【幕間】少年少女はゲームする
11月11日
一年の中で同じ数字が4つ続けて並ぶ唯一の日
世間では細長いお菓子がいたる店頭に並び立つ
そう、TPP、Trans-Pacific Partnership Agreement
環太平洋パートナーシップ協定である。
環太平洋地域の国々による経済の……
え?お菓子関係ないって?
……ジョークだよ、ジョーク。
トッ○、ポッ○ー、プリッ○の三種のお菓子の日
というのはいくら天才だけど世間に疎い僕でも知っている
今いる食堂では、女子たちがワイワイお菓子を交換している
それはさておき、ジョークの1つや2つ言いたくなるくらい
目の前の状況についていけないのである
それはどういう状況かって?
「
目の前に座っている天才少女こと氷川日菜、
彼女が細長いお菓子を口にくわえて
こっちを向いてなにか企んでるような
顔をしているからだ。
──────────────────
「まー君、ポッ○ーゲーム知らないの!?」
「知ってる知らないは置いておいてそれを
どうして僕にするのかが分からないのだけれど?」
「んー、るんっ♪ってするから?」
「君に聞いた僕が悪かったよ……」
何か企んでる彼女はスルーしておく
相変わらずなにを考えてるのかわからない
ポッ○ーゲームと言えば二人一組で両端を咥え
少しずつ齧っていき、照れて先に自分から折った方が負け
というゲームだった気がする
果たしてこれがゲームと言えるのかどうかは疑問なのだが
「ところでまー君、なんでお昼にパスタなの?珍しいじゃん」
お昼にパスタ、というよりかは
食堂を使うことも珍しかったりする
なにも意味がない、というわけではない
「別にパスタじゃなくてもいいんだけど
今日は麺の日だからね。11月11日、数字を縦に並べると
細長く見えることから決まったらしいよ」
「へー、るんってしないね」
「本当に君のその基準は分からないね」
曰く、「簡単だよ?るんってするかるんってしないか」
らしいのだが、よくわからない。
なんてことを考えていると、先ほどと同じように
ポッ○ーを口にくわえて差し出してきた
「
「ヒナ、なにしてるの?」
「
──────────────────
「ということで、ポッ○ーゲーム対決ぅぅぅ!!」
「いぇぇぇえい!!」
「いくら僕でも君たちのテンションの意味がわからないよ……」
なぜか急に始まった対決のルールは一般的に知られる
ポッ○ーゲームと一緒である。
初戦は僕vs日菜だ。
「(うわ、これ意外と顔近い……)」
びっくりしたのが意外と顔が近いことである。
しかし、顔が近いのは文化祭でのヘンテコストローで
経験済みであるが故に、もう慣れている。
「(ていうか、これお互い引かなかったら……)」
「(やばい、まー君の顔が近い)」
お互い引かなかったら、唇と唇が……
ダメだダメだ、そんなこと考えたら、なんて思ってたら
ポキッと折れる音がして、気づいたら
日菜が少し離れて、背を向けて手で顔を覆っていた
リサが何か話してるようだがよく聞こえない。
「よしっ、次はアタシとマコトだね!」
「えっ、続けるの!?」
「そりゃ続けるよっ!」
なぜか始まった2回戦、僕vsリサ
お互いサクサク食べ進め、距離的には
先ほどの日菜より近くなっていた
「(リサ、まつ毛長い。むしろこっちが当たりそう)」
「(マコトって意外と顔整ってるなー。やっぱモテるのかな)」
お互い一歩も引かず、もう少しで唇と唇が……
となった途端、幕を閉じたのは僕でもリサでもなく
「リサちー、だめーっ!!」
あろうことか日菜であった
日菜がリサの肩を後ろから引く形でポッ○ーが折れ
僕が勝ったことになってしまった。
「ちぇっ、もう少しだったのになー」
「だめなものはだめーっ!」
リサが何やら意味深な顔をしているし
何が駄目だったのかはよくわからないが
僕が2勝したので自動的に僕が優勝したことになってしまった
「ていうか、日菜可愛かったな……」
「ん?マコト何か言った?」
「いや、なんでもないよ」
まぁ大切な友達の意外な一面を見れたってだけでも
それはそれでいいのかな?
りなりー誕生日おめでとう