普通に憧れた少年   作:にっしんぬ

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みんな日菜ちゃん好きかて


天才少女は決意する

初めて見たときは一目でびびっと来たんだ

()()()()()()()()()()なんだって

そしてそれを隠していることも気づいていた

だから本気を知りたかった。体育館で2人っきりに

なったときに1on1やったのは、たったそれだけの理由

結局負けちゃったけど、その時のまー君の顔は

気づいていないかもしれないけど

清々しい顔をしていて、るるるんっ♪てした!

 

 

だから、昔なにがあったかは知らないけど

少なくともあたしやリサちー、ユッキー、薫くんは

そばにいるよって。いてあげなきゃって。

それでもまぁあの決勝戦はすごかったけどね

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「さて、あなたたちも積み上げてきたものが

あるんだと思いますけど……」

 

 

 

どうやらこの高校の球技大会のバスケットボールは

目玉行事らしく、最後に行われるが故に体育館内は

ほとんどの生徒が見に来ているらしく

()()()()()その決勝戦は大歓声のあがるものらしい

 

 

 

「勝ってと頼まれた以上、()()()やりましたけど

何年も積み上げた努力がただの才能にねじ伏せられるって

どういう気分なんですかね?

まぁ、さすがに10分1人で50点取るのはやりすぎですけど

あ、あとさすがに人間なのでこう見えても体力は限界ですよ」

 

 

 

羽丘はそれなりの生徒数だ。そのほとんどが

この体育館に集まっている。

にも関わらず、()()()()()()()()()

それもそのはず、相手メンバー内2人(おそらく未経験)は

口元を手で押さえ、経験者3人はこの世の終わりでも

見たんじゃないのかというくらいの絶望的な顔をしていた

 

 

 

「(まぁやっぱそうなるよね。なにが大丈夫だよ

結局なにも変わらない。昔と同じ、それだけ)」

 

 

 

異才は淘汰され普通が闊歩する日常

そんな日常で生きる資格なんて僕にはない

 

 

 

「今井さん、湊さん、瀬田さん。あとはよろしく」

「えっ、マコト?どこ行くのさ!?」

「帰る。疲れた。」

 

 

体も、心も。

帰る動作に止めるものはいなかった。

ただ1人を除いて。

 

 

 

「どいてもらっていいかな、氷川さん」

「なんで?まー君、格好よかったよ?」

 

 

 

どこが?蟻が象を相手にするようなものだ

格好いいなんて、真反対にもほどがある

 

 

 

「だから、お願いしたんだよ。普通でいさせてくれって

なにが大丈夫だよ、全然……っ!!」

()()()()()

 

 

 

言葉が詰まったのはそれ以上思いつかなかったから

というわけではなく、抱きつかれていたのだ

身動きも取れないほどガッチリと

励ましのつもりだろう、善意のつもりだろう

 

 

 

「今は止めてほしいかな」

「まー君…」

 

 

差し出された善意を容赦なく振りほどく

その後を止める者は誰もいなかった

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

"今望んでいるものを手にして、何の得があろうか。

それは夢、瞬間の出来事、泡のように消えてしまう

束の間の喜びでしかない。"

某有名作家の言葉である。

()()でいることになにか得があったのだろうか

この言葉通り、結局それは夢で

現に泡のように消えてしまった。束の間の喜びだった

なら、望んでないこの才に得はあったのか

と、言われれば、ない

どう転んでも無意味で無価値な人生なのである

 

 

 

 

「(集中できない…外に出て外の空気でも吸おう。)」

 

 

 

球技大会後の休日。

テスト生、ということもありレポートを提出しないと

いけないのだが、いかんせん集中が続かない

 

 

 

 

「あ、マコト。」

「げっ…」

「げっ…てなによー!」

 

 

 

やはり窓を開けて空気を入れ替えるだけに

しておけばよかったと考える。

いつもならそこまで考慮できるはずが

今日に限って、それが出来なかった

 

 

 

「ちょうどよかった、少しお茶しよっ!」

「え、ちょっ!」

 

 

拒否権はないよと言わんばかりに腕を引っ張られる

なされるがままに連れてこられたのは

羽沢珈琲店というお店だった

 

 

 

「つぐみは…いないか。まぁいいや」

「まぁいいやじゃなくて、説明してよ」

「…ヒナ、泣いてたよ?」

 

 

 

今井さん曰く『なにも出来なかった』かららしい

なにをするつもりだったかは知る由もないが

なにをするにしてもはた迷惑な話である

 

 

 

「なにかあった?アタシでよければ聞くよ?」

「……なんでそこまで?」

 

 

 

ただただ疑問だった。

あれだけのことを見ておいて、どうして

ここまで気にかけてくれるのか

 

 

 

「え?だって()()()()()()

 

 

 

なにを言ってるのかわからなかった

友達?()()()()()見ておいて?

 

 

 

「…口だけならなんとでも言える」

「え…?」

「話はそれだけ?帰るね。お金は置いとく」

「え、マコト!」

 

 

 

話すことなんて何もない。誰も分かり合えない。

逃げた、なんて思われるだろうか

いや、実際に逃げているのだが…

 

 

 

「きっとここでも同じだ。結局、僕は1人なんだ

普通になんてなれない」

 

 

 

呟いた声は誰にも届くことなく。

願わくば誰と関わることもありませんように…

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

試合直後のまー君はやっぱり、清々しい顔をしていた

でも、すぐに何か悲しい、るんってしない顔になっちゃった

あたし的にはまー君の本気はるらるんっ♪てした!

でも、周りはそうじゃなくて……

まー君の才能は大きすぎるんだ。あたしよりもずっと

だから離れていったんだ。たくさんの人が

 

だからこそ、今度は違うよって

あたしが、リサちーが、ユッキーが、薫くんが

絶対側にいるよ。だから大丈夫だよって

そう思っていたのに

 

 

 

──────今はやめてもらっていいかな

 

 

 

あたしに何ができるんだろう。何ができたんだろう

全然るんってこないから

とりあえずリサちーに相談することにしたんだ

 

 

 

「まぁさすがのアタシもあれはびっくりしたけどねぇ」

「リサちー、知らなかったんだ」

「そりゃそうでしょ。練習中は普通だったんだから」

「リサちーはさ、まー君のこと嫌になった?」

「いや、全然?」

 

 

 

即答だった。やっぱりリサちーと友達でよかった!

 

 

 

「マコトに何があったかは追々聞くとして…

いま何ができるか考えないとねっ!」

「うん!みんながるるるんっ♪てすること考えよー!」

 

 

 

リサちーと話した時間は長くはなかったけど

今まで通り、お話しして、お昼ご飯食べて

今まで通り過ごしてみるってことに

もしかしたら断られるかもしれないし

拒絶されるかもしれない。

でも()()だから、諦めない

まー君といると、とてとるるるん♪ってするから!

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

天才少女は決意する

同じ天才のそばにいるため

普通でいたい彼のため

天才かどうかは関係ない

ただただ普通の友達としていれるように




短め。
どっか盛ろうと思ったけど思いつかなくてやめた
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