黒い龍は幻想で笑う   作:青い灰

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64話

 

「ただいま」

 

「おかえり、主はん。

  ん、お影も行ってたんか」

 

「えぇ、瑠璃。

  お客様はまだ来てないのですか?」

 

「来とらんよ。

 会ったことないから楽しみやねぇ」

 

 

瑠璃と話した後、朧は食事台へと向かう。

あの2人が来たら宴会になるのであろう、

酒やツマミも買っておいてあるようだ。

 

 

「ん?」

 

 

朧は聞き覚えのある声を聞き、玄関へ向かう。

そこには、2人の顔馴染みがいた。

 

 

「おお、久しぶりだな、2人とも」

 

「お久しぶりです、朧さん」

 

「久しぶりね、会いたかったわよん?」

 

「それは光栄だな」

 

「貴方の方が立場的に上でしょう?」

 

 

やって来たのは、

赤髪の変な……個性的な服を着た少女。

首の輪からは鎖で繋がれた球体が2つ浮いている。

 

そして、金髪のウェーブのかかった髪に、

黒いロングスカートのようなものを着た女性だ。

 

 

「ヘカ、純狐、良く来たな。歓迎しよう」

 

「あーなんかその呼ばれ方も久しぶりだわ」

 

「ふふ、歓迎なんて楽しみね」

 

 

地獄の女神、ヘカーティア・ラピスラズリ、

無名の神霊、純狐だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人が家に足を踏み入れる、その瞬間だった。

 

 

 

 

 

家の中で待っていた

2人の式が凄まじい速度で剣を抜き、

 

瑠璃が結界を家中に張り巡らせ、

お影がやって来た2人の周囲の重力を

100倍近くまで上げる。

 

 

「っと、なにこれ?」

 

 

赤髪の少女が軽く手を引き、振るおうとする。

 

 

「まぁ、全員待て」

 

 

朧が少女の腕を掴み、止めると同時に、

2人の式から力が抜け、膝をつく。

 

 

「これが歓迎かしらん?」

 

「違う、ヘカ、気を悪くしないでくれ。

  瑠璃、影、客だ。手を出すな」

 

「っ………申し訳ないわ……すまんかった」

 

「申し訳ありません………」

 

 

2人の式は膝をついたまま、頭を垂れる。

 

 

「ふぅ、朧さん、助かりましたよ」

 

「済まないな、神力を弱めてもらえるか?

  俺の式2人が気を張ってしまうのでな」

 

「ま、分かったわ」

 

「こちらもすみませんね」

 

 

ヘカと呼ばれた少女が腕を下ろし、

2人は神力を弱めてくれる。

 

 

「ごめんね、やっぱりただ漏れはダメね」

 

「こちらこそ、客に対して刀を

  抜いてしまうとはすまないな」

 

「おっそろしいくらいの神力やってもんでなぁ」

 

「条件反射ですし、仕方ないわ」

 

 

ヘカーティアも純狐も許してくれたようだ。

 

 

「瑠璃、影、案内してやってくれ」

 

「了解や」

 

「分かりました」

 

「俺は料理をつくってこよう、

  広いから迷わないようにしてくれ」

 

 

朧はそう言って奥へ行った。

 

 

「では、ご案内致します」

 

「お願いねん」

 

「はい」

 

 

瑠璃やお影も案内をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んむー、美味しい!」

 

「流石は朧さんですね」

 

 

2人が箸を進める。

小さな宴会が始まった。

 

 

「クハハ、それは良かった。

  お前たちも食べていいからな」

 

「ん、分かりました」

 

「頂きます」

 

 

ぷはー、とヘカーティアが酒を呷る。

もう飲み始めたようだ。

 

 

「はー、朧と会うのも何年振りかなぁ」

 

「そうね………私が月を襲ったころ、

 もう………350年くらいね」

 

「本当に久しぶりだったのねん」

 

 

そんな話をする2人に、

朧も会った時のことを思い出す。

 

確か、異変で霊花と戦っていたのだったか。

勿論、この2人は本気では無かったが。

 

 

「あぁ、うちらが幻想郷を

 守ってたから会わなかったんか」

 

「そうでしたね」

 

「お前たちが幻想郷の敵にならなくて良かったよ」

 

 

実際、朧でも全力の2人と戦えば

腕一本は消される。

 

 

「そうね、私も朧が敵にいなくて良かったわ」

 

「そんなことになったら星が危ないわよ……」

 

「俺だってお前たちと戦って勝つ自信がないな」

 

 

その言葉を聞いて式の2人が眼を丸くする。

 

 

「嘘やろ!?主はんがそこまで言うん?」

 

「まぁな、多分、レンと天津も

 ヘカ1人を相手取るのはキツイかもな」

 

「そこまで………あの神力も頷けますね」

 

 

そんな話をしていると、

ヘカーティアと純狐は朧をジトーと見る。

 

 

「よく言うわねん、朧と戦って

 私が無事でいられる訳がないわよ」

 

「私が加わっても私たちに勝機は

  3割と言ったところでしょう?」

 

「クハハ、どうだろうな」

 

 

凄まじい面子が揃い踏み、

冷や汗をかく式たちだった。

 





これで日常編は終わりになります。
次回からは風神録編に入ります。

しばしお待ち下さいね。
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