手付かずすぎてやばい
文化祭2日目は割愛させていただく。
なにせ1日中、日菜と出し物であるお化け屋敷で
来る客来る客盛大に脅かしていただけだったからね
随所で日菜の様子がおかしかったけど
出し物に影響がなかったから良しとする。
文化祭も無事終わり、じめじめした季節は過ぎ
本格的な暑さが始まる季節となった
「あーつーいー!もう一個アイス買ってくる!」
「日菜、一体アイス何個目?」
「んー、5個目?」
「食べすぎ、お腹壊すよ?」
ある夏の学校帰り。というよりここ最近
日菜と2人で帰ることが多くなった
薫は演劇部で、友希那はいつものメンバー探し
肝心のリサはダンス部だったり持ち前のコミュ力で
ほかの友人たちと帰ったりすることが多かった
「あっ!そうだ来週!お祭り行こう!」
「なんとまた急に…」
「いままではおねーちゃんと行ってたんだけどね
断られちゃったの」
祭りと言えばクラスでよく浴衣がどうやら
痩せなきゃとかなんとやら聞こえてた気がする。
「ていうか姉妹いたんだね」
「うん!双子のおねーちゃん!」
双子なんだ。ということは日菜みたいに
明るい性格をしてるんだろうか。会ってみたい気がする
「で、まー君お祭り行く?」
「うん、行く。リサたちも一緒に行くだろ?」
「えっ、あー、うん」
「…??」
ここ最近、文化祭が終わってからというものの
リサやほかの女子の名前を出すと
このように日菜は黙ってしまう。
大丈夫なのか聞いても大丈夫としか言わないし…
「リサちーにはあたしから連絡しておくね!」
「う、うん。わかった、お願い。」
◇◆◇◆◇◆
「ということなんだけどさ、リサ」
「んー、どうだろうねぇ…」
マコトから「相談がある」って連絡が来たから
何事かと思ったら「日菜の様子がおかしいから
何か知らないか」という相談だった。
まずいなぁ…。何がまずいって、無自覚とはいえ
そういう意味でマコトのことが好きなヒナ
ヒナのことは友達と見てるマコト。
両方から挟まれての相談に加え、この間ヒナから
『今度のお祭り、まー君と2人で行くから
リサちーはまー君から誘われても誤魔化しといてね!」
なんて連絡が来るから下手なこと言えないし
「んー、アタシは知らないなぁ…。
最近ならマコトのほうが知ってるんじゃないかなぁー」
我ながら誤魔化し方が下手な気がする
「そっか。僕が聞いてもなにもはぐらかされて
なにも答えてくれないからさ…」
「そ、そっかー…」
答えは単純。『嫉妬』なんだろうけど
下手にマコトに「嫉妬だね」って答えても
「え?なんで?」って答えが返ってくるのは明白だし
仮にその意味が分かったとしてもそれもそれで
「なんで?」ってなるしヒナが自覚しないまま
ヒナの気持ちを断言しちゃってもヒナに申し訳ないし…
「はぁぁーーーーー………」
「どうしたの、リサ。地の底まで届きそうな
深いため息をついて?」
「ん、難しいなぁって」
「……???」
さすがのマコトも心は読めないだろうから
アタシのこの感情には気づかないとは思うけど…
「とりあえず、2人で行ってきたら?
そうしたら答えが見つかるんじゃないかな?」
「…わかった。リサがそう言うならそうする。ありがとう」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「おーー……」
「もしかしてまー君お祭り初めて?」
「え?あぁ、うん。基本的に家に籠ってたからね」
「じゃあ今日はあたしが案内するねっ!」
そう言いながら僕の手を取る日菜
正直ワクワクしてる。友達と祭りに行くなんて
生まれて初めてで、それも大事な友人と行くんだ
ワクワクしないはずがない
「あっ、そうだまー君?」
「…ん?」
「あたしになにか言うことは?」
「…ありがとう?」
「んー、るんってしないなぁ…」
一体なにが正解だったのだ…
「浴衣、どう?」
あぁ、そういうことか。
水色を基調とした生地に多すぎず少なすぎない程度の
花柄が散りばめられて、日菜によく似合ってる
「似合ってるよ。うん、日菜に似合ってる。」
「…っ。あ、ありがとっ!あ!焼きそば食べよっ!」
「あっ、ちょっ!」
──────────────────
「げふっ……」
「あははっ!やっぱまー君、るんっ♪てするね!」
「誰の……せいだと……」
焼きそばに始まり、たこ焼き、カステラ、唐揚げ
綿菓子、りんご飴、チョコバナナ、じゃがバター
かき氷に至っては3回食べた…
いったいどうなってるんだ、胃袋…
「まー君が食べなさすぎなんだよ。」
「心を読まないで…」
「あっ!まー君見て見て!あのぬいぐるみ!るんってきた!」
「ん?あー。」
日菜が指差した先には射的の屋台。そこには
メイン商品と言わんばかりに置かれた
犬のぬいぐるみがあった
「それじゃ、さくっと取ってあげる」
「えっ…え?」
「おっ!兄ちゃん!彼女にいいとこみせてやんな!」
屋台のおじさんはなにを勘違いしてるのか
別に日菜とはそんな関係ではない
300円で10発……僕にかかれは余裕だろう
──────────────────
「やっぱまー君すごいよね」
「ん?まぁそう…かな?」
5発で目当てのぬいぐるみを落とし
残った5発で取れそうな景品を片っ端から落としていった
「もうすぐ花火始まりそうだし、行こっか」
「うん!」
早く行かないといい場所がなくなってしまう
時間も時間なので花火がよく見える場所に
向かおうと思った時…
「あのー…少しいいですか?」
マイクを持った女性と大きい、撮影用のカメラだろうか
それを持った2人が話しかけてくる。
インタビューかなにかなのか。祭りにいるだけで
インタビューされるってどうなんだ?
「えっと、なにか…?」
「あっ!はい!今、祭りに参加してるカップルに
取材してまして……」
射的のおじさんといい、この人たちといい
僕たちのことをどう見てるんだ。
「いや、僕たちはそういうのじゃ…」
「…手を繋いでるのに、ですか?」
手を繋いでるだけでそういう風に見られるのか…?
友達として普通だと思ってたのだが…
「手を繋いでるのは関係ないですよ。日菜、行こう」
「あっ、う、うん!」
──────────────────
「着いた…。けどすごい人だなぁ…」
「そ、そうだね…」
人の量がすごい。これだけの人がこの祭りを
花火を楽しみにしてたのだろう。
また日菜のおかげで新しいことを知ることができた
「たーまやー」
「まー君、それまだ早いよ!?」
「えっ!?違うの!?」
花火が上がる時にいうセリフじゃないのか…
日菜曰く上がった時にいうセリフらしい
なにを聞き間違えたのだろう、僕は…
「あっ!上がるよ!一緒に叫ぼっ!」
「うん!」
来年も再来年も友達でいれたら
また来たいな。今度はリサも、友希那も、薫も一緒に
「「たーまやー!」」
花火が上がった瞬間の日菜の横顔が
少し切ない表情で、花火の灯りに照らされて
とても綺麗に見えたのは、ここだけの話
◇◆◇◆◇◆
「おっ!兄ちゃん!彼女にいいとこみせてやんな!」
……
「あっ!はい!今、祭りに参加してるカップルに
取材してまして……」
……
「おじさん、僕たちはそういうのじゃないから…」
……
「いや、僕たちはそういうのじゃ…」
……あーっ!るんってしない!
なんだろう、まー君がそういうのを否定するたびに
胸の奥がきゅーってなってばーっとなっちゃう
リサちーからも言われた、『好き』について考えるに
関係があるのかな?
お祭りはすっごく楽しかった
まー君に浴衣褒めてもらえたし
ぬいぐるみ取ってもらえたし
……でも、前と同じでまー君から
言葉が出るときゅーってなっちゃう
……カップル?彼女?まー君と?
「えっ!?違うの!?」
掛け声を間違えたまー君を見ると
すこしぼけた表情をしてて可愛い、るんっ♪てする!
「「たーまやー!」」
ふと、まー君の顔を見ると、とっても笑顔で
花火の灯りに照らされて、かっこよく見えた
るんっ♪てして、胸の奥がきゅーってした
……あっ、そっか
まー君が
彼女とか否定したとき、胸の奥がきゅーってしたのは
まー君の口からリサちーやほかの女の子の名前が出たとき
同じように胸の奥がきゅーってしたのは
「まー君に恋してるんだ」
「ん?なんか言った?」
花火の音に紛れるようにつぶやく
あぁ、これが恋かー…
初めての感情、初めての同じ人
同じ時間を過ごして、気づいた。
リサちーに相談してなかったら
気づかなかっただろうけど……
ありがとう。リサちー、そしてまー君
すんげー突拍子も無いの書いてしまったのは自覚あります
世の中の日菜推しバンドリーマーの目には
この小説は映ってるんでしょうね。
まぁわしは書きたいものを書くだけですが…
評価とか感想とかお待ちしてます
一種の指標になるので