王のヒーローアカデミア   作:ピーシャラ

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 とある部屋の雑談会。どうぞ



「失礼!カエサルはいずこか!!」

「あっ!十兵衛!もしかして、このカエサルに会いに来てくれたのか!嬉しいな。よしっ一発しっぽり……!」

「意味合いは違うが間違ってないな。一発殴らせろ」

「グフっ…もう殴ってる」ドサッ

「俺はお前の傷で死んだんだ。このくらいいいだろ。まぁその面なら問題ないだろ」

「十兵衛いらっしゃーい」

「久しいであります。十兵衛殿」

「あぁ。息災か?」

「ふふ。この場所でなんか事件とかあるのかい?あぁ。五虎将が一人、アドルフ=ヒトラーだ。よろしく」

「む、柳生十兵衛だよろしく頼む。さっきから気になっていたがあのテレビはなんだ?」

「あぁ。あれはね、我らがバカ王がなんの縁か再び生を授かってな、別の世界の映像を映しているんだよ」

「ほう。それは興味深い」

「超面白いんだよ。十兵衛も見てみなよー」

「わかったわかった。しかしここは狭いな」

「それは僕も思っていたよ」

「ダヴィンチ…」

「いっそのこと増築してみる?」

「は?」

「せっかく偉人、罪人、隔てなく集まってるんだ部屋の増築ぐらいわけないよ」

「しかし、どうやって。この部屋には材料なんてものは……」

「材料なら俺が作ってやる」

「お。頼もしいね。ガウディ」

「本編で出てきてねぇ奴がシャッシャッてんじゃねーぞ!悪め!!」

「うっせぇぞ。そこの酔っ払いども、改造してやろうか?」

「まぁまぁ。みんなも協力してくれないかな?」

『オオーーー!!!』

「力仕事なら肉食目の力ですぐじゃわい」

「オデモ…ヤル」

「あいにゃく猫は力仕事には向いていにゃいからにゃ!やめておくにゃ!」

「スティンガーもう出来上がってるぞ」

「放っておけ」

「姉様!私たちもやりましょう!」

「いいわね!いいとこ見せてやるわ!!」



ガヤガヤガヤガヤ…。



「…ねぇヒトラー」

「如何した?ダヴィンチ」

「項羽が願ったのはこういうのだったのかな?」

「…………きっとそうさ」

「こんなにも簡単なことだったんだ…」

「僕たちはな…あいつの世界はそう簡単にはいきそうもなさそうだよ」

「ううん。項羽なら大丈夫だよ。だって彼は」

「僕より優しいからね」






心操人使:オリジン

 ーーー時間は遡って。

 

 

 

 

「やっと終わった…」

 

「入学2日目で、なんでそんな死にそうな顔なってんだよ」

 

 やべぇ。最後の時間に数学はやばい。頭が溶けそうになる。なんで西耶はこんなもん嬉々として出来るんだよ。

 

 疲れでそのまま机にもたれかかったまま声のした方に目を向ければ肩にバックをかけた心操がいた。

 

「…お前に聞きたいことがある」

 

「…あん?」

 

 お前、俺を見下しながら話すんじゃねー。

 あ、俺が起き上がればいいだけか。

 

「入学式んときに、俺みたいな力を持った奴が必要、とか言っていたがどういう意味だ」

 

「………場所変えて話そうぜ」

 

 辺りを見回せば入学2日目でまだクラスのコミュニティの輪が出来ていない教室ではそそくさと一人で帰る奴や、名前も知らないクラスメイトに頑張って話しかける元気そうな奴。初の当番で日誌を書いている日直。隣になった縁で仲良くなった俺や心操みたいに喋りながら帰る女子達など。まぁ騒がしくなっていた。

 意外にも残る奴が多くここで話をするのはうるさすぎるし何より盛り上がらない。いやコイツ(心操)そもそもあの話して盛り上がるか?

 

 途中でダルモンとすれ違い出久たちと先に帰るよう伝えれば心操の姿を確認するや否や昨日のことを思い出した羞恥心のせいなのか走り去って行った。

 心操、小突くな。

 

 流石雄英と言うべきか人気のなさそうなところはなく転移も出来ず、結局普通に校門をでて近くにあった小さな公園で話をすることになった。

 

「それでお前は何を聞きたいんだ?」

 

 ジャラジャラと鎖を掴んだ瞬間、割と大きな音を出すバリアフリーに特化した大きめなブランコに腰をかけると、目の前に立っていた心操も立っているがめんどくさくなったのか怠慢な動きで俺の隣にあるもう一つのブランコに座ると少しだけ黙ったが相変わらず隈の多い目をしながらポツポツと話し始めた。

 

「……項羽はヒーローになりたいのか?」

 

「おう、俺の夢のためにな……」

 

「そうか…」

 

「なら…なんで、お前は俺がヒーローになりたいって分かったんだよ」

 

 そこで、何故か昔どこかで聞いた声がまるでカセットテープが再生されるように頭の中に流れ出した。

 

『心操、ヒーローになりたいらしいぜ』

『は!?あんな個性で?無理っしょ!』

 

 うるせぇよ。そんなこと自分でも分かってるんだ。

 

「自分でわかんねーのか?お前すげー羨ましそうな顔してたぜ」

 

 

 

 金属の軋む、少し嫌な音がする。

 

 

 

「…なんで、俺の力が必要なんだよ」

 

『心操君の個性。洗脳らしいよ…』

『嫌だ…怖い……!』

 

 うるさい。俺だって心底こえーよ…。

 

「お前の力が誰も傷つけずに誰かの役に立つことが出来るから」

 

 

 

 砂利の上に置いてある足と地面が擦れる音がする。

 

 

 

「……なんで、お前はおれを強くしようとするんだ?ヴィランになるかもしんねーのに…」 

 

『あぁいう奴が将来ヴィランになんのかー』

『なるべくして、なる!ってやつか?ギャハハハハハ』

 

 やめろ…。俺もいつかそうなってしまうって思ってんだ……。

 

「それはお前の思い込みだ。お前は何があったってヴィランにはならねーよ。憧れたんだろ?」

 

 

 

 心操の声がだんだん震える。

 

 

 

「………なんで、お前はここまで俺を気にかけてくる?」

 

『やはり先生もあの心操君に手を焼いていますか…』

『はい…はっきり言って個性が恐ろしくて、とても話が……』

 

 うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい。

 

「簡単。お前がヒーローになることを望んでいるから」

 

 

 

 

 鎖を握りしめる音を最後に、音が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

「……なら…お前の夢っていったい何だよ…」

 

 

「よくぞ聞いてくれたっ!!!」

 

 

 力のない、今にも消え入りそうなか細い声に反応した俺は、そう叫びブランコから勢いよく飛び上がるとブランコはジャランジャランと軽快な音を立てた。

 

 叫び出した俺に俯いていた心操が驚き顔を上げる。上げた顔は今にも泣きそうになっていて唇が震えていた。俺は天を仰ぐように両手を広げて心操に笑いかける。

 

「俺の夢は世界平和!どんな人間、性別、人種、人格、個性だろうが手を取り合って笑える世界を作る!!絵空事!これが俺の夢だ!!」

 

 客観的に見れば園児のような恥ずかしい、夢見がちな、ただのバカの考えをなんの恥ずかしげもなく叫ぶ項羽を心操は目を離せずにいた。

 

「だがしかし今んところ頭数がたりねぇ!ゆくゆくは、もっと増やすつもりでいるが、お前次第だ!」

 

 こっちに手を差し伸ばし太陽のように笑う項羽を見て、さっきまで頭の中で叩くように木霊していた耳障りな音が一つ、一つ、潰れて、小さく消えていくような気がした。

 

「ヒーローになれ!お前なら成れるぜ、憧れに!!」

 

 心操は目から溢れ出しそうになった涙を見られないように急いで拭う。隈に重ねて少し赤みがかった目で前を見ると目の前で大胆不敵にニヤついているバカに…ムカつくが、ある決意を誓う。

 

「………………バカみたいな夢だな……」

 

「最っ高だろっ!!」

 

 心操的には精一杯絞り出した中傷のなのに、褒め言葉としてとった項羽に笑顔で叫び返されてると自分も釣られて笑ってしまうと手を差し出す。

 

「…黒籍、俺は今すぐ世界中の人間と仲良くしろなんて言われても無理だ。……だから俺は、俺の周りにいる奴らから声をかけていこうと思う。例え、(いや)がられようが、否定されようが、しつこく寄り添っていく。それがお前の夢につながるのなら…………よろしく頼む」

 

 

 お前が誰かの為にその身を使うなら、俺は自分を救ってくれたバカ(ヒーロー)の為にこの身を使おう。

 

 

 どこか憑物が落ちたように照れ臭そうな笑顔をしながら手を差し伸べる新たな仲間を見て、まるで自分のことのように顔を綻ばせる項羽は素早く心操の後ろに回ると思っ切り背中を叩いた。

 

 突然の痛みに悶える心操を置いてカバンを持って帰ろうとするバカをどうにかして一発ぶん殴ろうと奮起するが素人の拳なんか世界最強に当たるはずもなく笑われながら避けられ更にムカつくのだが、周りから見れば今の心操は心から楽しそうに見えた。

 

 

 

 

「あ、そういやお前に会わせたい奴がいんだよ」

 

 

 

=====

 

「………………はじめまして……」

 

「どうも…………」

 

 いったい何を話せばいいんだ……。

 

 翌日、自分の発言を心底恥ずかしいと振り返り、一晩中布団の中で悶え黒歴史として封印した夜が明け、今は()()の紹介したいという目の前でこじんまりとどこか恥ずかしそうに顔を赤く染めて座る、曰く同級生女の子と何故か挨拶する。

 ふと、その女子の隣で口を手で覆い、笑いを堪えているバカに目を向けるとだんだん殺意が湧いてきた。

 

「何笑ってんだ……??項羽?」

 

「…いや〜お前らの反応が面白くて」

 

「…………殴る…」

 

「冗談だ」

 

 女の子が無表情で項羽に拳を向けるとあいつはケラケラと笑った後女の子と肩を組み始める。

 

「紹介遅れた!ダルモン、こいつは普通科の心操人使。新しい俺たちの仲間だ!」

 

「商業科のマリー・ダルモンです…。よろしく」

 

「あー…えっと、心操人使です。よろしく…」

 

 バカから紹介された女の子はダルモンというらしいが割とマジで何を話していいか分かんなくなってきた。しかし今は昼飯時の食堂。とりあえず置いてある食事の話題でも……。

 

「カレー好きなのか?」

 

「!?………うん…元々、向こうでもあんまり食べなかったし日本に来てから…友達の影響で……」

 

「来てから?…ってことは外国人なのか?」

 

「イギリス人…」

 

「!…へぇ、俺さ前から気になってんだんだけど、エッフェル塔、あれどこから登んの?」

 

「あれ普通にエレベーターあるよ……」

 

「まじか、ずっと歩いて登んのかと思ってたのに…」

 

「あれ何百メートルもあるのに…変なの……?」

 

「あとさ……………」

 

 心操から唐突に始まった捻りもない会話はその後も結構長引き、お互い楽しそうに話す様子をその横で話を嬉しそうにニコニコと見ていた項羽は内心ガッツポーズをしていたが現在彼の周りには話す人がおらず今始まった猫かわいい談義に割り込むのは気が引け、一人寂しく注文していた焼き魚の定食を突っついていた。それもなんだか悲しくなってきたので二人に一言いれ特に尿意はないがトイレに行くことにした。

 

「あとよマリー、一つ聞きたいんだけどさ…」

 

「………ん?」

 

「お前と項羽って付き合ってんの?」

 

「ッ!?………!!」

 

 猫かわいい談義が白熱し、喉が乾き始めたダルモンはコップに注がれた水を飲んでいると、項羽がトイレに行ったことを横目で確認した心操からとんでもない質問をされ咽せてしまい出そうになるが女の子パワーでなんとか堪る。

 

「な、なんでそんなこと聞くの…?」

 

「ん?あぁ、だってさっきもそうだが入学式の時もお前らと初めて会った時、距離が近かったからな、異様に」

 

「うっ………」

 

 未だにあの時のことを思い出すと恥ずかしい。出久たちの前なら多少、慣れておりあっちも慣れてからいいが初対面の人の前では恥ずかしいためなるべく普通にしているのだが、あの時は気を緩ました自分を殴りたいとダルモンは心底思った。

 

「項羽に聞いてもはぐらかされてな。まぁ、言いたくないなら俺の心の中にそっ…としまっておくよ」

 

「……初対面の割にグイグイ来るよね…」

 

「俺の方針だからな」

 

 で、どうなの?…とまるで恋バナに興味深々の女子のような聞き方をする心操にダルモンは内心、とても焦っていた。すごく。

 

 結論から言えば実は、この二人付き合ってないのである。

 

 前世では自暴自棄になったところを項羽に論され、添い遂げる人を探す旅(命名:項羽)をするため項羽と一緒に行動していたのだが、いつの間にか自分の心は項羽に傾いており、なんの後悔も惜しみもなく才能を彼の幕引きのために使い、最後の最後でキスまで発展したが今世で項羽に会った時。

 「今度こそお前にふさわしい相手探そうぜ!」…と言われてしまいフリーズしたのは記憶に新しい。

 

 あの時、素直に好きだと言えれば良かったものの…彼女はここぞという時にとんでもなくヘタレであったため頷くことしか出来なかった。

 

 …さて、ここで問題だがある。付き合ってもいないのに、腕に抱きつく、なんなら体に抱きつく、頭を撫でてもらう…等、どこぞのエロぶどうが聞けば顔中の穴という穴から血を流し、最早恨みに近いほどの羨望をするだろう行為を付き合ってもないのに!するのだ。

 

 極々、世間一般の感性を持つ人間が聞いたならばならば多少なりと引く事案である。果たしてこのことを今日、初めて言葉を交わした心操に言っていいのか…。ここは話したくないと一蹴するのが定石であるが…厄介なことにダルモンの乙女とも言える部分がこう叫んだ。

 

 項羽の彼女です……。勿論嘘である。しかし一度は言ってみたい。今世で興味という感覚が湧き、友人たちの間で回し読みした少女漫画のようなことをしてみたいと願ったことは少なくはなかった。

 様々な欲望と理性が渦巻いたあと、とうとう結論にたどり着き、意を決して心操に向き直る。

 

「…………私は…項羽と……」

 

 頬をリンゴのように赤くし机の下でスカートを握りながら一言一言、焦らすように話すダルモンを見て、心操は心の底からワクワクし、次の言葉を待っていた。

 

「付き合って………」

ウウーーーーーーーー!!

 

「「ッ!!?」」

 

 言いかけた途端、突如食堂いや学校中から、けたましいサイレンが鳴り響いた。突然の出来事は一瞬にして二人の間で流れていた空気を霧散させ替わりに別の緊張感を持たせる。

 

 無機質な機械の放送ではセキュリティ3が突破され生徒は避難せよ他の指示が入ると食堂にいた生徒たちはすぐに席を立ち我先にと出口の方へ向かい出す。しかし食堂の入り口が広いわけでもなく、一気に大勢の人間が雪崩れ込むようにはいってくればパニックになるのには時間がかからなかった。

 

「おいおい…これじゃ、けが人出るぞ……!」

 

「………だよね…」

 

 行ったら危険だと判断した二人は席から動かないようにし、最後尾周辺にいる人だかりを落ち着かせようと頑張るが、ほとんどの人がパニック状態に陥ってしまい、いかんせん言うことを聞いてくれない。

 

「仕方ない、洗脳で…!」

 

「そこまで考えが浮かんでんなら合格点だ」

 

「…項羽」

 

 最終手段で心操が個性を使い強制的に落ち着かせようと近くにいる人だかりに声をかけようとするが後ろから転移してきたのだろう項羽に止められてしまった。

 

「この騒動の元はマスコミ共だ。今、先生たちが対処しに行ってる。が、この状況に回す人手がないらしいので…心操お前の出番だ」

 

「…だから今やろうとしてたんじゃねーか!」

 

「一人一人、ちまちまやる気か?どーせなら一気に全員パァーっとやろう」

 

「全員て…無理だ。俺の個性は複数一気にやるのは無理なんだよ!」

 

「そのための俺だ。俺ならおまえの力を限界以上まで引き伸ばすことができる。いいからやってみろ」

 

「な…だけど、どう声をかければコイツら反応するんだよ!」

 

「知らん。頼れる人間の真似でもしとけ」

 

「ふぁいとー」

 

「………あぁ!クソッ!!」

 

 結構な無理難題に少しキレそうになった心操だが起こってもどうしようもないと悟り、毒つきながらも未だにパニック状態の群衆に向かう。

 

(頼れる人間の真似ね………この大群が一番安心できる奴つったら……何人か釣れればいいか…)

 

 一周回って落ち着いた心操は声を張り上げるために息を思いっきり吸い込み肺がパンパンになるまで膨れ上がらせた感触ともう一つ。喉あたりに何かが入ってくる感触を感じながら声を張りあがらせる。

 

「もう大丈夫…!!私が来たァ!!!」

 

「!!?オールマッ……!」

「オールッ…………!?」

「!?オールマイトおぉ……?」

 

 完璧ではないが象徴に寄せた声に反応し後ろから順々に応答した生徒たちは、たちまち洗脳にかかり動きを止まらせた。しかし、止まらすことが出来たのは全体の半数ぐらいしか洗脳出来ず。残りは単純に声に驚きこちらを振り向いただけの人間が多かった。

 

「チッ!おい項羽こっからどうする半分ぐらしか出来てねぇよ!」

 

「いや、上出来だ。あとはあいつがなんとかしてくれる」

 

 半分しか洗脳出来なかったことに舌打ちした心操は悪態をつき項羽に次をどうするか画策を問いただすが項羽は以前、落ち着いた様子で群衆の方を指差す。

 するとそこから脹脛から車で使われるマフラーを生やした生徒が飛び上がり回転しながら入り口に向かっている姿が見えた。突然の光景に心操が面食らっていると、入り口頭上の壁にぶつかるとまるで非常口のイラストのように止まった。しかも《EXIT》の文字を足場にしているため余計それを彷彿させる。

 この後、叫び出した非常口生徒の呼びかけによりなんとか事態は収束し、正気と落ち着きを取り戻した生徒たちは各々の教室に戻っていった。

 

 

 

 

=====

 

 食堂の一件後も通常通りに授業はされ、もしかしたら無くなるかもと淡い期待を抱いていた項羽の思いは簡単な壊され泣く泣く授業を受けていた。学校が終わりダルモンと合流した二人は他二名を置いて帰ることになり夕焼けが照らす道を歩いていた。

 

 

「はぁ…散々な目にあった」

 

「仕方ねぇだろ。マスコミは暇なんだ」

 

「…仕方ない………」

 

 気のせいか、いつもより髪がぼさぼさになり猫背気味になっている心操はため息をつきながら今日あったことを疲れを滲ませながらぼやいた。

 

「ちげぇよ…お前の無茶振りのこと言ってんだよ。俺は」

 

「そいつは悪りぃな。でもお前の力があったから、飯田…非常口が動くことが出来たし、誰も怪我しなかった。それはいいことだろ」

 

「それは…確かに」

 

「言った通りだろ、お前の個性は誰も傷つけない。俺には無理だ。世界最強にも出来ないことをするんだから、お前のその"才能"はすげぇんだよ。覚えとけ」

 

「…………それ、皮肉か?」

 

「褒めてんだよ」

 

「…そうかよ………」

 

 ここまで話すと三人の間に沈黙が流れ出す。

 

「そう言えば……」

 

 突然、ダルモンが何か思い出したかのように声を上げると項羽の方に首を向ける。

 

「…二人には心操のこと紹介しないの?」

 

「あぁ…そのことか。あいつらには体育祭後に言う」

 

「…………そう…」

 

「んな、悲しそうな顔すんなよ。いつか紹介すんだからよ」

 

「?……二人って誰だ?」

 

「………私たちの他に…仲間があと二人いるの…」

 

「へ〜…なんで後に言うんだよ。今でもいいだろ」

 

 そこまで言うと、二人の真ん中を歩いていた項羽が突然歩みを止め黙り始めた。何も喋らない項羽をみて不審に思った二人は頭に?マークを浮かべながら項羽を見ていた。それと、どことな〜く嫌な予感を感じて。

 

「おい。どうした?」

 

「…項羽?」

 

「………だろ」

 

「「??」」

 

「サプライズってなんかいいだろ」クワッ!

 

「「…………はい?」」

 

 見 事 的 中 し た 。

 

「あん?いつだってサプライズはいいもんだろうがー!?」

 

「時と場合によるな」

 

「…よるね」

 

 あぁ…またかと呆れる二人はそのまま前に向き直り食堂での続きであった猫かわいい談義を再び蒸し返しながら話し始める。すぐ後ろでは項羽が何か言っているが二人してスルーする始末だ。

 暫くすると黙って二人の後ろをついて行くがその後ろ姿は体躯に見合わずなんとも哀愁漂う悲しい姿だったと記しておこう。

 

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