黒い龍は幻想で笑う   作:青い灰

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ちょっと難しい話になりましたね。
やってて自分でも分からなくなりそうです。



73話

とある日。

今日も今日とてセミの鳴き始める早朝。

 

朧は一週間の1日として、

白玉楼で妖夢と共に朝食を拵える。

 

 

「いつも手伝わせてしまってすみません……」

 

「気にするな、俺も約束だからな」

 

 

約束、朧と幽々子のものだ。

一週間に1日となってしまったが、

幽々子も白玉楼から出歩くことも多くなったので

仕方ないことだ。

 

 

「あ、そうだ。

 朧さん、幽々子様が最近、

 果物を育てていまして。食後にどうですか?」

 

「幽々子が?珍しいな」

 

 

あの飽きやすい性格で続けられるのだろうか、

朧は少し違和感を覚える。

だが、確かに白玉楼の外には柿が植えられていた。

 

 

「ですよね、でも意外と美味しかったですよ?」

 

「そうか、だが少し幽々子と話がある。

  果物と、皿だけ貰ってもいいか?」

 

「構いませんよ」

 

 

朝食を作り終わり、妖夢、幽々子は食事を取る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、白玉楼で妖夢と軽く手合わせ。

それが終わると、朧は幽々子を呼び出す。

 

冷ましていた柿の乗った皿を持って

朧は幽々子と共に縁側に座る。

 

 

「あら、珍しいわね~。

  まさか朧から呼び出してくれるだなんて」

 

「………一つ聞かせてもらおう。

  俺を()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

黄泉戸喫(よもつへぐい)

冥界のものを食べると、人は冥界に魂を固定され、

冥界から出ることは出来なくなる。

 

朧はそれを幽々子に指摘する。

 

 

「あら?そう、そうだったわね~」

 

「………惚ける気か?」

 

「そんなに睨まなくても………ふふっ」

 

 

龍である朧には効果こそ薄いものの、

たとえ朧でも食べてしまえば

冥界から出ることは出来なくなる。

 

それは呪いに似たものであり、

呪いとは異なるもの。

 

それは、(ことわり)と呼ばれるもの。

龍は呪いをはね除ける力を持つと

幽々子たちは知っているが、理は別であり、

それはたとえ、龍だろうと仙人であろうと、

神であろうと見境なく力を発揮する。

 

 

「伊邪那美と伊邪那岐の話は知ってるでしょう?」

 

「無論、知っている。

  西行妖の正体についても、な」

 

「なら話は早いわよね?」

 

「………あの桜を黄泉返らせるつもりか」

 

 

冥界の管理者を行っている幽々子だが、

それは名だけのものであり、

冥界の管理者は実のところ本命がいる。

それこそが、黄泉津大神、伊邪那美。

伊邪那美は黄泉戸喫の最初の被害者であり、

冥界の管理を行う神である。

 

冥界の奥底に住んでおり、

そこに咲き誇るものこそ、あの桜。

 

西行の血を吸ったからこそ、

あの桜は西行妖と呼ばれただけであり、

本当の名前は西行妖ではない。

 

 

「伊邪那美の力を受けた冥界の桜。

 名を、死冥桜(しめいおう)

 西行の一族を死に至らしめた桜の本当の名前だ」

 

「ふふっ、本当になんでも知ってるのね」

 

「伊邪那美と面識はないがな。

  かつて伊邪那岐に会ったことがある」

 

 

曰く、死した伊邪那美は魂と身体に分離し、

魂は冥界の支配者としてあるべき姿に。

その身体からは、桜の木が生えた。

あらゆる生命を養分とする化物の桜が。

 

朧は幽々子が植えたという沢山の柿の木を見る。

 

 

「あの中に、死冥桜があるな?」

 

「加えて勘もいいのね」

 

「既に遅かったか………」

 

 

人の魂を喰らい、血を吸った西行妖こそ

伐採が可能だったが、

冥界の支配者の力を持つ死冥桜は不滅であり、

枯れることも切り倒すことも不可能だ。

 

だが、成長は極端に遅く、通常の木になるまで

大体10000年はかかる。

 

幽々子はニコリと笑う。

 

 

「私の狙いは外れたわね~

 貴方を冥界に閉じ込めて少しずつ死冥桜に

 力を奪ってもらう作戦だったんだけど」

 

「それで成長しきった

 死冥桜と戦闘させるつもりだったか」

 

「えぇ、それでも時間稼ぎだけど」

 

 

幽々子の作戦は、

自らの安全すら捨てた覚悟がある。

朧の力を吸い上げ、急成長した死冥桜に狙われれば

幽々子自身も危険に晒されることになる。

 

幽々子は顔を真剣なものにし、朧を見る。

 

 

「それに、企んでいるのはお互い様でしょう?」

 

「…………まさかそれに死冥桜まで持ち出すとはな。

 体が怠いとは思ったが命吸いが始まっていたか」

 

 

朧は立ち上がる。

冥界をあとにしようと冥界の門へと歩き出す。

 

幽々子は後ろから声をかける。

 

 

「幻想郷の実力者たちは既に気づいてるわよ?」

 

「それを、止めないのか、と?」

 

「えぇ」

 

 

朧は少し振り向き、凶悪に口端を歪める。

その笑いは幽々子を背筋を

凍りつかせるほどのもので。

 

 

上等。恐るるにたらん

 

 






あ、アンケートです。

もうそろそろ物語の最終章入っていいですか?

  • いいよー
  • だめー
  • 地霊殿終わったらやってー
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