ウイングダイバーでも艦娘になれますか? 作:魚介(改)貧弱卿
「ストーム4は突貫した、私たちはその後を守る、それだけの役割分担…やれるね?」
私はとりあえず長門を始めとした艦娘たちに、基地施設周辺の徹底防衛指示を出し
「私たちも行きましょう、
ストーム1.ストーム2」
「おう、やってやる」
「ストーム2、了解した」
ストーム2がストーム1と共に行動し、私は周囲の敵の数減らしを担当する
島の外まで前進防衛だそうだ
私は走り回りながら
レイピアを連射して、正確に
深海棲艦を貫いていく…といっても
来る方向が限定されているから
地上よりも幾分楽だけど
「…レイピアって
高級品だと使い勝手がいいね」
深海棲艦三隻をまとめて貫きながら呟く
「艦隊決戦してる所悪いけど…
全滅させるよ」
パワーアシストを全開にして
加速した私は、その勢いのままに四肢を振るい、深海棲艦を粉砕して行く
一方で臨時
「ガンシップに支援要請!」
ストーム1の要請した機銃掃射プランCが基地周辺に登って来た深海棲艦を粉々にする
無論、永続できるわけではないため
リロードタイムが入った瞬間に
ストーム2が飛び出して
「こっちだバカども!」
『TZストーク』による弾幕を展開
レンジャーの特色たる汎用性と弾数で、
凄まじい火力だ
「攻撃衛星ノートゥングに支援要請!」
矢継ぎ早に支援要請が飛んではビームやら爆発やらと派手な攻撃が広範囲を攻撃する
ちなみに、ストーム1は
ストーム2がギリギリで攻撃範囲に入らない距離で撃っているので
かなりスレスレの位置だが
「大丈夫だ、俺は気にするな!」
たった一言とサムズアップとともに、彼は再び攻撃に入った
「開戦から約30分、たったこれだけの土地の孤島に構えられた基地程度ならもう十分に探索を終えても良い頃…通信も通じないし、どうしたんだろ」
私は一旦陸地に戻って
安地に入ってから呟く
「ストーム3!どうしたんだ!?」
「エネルギー切れ!リチャージまでガードお願い!」
「ストーム2了解だ!」
前線を駆け回っていた私が消えた事で
深海棲艦の狙いが基地周辺に固まっている私たちに集まる
「シネ…シズメ…!」
「うるせえ馬鹿が!」
ストーム2が罵詈雑言を言い放ちながら、至近距離爆破で空母ヲ級をダイナミック解体
同時にリムペットガンで防衛に参加し、周囲に簡易地雷を敷設するストーム1
しばらくは二人と私のドラグーンランスで対応が追いついていたが、
燃料切れで艦娘達が引き下がった頃には
「くっ!なんて物量だ!」
「まずいぞもう押されてる!」
深海棲艦達の圧倒的な物量に押されて
島への上陸を許しかけていた
私も遠距離から、消費エネルギーの少ないスナイパーライフルの『LALS-AC』で狙撃支援を試みる
「ヘッショかまされたら死んでよ…」
ゆっくりと狙いを定め、相手の集中の途切れた瞬間を狙いピィン!という音と共に
赤いレーザー光が
今まさに上陸して来たリ級を撃破した
「よし、一隻撃沈!」
「こっちも落としたぞ!」
私の快哉と同時に、ストーム2が叫ぶ
「もう一時間にもなるけど…っ!
ストームチーム!」
「「おう!」」
私は通信機越しの言葉を、全力で叫んだ
「今、呉第一艦隊が
それは絶望を告げる言葉
それは敗北への道標
一体だけですら戦場を支配する鬼級、圧倒的戦力を以って海域を統べる姫級
その影響たるや、もはや戦力係数で測るようなものですらない
「まずいぞ…対抗策はあるのか?!」
ストーム2はアサルトライフルのマガジンを交換しながら、私の方を振り向いてくる
しかし私にもそんな都合のいい策はないので、ここは
「ストーム1頼んだよ!」
「俺に振るなっ!」
「「えっ??」」
だって、ほら
ストーム1は
「もういい、お前たちが俺にどんな評価を出しているのかはよく分かった」
ストーム1は黙考の姿勢をとり…
「よし、作戦を説明するぞ
今立てた未検証のプランだから穴は承知で聞いてほしい」
「「了解」」
「結論から言えば…徹底的にアウトレンジから押しつぶす!まずは俺がネグリングとイプシロンを要請する!ストーム3はネグリングを
ストーム2はイプシロンを使ってくれ!」
「ストーム1はどうするの?!」
「俺か?俺は…」
ストームは、右手でサムズアップして
笑いながら言った
「
私達が呼ばれた車両に乗り込むのに
時間はかからなかった
「誘導サイト、ロック完了、撃てるよ」
「こちらもサイトオン完了だ」
照準を揃えて、発射準備を完了した二人は
ストーム1のレーザー式ポインターで
誘導されるその先へ、
それぞれの攻撃を解き放つ
「イプシロン自走レールガン…」
「ネグリング自走ミサイル砲」
「「fire!!」」
轟音とともに、戦騎の炎は放たれ
遥か彼方へと駆けて行き……
ドォォオン! という爆音と共に
最精鋭と思われる敵艦隊を全滅せしめた
パワーアシストによる火力補助を受け
最高火力を発揮して
かつその弾頭を的確に誘導する
配下の妖精が弾着観測をせずに迫撃砲を放っていたのは、ストーム1が
くれると信じ切っていたからなのだろう
「よし!やったぞ!」
「まだ油断するな!
弾切れするまで撃ちまくれ!」
「もう撃ってるよっ!」
EDFの威信は正しく示され
侵略者を撃滅した…とまでは言い切れないが、それでも敵に大損害を強いた
ビークルの攻撃力はミッションランクと機種依存、そして今使用されているのは
両者ともに最終段階の機体
同シリーズ内最強の組み合わせだ
「このままいくぞ!」
「私は艦娘達に指示を出し直すよ!」
「了解だ!俺も火力支援に入る!」
私はストーム1、2に前線を任せて
艦娘達の現状を把握し直し
編成を再構成し前線へと集中するように指示を出す
「呉第一艦隊は艦隊を1.2.4番艦と
3.5.6番艦に分割、以降
それぞれをa隊、b隊と呼称する!
まずはb隊が右翼アルファに
続いてa隊が右翼チャーリーに!」
「ラバウル第一艦隊は艦隊を全員まとめて左翼アルファを守って!そこだけ守ればいい、ストームが左翼ベータ以降を対応する
横須賀第一艦隊は中央と右翼デルタ
およびベータを防衛!中破艦は迷わず退避して!鳥羽に引っ込んでるのは誰?」
これ以上ないほどのスピードで言い切り、未だ損傷修復中の加賀に連絡を取る
「こちら遊撃隊ストームよりストーム3、加賀っ!貴女の見地を聞かせて!
現状の前線に出ている空母は蒼龍と赤城だけ、修復中の飛龍、瑞鶴、翔鶴はどれくらいで復帰できる?現状の対空能力で制空拮抗は可能?」
突然の連絡にもかかわらず
ドック内らしき音の中で、
加賀が通信に応じる
〈こちら空母連合艦隊所属、三番艦加賀、ストーム3へ返信、まず復帰は難しいわ、中破艦娘も完全回復まではドックから出られない
耐久の高い瑞鶴は一歩遅れるとして
飛龍単独ならあと8時間ほどのはず〉
「…到底間に合わない…!」
空母の回復はないものとして考えなくてはならない、現状の空戦能力はカロンが
墜とされれば無いにも
等しくなってしまうだろう
〈対空については、現状の戦線を鑑みて…可能よ、ただし拮抗を維持できるのは
対空に特化した摩耶と天龍、それに秋月が落とされるまで、そうなったら劣勢どころでは無いわ〉
「了解、切るよ!」
〈了解、私はもう前線に立てないけど〉
加賀の言葉を聞きながら
私は通信を遮断する、
その最後の一瞬に、聞こえた
〈…ご武運を〉
フツン、という音と共に
通信が終了し
「……ありがとう、頑張るよ」
私は、再び戦意を固めた
「ストーム1、制空権は拮抗を維持可能、条件は秋月、摩耶、天龍の三人が生存
かつ対空戦で撃墜を上げること!」
「了解!」
「ストーム2はここの防衛をお願い!
私はすぐに後方へ鎮守府側に行って
鳥羽の艦娘たちを誘導してくる!」
「おう!行って来い!」
宣言しながら跳び上がり
空中で姿勢転換、砲撃の反動で移動して、斜めに落下し、加速
水を蹴って、ウィング起動
ブーストと同時に再跳躍
「走って急ぐよ!」
私は再び戦場を駆ける
私の速度を至近距離から捉えられる者はいなかったようで、
平然と深海棲艦の横を通り過ぎる
そして
「よし!たどり着いた!長門!
艦隊ひっぱってきて!私が先導するから、敵基地の方に行くよ」
「了解した!」
艦隊旗艦として前方に出る長門を引いて
私は来た道を逆行する
当然妨害に溢れた道のりだが
「どけぇっ!」
「そこだよ」
艦娘たちの一気呵成の砲撃により
道を強引に突破する
「…よし!抜けたっ!ストームコードより発信!こちらストーム3
現在鳥羽の艦娘を牽引中、敵陣を突破した!これより仮称基地島に上陸する!」
〈了解だ〉〈ストーム1了解!〉
通信に叫ぶと同時に体勢を変えて
一気に加速し、反転跳躍
トビウオのような背面跳びの状態で
ミラージュ15WRを発射
上空の敵機を撃破しつつ反転着水
スピードを殺さずにバック滑走で移動して
「こちらストーム3!鳥羽の艦娘と共に基地島防衛圏に接触!」
「了解だ!早く入れよぉっ!」
ストーム1の声が聞こえると同時に
私は鳥羽の艦娘の長門、山城、時雨、電を率いて…艦隊後方に追いすがる深海棲艦に撃たれながら
ストーム1が展開したトーチカの防壁に艦隊を引っ張り込んだ
「よし!ストーム4へ通信は?」「ダメだ、何度もやったが、通じない」
トーチカの防壁は敵の砲撃を受けてバチバチと鳴っているが、それを砕けば
視界の彼方からカウンターパンチが飛ぶようになっている
「ストーム4は依然、通信に応じない
なんらかのジャミングが起きている可能性が高い、通信は諦めた方が良い」
「やっぱりダメか…帰ってくるまで
待つしかないよね、時雨!」
「っ!きゃぁぁっ!」
トーチカが破られ、
その先に隔てられていた攻撃が
艦隊へと襲いかかり
続け様に展開された新たなトーチカが障壁となって防ぐ
「トーチカそのものがあまり長くは保たないな…持久戦は不利だぞ」
「クソッ!弾切れだ!だれか弾を!」
「誰かって二人しかいないよね、はい」
アーモパックの中に同梱されている弾を、ストーム2に渡して
私も武装の冷却とエネルギーのリチャージを再開しつつ
「二人とも、一旦後退するよ
基地内なら敵の攻撃を制限できる」
「乗った!」
「俺の火力は…まぁ仕方ないか」
〈こちらストーム1!ストームチームは鳥羽鎮守府第一艦隊と合流した
これより、敵基地内に再侵攻する!〉
ストーム1が通信で宣言してから
「早く!山城さん掴まって」
「ええっ」
私は山城、ストーム1が長門
ストーム2が電を連れて
EDF流のクリアリングと同時に
基地内に再突入する
「涼!涼!聞こえてる?
聞こえてたら早く帰ってきて!」
時雨は通信越しに話し聞けているが
謎の電波障害で通じていない…
しかし、
〈こちらクローサー、どうした?〉
奇跡は起こった
「僕だよ、悪いけど早く戻ってきて!」
〈何があった?!ついでにどのくらい経った?!〉
「もう二時間だよ!バカっ!
深海棲艦の攻撃が激し──キャッ!」
その瞬間、入り口近くに展開されていたトーチカが破られ、飛び込んで来た
砲弾の破片が時雨に掠る
その声を聞いた瞬間
ストーム4の声が変わった
〈了解だすぐ向かう、ついでに新しいEDFの仲間を発見したと伝えろ!〉
「伝えるも何も聞いてるよ…切れたし」
まったく、こっちの通信には全く応じずにのんびりしてたクセに、時雨が
一声かければ『すぐ向かう』か
いいご身分ですこと
……まぁ、そこは?アベックの特権ってやつかも知んないけどさ
私?うるさいよ
「…もうじき来るよ、
「あぁ、聞いてたよ」
「全く、若いってやつかね」
ストーム一同ニヤニヤである
ニヤニヤ笑いを崩すことも無く周囲の深海棲艦を処理していくのは
それだけの実力がある事の証左
そして、程なくして
地獄の様な光景の中に
二筋の光条が閃く
「クローサー到着!ついでに突貫する!」
「はじめまして!そしてグリムリーパー3戦闘開始!」
到着するやどころか減速中に迫撃砲をぶっ放して、反動で停止するストーム4と
……どこかで見たような色の
パワーフレームを装備した男
どう見ても…いや、もしかしたら違う人物かもしれないから一旦は
他人として扱うことにしよう
「あとで教えてもらうぞ
ストーム1 ゴーッ!」
「大変なことになったな、ストーム2、
他の二人は早くも新参を
味方戦力とカウントしたらしい
流石実戦経験が違う…それじゃ
私も
「厄介者だけは勘弁してね!
ストーム3、
私はウイングを広げて…加速
敵の後ろを取るために壁へ足をつけ
その瞬間
「デプスクロウラー 全門斉射!」
天井に張り付くという
どう見ても物理法則に喧嘩を売った挙動で上を取ったデプスクロウラー(with inストーム1)はそのまま火力を発揮して
マシンガンやらロケット砲やらを全て一人で制御して扱い、敵軍にその殲滅力を遺憾無く叩き込む
「うぉぉっ!」
ストーム2の方は、
武装を展開しつつ水際に出て
障壁に接近して来る深海棲艦を寄せ付けない弾幕を張る…
弾幕とは(哲学)
間違ってもゲームのような画面を埋め尽くす物じゃないんだが…
「まあいっか、フッ!」
フェンリルでの深海棲艦5枚抜きから
高速移動で敵の後ろを取り
「喰らえ」
マグ・ブラスターを叩き込む
即座に後背に迫る艦隊を
サンダーボウガンで焼灼
「はい!あーエネルギーが!
次!これ単発なの?」
しっかしまぁ、
初めて使うような武装ばかりでは
スペックの把握にも漏れはある
もう赤ラインに来てしまったエネルギー残量を確認しつつ
最初からチャージ済みの大規模攻撃型圧縮プラズマ砲
プラズマキャノンを発射するが…
「あっこれはまずい」
その瞬間、残り僅かなエネルギーが
プラズマキャノンに吸われて底をついた
「やっちゃったし…いやいや
レイピアは弾数制だから」
好機!と迫って来る深海棲艦の首をレイピアで射抜き、ストーム4がつれてきた
グリムリーパー3を見遣る
口の悪い罵り声と共に
ブラストホールスピアやフォースセイバーやらで的確に攻撃を加え
圧倒的な装甲能力で敵の攻撃を無視して進む黒い姿があった
「アタックファンクション!」
ストーム4の方から喚声が聞こえる
その直後に、ストーム4は
「『シューティングスター』」
スピアで突進しつつ貫通した敵をまとめて
「『ライズショット』!」
ガトリングで殴りあげて爆殺
「『乱れ撃ち』!」
すぐさま肩の迫撃砲で冷却を考えない連射を放っては跳躍して
「『ギロチンカッター』」
迫撃砲の爆発で浮かせた相手を二段狩り
直後に装備をハンマーに持ち替えて
「『アースクエイク』!」
地面をぶっ叩いて衝撃を飛ばし
抉り取った勢いのままに一回転した
体を空中で静止させ、76ミリ砲を起動
「『ホークアイドライブ』!」
本来三連射であるところを規格外の四連射
さらに着地と同時に腕を引き
「『焔崩し』!おまけで
『グングニル』!」
炎を纏った(どこから出た?)両手で拳を握り、接近して殴りつけ、その炎をブラストホールスピアに流し込んで炎の尖刃を飛ばす
「おーおーやってんねー…」
様々な技を連続で、高速で、かつ
重複なく放つ技巧は素晴らしいと思う
「はぁ、はぁ…いなくなったか?」
たしかに視界範囲は完全焼却された…あくまで、『視界範囲は』だが、
「それが、フラグじゃなきゃね」
壁の裏からぞろぞろと新しい団体さんのお出ましである
「それなら最悪、そこに、鬼級がいるぞ」
「マジ?」
「マジだよ、はぁ………
さっさと殺ってしまおう」
「了解」「おう」「やろっか」「あぁ」
私たちは全員で即座に合意して
通常種の深海棲艦数十隻と、それらを率いる鬼級八隻という、連合艦隊としても
些か戦力過剰に見える敵艦隊の前に立つ
「ちょっと!無茶だよ涼!」
そこで心配するのはストーム4だけなのね?さすが恋する乙女
「大丈夫だ、レ級とは違う
仲間がいるからな、時雨は休んで」
キメ顔のストーム4は、
表情を即座に消し去り
その意図を汲んだ四人と並ぶ
「あら?まだ楯突く気なの?」
「悪いが諦めは阿保ほど悪いんでね」
「そう、ミんナ、ヤルワヨ!」
戦艦棲鬼が叫ぶと同時に
その背後の深海棲艦達から砲撃が飛んでくる、その数は凄まじいが…
「「ディフレクト!」」
隊列の両端から即座に前に出た
二人の
敵由来のテクノロジーを応用した
非実態型物理反転障壁
ディフレクターを起動
二つのシールドから放たれた輝きは
深海棲艦の砲撃を全て反射する
「お前達は僕の艦娘を人質にして、挙句殺した、その償いはしてもらおうか!」
「全力で征こう。初めてだよアグレッサー以外で本気になるのはな!」
前に出た二人、ストーム4とグリムリーパー3が宣言する、それと同時に
「「オールウエポンズフリー
モードチェンジ───」」
二人で言い切りながら
盾を下ろし…グリムリーパー3から
「『Dead Memory』!」
鮮血のようにも、戦場の血飛沫にも見えるオーラが溢れ出し、
──いつまでも、一緒ですよ──
薄れた声とともに、緋色の鎧が輝く
一方、アークキャリバーを構えた
ストーム4は
「『Iron Rain』!」
装甲からわずかに見える生体部に
金色のオーラが弾ける
──力を貸してやる…何度でも──
男の声とともに、
オーラは一際強く輝き…
その瞬間
私は全く違う戦場にいた
「…ここは…いや、敵がいるなら
戦うだけだ!」
マグ・ブラスターを握りなおして
周囲に警戒を振りまきながら
私は現在位置を把握しようとして
「いい覚悟だが、まだ甘い」
背後に現れた男に声をかけられる
「俺はスターター、いま外で戦っているクローサーの元相方だ」
「クローサー…ストーム4の相方?
なら何でこんなところに…いや
まず外だと?」
「随分頭が早いな、さすがはペイルリーダーの弟子と言ったところか
まず…状況を説明している余裕はないな、手を貸せ!」
その言葉と同時に、何処からともなく巨大なクロアリが出現する
「まずはあいつだ、特徴は把握しているな?」「もちろん」
「なら話は早い…やるぞ」
「了解」
それから私は、様々な敵と戦い続けた
スターターを相方として
徐々に増えていく敵戦力を叩き続け、転戦した…そして、理解する
これはストーム4、いや
クローサーの体験してきた戦場だと
「ついにここまで来たな…」
「その口ぶりは、何かあるんですか?」
「いや、ここにあるのは一つだけ
…この世界からの脱出口…扉だけだ」
っ!
それは私が望んでいたもので
同時に、
「…そう」
「そうだ、…だがその前に
ここの番人を倒す必要がある」
その声が放たれた瞬間
ラスボス…
ラズニードネフィリムが顕現した
「…こいつがラスボスね」
「あぁ、そしてこれが
俺の体験した、最後の戦いになる」
「そう、お別れになるわね…でも」
私はマグ・ブラスターFDXを取り
ネフィリムに向かって構えながら
スターターに告げた
「私たちはEDF、例え戦場が違っても
例え道半ばに倒れても、その志はただ一つ
この地球を守るという決意」
「あぁ、倒れ、散った者達の遺志を継いで、残された者達は戦い続ける
遥か彼方の勝利のために
…行け!ストーム3」
返る言葉も、また同じ
「了解──ストーム3 突貫する!」
私は勢いのままに、
4枚の羽を広げた堕天使に突撃して
その体を貫通した
──頑張れよ!──
「うん、頑張るよ!」
声とともに、現実側に帰還する
「っ!」
その瞬間、グリムリーパー3と
ストーム4が突進して行く
「グリムリーパー、貴様裏切リオッテ」
「悪いけど元より手を組んでいない
懐柔出来るかと思っただけだよ」
「テメェ、舐メヤガッテ!」
重巡棲鬼が叫びながら放った主砲を
首先だけで躱して、瞬間加速
円の動きで対象を撹乱
ターゲットを中央に固定
「まず1匹」
そのまま速やかに火力を集中
「次」
最後は中央を突破っ!」
「終了」
左腕に大きな
一声と共に腕を振り抜き
相対する全ての鬼級をなぎ払った
「榛名、みんな、ごめんね
まだそっちに逝くのは許してもらえなさそうだ」
──会えないのは寂しいですが
ゆっくりと、お待ちしております────
オーラが消失して、鎧が外れる
そして、敵のいなくなった青い海を茫洋と眺め
頬を僅かに鳴らしながら
それでも涙は溢さずに、空を見上げる
その眼に映る空は、未だ暗い
一方、ストーム4は
「俺が凸りますんで、ストーム3はその後に続いてなんでもいいんで攻撃、ストーム1は誤射構わず空爆を、ストーム2は支援射撃と、隙あらば来てください
あとは、
作戦は継続している
暗にそう言いながら
ゆっくりと前に出る
「ヘェ、ソンナ程度デヤリアウツモリ?」
「………」
動揺を誘うつもりだったのだろう煽りは、なんの波風も立てずに過ぎ去る
そう、ストーム4、クローサーは
怒っている、すごく
会話すら無視するほどに
「全門、徹甲弾至近斉射」
無言で近づいてくるストーム4に苛立ったのか、戦艦棲鬼が砲撃を始め
しかし、E-フィールドで防御される
「……で………は、……………りだ?」
その瞬間、声音と経験が
答えを導き出す
彼が呟いたのは
「ここまで怒ったのは、何時ぶりだ?」
戦場を風が往く
無風であるはずの海面に
細波が立つ、それは常の現象とは異なり
ストーム4を中心として
渦を巻く
それは闘争の渦
クローサーが背負う業の一つ
それは敵も、味方も隔てなく
彼へと全てを引き寄せる
その果てに待つのが、
平等な死だけであるとしても
「「俺は、お前らの存在する事実自体を許しはしない」」
ストーム4の声に、記憶で聞いた、
『だから、ここに宣言する』
ゆっくり声が響き
その声を聞くたびに
私の視界は、
美しく、悍ましい琥珀色に染まっていく
『EDF北米支部、総司令官直属遊撃部隊ブラスト所属、コールサインブラスト
排除を開始する』
視界が完全に琥珀色に染まる
その直後、ストーム4が跳んだ
他の何に捉えられなかろうと
彼が何をしようとしているのか、
彼がどう動くのか
私は彼と同じ、
彼の
だからわかる、彼が何をしたいのか
彼が何をして欲しいのか
突撃したストーム4がアークキャリバーで切り掛かり、当然のごとく戦艦棲鬼が進み出て防ぐ
特性上、刀身の維持が難しいはずのフォースブレードであるアークキャリバーで
戦艦棲鬼と鍔迫り合いに突入した
そのタイミングで、彼の背を見る
その背には未だ焦燥の色はなく
ただ信頼がうかがえる
「なら私も……」
その信頼に応えようじゃないか
「っ!」
急加速で突進を仕掛け
レイピアのトリガーを引きっぱなしに
「必殺ファンクション『レーザーカッター』」
そのまま薙ぎ払う!
「躱セ!」
叫び声とともに、戦艦棲鬼に飛びついた
重巡棲鬼が後ろから引っ張って
戦艦棲鬼も回避してしまった
「「チッ!」」
ストーム4とシンクロした状態で
舌打ちを一つ
同時に砲撃を回避した
直後に飛来する、ストーム2のヴォルカニック・ナパームによる爆炎
それは視界を遮り、状態を確認できない空間を作り出す可能性があるが
「Air Ride ゴー!」
ストーム1に、そんなことは関係ない
私はストーム1の呼び出した戦闘機に先んじて超加速、爆炎の中に突入して
「死ね」
一番近くにいた標的、空母水鬼の首へと右足を振り抜き、その首を刎ねる
無論、爆炎に入る前に位置を確認したし、狙い通りの相手だ
そして
「コノママデハ──空母水鬼!艦載機ヲ!」
既にいない戦力に指令を下し──
貴重な時間をゴミ箱に捨てた
「オイ!空母水鬼!聞イテイルノカ!艦載機ヲ!」
「お探しはこの子かな?」
見事な断面を晒した少女の首。放り上げて視線を誘う、もちろんその程度の誘導
ほんの一瞬、
意識を逸らす事しか出来ない
極限状態で、その隙を見逃す者はいない
軽巡棲鬼と重巡棲鬼の二体も
その例には漏れなかったのだろう
青い閃光と球体に、それぞれ撃ち抜かれて爆死する
ストーム2の『TZストーク』による精密射撃とストーム1の『イプシロンブラスト自走レールガン』による狙撃である
「やれ!ストーム4!」
「今だ!」
二人の声に押されるように
ストーム4は跳ぶ、しかし
戦艦棲鬼に到達する寸前で
砲架が廻り
ストーム4へと向かう
その全ては見えている
「───Iron Rain、双眼───」
ストーム4の宣言と共に
私もまた、脳使用領域を引き上げられているからだ
「Over Lord──Psinonic Burst」
サイニックバースト、サイオニックリンクの接続先を無制限解放して
莫大な負荷で使用者を廃人にする代わりに、戦場中に意識を広げる特殊使用
サイオニックリンク適正が『S』でなければ使用どころか起動すらできない裏技だ
私の脳が負荷に軋みをあげると同時に
意識が接続される
急激に減速する視界に、砲撃の軌道を捉え
その回避コースを構築する
「……脚部」
私と同じ歩法で急加速
スラスターを私のウイングと同様に
ブースターとして使用して、海面を蹴り砕き
砲撃の隙間を通り抜ける
『Lost Word 「平和」』
金色のオーラが、
宣告と共に一際強く輝きを放ち
空中で回転したストーム4は
その勢いのままにブレードを振り切る
『Mission Complete ビジネス終了」
重なっていた声は消えていく
同時にオーラも薄れて消える
私の視界も、琥珀色から復帰する
「「ありがとう、スターター」」
彼の声とともに、私も呟く
ふと笑って、倒れるストーム4へ駆け寄る時雨を眺める
『ストーム4!?』
『クローサー!』
「涼!どうしたの?」
急に倒れたストーム4に慌て出す周囲、ふむ、なかなかいい空間だ
この仲間達を、大切にね
私はもう一度だけ笑って
作戦終了後の撤収作業に名乗りを上げた