黒い龍は幻想で笑う   作:青い灰

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この兄弟、時代劇の感じが増す。
いや、そんな感じないんですけどね。

作者のプロフィールを更新致しました。
これからもこの作品をよろしくお願いします。

pixivの方に朧さんの絵を投稿させて頂きました。
興味のある方は是非どうぞ。



番外編 残された時間

月夜、屋根の上で、詠う。

 

 

 

 

「一夜一夜の月を肴に

  盃を傾け幾億の夜が過ぎ去りて」

 

 

詠う。

 

 

「厄は満ちたりて、

  その姿を顕し、灯火を消す」

 

 

詠う。

 

 

「消えた光は戻ること無し、

  其の光、再び光ることも無し」

 

 

詠う。

 

 

「厄は去り、されど贄を出しける」

 

 

詠う。

 

 

「しかして陽の光は尚も輝ける」

 

 

詠う。

 

 

「それ、貴君は未だに消えず残る証なり」

 

 

詠い終わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄様」

 

「……………翡翠か」

 

 

朧は顔を拭うように着物で擦る。

 

 

「泣いて…………いたのですか?」

 

「───、──少し感傷に浸っていた。

  まさか見られるとはな、恥ずかしいものだ」

 

「そんなつもりでは」

「いいさ、仕方ない」

 

 

朧は翡翠の言葉に重ねて謝らせることをしない。

 

 

「それで、どうした?」

 

「少し、息抜きを。

  兄様も無理をするな、と言っていたので」

 

「…………抜けてきたか」

 

「………はい。もう、そろそろ………」

 

「悪かった………何もしてやれない自分が憎い」

 

「その気持ちだけで、十分です。

  …………十分、なのですが………」

 

 

翡翠は口をつぐむ。

朧は翡翠が何を言いたいかを読み取る。

 

 

「考え直せ、と?」

 

「………はい。正直、見ていられません……」

 

「お前がそれを望むなら、

  今すぐにでも始めたいところだが」

 

「それは───!」

 

 

朧は即答し、立ち上がる。

翡翠は朧の前に回り込む。

 

 

「ですが、何故………兄様は」

 

「翡翠、どれだけ時間は残っている」

 

「………残り、6ヶ月、といったところでしょうか」

 

「時間が無いのは俺も同じだ。

  だが、6ヶ月もあれば十分持ちこたえる」

 

「持ちこたえる………!?

  兄様、まさか」

「答える義理はない。今日は休め」

 

 

朧は立ち去ろうとするが、

翡翠が後ろから朧の着物を掴む。

 

 

「放せ──」

「失礼いたします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翡翠は、漆黒の着物を破り捨てる。

 

 

「───!!?」

 

「………馬鹿者」

 

 

朧の白い筈の体表が、赤黒く侵食されている。

侵食されている部分は腐食し、蠢いている。

あまりにも………痛々しいものだ。

 

だがすぐに朧から闇が溢れ、

侵食された部分を覆い、普通の体表になる。

闇が着物を再び作り出す。

 

 

「そんな──!?兄様、一体何を!?」

 

「300年前、言った筈だ。

  奴を魂と器、そして能力を分離させたと」

 

 

ならば。ならば有り得ない。

有り得てはならない。

 

 

 

「魂──! 聞いていました!ですが何故!

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなもの────

  入れ物に値するものが、

   無いからに決まっているだろう」

 

「ですが!!兄様は、その体で

  300年も苦痛に耐え続けたと!?

  そんなこと、有って良い筈がありません!」

 

 

憤激する翡翠とは対称的に、

朧は何事もないように淡々と続ける。

 

 

「奴の能力と最も相性がいいのは俺だ」

 

「だからと言って───

  2つも背負っているのですか!?」

 

「そうだ」

 

「─────っ!!」

 

 

翡翠は朧の胸ぐらを掴み、

屋根に叩きつける。

 

 

「これは、お前たちが

  背負っていいものではない」

 

「間違っています、そんなことッ!!

  何もかも1人で!!

  終わらせるつもりだったでしょう!!」

 

「犠牲が出るのなら、少ない方がいい」

 

「犠牲が出るなら出ない方がいい!!

  きっとそんな方法が──────!」

 

 

 

 

 

 

「あるとでも?」

 

 

 

 

 

 

翡翠の思考が、凍てつく。

たった、その一言で、翡翠は体が、心が凍りつく。

 

 

「─────」

 

「そんな都合の良いことが」

 

「────」

 

「ある訳がないだろう」

 

 

屋根の瓦が、音を立て、凍てつき、砕け散った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それはただの夢だった。

翡翠の見た、夢。

だけどもそれは酷く現実的で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

屋根は、瓦が1つ消えていた。

 




そろそろ終盤ですかね。
あとは地霊殿、星蓮船を終えて、終章です。

時系列ですが、
朧が現れたことによりズレが生じています。

詳しいこと、捕捉などは
一応、アンケート取っておきますね。

今までの捕捉、ズレについて

  • 終章終了後で大丈夫よ
  • 次の回で頼むぜ!
  • 別にする必要ありません
  • 外伝を開始してそちらに記載して下さい
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