生物の鳴き声で目が覚めたので起き上がって窓を覗く。あの飛んでいるやつの鳴き声か。確か鳥という種だっただろうと思う。こういった出来事で目が覚めるというのも悪くない。もう1つのベッドを見ると見目麗しい少女が安らかに寝息を立てていた。夜のうちに逃げ出すかとも考えたが特にそのような事はなかった。
時間を確認するとまだ6時にもなっていないので軽く走ってくることにした。1日でも鍛錬を怠ればそれが原因で死を招きかねない、非戦闘員1人を守りながらという状況下では特に。
食事の準備をしている店主夫婦と挨拶を交わし外に出る。走るのに邪魔なのでアーマーの類は一切身に着けていない。軽く体をほぐした後にゆっくりと走り始めた。
宿に戻ると夫人が濡れたタオルを寄越してくれたので体の汗を拭う。拭い終えると宿の中を案内してくれた。その際に1回銅貨3枚で風呂が借りられることを教えてくれた。1ヵ所しかないので貸切状態になるそうだが爺が言うには風呂まわりにも魔法がかけられており、常に適温で清潔な状態に保たれた状態になっているそうだ。汗もかいたし入ろうかと考えたが、どうせ今日も歩き回るだろうし夜に入る事にした。そういえば遥か昔は風呂に共に入り交友を深めた、という話を聞いた事がある。フェルと共に入れば少しは彼女の怯えも抜けるだろうか。
(いや、それはやめた方が……)
爺の言っている事がいまいち理解出来なかった。この世界ではそういう文化や風習はないからかだろうか。
(そういう問題では……いや、もはや何も言うまいて……)
よく分からん爺だ。
部屋に戻るとフェルはまだ夢の中にいるようだった。そういえば今の所持金はどのくらいあるのだろうかと、フェルを起こす前に確認の為ベッドの上で銭袋を逆さまにして振ってみた。出てきたのは金貨1枚、銀貨4枚、銅貨1枚。それぞれの価値をいまいち理解していないので多いのか少ないのか分からない。とりあえず最低限必要だと考えている物を入手することにした。まずアサルトライフルだが銀貨20枚とあるが入手出来るのだろうか、今銀貨は4枚しかないが。心配しつつアサルトライフルを選択すると金貨が1枚消え、アサルトライフルがベッド上の空間に現れて落ちてきた。金貨でも手に入る事は分かった、しかし差額は消えてしまったのだろうか。と思ったら銭袋の中に納まっていた。どうやら余剰分は勝手に袋の中に送られるらしい。便利なことだ。袋の中に入っていたのは銀貨80枚、ということは金貨1枚は銀貨100枚分の価値があると考えて間違いない。銀貨から銅貨もおそらく同数だろう。
入手したのはStA-52アサルトライフル、ヘルガストで広く使われている武器である。動作も良好のようだがアイアンサイトのままでおまけに弾は一切入っていなかったので、追加でリフレックスサイト、予備のマガジン4つ、弾丸200発、3点スリング、それからマチェットを1本、合計で銀貨9枚と銅貨70枚、残り銀貨74枚と銅貨31枚。
サイトを取り付けマガジンに弾を装填していく。しかしスタールアームズ製やヴィサリコープ製は理解出来るのだが、何故ISAの所持していた武装まで買えるのだろうか。他にも武装のリストを確認していて気付いたが、何故かドロップシップやトループキャリアー、ATACにISAの外骨格であるエクソスケルトン、果てはモウラーや戦艦まであった。といってもどれも金貨数千~数十万枚という恐ろしい金額ではあったが。一応メディロイドくらいなら入手出来そうな金額だった、と言っても金貨15枚だが。設定さえ弄ればフェルの護衛用にはなるかもしれないので考慮に入れておく。
(そうだ、言ってなかったがお前の面倒を見るのは今日までだからよろしくな)
今までの中で一番良い情報をこの爺はもたらしてくれた気がする。
(もうちょっと名残惜しそうにしてくれても良いのに……)
自らが仕出かした数々のミスを考えれば普通だと思うが。だが爺からの依頼とやらは聞いていない、どうするつもりか。
(どうせ生き返る時間は好きに決められるのだからこの世界を色々見て回ってからでも良いだろう。それに依頼はここでは遂行出来ん。その場所に近付いたらまた話そう。あぁ、それとこちらからは話しかけんがそちらが強く望めばこちらには声が届くからな)
私としてはすぐにでも生き返りたいところだが如何せんフェルの面倒を見てやらねばならんし、この世界で色々見てみたいというのも事実だ。まぁ何十年と放置されなければ問題はない。
弾の装填が終わりスリングもしっかりと付けたところで腹もいい具合に空いてきたので朝食をとる事にした。ついでに10日分程の宿代も払っておく事にした。部屋を出て店主夫婦の許に向かい身振り手振りでなんとか部屋を10日借りる旨を伝え、食事代と部屋代の銀貨2枚と銅貨10枚を渡したが食事代は返された。部屋を借りた場合朝食はサービスらしい事を昨日と同様に板と魔法で教えられた。朝食は部屋に持って行ってもよさそうだったので2人分の食事を盆に載せ部屋まで運ぶ。
部屋に戻ると扉の音でようやく目が覚めたのかフェルがもぞもぞと動き出した。ぼーっと周りを見渡しこちらを向くと目を細め、状況が理解出来たのか少し表情が硬くなった。
「おはよう、フェル」
こちらの挨拶なんぞ通じないが、毎日繰り返せば意味くらいは理解するかもしれない。盆をテーブルの隅に置いてからフェルに綺麗なタオルを投げて渡し顔を洗ってくるよう身振りで伝え、テーブルの上に置いてあった邪魔な物をベッドへと移して借りてきた台拭きで軽く拭いておく。フェルが戻ってきたら祈りを捧げ食事にする。昨日は気付かなかったが彼女も祈りを捧げていたようだ、ただ私と違って何かを呟いていた。気付かなかったのは何も祈りの言葉を言っていなかったからか。許可がなかったら食べ始めなかったのを考えるとその辺りも禁止されていたのだろう。そしてやはり今回も許可を与えないと食べ始めなかった。どうにかしてやりたいがどう伝えたものか。
朝食も食べ終わったので少しベッドでPDAを弄る。PDAを確認していて分かったのは、銃本体は同じ物は手に入れられない、修理は出来るが金がかかる、入手した武器はPDA操作でしまえる。その武器が何処へと行くかは不明だが少額取られるらしい。確認の為にアサルトライフルしまったら取り出すのに銅貨5枚消費してしまった、解せぬ。そんな姿をフェルが自分のベッドの上で不思議そうにちらちらと見ていたが、その際に目を細めているようだった。そう言えば起き掛けにも目を細めて見ていた。まさか彼女は目が悪いのだろうか。そういえば街で眼鏡をかけた者を見かけたことを思い出した。もし彼女の目が悪いというならこれも買い物で買ってやりたいものだが。しかしその前に首輪を何とかしてやりたい。あの首輪は目立つし何より気に食わない、だからさっさと外してやりたい。思えば奴隷商から鍵を受け取り忘れた私の失態ではあるが。
「フェル」
名前を呼ぶと少しびくりとしてこちらを向いたフェルを手招きしてやると少し怯えながら近付いてきた。彼女の首についていた首輪の隙間に指を入れ力任せに左右に引いたら千切れた。やった自分で少し驚き、フェルはもっと驚いていた。少し古くなっていたとはいえさすがに金属製の首輪を素手で壊せるなんて考えてはいなかった。どのくらいの強度か確認するだけのつもりだったが、忌々しい首輪も壊せたし結果オーライというやつだ。
フェルにマントを投げて渡し自分もアーマーやマスクを身に着けていく。マチェットを左腰に付けアサルトライフルを右肩からかける。この世界では銃器は目立ちそうなので自分用のマントも買っておきたい。
準備も完了したし、目的も決まった。今日は買い物に行こう。
ミリタリーの知識がないのにこのような作品を書き始めて少し後悔している。でも気にしない。
ヘルガストの関連の情報がほとんどなくてどうしようと途方に暮れている。でも気にしない。
○ドロップシップ
ヘルガストの降下艇。金貨2万枚。
○トループキャリアー
ヘルガストの獣型兵器。背に3人乗せて移動可能。金貨8000枚。
○ATAC(エイタック)
ヘルガストの戦術航空兵器。おそらく無人。
KILLZONE2では多くのセブ(2主人公)を抹殺したと思われる子。
機敏な動きで左右に動き、空からマシンガンとミサイルを降らせてくれる。金貨5万枚。
○エクソスケルトン
ISAの搭乗型の二足歩行兵器。マシンガンとロケットランチャーを装備。金貨5万枚。
○モウラー
ヘルガストの巨大兵器。オートキャノンやミサイル、アークキャノンなんかをつけた四足歩行兵器。金貨10万枚。
○戦艦
ヘルガストの宇宙戦艦。詳しい仕様がわからぬ。
これかモウラー手に入れたら世界征服出来るんじゃね? 高すぎて買えないけど。金貨20万枚。
○メディロイド
浮遊しながら追従する支援型飛行ユニット。自動で敵を認識し、範囲内に入るとマシンガンを浴びせてくれる可愛い奴。金貨15枚。