ウイングダイバーでも艦娘になれますか?   作:魚介(改)貧弱卿

33 / 36
最高の戦力…サイドウィング

「あ〜はいはい、了解でーす…」

ピッ!という音と共に、通話を切り

 

「はぁ〜…」

思いっきりため息をつく

 

「………………………」

 

何いう気にもなれずに座り込んだ

私に、注がれる視線は厳しい

 

ちなみに、場所は東京郊外の

東京都管理指定公園のベンチ

 

もちろん不法侵入なのだけど

環境を気にしすぎるあまりにカメラも設置されていない絶好の隠れ場であるという

ある意味逆効果な現象も起きていた

 

「…よし、今日は寝よう」

電話相手はレンジャーの…ストーム2

もとの世界では彼もストーム1だったらしく

エアレイダーのストーム1と混乱しないように、コールサイン『ストーム2』を名乗っている

 

本名は教えてくれなかったが

まぁ仕方ないと思う…

クローサーはどう呼べばいいのかな?

『光也くん』『涼くん』かな?

 

「まぁ、本人がストーム4名乗るなら

それでいいや…私も名前呼ばれる事なんてないと思うし、その辺りは気にしない方針で行こう」

 

指定されたホテルにチェックイン

…というより、案内されただけである

 

「ありがとう、お疲れ様」

「いえこちらこそ、

御利用ありがとうございました」

 

さっさと去って行くホテルマン…イケメン

やっぱり世界は顔で出来るなぁ

 

さぁて、する事もないし

ちょっと仕様書でも読むかぁ

 

私は目を閉じて

「ゆっくり〜して行くね♪」

 

記憶を()()()()

それは、人の知らない知識

世界の基礎構造についての真実

そして、別の世界のEDFは

ゲームの中の架空存在であったり

私達のように実際に戦っているものがいたりと様々な形を持っている

 

「ふむふむ……」

 

仕様書、と例えたのは

まさにこの、記憶の中から自身の知り得ないはずの知識が湧く状況である

 

「まだまだあるのか…よし

この際だから、全部読んじゃおう」

 

ちょっと勢いよく宣言して

私は目を再び閉じた

 

その半日後

 

「よし!全部把握したぞ!」

勢いよく立ち上がって、目眩に見舞われる馬鹿(ダイバー)が一人…

 

 

「うぅ〜まぁいいや

今日は作戦決行の日だからね?

ある程度の失敗は仕方ないね

コラテラルダメージ コラテラルダメージ」

 

誰にとも無く言い訳しながら

電話での連絡を待つ

 

『ぴりりりり!』

よし、ストーム4からの連絡だ

 

「はいもしもーし?こちらウイング

…ストーム3だよ」

〈こちらストーム4、クローサーです〉

 

ちょっと急いでるみたいな感じかな?

〈すみませんが、説明の場所は

東京郊外のホテル 千の空になります〉

「時間は?」

 

〈今からです!〉

「んにゃっ!?」

 

そんなの急に言われても困るよ?!

〈すみません、

本当にウチの馬鹿(提督)がすみません〉

「いやいや良いよ、突発的な自体なんて

私達EDFにはよくある事でしょ?」

 

〈恐縮です…それでは、

よろしくお願いします〉

 

プツンという音と共に、通話は切れる

「…行くか」

 

タクシーを拾えばいいかな

ちょっと贅沢だけど、経費は

大本営から出してもらおう

 

自分の泊まっているホテル

バル・マスケを出て

ホテルに隣接しているタクシー乗り場へ向かう

 

そして、無事にタクシーを拾い

「急ぎでお願いします」

「承りました」

 

出来るだけ急いでもらう

割増料金?知らん

建て替えておくだけだ

 

「…到着です、ありがとうございました」

「こちらこそ、ありがとう!」

 

料金支払いを済ませて

歩き出す…走らないのかって?

流石にこういう公式の場で

ドタバタ出来るほど私の精神はガキじゃない

 

「…あ」

色違いの携帯電話を携えて

同じように到着した二人と出くわす

 

「ストーム1とストーム2…?」

「?…まさか、君がストーム3か?」

 

ストーム2が聞いてきたのは

あって当然の人物確認、

 

「はい、ストーム3です、今作戦には

機動戦力として遊撃に当たります」

 

「よろしく、俺はストーム1、

エアレイダーの本領を見せてやる」

 

「同じくストーム2、レンジャーだ

一点火力がいるなら俺に任せろ」

 

ストーム三人で自己紹介を終えたその時、ストーム2が腕時計を見て…

 

「まずいぞもう時間だ…

急いで行くぞ」

「「了解!」」

 

小柄がここで仇になるとは思わなかった

…座高は低いから足は

長いと信じたいんだけど

 

 

「ーークローサーを含め彼の呼んだ

EDF兵士四名の参加もあります。あとで軽く話しをしておくことをー」

 

応接室らしき部屋?に通された私達はこの話にいつ介入するかを考えていたのだが

 

その言葉が出た瞬間、迷わず

進み出たストーム2がドアをノック

 

「ちょうど良かった、

三人共到着したようだ。開けるぞ」

 

ドアを開け放ったのは…ストーム4

その風体は以前ヤリドに尋ねた際に聞いたものと一致している

 

「彼らは?」

「蒼真の話にあったEDFの兵士です。」

 

お偉いさんとストーム4は

サクサク話を進めようとしているが

そこにドアを開けた責任を取って

ストーム2が介入する

 

「ほったらかしで話を進めないでくれ」

「失礼、ストーム2」

 

お偉いさんが何やら話したり無さそうな表情をした…こりゃダメだ

ほっといたらまた長話が始まる

 

「私達の仕事は、結局掃除でしょ?」

私は、少しばかり強引に、あるいは失礼に

話に介入することにした

 

ゆるして〜…ほんとは

こんな事言いたくないんだよ〜

 

なんて内心考えているうちに

ストーム1が歩み出る

 

「俺もいるぞ、支援なら任せろ」

おお、かっこいい!

 

「了解です、ストーム1、最強を見せてください…俺のコールサインはストーム4です。

お願いしますね、先輩?」

 

クローサー君はおどけてみせる…が

顔と口調のマッチが格好良過ぎて

全く真面目に言っているように見える

 

というか彼もイケメンか!

…いや、

そもそも私こそ本来は後輩なんだけど

 

なんて雑多なことを考えているうちに

どこかの提督?がクローサー…

ストーム4に問う

 

「どれ程の戦力かだけ、教えてくれ」

 

ちょっと首をひねったストーム4は

「そう、ですね。ストーム3は時速300キロでの高速戦闘、ストーム2は隕石落とせる超能力倒して、ストーム1は地球の半分以上を覆う攻撃パネルの親玉を落とした、と言ったら?」

 

「───十分過ぎるな。───全員隣の部屋で楽にしててくれ。会議が終わり次第作戦開始だ」

 

どこかの提督が指示を出し

その鎮守府の艦娘?は移動して行く

しかし、残留する艦娘達がこちらに視線を向けて来ていて…自己紹介大会の開催だ

 

「はじめまして、鳥羽鎮守府の皆さん

私はラバウル特殊艦隊旗艦、『戦艦 大和』です」

「同じくラバウルの『戦艦 陸奥』よ」

 

同一艦を見たことのある別人の艦娘達の自己紹介を聞き流す…長いなぁ

 

「ほら、貴様らだぞ ストーム?」

挑発的な声が聞こえた

 

「こら武蔵。ごめんね、妹が」

姉…大和が庇うが、

雰囲気の悪化は抑えきれていない

 

「姉さんこそ、こんな奴らを信用するのか?

クローサーは兎も角、他の三人は───」

 

その瞬間、私は判断した

これは以前の鎮守府と同じ

完全に見下されていると

 

そして、EDFは舐められるわけにはいかない

決断は早かった

 

 

私に与えられた武装のうち、大型砲に近い外観を持つものを選択し

即時展開、暗い青紫のドレスの下に

装備されていたサイオニックリーダーが

瞬時に服を換装し、その武装を召喚する

 

『マグ ブラスターDX』

 

起動と同時に出現したそれを取り

武蔵に向ける

 

「これでいい?なんなら撃つけど」

私は笑いながら引き金にかける圧力を上げて…あと僅かにでも力をかければ発射される状態を作る

 

「やめてください!味方ですよ」

「わかってるよ」

 

大和に制止されたので

トリガーから指を外して

ブラスターを消す

 

「済まないな、疑って」

「私は気にしてないよ」

 

クスリ、と微笑んで応じる

 

「はい、じゃあストーム1、お願いします」

 

ストーム4が仲介をやるようで

自己紹介とポジションの説明を求めてきた

 

「俺からか?まぁいい、特別遊撃部隊『ストーム』部隊長ストーム1だ。

兵科は『空爆誘導兵(エアレイダー)』、空爆なら任せろ」

 

ストーム1は全くの仏頂面から

そこそこ優しげな顔になって

親指を立てる、そこに

「同じく、ストーム2、特戦歩兵(レンジャー)

皆と同じ位置で戦う、頼むぞ。」

 

腕を組んだまま言い切るストーム2

……これ、なんかポーズ決めた方がいいのかな?カットインシーンかな?

 

「ストーム3、鉋狩翼。『降下翼兵(ウイングダイバー)』として

最前線にいると思う」

 

結局オーソドックスにウインクして

右手をヒラヒラさせるだけに収める

 

あんまり格好つけ過ぎるとこのメンバーの顔面偏差値の高さに押しつぶされるからね

 

どうぞ最後だよ、と囁いて

ストーム4を見遣ると

「ストーム4、クローサーだ

ストーム3と同じく最前線で戦う。後ろは任せた」

 

やはりキメッキメの台詞である…

全く、恥ずかしくないの?(歓喜)

 

まぁ、この一言を終いに

自己紹介タイムは終了したようで

各々自由時間?に入る

 

私は部屋の隅で小説でも…読むわけないだろ常識的に考えて(JK)

 

私は近くにいた電と夕立に

チラチラと視線を送りつつ静かに接近して…

 

「ストームワンっぽい!」

夕立は別の興味の対象を見つけたらしく、逃げられてしまった…ストーム1、ちょっとそこ代わって?

 

「あ…あの、翼さん、なのです」

 

おどおどとした電が声をかけてくる

so-cute!

「うんうん、翼お姉さんだよ?」

 

私は早速甘やかしに向かった

…ストーム2と4が真面目に戦艦組と話し合ってるのは無視してる訳じゃない

 

うん、私はちゃんと電ちゃんと

ストーム4、どっちの話も聞いている

…だから無視じゃない、はず

 

そんな事を頭の中で言い訳しながら

数十分を過ごし

 

提督達が帰ってきた

「会議は終了、必要事項だけ伝えるよ

戦艦とストーム2、4は前線へ

後ろは空母とストーム1、中央を残りで固めること」

 

私は『残り』なの?ストームチームってせっかく特殊部隊なのに…

『残り』…

 

「この作戦は二段階ある、第一段階は基地の防衛能力と深海棲艦を出来るだけ削って、第二段階で突入と排除。他は臨機応変に対応する、以上

鳥羽鎮守府のドックに入って

艤装を装着後、抜錨せよ。

目標地点は指示する。質問は?」

 

残り呼ばわりを根に持ちながら

私は作戦の穴を捜索する

第一段階…基地の探索は?エアレイダーがいる上に、電探も用意されている

敵に強力な艦がいた場合は?

ストームチームに対処できなければ遅かれ早かれ世界は滅ぶだけだ

敵が全部陽動だとしたら?

構わない、それはそれで

大多数の深海棲艦を攻撃できる

 

 

なら、

「はい、予想作戦時間は?」

真っ先に手を挙げたのは、大和

 

それに答えるのは、

電に蒼真と呼ばれていた提督

 

「不明だ、但し作戦開始から6時間経過ごとに一旦補給するけど、可能かどうかはわからない─他には?」

「夜戦はアリっぽい?」

 

大和に続いて夕立が切り込む

さすが高火力

「ここまで来たらなんでもやって

弾薬や資材の消費も度外視してくれて構わない」

 

ほう、夜戦ですか……これはこれで

けどまぁ、

なんで皆これ聞かないのかな?

 

「敵の艦娘と提督の規模は?」

 

私としては軽く聞いたつもりだったのだけど、予想以上に重苦しい空気を作ってしまったようだ

 

息の詰まるような沈黙を経て

提督は語り出す

「クローサーの情報では提督三人、全員が初期のクローサーの装備を持っているとの事だ。十五個艦隊くらいは視野に入れて

他は───無いね、行って」

 

その一言、それは

張り詰めた空気に、激甚な変化を起こした

『了解!』

『 Sir Yes Sir!』

 

返答と共に、説明を終了と判断

案内される鎮守府へと急いだ

 

作戦開始直前

「…」

 

私は通信を、自らに割り当てられた電波帯から、切り替えていた

それは広域開放通信

全ての回線を傍受し、

全ての回線に発信する特殊回線

 

そして、

EDF兵士達が一番使い慣れた回線

 

部隊が違って声が届けられないのであれば、助けを求める声が聞こえない

近くにしか声が届かないのであれば、彼方で戦う仲間たちを鼓舞できない

 

それではなんの意味もない

戦場と後方の区別なく、戦闘員のみならずオペレーターの一人に至るまで

全員でこその『EDF』なのだから

 

『エナジーコア チャージ完了

PAギア オンライン』

「スターター、俺に力を」

 

隣のドックで、ストーム4がフェンサーの強化装甲(パワーフレーム)を展開する

 

ストーム2は私の知るレンジャーのように、ふつうに装甲服を着て…

「前哨基地戦を思い出す…ストーム1

戦闘準備良し」

 

はっきりと言い切った

私も…着脱容易…どころかサイオニックリーダーさえつけていれば一瞬で展開出来るようになったとはいえ、今回は普通に着込んで…

 

「プラズマコア フルチャージ

サイオニック・リンクOK

ブースター、火器制御良し

ウイング5DASH 鉋狩翼、交戦準備完了(ポゼッション)

 

私の最大限の決め台詞を

涼やかな声で告げた

 

「ブレインの時みたいだな、エアレイダーストーム1────戦闘準備完了」

 

全員の戦闘準備完了コールを確認後

ゲートに集まり

ストーム4の出撃宣言を待つ

 

「あぁは言いましたが、艦娘に人殺しは多分無理でしょう、俺たちだけで、始末する」

 

物騒なことを言われてしまった…

まぁ、敵なんだから仕方ない

 

そうする(殺す)より他に無いね」

 

「願わくば、抵抗しないことを、だな」

「敵に祈ってどうする」

 

全員で認識を共有した後、声を揃えて

 

『ストームチーム、抜錨』

 

その宣言と共に、出撃ゲートが開き

逆流するように

軽巡ホ級エリートが飛び出して来て…

 

私は、短距離で可能な限りに加速し

思いっきり足を叩きつけた

 

溢れる爆発音

 

そして、それに続く爆音

ストーム2がアサルトライフルで撃ち抜き

ストーム1が爆弾を放ち

ストーム4が長大な剣で斬り裂いた

 

軽巡は骸のかけらも残さずに消え

開かれた道を EDFは驀進する

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。