王のヒーローアカデミア   作:ピーシャラ

17 / 27
現実逃避して書きました。
テストベンキョウシタクナイ。


戦闘訓練②今思ったけどなんとも平凡なサブタイ。

 麗日さんの個性で二階からビルに潜入し核の捜索を開始する僕と麗日さんはおそらく恐らく来るであろう敵襲に警戒しながら進んでいた。

 落ち着け緑谷出久、まずは情報整理だ。

 

 

 

 ーーーまずこの訓練のルール。ヒーロー側は核の確保、敵を捕獲認証テープで全員捕まえることが勝利条件。敵側はヒーロー側を捕まえるもしくは制限時間まで核を守ること。

 

 

 ーーーヒーロー側は核の居場所が分からないプラス敵側の個性が不明な状態でのスタート。

 

 

 ーーー個性はまだいい。幸いなことに三人の個性は把握している。問題は核の確保と確実に僕を狙って来るであろうかっちゃんの対処だ。

 

 

 ーーー核の防衛には飯田くんがつく筈だ。かっちゃんは麗日さんより核を取る可能性が、危険度が高い僕を逃す事は確実にない。絶対ない。僕が抑えられてる間。機動力の高い飯田くんが核を持って逃げられたらまだ速さに欠ける麗日さんに勝機は恐らくない。

 

 

 ーーーなら機動力に勝るものを。

 

 

 ーーー訓練が始まる前に作戦の概要と共に麗日さんに渡したアイテムは上手くいけば飯田くんに勝てる代物だ。仮に飯田くんに麗日さんが触ることで無重力状態に出来たなら主導権は握ることができる。理想的なのは無重力にした状態でアイテムを使うことが出来れば飯田くんを完全に無力化することが出来る。

 

 

 ここまでの熟考に1秒の半分。普通の人間ならばまず真似する事ができないことを緑谷は長年、自分よりも圧倒的に強さの格が違う相手と戦って来た己の身を守るために思考を早く、並列的に、動かすための訓練を戦いの中で養ってきた。

 

 

 ーーーかっちゃんの個性は性質上、隠密行動にとことん向いてないけどそんな事はかっちゃんも承知の筈だ。と言うかその事で相談もされたし克服するための練習もしこたま見てきた。

 

 

 ーーーあぁ。本当に強いな。

 

 相手の強さに歯噛みしながらも周囲を警戒しもしかしたら次の曲がり角で来るかもしれない奇襲に構えていた。が…

 

BOOOM!!!

 

 突如曲がり角の手前、二人が通ろうとした壁が爆散した。動物の勘なのかなんとか麗日を庇い避けることのできた緑谷だがフードの切れ端が少しだけ焼けてしまい。ギリギリだったのが目に見えて分かる。

 

「やっぱり来ると思ったよ。かっちゃん」

 

「やっぱ避けやがったかクソが…」

 

 勿論壁を爆発させたのは爆豪である穴の開いた壁から現れると今度は互いにお互いの行動を予想していたのか睨みを利かせあいながら悪態を呟きお互いに相手の次の行動を伺っていた。

 

「………おい丸顔早くいけや。上でメガネが待ちくたびれてんだ」

 

「「!?」」

 

 口火を切ったのは黙っていた爆豪だ。明らかな待ち伏せ発言に動揺し同時に警戒する緑谷と麗日。それはそうだ。自分たちが考えていたことを相手から提案されるんだ。そりゃ警戒しないのはかなりのアホか間抜けだけである。

 

「……行って麗日さん」

 

「っでもデクくん!」

 

「行って!」

 

「ッ……無理せんといてよ!」

 

 緑谷は理解し半ば諦めていた。

 いつかは緑谷と爆豪が、麗日と飯田が対峙する構図になってしまうんだそれが少し早まっただけ。

 

 別の道を探しながら走り去ってゆく麗日を背にし緑谷は懐から馴染み深いスタンガンを取り出し戦闘態勢をとる。

 

「来ると思ってたよ。かっちゃん…!」

 

「…そう思ってんなら早く動けバッーカ!」

 

 叫びながら突貫し隙のない動きで自分を爆破せんと腕を伸ばす爆豪に緑谷はスイッチを入れっぱなしのスタンガンを爆豪に投げ捨てる。

 突如迫ってくるスタンガンに一瞬驚いた爆豪は籠手でそれを振り落とすが目の前にはすでにスタンガンを回避するためにできた隙を突こうと右足を自分の鳩尾に叩き込もうとする緑谷が迫っていた。

 

 急いで振り落とした逆の手にある籠手を盾がわりにして防ぐがはじき飛ばされ壁際まで飛ばされてしまう。そのまま一直線に加速した緑谷が距離を詰め連続して殴りかかるが既に体勢を立て直した爆豪に全て見切られ避けられると振り抜かれた腕を掴まれそのまま投げ飛ばされてしまう。

 ひらり、綺麗に体勢を整えた緑谷は素早く個性を全身に巡らせ今度は壁を蹴りながら進路方向を悟らさないようにジグザグに走りながら爆豪の眼前近くまで迫るとそのままの勢いで殴ろうとするが上体を仰け反った爆豪に簡単に避けられるとすれ違いざまに爆破され壁にぶつかり地べたに転がる。

 

「ガハッ!」

 

「なに寝てんだ!」

 

 容赦なく追撃してくる爆豪を超スピードで避けるがそんなもん知らんと言わんばかりについてくる爆豪に緑谷は冷や汗をかいていた。

 

「核がある部屋にはなにがある!かっちゃん!」

 

「教えるわけねぇだろがー!!」

 

「だよね!」

 

 激しく戦いながらおしゃべりをするなんていう器用なことをしているが緑谷だが結構余裕がなかった。単純な力比べと技術だけなら緑谷の方が上ではあるがそれ以上に爆豪の並外れたというか、人外クラスの反射神経と動体視力、圧倒的に戦いの運び方が上手いのだ。

 

「その代わりテメェらが勝つ方法を教えてやんよ!」

 

「え!?」

 

 目をぎらつかせ凶悪な笑みを浮かべながら両手を広げると狭い通路の壁に手を突っ込み爆破をうまく使いながらガガガガッという音を出しながら壁を削り迫ってくる強敵に急いで先ほどまでの戦闘で既に壊れかけの壁を蹴りなんとか通路の端っこ、このフロアの四隅の上にへばりつく。

 

「それはよ……!」

 

 壁から手を抜き今度は外と隔てる壁以外の、このフロア全体の壁を爆破し笑いながら壊し始める幼馴染がだんだん怖くなってきた緑谷がえぇ…っと恐怖通り越して困惑してきたところで最後の壁を壊し終えた爆豪が振り向き高々と宣言した。

 

「俺に勝つことだ!!」

 

「……………えぇ…」

 

 

声に出た。

 

 

 

『デクくん!』

 

「!麗日さんどうしたの!?」

 

 一瞬の間。幼馴染の奇行にフリーズした緑谷だったがすぐさま復帰し支給されていたインカムから聞こえてくる麗日に答える。

 

『飯田くん見つけたし見つかった!核が見当たらん!あと飯田くんの演技がくさい!』

 

え"?!

 

 インカムの向こうでなんだか飯田の悲しそうな声が聞こえたが今は無視しておく。

 

「他の所は?」

 

『全部見たけど無かった。でも飯田くんの後ろに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()多分それ!」

 

 二人の会話が聞こえたのか緑谷を叩きのめすために近づいていた爆豪の片耳がピクリ、と動いた。その一瞬の動きを見逃さなかった緑谷は迫ってくる爆豪から逃げ聞こえないように麗日から何回か話を聞いたあと指示を出すと通信を切った。

 

「おい…丸顔になに吹き込みやがった。デク!!」

 

「…教えるわけねぇーだろがー!!(爆豪ボイス)」

 

「……ぶっ殺"す!!!!!」

 

 安い挑発で眉間に大量のしわをよせ目を極限まで釣り上げながら吠え、激怒し、迫ってくる猛獣を緑谷は拳サイズに砕かれた壁の破片を猛獣に投擲する。しかしそんなものは猛獣は意にも介さずギリギリ、最小の動きで避け緑谷に迫り爆破を繰り出す。

 

 現在この男の頭には目の前にいるバカをどうやって最短でぶちのめしてどんな報復をすることしか頭にない。が結果的にそれが勝ちにつながるのだが結果オーライになるのだろうか?

 

 そんな考えをある程度理解している緑谷は作戦通りと淡々と思い次に自分がすべきことを行動に移す。砕かれた破片を拾い、ぶん投げ、拾い、ぶん投げ、拾い、ぶん投げてはたまに視界を塞ぐぐらいのものを拾いぶん投げる。そうやってこの工程を繰り返し自分を爆破せんと迫り吠える爆豪と距離をとり時には隙をついて自ら近づき確保テープを巻きに行く。

 

 殆どの攻撃は避ける、弾くか爆破して防がれていくが緑谷はそれでいいと心の中でニンマリ笑っていた。

 緑谷の作戦は時間を稼ぐこと。いつもは冷静に物事を判断して動く爆豪も今は怒りでいつも通りの思考ができないことを知ってるがための挑発も、石つぶてを投げて距離をとるのも麗日が核を確保するための時間稼ぎだ。

 しかしそうして時間を稼いでるうちに冷静になり始め業を煮やした爆豪が仕掛けてきた。

 

「いつまでやんだボケェ!!!」

 

 足元にあった破片を掴むと今度は自分から緑谷に破片を投げ出した。普段あまり見かけない行動から驚いた緑谷だったがすぐに飛んでくる破片を撃ち落とすために自分も破片を投げ返す。

 

 しまったと思った時には遅かった。

 

 爆豪が投げたのは破片に自分の汗を付着させたものだ。空中でぶつかり合った破片同士は衝撃で爆発し周りに煙幕を撒き散らした。自分の視界が狭くなるのを忌避した緑谷はすぐさまバックステップで下がり煙が視界を曇らせることはなかったが壁に背がついてしまった。移動しようと動いた時には目の前に両の掌同士をかざした爆豪が無言で迫っていた。

 

 二度目の失策、ゼロ距離で爆豪の手から発せられた光が一瞬で視界を埋め尽くし何もできないまま緑谷は倒れ伏してしまい簡単に確保テープを巻かれてしまった。手慣れた動きでテープを巻き終わった爆豪はのびている緑谷の腹を一発蹴れば同時にインカムから麗日の声が聞こえてきた。

 

『デクくん。まずいよ!飯田くん捕まえられたけど核が!』

 

「なにがまずいんだぁ…丸顔?」

 

『ヒッ…まさかバクゴーくん……?』

 

 切迫詰まったような声で話す麗日に先程とは打って変わって驚くほど静かで地から湧き上がるような低い声で話始める爆豪は相手からしたら恐怖としか言いようがないだろう。

 

「メガネのヤローをどうやって捕まえたかしらねぇけどヨォ。デクのヤローなら俺の足元でのびてんぞ」

 

 そう言って再度緑谷の横腹を蹴る爆豪。うぐっと反応した緑谷を見て意識の有無を確認するとインカム越しにいる麗日の反応に耳を傾ける。

 

『マジで…………』

 

「まぁ、とりあえずだ。……今そっちにいってやっから待ってろ」

 

『ヒィッ!』

 

 この一言だけで麗日が絶望するのは難しくはなかった。怯えた声で叫んだ麗日はこの後なんとか奮闘するが虚しくも程なくしてオールマイトの敵チームの勝利宣言がビル内に響いた。

 

 

=====

 

「まぁ、あんな激戦してたけどベストは緑谷少年と飯田少年なんだけどね!」

 

「本当ですか!?」

 

「んでだぁ!?」

 

「落ち着いて、かっちゃん」

 

 次に目を覚ました時はかっちゃんにおんぶされた状態だった。今何かしらのアクションを起こしたらかっちゃんにぶん殴られそうな気がしたのでみんなと合流したら、ちょうど目が覚めたよ〜の振りをしようと考えていたのに秒でバレて普通にぶん殴られた後。

 モニタールームに戻るとこちらも激戦だったのだろうか、それともかっちゃんにこっぴどくやられたのか、ボロボロの麗日さんと飯田くんも加わり今はみんなの前で講評を受けている最中だ。

 

「何故だろうな〜…?分かる人!!」

 

「ハイ、オールマイト先生」

 

 先生らしいことをしたいのか勢いよく手を上げながら観戦していたみんなに問い始めるオールマイト。それにすぐに反応したとんでもないコスチュームを着た人が話始めるけど正直目のやり場に困る…。

 峰田くん…隣でガン見したら流石にバレるよ…。短い付き合いだけど君にはマリーちゃんを紹介できない……。親指立てないで!

 

「まず爆豪さんは中盤でフロア全体の壁の大幅破壊。これにより緑谷さんの攻撃手段を増やしたことによる失策。麗日さんも同様に気の緩みですね。敵役を言葉で自首するよう促したのは素晴らしいですが自首してきた敵をスタンガンで気絶させるのは如何なものかと。相手の対処をしつつ勝つ手を講じていた緑谷さん。飯田さんも同様の理由からです。ヒーローチームの敗因としては…敵チームの方が一枚上手としか言いようがありません」

 

「まぁ…飯田少年もかたすぎる節があったが…まぁ正解だよ…くぅ」

 

 いかにも秀才の解答をするすごい人。悔しそうにこんなことを言っているけど本当は、思ったより言われた……と思っているのか地味に焦っているオールマイトは次に僕たちに目を向けた。

 

「じゃ、じゃあそれぞれのチームの作戦はどうだったのか聞いてみようか!はい、爆豪少年!!」

 

「あ?………俺がデクの相手、メガネには丸顔の相手を、どっちもぶっ殺すか時間切れを狙っていた。メガネが負けた時ように核は一階に設置してフェイクとしてメガネには偽の核を守るようにさせたら見事にバカどもが引っかかった」

 

「核一階にあったん!?」

 

 聞かされたカミングアウトに模範のように驚く麗日さん。なる程、麗日さんの言っていたそれっぽい奴って言うのは偽の核か…。

 やり方がこうちゃんに似てきてると思ったけど言ったらもう一回殴られそうな気がしたので黙っておく。

 

「ふむふむ。なら緑谷少年たちは!」

 

「僕たちも向こうとほぼおんなじで…かっちゃんを僕が足止めしている間に麗日さんが核を確保するという作戦でした」

 

「ふむなるほど!うん、両チームともいい作戦だね!他のみんなもこれを参考にして挑んでくれよな!じゃあ次行ってみよう!」

 

 

 

 

 

=====

 

 あの後も順調に授業は進み放課後になるとクラスのみんなで反省会をしようという話になったけど何人かは帰ってしまった。

 最初の方は自己紹介とおしゃべりをしていたけど今はヒーロー科らしく個人の反省点や自分たちの個性を説明などをしている入り口のドアが叩かれた。

 

「……出久……勝己いる………?」

 

 開いたドアから警戒しながら半分だけ顔を出して教室の中を覗き込んでいるマリーちゃんが立っていた。僕とかっちゃんの姿を確認するとススス…とこっちに近づいてきた。

 

「あぁマリーちゃんもう終わったの?こうちゃんは?」

 

「おせぇぞマリー」

 

「…項羽は今日もまたなんかあるみたい……先に帰れって」

 

「あ?またかあのバカは!入学式んときも言ってなかったか!?」

 

「…ハウンドドック先生に怒られてたらしい……」

 

「何したのこうちゃんは…」

 

「知るか、帰っぞ」

 

「おー…」

 

「ちょっど待でェェェェイ!!!」

 

 そのままバックをもって三人で帰ろうとドアの前まで来たのに後ろからちょっと今は聞きたくない叫び声が聞こえてきた。

 

「緑谷ァ!爆豪ォ!誰だその天使のような美少女は!!女か!なんでおしえてくんねぇーだよっ!!!」

 

 峰田くんが目から汗を流しながら恨めしそうに此方を…というかバッチリ、マリーちゃんをガン見して叫んだらビクッと震えたマリーちゃんは一瞬で僕たちの後ろに隠れてしまった。うん。まぁこれは怖い…。

 

 他のみんなも普段見慣れないマリーちゃんに興味深々だ。

 特に今、食いついて来なかったけど上鳴くん。

 女子陣はすぐさま怯えた様子のマリーちゃんに同情し、峰田くんを罵りながらマリーちゃんを慰めていた。

 

 なんだかめんどくさい状況になったなーと心の中で呟いていると残っていた男子たちが僕とかっちゃんの周りにわらわらと集まってきた。

 

「お、おい。あの人誰だよ?緑谷」

 

「…マリー・ダルモン。中学からの友達だよ」

 

「今、挨拶しに行ったらどうなる?」

 

「…多分怖がられる」

 

「どうでもいいから早く帰んぞ」

 

「そうだね。ごめん今日は帰るよ。ありがとうね」

 

「おう、また明日!」

 

 空気を読んでくれたのか笑顔で手を振ってくれる切島くんを筆頭にまた、と声をかけてくるみんなに感謝しながら挨拶し既に女子と打ち解けているマリーちゃんを女子陣から回収すると血涙を流しながらゾンビのように這ってくる峰田くんから逃げるように教室を去った後。

 後ろから一緒に帰ると追いかけて麗日さんを加えて四人で仲良く帰ったけどこうちゃんは一体何してんだろう?。あとでメールで聞いてみるか。

 

 

 

 




気のせいかな爆豪がネタキャラと化しているような気がする。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。