ウイングダイバーでも艦娘になれますか?   作:魚介(改)貧弱卿

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圧倒的過ぎる力…サイドウィング

傍受する通信が情報を伝えてくる

 

そもそもEDFでは全域開放通信が基本であり、部隊コードでの通信など

極秘内容くらいにしか使わない

例外はストーム1のように

そうでもしないと指示が混乱するような事情を持つ人物くらいだ

 

〈ストーム4、目標地点に到達

そっちはどうです?〉

 

〈こちらストーム2、配置についた

タイミングはストーム1に任せた〉

〈了解です、ストーム1は?〉

 

〈準備良し、ストーム4、攻撃地点を指示する、カロンを飛ばしてくれ。〉

〈了解、ストーム1のタイミングで戦闘を開始します〉

 

ストーム用のコードからは

一切の感情を排除した、戦士達の

事務的な情報の伝え合いが聞こえる

 

私も乗ったことのある攻撃機、

『カロン』が発進したらしい

 

基礎設計の詳細…の記憶によると

ケルベロス、エキドナと同シリーズのカロンは『最強の攻撃機』としてデザインされている

 

突破力を重視し、重火力と加速で全てを乗り越えるケルベロス、広範囲殲滅を重視し、エネルギーチャージ武器の圧倒的な爆発力であらゆる障害を破壊するエキドナ

それらと同型のカロンの設計思想は

長距離移動と高火力持続の両立

 

爆装と機銃による対地火力と

長い航続距離による

指向性を伴った対地殲滅を

敵が死に尽くすまで続ける

というものだ

 

「おっそろしい事…」

 

〈こちらクローサー所属の攻撃部隊『ウォーリード』だ、そちらは?〉

〈今回の空母隊旗艦『蒼龍』所属の零戦隊。戦端を開くのは頼むぜ〉

〈任せな、ゼロ〉

 

やたら濃い男達の会話を傍受していると

〈お喋りは仕舞いだ〉

ストーム1が制止した

 

〈了解です、ストーム1〉

〈1600まで、5…4…3…2…1…全機突入せよ!機銃掃射開始!〉

〈了解!ウォーリード Engage!〉

 

km6の爆音が通信から鳴り響く

 

〈おーおー、派手におっぱじめたな」

通信から生声に…というか

ストーム2が寄ってきた

 

「行った方がいいかな。」

「だな、総員攻撃開始!主砲一斉射!」

上手いこと横から攻撃できたらしく

挟撃された深海棲艦達は混乱に陥る

 

そこへ、ストーム4が飛び込んだ

 

エスペランサ(Esperança)システム(System)!バレットウォール!」

 

弾丸の雨を意味する単語と共に

跳躍するストーム4

[パスワードの入力をお願いします]

「Memory 22years ago

─────STARTER」

[パスワード認証。音声をオリジナルと確認しました。バレットウォール!]

 

システム音と共に異様なオーラを纏い、装甲を展開するストーム4

 

「バトルキャノン連射!」

ブラストホールスピアによる間合いの確保と同時にガトリングでの重対空砲撃

 

重力に喧嘩を売って飛び回る高機動フェンサーの姿はまさしく天を駆けるかの如く

 

携えた大槍と機関銃は目まぐるしく振るわれ次々に深海棲艦を潰していく

 

装甲がピカピカ光ってずっと飛んでいるのはどうかと思うが、正直羨ましいのは確かだ

 

「あぁもう!なんであんなに飛べるのさ!

この恨みは───お前らにぶつけてやる!」

 

元北米トップエースである

ペイルウィング部隊所属

ペイルリーダー、ペリコ先輩

 

様々な武装を使いこなして転戦する先輩より───私の方が速い

 

私は全力加速と急停止を繰り返して残像を残しつつ、一跳びに駆逐イ級の頭に飛び乗り、即座に蹴り砕いて再度跳躍し、三角跳びの要領で加速

 

ブースト加速と同時に海面を蹴り飛ばして…レイピア乱射

赤い光条を閃かせながら周囲にあふれる深海棲艦達を撃ち抜いていく

 

「ついでに、スパークバイン!」

非利き手側である左手のレイピアを

スパークバインY8へ変更し、発射

 

射程限界の半分程の距離で

海面に叩きつけて

 

拡散する電流は、

一瞬だけ深海棲艦を拘束する

 

「ハアァァァ!!」

 

アクセル全開からの急減速と同時に

前に出る体をそのままにして足を振り上げ、全ての慣性力を伝える回し蹴りを放つ

 

首の下あたりに命中し、

重巡をそのまま撥ねとばす

 

「グギャァァッ!」

 

悲鳴をあげながら飛んで行ったリ級は、空中で突然爆砕される

キャノン砲による狙撃

 

そう、ストーム4による

超高精度の支援砲撃だ

 

「ナイスショット!」

「ナイスコントロール!高高度強襲ミサイル斉射!」

スババババン!という炸裂音と共に

計48発のミサイルが専用のコンテナより発射される

 

これが、私とは違う

前線を戦い抜いた者達の動き──

 

私も、いや、一旦護衛に戻るべきか

 

〈五番隊右から入れ!あークソ二番!

右に逸れてるぞ!三番は一番に続いて雷撃しろ!〉

 

攻撃指示を矢継ぎ早に出していくストーム1、これこそ本来の彼の役割である

空爆誘導(エアレイド)

前線に立ちながらの戦いではない

全体を俯瞰する指揮官としての戦いが

彼の本領なのだ

 

しかし、深海棲艦も戦略くらい練る

波の引くように圧力を乱降下させ、前線に緊張を強いて…戦力を一斉投入

 

莫大な数を以って、

防御を打ち崩さんと迫ってくる

 

しかし

「味方に通達!迫撃砲集中運用戦術を使用!」

〈了解、迫撃砲集中運用戦術!前線は退避せよ!〉

 

ストーム1はそれを見抜いていた

逆に敵が寄せてくるタイミングで

重火力を叩きつけて数を削りにいく

 

〈了解!総員退避!迫撃砲が来るぞ!〉

ストーム1麾下の妖精部隊による

支援砲撃、

弾着観測もなしによく当たるものだ

 

深海棲艦爆破解体が至る所で行われる中

私は全力加速で爆風より早く移動して

爆破を避けながら前線を突破

敵陣へと飛びこんだ

 

〈次!ホエール、105ミリ速射砲!〉

〈了解だ、鉄の雨を降らせてやる〉

 

唐突に戦場に出現したホエールから

速射砲による砲撃が行われる

 

〈ポーターズに支援要請!アレを持って来い!〉

〈ポーターズ了解!……………目標地点に到達、ビークル投下!〉

 

ネグリングとイプシロンブラストの重砲台組、火力殲滅を試みるつもりだ

 

ピン、ピン、ピン、ピン

聞き慣れた…というか鳴らしたことすらあるロック音が響いて…十を数えた直後

「収束ロケット砲、行け!」

 

誘導ミサイルが放たれ…ロック対象の深海棲艦共に向かって飛翔する

その間に再びロックを進め…

 

「直撃!第二射!」

 

今まで砲や魚雷やとアナログな戦闘方法をしていた深海棲艦は突然の文明的攻撃に全く対処できず

とっさに対空弾幕を展開したヘ級エリートも相手にすらされずに爆散した

 

三射、四射、弾のある限り撃ち尽くしたネグリングを乗り捨て、ストーム1はイプシロンに搭乗

 

私は乗り捨てられたネグリングにこっそり乗り込み、水際をキャラキャラ移動する

 

「……ふふっ…」

 

深海棲艦だろうと挽き潰せる重量と

多少のダメージでは壊れない装甲の信頼性を兼ね備えた機体である

 

「こいつM3じゃん…いいもの貰った♪」

 

私はゆっくり深海棲艦を挽き潰しているうちに、前線の方の無線から、ストーム2の交戦開始宣言が聞こえる

 

〈頃合いだな、総員突撃!突き崩せ!〉

言うが早いかエンジン音とともに風切り音…おそらくバイク系統のマシンで突っ込んで行ったんだと思う…!?

 

爆発音!?

「ストーム2!?」

 

私は急いでネグリングを加速させ、

水際から乗り捨てて…

ハヴォック神の怒りを発動

 

質量体かつ非固定オブジェクトに、慣性モーメント持ちのオブジェクト、もしくはエフェクトを掛けると

中途半端に突っ込んだオブジェクト同士の干渉により、慣性の移動力が重複計算されて蓄積し

 

『ブッゴォォン!』

 

爆発的に推進する

 

水際から最前線に向けてカッ飛んだネグリングを見送りながら、自分も加速し

 

「ストーム2ー!?無事ー?」

 

最前線に突入する

「今のネグリングはお前か?」

「そそ、ハヴォック神の怒りを知れ」

 

「お前なぁ…やる事がおかしいという次元じゃないぞ…」

「それは良いから!怪我してない?」

 

私はマグ・ブラスターやスパークウィップで前線を抉りながら問う…もちろん笑顔で

 

しかし、ストーム2は表情一つ動かさずに、ライサンダーなどの実体銃で一瞬の内に周囲を掃除して…

 

「お生憎様、レンジャーの装甲は伊達じゃないんだ」

返事をして来る、

その声は平坦であった

 

周囲の殲滅につき、

漸次前進していく艦娘部隊

 

「優勢だな…だが、妙だ…」

 

「なにか…見落としているような…」

 

私たちは違和感を拭う事ができずにいた

そう、その状況は順当だった

順当過ぎていた

 

そして、気付くにはあまりに遅過ぎた

 

〈おい、そこの流星隊、そっちは味方空母の位置だ、爆撃体勢を解除せよ〉

 

「まさか!」

〈…おい!聞いているのか!?そこの流星!〉

「やられた!」

 

私は全力で加速し、

後方へと取って返すが…

 

〈空母隊!敵の流星がそっちに!回避行動───!〉

〈えっ?なに───キャア!〉

 

爆弾倉を開いた流星隊を視界に捉えながら

私は狙撃で迎撃を試み…射程不足で落としきれなかった

 

空母艦娘の内、赤城と蒼龍は小破、そして翔鶴、瑞鶴、飛龍が中破

旗艦を庇うために身を挺した加賀が大破

 

「届かなかった───」

 

悲鳴じみた声をあげながら停止し

 

〈前衛部隊!一旦引いて空母の援護を!

殿はストーム4が行え!〉

〈了解!交代するまで敵を防ぎ止める!〉

 

〈ストーム2より全隊!ストーム4と退く味方を支援!寄せ付けるな!〉

 

ストーム1の指示が飛び

素早く部隊をまとめるストーム4

撤退する味方の支援を行う為に

僅かな未練も見せずに今しがた制圧したばかりの区画を捨てる判断を取ったストーム2

 

私だけだ、何も成せていないのは

私が配置されたのは何処だ?

中衛での機動支援じゃないのか?

 

私が最前線に出るのではなく

場所を確保する中衛として動いていれば

流星の迎撃も間に合ったのではないか?

 

そんな意味のないIFが頭に浮かぶ

 

その中で、鋭く声が響く

 

〈ストーム3!流星を飛ばしてきた空母を探して沈めろ!〉

 

失態は別の功績で上塗りする

今するべきはそれだけだ

 

「ストーム3.了解!」

〈ウォーリード、コピー!〉

 

宣言と同時に、私は再び前線へと向かった

 

通信で垂れ流される雑音は全て無視

どうせ私がどうよりストーム4が優先的に守るだろう、私は…『残り物』として

周囲の敵を潰していくのがお似合いだ

 

「………?」

 

私の視界に入ってきたのは──

()()()姿()

深海棲艦の後詰として用意されていたようだ

 

〈こちらストーム4、カメラと俺の目が狂ってなきゃ、ありゃあ艦娘だな、新しい敵さんだ〉

〈来たか!規模は?〉

〈戦艦、空母、重巡、雷巡、航戦…とにかくヘビーだ、ざっと50弱くらいか?〉

 

どうもストーム4が見ているのは私が見ているのと同じ集団である様だ、そしてそこ以外に

艦娘の姿はない、つまり

()()()()()()()()()()()()()()()

 

「こちらストーム3、ストーム4と同じく敵発見!」

〈ストーム2、戦闘開始!〉

〈ストーム1、ビークルで突撃する!〉

 

ストーム2率いる前線残留組の艦娘達が戦線を構築、敵の艦娘とぶつかり合う

 

私はレーダーを見やり…

「敵味方識別コードの書き換えを要請!

敵は艦娘だ!艦娘と深海棲艦を見分けるコードでは誤認するぞ!」

 

通信に叫んだ

 

同時に私専用の回線に切り替えて

〈やっと繋がった!こちらラバウル第二艦隊所属、阿賀野です、これよりCP(コマンドポスト)を担当させて頂きます」

「ごめんいらない!それより

早くレーダーの識別コード書き換えて!」

 

急かすだけ急かしてごめんね!でも今はそんなことを言って居られる余裕は無いんだ!

 

〈了解しました、こちらから

全艦隊に新コードを送ります!

実戦用識別コードから演習用の鎮守府識別コードに変更!ラバウル、呉、横須賀!三鎮守府で合同コード作成!

 

識別コード書き換え開始します!〉

 

識別コードが変化したことで

ラバウル、呉、横須賀の三鎮守府と

ストームの四人の光点がマップ上に残り、残りの光点が赤く染まる

 

…よし、敵味方識別確認

発動!

 

「敵しかいないのは…あっちの方

んで、艦隊展開するとき一番安全なのは

敵中核部に居るのか、()()は」

 

大雑把な当たりをつけて

一気に加速、視界を振り切る速度を以って、艦娘達の戦線を縫って移動する

 

道中の駆逐や軽巡などの小型感は全て無視、重巡以上の大型のみを狙って

フェンサー用武装

『NC104ハンドキャノン』で射撃

 

重い武器だからか慣性に振り回されるが

それでも一直線の移動なら問題はない

 

「いた!」

ハンドキャノンを消して急減速

見るからに空母、と言わんばかりの装備を携えた艦娘達の前に出る

 

ここ(陣中)に居たんだ」

 

私はにっこりと素敵な(自称)笑顔を見せながら挨拶をする

 

編成は空母重巡軽巡の5:3:2

かなりヘビーな編成だけど

その程度、EDFのレンジャー訓練コース

ランクB、百人組手に比べればまだまだだよ

 

「こいつ、事前資料に無かったわよ?」

 

敵旗艦らしい瑞鶴改二甲が刺々しい口調で翔鶴改二に問う、しかし、その内容はあまりにも無意味、まさに論外と言った代物だった

 

そもそも

「事前資料なんて当てにしてるから

死ぬんだよ。」

 

即座にレイピアを展開

プラズマアークの刃を槍として

護衛艦隊を気取っているらしい軽巡

天龍と長良の砲台を破壊する

 

そして、武装を破壊されてなお

闘志を失わない天龍の瞳を見据え

殺すしかないと改めて判断する

 

私は加速中に右足を水の中に突っ込み

物理境界を突破した反動で足が弾かれると同時に跳躍

 

天龍の頭上で足を一回転させ

サマーソルトキック

 

全体重、落下速度を懸けた

全力での踵落としである

 

「がッ?!」

 

振るわれた足は当然の如く頭骸骨ごと

脊髄を粉砕し、飛び散る脳漿を見送る

 

自分の状況を理解することすら無く

遺言の一つもなく、

軽巡洋艦、天龍は死んで行った

 

「嘘っ!天龍が!」

「遅いよ」

 

崩れ落ちる天龍の体を蹴りつけて足場とし

角度をつけて海面へ飛び込み

三角飛びの要領で加速

 

相手が砲撃の一発も行う前に

その目の前に到達して

 

「っ!」

私は加速中に溜めた運動エネルギーを

全身の捻りと筋収縮で右腕に伝え

 

いつもより早く、

助走付きの速吸流星拳を発動し

あっけなく腹を貫通した腕を引き抜いて、派手に開いた穴からレイピアを内蔵に突き立てる

 

「焼け死ね」

「ギァア─────!!」

 

プラズマ化した圧縮鉄に内側から瞬間加熱された長良は、体内の水分が沸騰して────内側から爆発した

 

レイピアをひき抜き、肉片と血にまみれた体をそのままに、強張りそうな表情で、無理に笑顔を作ってみせる

 

「さて、次はどっちにしようか。」

 

「くっ!死になさい!」

返事もなく三方向から砲撃してくる重巡

足柄、青葉、古鷹それぞれの改

 

「そんな遅い攻撃!必殺ファンクション」

 

私は三人を射角に収めるように

回避しながらわざと引き下がり

追ってきた所を…

「『トライデント』!」

 

手の中で一回転させたレイピアを腰だめに引き…一気に突き出す、その瞬間

赤い閃光は青く反転し

三条の光に分かれて…

 

それぞれの穂先が三隻の重巡を貫いた

 

「そこの空母、君達も死のうか」

感情を凍らせて、相手の人格を

その存在を否定する言葉を放つ

 

「ふん!甘いわ!」

帰ってきた返事は攻撃を伝えるもので

 

「何っ?!」

 

私の意表を衝いてみせた

 

見覚えのあるあの憎っくき流星隊から

風切り音と同時に投下された爆弾が

私へと降り注ぎ

 

「不味い────なんてね。」

 

第ニ近接射程内であるのなら

レイピアによる対空攻撃が可能だ

 

爆弾がまだ空中にある内に迎撃を始め、同時に私に命中するコースのものを移動回避する

 

今回は全て撃ち落とす必要は無い

これは示威行為であり

爆煙の中から無傷で出てくる方が

圧倒的に強そうだからだ

 

私の周囲に爆弾が降り、私からズレるコースのものが爆発を始め…瑞鶴は勝ち誇った顔になる

 

愚かな…、何故死亡を確認するまで

攻撃を継続しない

 

私はただ攻撃を受けているだけのようなポーズを作りながら武装を再度選択

 

追尾プラズマ銃『ミラージュ』

サイオニックリンクを使いこなし

なおかつ高い空間認識能力を発揮しない限り真価を示さない、高速で敵を追尾するビーム弾を発射する銃だ

 

山のように集ってくる艦載機どもに

ミラージュ15WRを連射する

 

無論、全て手動ロックオン

15発の光条の描く軌道を完璧に制御しつつ発射しながら次弾の軌道をイメージし直して速射

 

敵は数百もいるのだから

一発一殺では間に合わない、だからその分は数を充てる…何か間違いはあるかな?

 

全てを落とし終えた

笑顔で瑞鶴の方を振り向き

 

「う、あ………」

「そんな、こんな………」

 

絶望的な表情の彼女達に迎えられる

 

私は脳内で念じ描いていたフェンリルの軌道をリセットし、フェンリルをレイピアに再換装

(ごめん私一般訓練生なんだ)

 

高位の武装を使っていればそこそこ戦力にはなるんだなぁ…などと考えながら

レイピアを起動して、

プラズマアークをチャージする

 

「終わりだ、深海棲艦に与した艦娘達」

ギロチンバースト、と俗称されるフルバースト状態のプラズマ刃による薙ぎ払い

 

特大の極光は膨大な熱量を収束させ

振るわれた光の槍は空母達を切り裂いた

 

「…………ごめんね」

 

私は目を閉じて…黙祷の後

再び移動し、最前線に出る

 

通信で聞こえる声はやはり全域戦闘中を伝えてくるが、味方に壊滅的被害が出たというような情報はない

 

ならば私は手土産に…

ここの戦線を制圧でもしようかな?

 

「本邦初公開…私の艦娘としての艤装…見せてあげるよ、もっとも、見た後に

感想を言えるかは分からないけど」

 

私はレイピアを基底状態に戻して

腰にマウント、同時に装備されていたLALS-33を両手に握り、狙撃姿勢を取る

 

「必殺ファンクション…」

 

ゲージが急激に減少し始める

同時に装甲がそのファンクション発動のために展開して、放熱を開始

 

動きの止まった私を好機と見たか

艦娘達が攻撃を始めるが

まるで相手にせず、私はダメージを受けながらも()()を起動する

 

『ヘルファイヤー』

 

人工衛星から投下された超巨大なウエポンベースは私の後ろに配置され…サイオニックリンクを確立すると同時に、私に接続する

 

「…………フルバースト!」

連装主砲と四連装プラズマビーム砲による制圧射撃、六本の青水色の光線は

空間に放電条の後を残しながら直進し

 

私の正面方向に展開していた敵艦娘を

その遥か後ろにあった島ごと蒸発させた

 

同時にエネルギー切れに陥った砲を放棄し、単なる移動用装備として運用開始、

 

ストーム1の元へ向かう

彼は後方に待機しているが、彼を護衛しながら移動できる高機動戦力は艦隊に無い

 

私がヘルファイヤーで運搬するのが

最適解であろう

 

……………いた!

 

「ストーム1!乗って!」

私はヘルファイヤーから身を乗り出してストーム1に呼びかける

 

「ストーム3?なんだその装備は?」

「私の艤装!さっき使い切っちゃったから砲撃は使えないけどそこそこ早いから乗って!」

 

ストーム1は、見たことのない装備に多少混乱しつつも

 

「不安だが、仕方ない!」

「はいはい早く早く!」

 

ストーム1には後部コンテナの上に乗ってもらい、そのまま海面滑走で移動を開始する

 

「いっくよぉーっ!」

「ぬぉぉわっ!」

思いっきり加速して限界速度で移動、ちょっと浮遊して艦娘たちの頭上を通過し

 

「深海棲艦撃滅だ!」

 

マグ・ブラスターとスパークバインの両手持ちで周囲の敵と深海棲艦を撃滅しながらノーハンドル走行…おっと、ちょっと揺れちゃった

 

「機体後部に人がいることを忘れるな!」

「あぁうんごめんごめん!

次からは止まってから撃つよ!」

「そもそも移動中にいちいち撃つな!」

 

ストーム1に叱られながら前線に飛んだ私は…突然の砲撃に機体を破壊された

 

「きゃぁぁあっ!」

「どわぁぁぁあっ!」

 

水面に叩きつけられたヘルファイヤーの残骸が爆発、すんでの所でストーム1は飛び降り

海面にSDL2を要請、支援要請で運んできたそれに乗って…

「何があった!?」

 

「わかんない!でもどっかから撃たれた!」

 

海面に立った私と背を合わせて全周防御態勢に入る

 

そこに現れたのは、武蔵

 

「…先ほどの砲撃を行ったのは貴様か?」

「答える必要はない!」

 

私は豆鉄砲(フェンリル)を発射し

空中で迎撃される

 

「ストーム1!ネグリングは?」

「ダメだ!功績が足りない!」

 

チッ!と舌打ちしながら

武装の残弾を確認する…事ここに至ってエネルギー切れ、なんて事はないが、ヘルファイヤーの召喚にゲージを使い切った、つまりファンクションは無し

 

ストーム1の支援要請も期待できない

 

「なら!先に行って!」

「通すと思うか?」

 

低速だというのに的確に前を塞ぎ

横に進めないSDL2の動きを遮る

 

…まるで慣れているような…

「っ!」

思考に入りかけた私に、武蔵の主砲が直撃する

 

「戦闘中に考え事とは、余裕だな」

「ストーム3!…クソッ!俺も援護するぞ!」

SDLによって、軌道こそ限定的ながらに高速移動可能になったストーム1は武蔵の撃破のためにリムペットガンによる直接攻撃を試みる

 

「ダメ!コイツは私たちに損耗を強いるつもりだ!相手をしてはいけない!」

私の制止に手を止める

 

「コイツは私が倒す…そのあとは頼みます」

「ストーム1───了解」

 

ひたすらに回避に徹するストーム1と

こちらに砲撃を続けながら足止めと損耗を狙ってくる武蔵、そのどちらの動きも把握して…

「ガイスト-D、展開」

 

持ち込んだ中でも最悪の地雷兵器を起動

 

「撃ち放つ…光の大槌…昏の閃光に…夕の日を……」

どうか自爆しませんように

そう思いながら、光の玉を射出し続けて

 

 

「くっ、こちらの道を遮るつもりか!」

 

空間に拡散したガイストは長時間残留するため、エネルギー切れを考慮せずばら撒いた場合…空間を埋め尽くす範囲爆撃となる

 

「今、此処に」

 

起爆、同時に、紅の閃光が溢れて

周囲を打ちのめす

 

極光の中で私は

 

「さらばだ…提督」

武蔵の、最後の言葉を聞いた

 

「……………終わったか…」

「うん、終わったよ、ストーム1」

 

私自身も莫大なエネルギーの余波を受けて、大幅に装甲を削られた…けど、それに見合うだけの戦果はあったと思う

「ごめんね、武蔵」

 

ゆっくりと目を閉じて、黙祷したのち、海面に落ちていた武蔵の眼鏡を拾う

「キャリバンを呼ぶか?」

「いや、良いよ、大丈夫

それよりSDL私にも出して、さっきのでヘルファイヤー 壊れちゃったし、超電ギルディライフルもまだチャージ出来てないから」

 

私はリバーサーを壁にぶつかるテクニックの応用で、ヘルファイヤーの残骸にぶつけて…反射したナノマシンで装甲をある程度回復

 

「それじゃ、後ろの席に乗ってくれ」

「おっ?デートのお誘いかな?」

 

私は疲れをごまかすためにわざと茶化して、

 

「…フッ、そう取ってくれても構わないぞ?」

 

それに気づいているのだろう

ストーム1の優しさに甘える事にした

 

「なら遠慮なく、それじゃ

前線に連れてって♪」

 

「了解だ、最高速で突っ切ってやる」

「それは嫌」

「分かってるさ、冗談だ」

 

緩やかに加速しながら移動する

SDL2 、これ操作性悪いのに、

上手に動かしてるなぁ…流石ストーム1、

 

「ストーム2と4が合流して戦ってる

最前線に行きましょう」

「了解だ、ナビゲートは任せるぞ」

 

高加速型の最速ほどでは無いが

それでもかなりの速度を出して前線に向かう、運送役と被運送役が逆になってしまったけど

まぁ問題はない、

 

「向こうの方の通信を拾ったよ!」

「内容は!?」

「ストーム2が敵フェンサーと交戦!

ストーム4は単独で前線を突破して砲撃に突っ込んでる!」

 

「どちらも不味い…

掴まれストーム3!全速で突っ込むぞ!」

「望むところっ!」

 

さらに加速したSDL2は

まるでロケットのように海面スレスレを滑り、滑走しながら艦娘や深海棲艦、それらの残骸などを通り抜け

 

「ラバウル艦隊、到着!」

「クローサー、到着した」

「呉もいるぞ、クローサー」

 

各鎮守府の艦隊が集合したポイントに到達した

無論、途中でストーム2も拾った

 

「悪い、少し疲れてな」

「ビークルを新調してたら手間取った」

 

私の艤装(ヘルファイヤー)の事言ってますねクォレハ…

まぁいいか

 

「遠かったからね、仕方ないね」

私も便乗して言い訳しつつ、残弾やエネルギーなどを確認しておく

 

〈全員集まったな、第二段階を開始する〉

「了解、みんな道を開けてくれ」

 

ストーム1がレーザー式のポイントガンを取り出し…空爆を開始した

 

「おーこわ…やってんなぁ」

「むしろこれがエアレイダーの本領だろ」

「すっごいよね〜」

 

3分も経たずに基地地上部の砲台は沈黙、地上部分は速やかに制圧された

 

「じゃあストーム4は先行、2が支援随伴ね、私は引き続きき1の護衛するよ」

 

私の分割案には不満は出ず

(とは言っても、それが手堅く、順当な分け方というだけだが)

了承の声が上がる

 

「あぁ、艦隊の方も頼んだ」

「俺はストーム4の支援を担当するのか

わかった、フェンサーのお付きなら何度もやってるから慣れてる」

 

ストーム2の直掩を受けられるなら

ストーム4の戦闘力を活かせれば

 

そうそう簡単に沈みはしない

と互いに実力を信頼しているようだ

 

「おお?なんかかっこいいね

がんばれ♡がんばれ♡」

 

高校時代にやってた応援団(チアガール)のポーズである…歳?気にするな!(渋い声)

 

「よろしく頼むぞ」

「はいよろしく、」

 

ストーム1の優しさに泣いた

 

「おーい、入り口見っけたぞー!」

「ありがとう、天龍」

 

おっと、天龍(味方)が入り口を発見してくれたみたいだ

「この先だな、」

「ですね、誰が行きましょう?」

 

ストーム4の驚愕の発言であった

 

「いやさっき分担したじゃん!」

「それは前後衛って分担だろ?」

「俺は閉所では支援のほとんどが使えなくなるから外で待機するつもりだったんだが」

「すまない、俺も前後衛の話かと」

 

見る間にストームチーム内で話が分裂し始めてしまった…

「よし、ここは全員突入しましょう!」

 

ストーム4の強引な一言で

前提がひっくり返った

そもそもこの世界におけるEDFとは

ストーム4、クローサーのこと

1〜3である私たちは本来おまけだ

 

本部の命令であるならば拒否はできない

結局、全員で突入する事になった

 

「基地内部を知るのは時雨だけだ

覚えている範囲でいいから教えて」

「うん。たしかここを降りて────」

 

ストーム4とこの世界の時雨が

道を示し…

「ちょっと待ってくれ………」

ストーム1が二人を止める

そして

 

「ほいっと」

自走式のロボットボムを起動し

道の先の曲がり方に放る

 

ピピッ、ドーン!

「ほら、やっぱり」

 

レーダーに写っていたが、素晴らしい武装選択だったと思う、

こういう時に私にできるのは

フェンリルの水平曲射くらいだ

 

その後も五、六回同じようなことを繰り返し…遂に、部屋になっている場所にたどり着いた

 

「軍曹の先導を思い出すな…」

「間違っても軍曹爆弾を作ったりするなよ?」

 

ストーム1、2は互いに言葉を

交わしながらも警戒を絶やしはしない

油断なく、部屋の奥を見つめている

 

その向こうから出てきたのは

「よくぞここまでたどり着いた。」

 

フェンサーのパワーフレームを纏った男だった、その男はやたら格好良いポーズで

なにやら語り始めるが…長いし単調

しかもせっかく重装甲なのに

腰が引けている

 

「貴様は?」

「私はリーパー、フェンサーだ。ここまでたどり着いた事を称賛すると共に」

 

リーパー(自称)はフォースブレードを構えた姿勢を示し、突進しながら叫ぶ

「ここで終わりにしてやろう!」

「遅い、及び腰、ついでに中二病」

 

しかし、その動作はストーム4と同じフェンサーとは思えないほどに鈍重で隙が大きい、鍛え方が足りないと容易にわかるものだった

 

しかもスラスター速度もまるで足りていない、それで高機動フェンサーを名乗るなら

せめて倍速稼働してから言え

というべき有様であった

 

全く、恥ずかしくないの?(嘲笑)

 

「深海棲艦に与して、何のつもりだ?」

「フッ、簡単だ、教えてやろうか?」

 

あぁ〜!話のテンポが悪い!

ここぞとばかりに勿体をつけ始める

自称リーパーにイライラした私は

「さっさと言って、色々つかえてるから」

 

普段ならロマンのために敢えて乗る

その勿体をあっさり切り捨てた、

 

「自由にしたい、それだけだ」

 

驚愕…そして激怒が湧き上がる

ふざけるな、それはEDFの装備だ

私たちと同じ、私たちの愛する

地球を守るために作られた物だ!

 

自由だと…それが秩序なく振るわれればどんな被害を産む力であるか!理解しないわけではない筈だ!

頭の沸騰を抑えながら

なんとか歯軋りだけで済ませる

 

「じゃあ、あの艦娘たちは?俺達の沈めたあの子達は?」

「ゲームと同じだ、捨て駒に決まっているだろう?」

 

そう言い切られた時、私は

拳を握りしめて…踏み込もうとして

 

ストーム4に先を譲った

「さてと、終わりにしよう」

 

ガッ!とリーパーの生身が露出している頭を掴み上げたストーム4は

「ぐわっ!っはっ離せ!」

「うるさい。捨て駒?────本物を知ってから言え」

 

私よりも酷い方法を取った

 

「やっやめろ!」

その言葉と共に、握り方はパワーフレームの強化を活かしたものへと変わり…

 

「やめ───」

ぐしゃ…という音と共に、頭蓋を握りつぶした

 

「てめぇみたいに遺志の無い奴が、俺達(EDF)を語るな」

 

無理に頬を吊り上げたような表情を作ったストーム4は、再びこちらに向き直り

「皆さん、ここで待機をお願いします」

「何?信用できないって?」

「いえ、ただ偵察して、邪魔がいたら排除します。それにここから先はかなり狭いようですし、全員で行くのは無理があるかと」

 

それだけ言って歩き出す

ストーム4、その後ろから

私の前を通り抜けた時雨が

腕を掴んだ

 

「涼、待ってるからね」

「…………ありがとう、時雨」

「気をつけて、この先が確か本部の筈だから」

「わかった、行ってくる」

 

最後の別れでもないのに、ずいぶん感傷的な事をおっぱじめたストーム4は

そのまま壁をファイトネスハンマーで砕いて突貫して行った

 

背後に佇む時雨に、一瞥もなく

 

「………」

俯く時雨に、気づきもせずに

 

「はぁ……」

どうしてこう、男という奴は…

いや、私も言えた筋じゃないけどさ

 

まぁ、こういう時は女の子の情ってやつに共感できる、EDFとしてストーム4と同じ立場である私がやるべきかな

 

「大丈夫だよ、クローサーは帰ってくるから」

「ストーム3?」

 

ゆっくりと時雨の背に手を回し

その身を抱きとめて、耳元で囁く

「彼もEDFの一人しかも閉ざす者(クローサー)の名を持ってるんだよ?」

 

ここまでは優しく、ゆっくりと低い声で

そしてここからは、殊更にゆっくりと

甘やかに、色づいた声で

「絶対、戻ってくる

だから、信じてみなよ」

 

だって、こんなに可愛い子の元に

帰ってこない訳がないから

 

「…おお、背景に百合が見える…」

「俺もだ…本当に見えるとは…」

「野郎連中は黙る!今いいとこなんだから

ほら時雨ちゃん、信じて待ってみよ?」

 

「…うん、ありがとう、ストーム3」

「どういたしまして、さぁみんな」

 

私は後ろの艦隊に振り返り

「青い地球を守るため、EDFの出撃だ!」

「「応っ!」」

 

EDF兵士達と、艦娘達に呼びかける

こういう時に提督経験があると便利だ

 

時雨、長門達六人は

ストーム4の帰路を守る方向で落ち着いたようで、

再び増えてきた深海棲艦に向き直り、各々の砲を構える

 

「さぁ!艦隊の殴り合いだ

胸が熱いな!」

 

その声とともに

再びの砲撃戦が幕を開けた

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