普通に憧れた少年   作:にっしんぬ

9 / 13
安定のイープラス


天才少年は悩む

「いや、出ないよ?」

「なんでさ!」

 

 

 

 

夏休みが終わり、季節は秋、二学期が始まる

食欲の秋、読書の秋、そして…

 

 

 

 

「運動の秋だよ!まー君!ここで動かなきゃいつ動くの!?」

「君に散々振り回されることで運動してる気がするのだけれど

僕の気のせいであってほしいな!?」

「マコト、どーどー…」

 

 

 

そう、体育祭である。

球技大会で懲りなかったのか執拗に日菜は誘ってくる

 

 

 

「んー!こうなったらっ!」

 

 

 

突如、教室から走り去っていく日菜

5分もすると戻ってきた

嫌な予感しかしないのだが…

 

 

 

 

「借り物競走ぐらいならいいって!」

 

 

 

 

 

今回ばかりは担任を恨みます…

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

どのみち、1人1つは出ないといけなかったらしく

僕が何かしら出るのは確定事項だったらしい

あまり目立たない借り物競走だったのが救いである

友希那も借り物競走に出るらしい。

曰く、「一番楽そうだったから」らしい

玉入れとかのほうが楽じゃないかな?

 

 

 

 

「出番まで暇だし何してようかなぁ」

「そこは応援とかさっ!」

「リサは何出るんだっけ?」

「玉入れと綱引きとリレーと借り物競走かな」

 

 

 

結構でるなぁ…

リサによると薫はもっと出るらしい

黄色い歓声が鳴り止まなさそうだなぁ…

彼女風に言うと、儚い…だろうか。

 

 

 

「まー君は結局、借り物競走だけなのー?」

「日菜、言ったけど僕は目立ちたくないからね」

「ぶーぶー」

 

 

 

ぶーぶー言う豚さんは放っておいて…

 

 

 

「日菜、障害物競走でるんでしょ?

出番もうすぐだよ、早く準備しよう?」

「あっ、そうだった!じゃあ行ってくるね!

まー君ちゃんと見ててね!」

「はいはい、見てるから見てるから。頑張れ。」

 

 

 

はーいと手を振りながら集合場所へと向かっていく日菜

天真爛漫という言葉がまさしく似合う

 

 

 

「マコト、顔がニヤついてるよ?」

「へっ?」

 

 

 

顔がニヤついてる、とはどういうことだろうか?

 

 

 

「まっいいや!応援しにいこっ!」

「うん、そうだね」

 

 

 

 

リサの言葉に違和感が残るがまぁよしとしよう

まずは日菜の応援だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……もうすごかった。もはや障害が障害ではない

日菜にとってもはやただの競争だった。

帰ってきた日菜は顔中粉まみれで「お化粧ー!」なんて

笑いながら言っていたが…楽しそうで何よりである

 

あ、あと余談なのだが、その次の種目のパン食い競争で

中等部の女の子が吸い込むようにパンを食べ

ぶっちぎりの一位を取っていた

よほど、パンが好きなのだろう。

そして、そんなこんなで借り物競走の時間だ

 

 

 

 

「さて、まさか友希那と一緒の組になるとはね」

「手加減はしないわよ?」

「ははっ、手加減しても勝てる気がするよ。って痛っ!」

 

 

 

 

ふんっ!と言わんばかりに踵で僕の足を踏んづけてくる

いや、僕にそんな趣味はないからね

と、そんなこんなで僕たちの順番が回ってくる

いつも通り、()()()()()()()()

……ピストルの合図とともに一斉に走り出し

箱の中に入ってる紙を引き、紙に書かれたものと

一緒にゴールへ向かう。ただそれだけ、それだけなのだが

 

 

 

 

「……お題が抽象的だなぁ」

 

 

 

お題が『大事な人』といういかにも抽象的なお題

普通なら家族とかなのだろうが生憎、家族は

見に来ていない。というより体育祭のことは話してない

となると必然的にこの学校にいる誰かになるのだが

日菜かリサか友希那か薫。

友希那は同じレースなので除外

薫はファンに後ろから刺されそうだから除外

となると、必然的に日菜かリサになるのだが……

 

 

 

 

 

「んー、どうするかなぁ…」

「お困りようね」

「……そういう友希那こそ」

「あら、私は目星がついてるもの。あとは探すだけよ」

 

 

 

 

ちらっと友希那のお題が見えそうだったので

見てみると、『料理のできる人』だった

……完全に探してるのはリサだね、これは

となると僕は必然的に日菜を連れていくのか

 

 

 

 

「日菜!」

「えっ、どうしたのまー君?」

「いいから、来て!」

「えっ?えーっ!?」

 

 

 

困惑してる日菜をよそに手を引いて走り出す

……これ、意外と恥ずかしいぞ

ともあれ、一位になることはなく(日菜を探すのに手間取った)

目立たなくてよかったと思ったが、問題は

ゴールしてからであった。

 

 

 

 

「さぁ!あなたのお題は!?」

「……え、言うんですか?」

「はい!じゃないとお題と不一致ということで

ゴールが認められないので!」

 

 

 

……これはまずい

いや、でも薫を連れてこなかっただけマシだったか

これで日菜じゃなくて薫だったら本当にファンに

帰り道に後ろからサクッとやられてたであろう

 

 

 

 

「…大事な人です!」

 

 

 

ヤケで放った一言で、周りは黄色い悲鳴に包まれ

連れてこられた本人は顔を真っ赤にしていて無言になっていた

とはいえ、お題がお題だけに勘違いされがちだと思うのだが

僕が連れてきたのは大事な(友)人である。

改めて考えると恥ずかしいだけである。

ちなみに、友希那より順位が下でドヤ顔されたのは

ここだけの話。

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

 

「ふぅ……」

「やぁ、大衆の面前で爆弾発言かましたマコトクンっ?」

「リサ?何か用かな?」

「んーん、たまたま見かけたからさ」

 

 

 

 

体育祭も片付けが終わり、教室の自分の席で

一息ついていたところにリサが声をかけてくる

別に爆弾発言をした自覚はないのだが……

 

 

「楽しかった?」

「…うん、楽しかった」

 

 

 

楽しかったに決まっている

目立たないようにはしていたけど、みんな楽しそうで

自然と、自分も楽しくなっていった

 

 

 

「ねぇ、マコト?」

「どうしたの?」

「マコトにとって日菜は()()()()()

「……そうだね、()()()()()だよ?」

 

 

 

 

そっかー、と言わんばかりにため息を吐くリサ

僕は何をしたのだろうか?

 

 

 

「まぁいいや、ヒナも待ってるから帰ろう?」

「……??うん、帰ろうか」

 

 

 

リサにはリサの考えがあるのだろう

そこまで深く追求しても無駄である




評価とか感想とかお待ちしてます
励みになります
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。