もう70話ですか。
こんな無駄に長い物語を読んで下さり、
ありがとうございます。
空では、吸血鬼2人の睨み合いが続く。
観戦する者たちは紅魔館のバルコニーで見守る。
「朧、大丈夫なの?」
「大丈夫、とは何がだ?」
「お嬢様のお父様………
かなり強い妖気を感じるけど
お嬢様は大丈夫なのか不安で………」
咲夜の心配は当然のことだ。
ヴラドの実力は朧もよく知っている。
「そうさな…………妖力だけでいえば、
レミリアも負けていないが、ヴラドの能力がな」
「能力持ち………!?」
「あぁ、幻想郷でも奴の対策など出来ない。
彼女がどう攻略するかだが、結果は分からん」
咲夜は朧の言葉を聞いて
ヴラドの能力について考察を始める。
「………かなり、厄介な能力と言うこと?」
「あぁ、お前なら簡単に弱点をつける能力だ」
「来ないのならば、こちらから行かせてもらう」
「!」
ヴラドは、大きく腕を振り上げる。
レミリアは警戒しながらグングニルを構える。
「穿て」
「っ!」
ヴラドの周囲に槍か浮かび上がり、
レミリアへと一直線に飛ぶ。
「甘いわ!」
レミリアは飛翔しながら槍を
グングニルで破壊していく。
そしてヴラドへ何の危険もなく接近できた。
「食らえ!」
「無駄だ」
「何!?」
レミリアかグングニルでヴラドの胸を貫くが
何も起こることはない。
───そう、
血が流れることも、ヴラドが怯むことも、ない。
「これは───!?」
「愛娘とは言え、勝負ならば容赦せん」
「ごふ──がッ!」
「お姉様!?」「お嬢様!」
レミリアのグングニルを引き抜き、
ヴラドはレミリアの腹へ叩きつける。
更に、追撃。回した脚で蹴り飛ばす。
「ぐ、っ。今のは確かに…………!?」
「刺さったと?甘いのはそちらだ、娘よ」
「か、ぁっ!?」
瞬間移動したような速度でレミリアへ
接近したヴラド。
手刀がレミリアの腹へ撃ち込まれる。
レミリアはグングニルを再び作り出し、
今度はヴラドの頭を貫く。
が。
「甘いと言った!」
「ごぁッ!?」
ヴラドの頭は瞬時に再生。
ヴラドの左腕がレミリアを地面へ叩き落とす。
「───!」
咲夜は絶句する。あり得ない。
時を何度も止めて動きを見ているが追い付けない。
「再生してる、いや、あれは一体──?」
「レミィが槍を抜いた瞬間には元に戻ってたわ。
あれは再生だとしたら早すぎるわよ」
「お父様、ズルい!」
美鈴たちがヴラドを見て考察を進める。
パチュリーの言う通り、
確かに再生だとしたら早すぎる。
「………あれって、もしかして」
何か感づいたのか、
小悪魔が朧に近づいて耳打ちする。
「朧さん、ヴラドさんの能力って──」
「────クハハ、よく気づいたな。その通りだ」
小悪魔は目を丸くする。
それならば。では───
「レミリアお嬢様に、勝ち目は──」
「さて。どうする?
───運命を垣間視る者よ」
「────」
レミリアは考える。
奴に攻撃が無効化され、自身は攻撃が出来ない。
(完全な能力なんて存在しない。
なら父様はどうやって攻撃を───)
そして、気づく。
月の光が、一瞬だけ雲の穴から射す。
それが、ヴラドを照らした瞬間。
ヴラドの姿が、揺らいだ。
「────!!」
そうか、そういうことか!
自分は、最初から─────
「そう、か。クク………」
レミリアは笑う。
月は隠れたが、光明が射した。