黒い龍は幻想で笑う   作:青い灰

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投稿遅くなり申し訳ないです。




72話

 

 

 

「きゅう………」

 

「おい椛、大丈夫か?」

 

「うぇ?」

 

 

朧は紅魔館の件の翌日、早朝に

守矢神社へ向かう途中の妖怪の山入口付近で

ボロボロの椛を見つける。

 

 

「あいたたた………お、朧さん?」

 

「あぁ、どうしたんだ?

  ………まぁ、大体予想はついてるが」

 

「はい、霊夢さんと

  魔理沙さんにやられました………」

 

「クハハ………大天狗の指示だろう?

 最近は天津の話を聞かずに、

 独断行動を行う奴もいると聞くが………」

 

 

最近、天狗の里では天津の意見に反発する者も

いるらしく、あまり穏やかじゃないらしい。

 

特に同族以外に対して排他的な天狗は、

自分たちの住みかに手を出されるのは嫌だろう。

 

 

「はい………」

 

「たまには顔を出すべきか。

  立てるか?無理なようなら永遠亭に運ぶが」

 

「大丈夫です。負けてしまった私も私ですし」

 

「そうか。あまり無理はするなよ?」

 

「はい、ありがとうございます」

 

 

椛は天狗の里に戻るそうだ。

朧はそのまま守矢神社へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ、うちの神社に分社を建てる。

  ってことでいいのよね?」

 

「はい。あまり新入りがでしゃばるのもですしね」

 

 

朧が守矢神社にやって来ると、

神社の前では話し合いが行われ、

終わった所だった。

 

結局、神社同士の信仰を巡る騒動は

そんな結果に落ち着いたのだとか。

 

 

「分社か、成る程。

  考えたな、諏訪子」

 

「ん、うちでも同じようにして解決してたからね。

 ちょっとずつ信仰奪ってけば良いよ」

 

「クハハ、仲良くな」

 

 

神奈子も諏訪子も信仰を受けなければ

消える存在だ。

 

だが、聞いたように早苗の活躍により、

信仰の対象が増えた幻想郷でも大丈夫だろう。

 

 

「そういえば、なぜ魔理沙も来たんだ?」

 

「霊夢に引っ張られて来たんだぜ。

  まぁ、私も博麗神社が無くなると困るしな」

 

 

魔理沙は表面上は面倒そうだが、

やはり内心は心配だったのだろう。

 

 

「まぁ実際は…………」

 

 

魔理沙と諏訪子は目を逸らす。

その先にいた人物を見て朧は

「あぁ………」と引きつった笑いを浮かべる。

 

 

「そう、神社の巫女同士なのです。

 手を取り合い、助け合うことが………ブツブツ」

 

 

そう、(建前だけ)手を取り合った2人を

未だに説教………教えを説く閻魔様である。

 

霊夢と早苗はげっそりとした顔になっている。

確かに、四季映姫・ヤマザナドゥ御本人ならば

(色々と)こうなるのも当然である。

 

 

「話し合いは説教に切り替わって

  それを延々と聞かされた巫女2人の図。

  ちなみに呼んだのは神奈子だけど逃げたね」

 

「えげつないな………」

 

「クハハ………映姫、その辺でいいだろう。

  2人は十分に理解したようだが?」

 

 

朧は助け船を出す。

巫女たちは目を輝かせ、閻魔様はむっとした顔。

 

 

「………まぁ良いでしょう。

  今日のお話はここまでにしておきます」

 

「「ほっ………」」

 

 

映姫はやることを終え、

その場から立ち去ろうとする。

 

そして、朧の真横で立ち止まる。

 

 

「後で、貴方にも話があります。

  階段の下で待っていますので」

 

「あぁ、分かった」

 

 

真剣な声音で、誰にも聞こえぬよう

そう言った映姫は階段を下って行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、少し霊夢たちと話をした朧は

階段を下って行く。

 

その一番下には、映姫が待っていた。

 

 

「で、話とは?」

 

「惚けても無駄です」

 

 

突然、映姫は朧へと接近、

朧の首にその手の悔悟棒を振り抜く。

音速並の速度のそれを、

朧は涼しい顔の手刀で受け止める。

 

 

「何の事だ?」

 

「…………小町に、貴方の過去を調べさせました。

 貴方がやろうとしていることを

 私が見逃すとでも思いましたか?」

 

 

映姫は跳躍で後ろへ下がり、

警戒を緩めない。

 

 

「幻想郷の閻魔ともあろう者が、

  詮索は良くないのではないか?」

 

「詮索?これは貴方という罪人の()()調()()です」

 

「本人の確認も無しでか?」

 

「確認を取る必要がありませんから。

 忘れたのですか?もう既に裁判は行われました」

 

「…………あぁ、300年ほど前のアレか。

  裁判とは言えぬお粗末なものだったが」

 

 

朧は映姫の放つ威圧に全く怯むことなく、

眉1つ動かすこともない。

 

 

「貴方は未だに、″処分保留″の状態。

  下手な動きをして私に勘づかれないとでも?」

 

「それなりに気を付けたがな。

 小町が調査をしたと言ったが、喋ったのは誰だ」

 

「言えませんね。貴方が消しにかかる

 可能性が無い、とも言い切れませんし」

 

「やれやれ、ご苦労なことだ」

 

 

朧のその言葉に映姫は

″白黒はっきりつける程度の能力″を発動する。

 

 

「…………変わりませんね。黒です」

 

「変わる訳がなかろう」

 

「私の能力を人に使う場合、罪の基準があります。

 その基準から離れるほど、その色は濃くなる」

 

 

映姫の見る朧の姿は。

 

 

「ここまで、黒く染まった魂は未だに存在しない。

 裁判など甘いものでは裁けない。

 それこそ、魂ごと消滅させれば別ですが」

 

「ククッ………それで、どうする?

  ここで白黒つけるか?死を以て、な」

 

 

朧が刀に手を添えて威圧する。

大気が震えるほど、風が巻き起こるほどで、

周囲の木々の葉が擦れる音を出す。

 

次元が、違う。

 

 

「…………無理、ですね。

  少なくとも、私1人では確実に」

 

「…………」

 

「ですが…………その刀。天に至ったその剣技。

 元より刀の不要な存在の貴方が使う理由がない」

 

 

朧は刀をカチャリと鳴らす。

映姫は朧の威圧感に怯まずに続ける。

 

 

「貴方…………龍を名乗っていますが

 「そこまでにしておけ」……………!」

 

 

朧は、映姫の瞬きの瞬間に刀を抜いて

映姫の首に当てる。

 

 

「その質問は答えられんな」

 

「………その行動、肯定と受け取ります」

 

「ククク………失敗だな。

  まさか情に流されるとは」

 

「仮面が剥がれかけていますね。

  言葉で私に勝てると思わぬことです」

 

 

朧は刀をゆっくりと戻し、鞘に納める。

 

 

 

 

「もう一度………聞きましょう。

  貴方は、今のあなたは一体()ですか?」

 

 

 

 

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