「あ〜、そういやまだ紹介してねえやついるな」
「えっ!?まだいるんすか団員!」
手当たり次第と言った感じに紹介されていったが、どの人たちもキャラが濃く、俺大丈夫なのかと思ってたらさらに団員がいるという。
隣にいるノエルも興味無さげに別の方向を見てながらも意識は団長に向いている。
「おう、まああいつは多分この中で一番マトモだ。お前らの一個上だったか?」
「団長のマトモは信用ならないっす……」
「うるせえ」
団長の言葉を聞いてどんな人なのかを想像する。
ゴリラ?もしくはチャーミー先輩みたくちっこい?はたまたノエルみたいにひねくれてる?いや、もしかしたらユノみたいに嫌味ったらしいかも……!!
……ダメだ、想像すればするほど俺仲良くなれるかわかんねえ!!!
「お、帰ってきたか」
団長がぼそっと呟いた声に抱えていた頭を上げると、ギイ、と扉を開ける音が聞こえてきて誰かが入ってきた。
その人物は黒の暴牛のローブを羽織ってフードを目深に被って入ってきた。ローブからちらりと見えたスカートから女の人だということだけは分かる。
ほぼ足音の聞こえないまま入ってきたその人を見ていると、俺たちに気づいたのかその人が顔を上げた。
「……新入り?」
「あっ、はい!俺アスタっていいます!よろしくお願いします!!!」
「……ノエル・シルヴァよ。仲良くするつもりは無いわ。というか私の前でフードを外さないなんて失礼ね」
俺たちを見てそう呟いたその人に大きな声で挨拶をする。ノエルはさっきと一緒で全く仲良くする気がないみたいだ。つーか先輩にその言葉はダメだろ!
ノエルの言葉に自分の状態に気づいたのか、顔の横のフードを摘んだ。
「……ああ、忘れてた。ごめんなさいね」
ファサっと彼女がフードを下ろすと思わず息を飲んだ。隣のノエルからも息を飲むような音がした気がする。
フードの人はノエルより青みがかった銀色の髪を後ろに下ろしていた。
さらに目を引くのは星が散りばめられたような夜空色の綺麗な瞳だった。
あまりに無機質に思えて作り物に見えてしまう。ふわりと笑みをする浮かべる姿も協会にあった人形みたいだ。
「アリシア・キューブリック。よろしくね新入りさん」
◇◇◇◇
はいどうも皆さん。アリシア・キューブリックです。
え、なんかさっきと違う?いやいやこっちが私の素です。
私は前世の記憶を持っているただの魔法騎士なんですが、前は三十路間近のOLだったんだよなあ。結婚適齢期とかゆうに過ぎてたわ、ははっ。
まあ、さらっと流したんだけどそんな経緯があったんですよ。記憶が戻ったのは4歳かそこらだったんだよな。父さんが私を驚かそうとしたのか魔法を目の前で使ってギャン泣きしたときにポコンと記憶が戻った。その後私が2日間くらい寝込んだからか母さんが雷(物理)を落としてた。怒られないようにしようと心に決めた瞬間だったよね。
しかもその時に自分がどこの世界に落ちたのかも自覚したよね……
ここ“ブラッククローバー”の世界かよ!!
と。
その後は自分も魔力が使えることが分かったから魔力を身体の周りに纏わせて魔力を自由に操れるように使い続けた。
私が魔力を持っていたことに両親は喜んで魔法騎士団に入れると言っていた。良かったのは両親が平民だったことかな。貴族だったら絶対金色の夜明けとかに入れとか言われそうで。
魔導書授与式に行くと私の目の前に現れたのは葉が9つあった。
……今すぐ旅に出ようと思ったよね。絶対面倒じゃん、しかも9つの葉とかよく見つけたな。私前と合わせても1回も見たことなかったんだけど。
とりあえず魔法騎士団の入団テストに向かうと他には妙にキラキラした人達ばかり。あれ貴族の人達だよね多分……関わりたくねえって思ったよね。
とりあえず程々に終わらせようとすると最後の1対1で目をつけられてしまった。「面倒くさ……」って顔に出てないと思いたい。
どうやら私の魔法は星魔法というものらしい。星は大好きだ。なんせ前は天文学部に入って天体観測とか自前の望遠鏡でやってたくらいだし。
さっさと終わらせたくて指で星を真似た光をデコピンするみたいに飛ばすと相手も吹っ飛んで行った。……そんなに力入れてなかったんだけどな。この時力加減って難しいって言ってる人の気持ちが良く分かった。
案の定騎士団を選ぶときにほとんどの団長が手を挙げてた。黒の暴牛はないかな〜と思ってたら何故かヤミ団長も手を挙げていた。ん??!!あの人面白いやつじゃないと入れないんじゃなかったの????私面白いこと何もしてないんだけど???
……どうせなら面白いところに行きたいと思ったのは好奇心故だろうか。け、決して主人公達に会いたかったとかそういうのではないからね!!!
「……黒の暴牛で」
こうやって私は黒の暴牛の魔法騎士として入団した。