「起きなさいアベル!」
「う...う~ん?」
目を覚ますと自分の母親が俺の顔を見下ろしていた。
「母さん?」
「?そうよ。....全く、まだ寝惚けてるのかしら?」
急いで身体を起こす。
(何か夢を見ていた気がするが、思い出せない。)
そうだ、ここは自分の家で俺の部屋だ。
「ああ....そうだ、"今日"か。」
暫くして頭が冴えてきたのか、今日の予定を思い出す。
「今日は城に来るよう王様に言われてたな。」
「そう、今日はあなたが勇者として旅に出る...記念すべき最初の日。」
俺の呟きを聞いていたのだろう。母さんは俺の言葉に続けて話を続ける。
「分かったら、早く準備して朝ごはん食べちゃいなさい。」
「わ、分かったよ。」
母さんはそう言って下へと降りていく。それを見送ったあと、急いで昨日準備した荷物の中身を確認し、着替えて腰に着ける。
「まぁ、荷物といっても....ただのふくろなんだけど。」
そう。ただの布で出来た袋だ。だけど、どれだけ道具や荷物を入れてもいっぱいにはならないし、何故か装備品まで入るというものなのだ。
「まるで袋の中だけ別の世界に繋がってるみたいだな。」
なんて事を考えたが、急いで下の階に降りて母さんの作った朝食を食べるのだった。
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家から少し歩いたところにある城へと歩いていく。言い忘れていたが、この街はアリアハンという名前だ。
今日は王様に頼んで旅に行かせてもらえるようにする。そう、父さんみたいに強くなるために....
「さて、着いたな。」
移動時間はおおよそ5分位か.....にしても近いよな、城の位置。
まぁ、別にいいけど。
「止まれ。」
城門に入ろうとすると門番をしている二人の兵士に槍を目の前で交差されて行く手を阻まれる。
「アベルです....オルテガの息子の。」
「なんだ、お前か....入っていいぞ。」
「ありがとうございます。」
門番は槍を退けると城門を開けてくれた。
やっぱりピリピリしてるな...まぁ、無理もない。
近頃、魔物達の活動が活発になってきているから...王様とこの街を守護する兵士達は気が気じゃないんだろう。
「まぁ....そんな事言っても現状、何も変わらないんだろうけど」
通りすぎる時、俺はそう小声で呟くしかなかった。
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「よく来たな、勇者オルテガの息子アベルよ。」
「はい、王様。」
城に入ると直ぐに玉座の間に通された。まぁ....話つけてたからなんだけど。
「お主が言いたい事は分かる....旅に出たいのだろう?」
俺は頷く。
「自分は、父のようにこの町を....いや、この世界を救う為....旅に出たいのです!...お願いしますアリアハン王!....旅に出る許可を下さい!」
必死で頭を下げる。俺はなんとしてでも旅に出たいんだ!
「....分かった、認めよう。」
「ほ、本当ですか!?」
「ただし!仲間を見つけてからだ。」
「仲間?」
俺は仲間を見つけるというアリアハン王の言葉の意味が分からなかった。俺の父、オルテガは何時も一人で戦っていたから仲間は必要ない...そんな事をこの時考えていたからだ。
「お前は確かに強い...だがな、人間いくら強くても一人では太刀打ち出来ない事だってある....だからアベル、仲間を見つけるんだ....せめて最低でも一人は仲間にしなさい。」
これは、アリアハン王としてではなく、一人の人として言ってくれてるんだろう。
それが俺には嬉しかった。
「!....分かりました。」
「せめてもの餞別じゃ、これを持っていきなさい。」
王様が大臣にあるものを手渡し、それを受けとる。
「袋?」
「中身は後で開けてみるといい....ではアベルよ..頑張るのだぞ。」
その場を後にした。
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城から約2分ほど歩いた時、
「開けるか。」
王様から受け取った袋の中身は気になってしまい、開けようと思った。
「さて、中身は何かな?」
袋を開くとそこには、
・ひのきの棒
・革の盾
・50G
「......は?」
自分の目を疑った。
そりゃそうだ。あんな演説染みた事言った人から渡されたものがここまで酷いとは思わなかったからだ。
「....これで戦えと?」
しかも金も50Gしかない、これでは仲間をスカウトすることすら怪しい。
しかも武器はひのきの棒、これで敵を倒せと?...馬鹿にしているとしか思えない扱いだ。
「取り敢えず、金稼ごう。」
これ以上考えても仕方ないので町の外に出て魔物でも倒そうと思った。
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「漸く町の外に出られた。」
といってもまだ旅には出られない。王様が子供のおもちゃみたいな武具しかくれなかったからだ。
「文句言ったって仕方ない....早いとこ金稼ごう。」
草むらを歩いているとガサガサ、と音がした。
「来るか!?」
銅の剣を握りしめて、音の向きに注意を向ける。
現れたのは、
「スライム?」
スライムだった。
見た目は愛くるしいが、これでもれっきとした魔物。倒さない訳にはいかない。
「やるぞ...!」
スライムの前に飛び出して、銅の剣をかまえる。
「!!?....!」
スライムはいつの間にか現れたアベルに驚いていたが、直ぐに戦う意思を剥き出しにする。
「どうやらお前もやる気みたいだな。」
互いに構えて戦う。そして、
「これで、終わりだ!」
銅の剣をスライムに叩きつけるとスライムは動かなくなった。
(少し時間がかかってしまったけど、これで俺も戦える事が証明できた。)
「そうだ、魔物は倒すとゴールドを落とす...なら、」
スライムが倒れた草むら付近を探していると、キラリと光るものがアベルの目に飛び込んできた。
「おっ!...これは...!」
1ゴールドだけだった。
「......続けるか。」
その後、スライム3体、おおがらす3体の集団が何度も出現したが、なんとか全て倒し...そして遂に、
「やっと...100ゴールド...集まった。」
息を切らしてやっとのことでアリアハンへと帰ってこられた。
そして、
「ここはルイーダの店、旅人達が仲間を求めて集まる出逢いと別れの酒場よ。」
「仲間を紹介して欲しいのですが...。」
「ええ、では先ずどのような仲間が必要なのか私に教えて頂戴?」
「では....最初は、」
アベルは男のメンバーを仲間にしたいと考えていた。はずだったが.....
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「お待たせしました、アベルさん....今、うちの店で紹介できる人三人を連れてきたわ。」
「あ、ありがとうございます......え?」
アベルは目を疑った。何故ならそこに居たのは、
戦士 性別:女
僧侶 性別:女
そして 遊び人 性別:女
の三人だけであった。
「では、アベルさん冒険の旅...頑張ってください。」
「すいません、ちょっと待ってもらっていいですか?」
「?....何か問題がありましたか?」
「いや、問題というか....その、仲間全員...女性というのは...ちょっと。」
「...ああ、成る程。」
アベルの言葉に納得したのか、ルイーダは納得して
「アベルさんって....まさか、そっちの趣味が...」
「違います!?....って、何で女性ばっかりのメンバーに突っ込んだだけでそっちの趣味があると思われるんですか!?」
「ゴメンゴメン、でもうちで紹介できる人はこれで全員よ?」
(え....ええええええええええ!!!!?)
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「ありがとうございました~!」
ルイーダの言葉にやむ無く、全員をパーティーメンバーとして迎え入れる事にしたアベル。
果たして、彼の冒険はこれからどうなることやら...