ちょっ、朧さん!?危険過ぎですよ!」
「本拠地に乗り込む気かい!?」
「安心しろ、俺は必ず帰るから、な?
だから、どのくらい強くなったか、
帰った俺に見せてくれよ」
朧は、諏訪子から手紙をひったくる。
「………うん、分かった。
度肝抜くくらい、強くなってみせるよ」
「クハハ、楽しみにしている」
朧は、扉を開け、
空へと飛び立った。
朧は、神々の宮殿にたどり着く。
「まぁ、俺自身、お前たちが気に入ったから
消えて欲しくないだけの我儘だがな」
「貴様、何者だ!
ここに鎮座する者が誰か分かっているのか!?」
朧は、宮殿入り口の衛兵に手紙を投げ渡し、
帰ろうと向きを変える。
「諏訪の地から手紙の返事だ」
「使者は返すな、そう言われておるのだ。
……ご足労疲れただろう。楽にしてやる」
衛兵が剣を構え、
朧は周囲を包囲される。
対する朧も、両手で刀を抜いた。
「クハハ、そうさな。
神々への土産は、お前たちの首かな?」
「戯れ言を………」
「少し、怒っていてな。
戯れ言が過ぎるぞ、大陸の神々。
あの土地は本当に気に入っていてな。
あまり、調子に乗るなよ?」
朧の瞳が紫色に光り、宮殿は炎と氷に包まれた。