クリスマスこそ300箱目指します
「遅くなってごめんね、先生」
季節は過ぎ、もうすぐ今年も終わろうとする冬
訪れたのは先生の墓
命日には必ず訪れていたのだが、羽丘での生活が
目まぐるしく、時間が取れなかったので
年も変わるこの時期になってしまった
墓前に花を添えて、お参りを済ませる
一度行けなかっただけで、長いこと会えなかった
そんな気がする。
「高校に入ってからさ、色々あったんだよ?
一番大きいのは、僕に友達が出来たってことかな」
先生がまだ生きていたのなら、驚いたことであろう
高校に入ってからのこと、日菜やリサ達、文化祭や
夏休みのことを全部、全部話した。
「じゃあまたね、先生。みんなと初詣行く
約束をしてるんだ。準備しないと」
今度はちゃんと遅れずに行くよ、と約束をする
すると背中を押すように風が吹く。
まるで、頑張れよと応援してくれるみたいに
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「あっ、マコト!こっちこっち!」
「誠、遅いわよ」
「ごめんって、ところで日菜と薫は?」
神社の近くを集合場所にしてリサと友希那と
先に合流する。家が隣同士なんだっけか
日菜と薫も一緒に向かう予定だがまだ来てないらしい
「ヒナはもうすぐかかるって。薫は演劇部の同級生と
一緒にこっちに向かうらしいよ」
「…そう」
「あれー?もしかして日菜に早く会いたかったり?」
「…そんなわけ」
ツンっとした返事をしてしまってるが楽しみにしてる
っていうのは本音である。
リサも友希那も振袖?というのだろうか着ていて
とても絵になる。たぶん、日菜も着てくるだろうから
どういうものなのか見るのが楽しみである
「あっ!まー君!リサちー!」
「もうお揃いみたいだね」
「ジ、ジブンがご一緒してもいいんでしょうか…」
噂をすればなんとやら。日菜と薫と…
あのメガネの子はさっき言ってた演劇部の子だろうか
「あ、ジブン大和麻弥って言います!
よろしくお願いします!」
「神結誠です。よろしく、大和さん」
──────────────────
「……すごい人。」
新しい年を祝おうと、多くの人が神社に集まり
境内に向かって長い列を形成している
僕の横に日菜、その後ろにリサと友希那
さらにその後ろに薫と大和さんが並んでいる
───────そしてその日菜と……
「手、つなぐ必要ある?」
「…ほ、ほらっ!まー君はぐれちゃったら
何するか分からないし!」
なぜか手を繋いでいた。
何するか分からないし、と言うのはこっちの
台詞なのだが、そこはまぁ言わないことにする
「あっ、そうだ!絵馬書こう!」
「えっ?待って!ちょっと!」
返事をするまでもなく繋がれた手を引かれ
形成された列を乱していく
リサに助けを求めようとしたが
「ドンマイ、頑張って!」と言う表情で
ただただ手を振られていた。
「あのさ…」
「んー、どうしたの?」
「今、絵馬書く必要あった?」
「んー、るんっ♪てきたから?」
「うん、よくわからないね」
2人で横に並んで絵馬を書きながらその必要性を説く
相変わらずるんっという擬音語を使っているが
未だにどのような意味があるのかは分からない
「出来たっ!」
「僕も出来たよ。飾りに行こうか」
「うんっ!」
あれやこれやで絵馬を書き終わって飾って
再びリサたちと合流する。
「リサ、さっきから笑ってるけどどうしたの?」
「いーやー?なんでもないよー?」
「さぁ、それよりもうすぐ時間だよ」
薫の言葉で時間を確認すると、年が変わるまで
もうあと3分を切ったところである
「まー君」
「どうしたの?」
「今年は楽しかった?」
今年は、というより羽丘に入ってからが充実して
楽しかった気がする。
日菜に会って、リサに会って、友希那に
薫に、そして今日、大和さんに
球技大会...はそこまでだが
文化祭、海に行ったり体育祭だったり
羽丘で本当によかったと、ここじゃなければ
こんなに充実した日々は過ごせなかっただろう
そんな日常をただ一言にまとめて
「楽しかったよ」
「そっか、よかった!」
「日菜のおかけでね」
「えっ、あっ、うん...」
本当のことを言ったはずなのだが何故か
日菜はうつむいてる。
周りが薄暗いせいかその表情は読めない
「ひ、日菜?」
「えっ?な、なんでもないよ!
ほら!もうすぐ明けるよ!」
気づけばリサたちを含め周りはカウントダウンを始めている
たった10秒、それはすぐに過ぎ...
「あけましておめでとう、まー君!」
「あけましておめでとう、日菜」
「ちょっとー?アタシたちもいるんだけどなー?」
「ごめん、忘れてた」
「ひどくない!?」
そんな冗談だって言い合える
きっと今年も普通で他愛もない日常を
夢にまでみた日常をみんなとすごせるだろう
今年はどんなことが待ち受けてるのか
とても楽しみである。
この日常が続くように、ただ強く願う
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
時は過ぎ、桜舞う季節。
高校も2年生にあがり、去年と同じように
またみんなで普通に過ごせると考えていた
─────あの天才少女の突拍子も無い言葉がなければ
「まー君、あたしアイドルになったから!」
「…………………はい?」
目まぐるしく回る環境、それでも憧れる普通
「……普通ってなんだっけ」
いろいろバタバタしてたら1ヶ月以上空いてしまったので
またちゃんと更新していきますね