この素晴らしい世界に祝福を!アナザー・ユニバース・アイアンマン   作:Tony.Stank

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第26話ㅤ最初に笑って、そして最後にも笑う

 さて、ベルディアの宇宙旅行を見送ってからアクセルの街へと戻ってきた訳だが…………。

 

「…………一体何があったんだ?」

 

 地面には、夥しい数の文章が掘られていた。

 鋭利なもので削るようにして書いたのだろう。

 

【殺してくれ】【殺してくれ】【殺してくれ】

【殺してくれ】【殺してくれ】【殺してくれ】

 

 ただひたすら、そう書かれていた。

 

 …………。

 ………………。

 

「なぁ、カズマ」

「トニーが空に飛んでいってからしばらくすると、ベルディアが急に苦しみだしたんだよ。殺虫剤を吹きかけられたハエみたいな動きで」

 

 カズマは淡々と語ってはいるが、どこか僕を責めるような、そんな雰囲気を滲ませながら話を続ける。

 

「そしてしばらくピタリと止まったかと思うと、狂ったように剣で地面にこう書き出してさ……暴れられたら困るって事で、ダクネスが鎧を剣で砕いて、アクアが浄化した。お前、一体何したんだよ?」

「…………頭部を宇宙まで持ってって棄てただけだ」

「…………正直引くわ」

「ギルドでパンツ脱がせ魔とかクズマとか言うあだ名が定着しつつある君にそう言って貰えると光栄だよ」

 

 そんなやり取りをしていると、横からアクアがケラケラと笑いながら僕の方へとやってきて。

 

「ねぇねぇトニー、つまりはこういうかしら? あのクソデュラハンは、生首ひとつで宇宙の旅に出たってこと? プークスクス!! ウケるんですけど! やるじゃないトニー! あなたを名誉アクシズ教徒に任命するわ!」

 

 凄まじく不名誉な勲章を貰った。

 メダルとして渡されたならその場で握り潰して灰にしてやりたいくらいだ。

 

 ちょっとした侮辱に憤りを感じていると、冒険者たちの方からざわめく声がきこえてきた。

 

「──名誉アクシズ教徒……?」

「──あの謎鎧の男は、アクシズ教徒だったのか?」

「──目立ちたがり屋っぽそうなのもなんかそれっぽいよなぁ……」

「──奇妙な奴だし、関わらない方がよさそうだ…………」

 

 魔王軍の幹部を倒したというのにこの扱いはなんなんだ…………。

 

 僕はマスクを開けて異を唱える。

 

「おい、僕はアクシズ教徒なんかじゃない。そこのあんた、僕を目立ちたがり屋とか言ってくれたが……」

「な、なんだよ…………」

「……正解だ」

「ええっ!?」

「でもあんたはそんな僕より目立ってないし、見た目からして地味だ。そもそも、今回僕のパーティー以上に目立ってるやつが他にいたか?」

 

 アクシズ教徒呼ばわりされたお礼に嫌味ったらしく振る舞う僕。

 

 祝われるべきムードのはずなのに、空気はどんどん剣呑なものへと変わっていく。

 

「まぁ、居ないだろうな。僕らが倒したのは魔王軍幹部なんだ。だってのに、アクシズ教徒呼ばわりとかあんたら…………」

「だぁぁぁ…………トニー、お前俺まで巻き込むなよ…………ほら、さっさとギルドに行って報告するぞ…………!」

「いいや、言わせろ」

「いいや、行きます」

 

 カズマは僕と冒険者たちの間に割って入り、各方面に頭を下げながら僕の腕を引っ張る。

 

 ……が、スーツを着ている僕が重いのか、引っ張るどころか僕を揺する程度にしかなっていない。

 

「そのパワードスーツ脱げ! 重てぇよ! ダクネス、手伝え!」

「あぁ……でも、仲間だったはずの大勢の冒険者たちが、あんなふうに苛立ちのこもった目で見つめてくるこの状況が……」

「手伝えっつってんだよおおお!」

「ねぇ待って……なんで名誉アクシズ教徒に任命がこんな不名誉扱いされてるの…………? ねぇ、おかしいわよね、めぐみん?」

「……ノーコメントでお願いします」

 

 そもそも何の目的でアクセルに来たのかも分からないままベルディアは打ち倒され、祝賀会とは程遠いムードの中、僕らはその場をあとにするのだった。

 

 

 ▽

 

 その翌日。

 

 喧騒に包まれたギルドの中で、僕らはテーブルを囲んで少し遅めの昼食をとっていた。

 

 前日はちょっと喧嘩腰になってしまったが、それでも街の危機を救った英雄として、なんだかんだ冒険者達も暖かく迎えてくれた。

 単に酒が入って陽気になってるだけかもしれないが。

 

 よく見れば、ベルディアに切り殺されたはずの冒険者たちまでいる。

 

 アクアから聞いたのだが、どうやら蘇生魔法とやらを使ったらしい。

 人体を瞬時に修復するどころか、死人まで復活させることができるとは。

 

 アベンジャーズには回復役がいない。

 怪我したら基本は現場で応急手当をして、後は基地で本格的な治療だ。

 

 その点、現場でなんの道具も使わずに即座に完治させる事が出来るのは、控えめに言ってもメンバー総垂涎物の逸材だ。

 

 魔王を倒して僕もアクアも元の世界に戻った暁には、どんな無茶な条件でも飲むからアベンジャーズに勧誘したい。

 

 今のうちに唾をつけておこう。

 

「なぁアクア、ちょっとビジネスの話を…………」

「うぇっへっへっへっへ!! どうしたのトニー? あなたも酒飲みならもっと飲みなさいな!! ほら、この私が注いであげるから!」

 

 真っ赤な顔で、酒臭い息を吐きながら僕にジョッキを渡してくるアクア。

 駄目だ、とても話なんて出来そうにない。

 

 酔いが冷めるまで適当に飲み食いして待とうかと、ジョッキの中身を飲んでいると。

 目の前に座っているダクネスが、隣の席のめぐみんに質問をしていた。

 

「それで、うちゅうとはなんなのだ?」

「私もよくは知りませんが……なんでも山百個分ほど空まで登ると、空気も重力もなく、高速で石が飛び交う空間に到達するそうです」

「……トニーはそこに行ってきたのだろう?」

「…………あの人の鎧は特別ですから」

 

 ダクネスは『訳の分からん男だ』と、僕を見た後にジョッキに入っていたシャワシャワを飲み干して、もう一度僕に視線を向けてくる。

 

 ……その目の奥に情欲を込めて。

 

「ト、トニー……今度私も連れてってくれないか…………?」

「君なら本当に宇宙空間に放り出しても死にそうにないな」

 

 今は君の妄言なんかよりも、と。ギルドの受付嬢で話をしているカズマの方を見る。

 

 受付嬢と話したあと、カズマが笑いを堪えきれないといった、ニマニマした感じの笑顔でこっちに手招きする。

 

「どうしたのカズマ。顔が気持ち悪いわよ? 顔面にヒールかけてあげよっか?」

「ほーん。これを見ても同じことを言えるか?」

 

 カズマの方へと寄ると、受付嬢が僕らに金貨が入った袋を渡してくる。

 

「はい、どうぞ。あなた方に報酬です」

「Wow、良いね。お小遣いを貰うなんていつぶりだろうか。今日は追加で高級なものも食べようか?」

 

 笑いながら袋を受け取り、中身を確認していると、カズマが何も持っていないことに気がついた。

 金を受け取った訳でもないのに、ニヤついた顔はそのままだ。

 

「本題はここからだ」

 

 カズマがそう言うと、受付嬢が小さな紙切れを懐から取り出した。

 

「あの……実は、カズマさん一行にはそれらの報酬とはまた別に、特別報酬が出ています」

 

 その一言に、ギルドのボルテージが一気に上昇する。

 

「さすがだぜMVP!!」

「街の救世主ー!」

 

 湧き上がる歓声を前に、カズマはどうどうと言わんばかりに手を前に出す。

 

 なるほど、それでこんな奇妙な変顔してたわけか。

 その割には、受付嬢の表情が優れないのが気になるが。

 

「その…………カズマさんのパーティーには、魔王軍幹部ベルディアの討伐報酬として、ここに金3億エリスを与えます」

「「「「さっ!?」」」」

 

 僕以外の四人が声を荒らげた。

 

 三億エリス……僕の国で言うと三百万ドルと言ったところか。

 五人で分け合ったとしたら一人につき六十万ドル…………。

 

 今回制作したアイアンマンスーツ、撃ち込んだミサイル代…………。

 

 …………ああ、どう考えても大赤字だ。

 

「お、お前ら! こんな大金を手に入れたんだ、俺はしばらく危険は侵さずゆっくり生活するからな!」

「ええっ!? 魔王討伐の話はどうなったのだ!?」

「魔王を消し飛ばし、最強の戦術破壊兵器の称号を手に入れるのですよ!! 引きこもろうとしないでください!!」

 

 突然引きこもり宣言をしだしたカズマに、めぐみんとダクネスが慌て出す。

 

 酔っ払ったアクアがジョッキの中身を飲み干し、プハーっと酒臭い息を吐いて。

 

「あんた何言ってるのよ! 魔王を倒してくれないと私帰れないじゃない!」

 

 そんなアクアの声がかき消される喧騒の中、受付嬢は申し訳なさそうにしながら一度めぐみんを見て、カズマに小切手を……いや、請求書を渡しながら告げる。

 

「ええっとですね……めぐみんさんの爆裂魔法で街の壁の一部が崩壊してしまいまして…………その、全額とまではいかないから……せめて一部だけでも……と」

「…………は?」

 

 書かれていた額は三億四千万エリス。

 

 その場でアクアは逃走し、こそこそと逃げ出そうとしためぐみんの肩を僕が掴む。

 だが、決して逃げずに問題に立ち向かえという意味ではなく。

 

 引き戻しためぐみんの肩を軽く叩き、片眉を上げて含み笑いを彼女に向ける。

 

「…………サプライズを用意している時の顔してますね」

「まぁ、そんなところだ」

 

 口を開けて固まってるカズマの肩も叩いて僕は前へと出て。

 

「その三億四千万エリス、僕が払おう。なんなら壁の修理費も全額出す」

「「「「はっ!?」」」」

 

 逃げ出して様子を見ていたアクアも含め、目玉が飛び出そうなほど四人が目を見開く。

 

 オーバーだな。

 

「トニー、分かっているのか? 三億……いや、全額となれば、十億は超えるぞ……?」

「展示台に並ぶスーパーカーを端から端まで買うよりかは安いね」

「くっ……この金持ちめ…………いや、でも……ありがとう、トニー」

「あ、あなたという人は……」

「どーいたしまして。それじゃテーブルに戻ってランチの続きを…………」

 

 そういって踵を返して戻ろうとすると。

 

 

「あの、申し訳ありません……それが……修理代の肩代わりは出来ないようになっているんです…………」

 

 その言葉に、カズマ達の顔から光が消える。

 僕は、その受付嬢に眉根を潜めて尋ねる。

 

「…………誰の権限で?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワシだ」

 

 その声に、騒がしかったギルドの中が静まり返る。

 声がした方向に目を向けると、大柄な男が入口に立っていた。

 

 歳は僕と同じくらいか。

 禿げあがって脂でテカる頭部に、熊と豚を足したかのような毛むくじゃらの体。

 

 ああはなりたくないもんだ。

 

 その男は、無駄に豪奢な装飾が施された鎧を身にまとった複数の騎士を引き連れて、僕の方へノシノシとやってくる。

 

「ふぅむ……貴様が…………ッ!?」

 

 しばらく値踏みするように僕を見ていたその男は、ダクネスを見つけるやいなや驚いた表情を浮かべて固まった。

 

 ……なるほど、見たところ貴族だもんな。

 この国の懐刀と言われるダクネスがお忍びで冒険者としてここにいるのをみて固まっているのだろう。

 

 よし、ここはあえて……。

 

 

「どうかしましたか? 生活習慣病の発作ですか?」

「なっ……貴様、下賎な冒険者のくせして無礼だぞ!」

「失礼」

 

 ちょっと煽ると顔を真っ赤にし、唾を飛ばして怒鳴り散らして来た。

 どうやらプライドはベルトの上からはみ出てる皮下脂肪より厚いらしい。

 

 とりあえず大した人間でないのはわかった。

 

「フンッ……貴様がトニー・スタークか……。ワシの名はアレクセイ・バーネス・アルダープ。聞いたことぐらいはあるだろう?」

「……ええ、まぁ……有名ですね」

 

 クソ領主……という意味でだが。 そうか、こんな男だったのか。

 

 僕はとりあえず壁の補修代についてアルダープに尋ねることにした。

 

「ところで……なぜ補修代の立て替えを行えないように?」

「そんなものは決まっておろう。これは加害者であるそこの冒険者連中と、この街の領主を務めている、被害者であるワシとの問題。問題とは、起こした本人が解決するのは当然であろう?」

「そもそも領主というのは、領地の管理を行う者の事を指すでしょう。今回は魔王軍のせいでこうなった。だったら、税金を集めていたあなたがその責任をもって」

「あー……それなんだがなあ…………」

 

 アルダープはわざとらしく、うんざりとした声で言葉をさえぎり、作ったような困り顔を浮かべながら。

 

「ワシだって裕福な訳では無いのだ、壁を壊した冒険者の尻拭いなどする余裕なぞないわ。そもそも責任と言うならば、街の被害を抑えて敵を倒せなかった冒険者連中にあるのでは?」

 

 アルダープは申し訳なさそうな顔どころか、周囲を責めるような目線を向けて喋り続けた。

 

「ほれ、魔王軍幹部とやらの懸賞金とやらで貴様らは潤っているではないか。その金を充てればよいだろう」

 

 下卑た面でそう語るアルダープに、冒険者たちも眉間にシワを寄せるが、異を唱える者は一人とていなかった。

 ギリッと、拳を握りしめる音がギルドに小さく響く。

 

 呆れた領主だ、生かしておけぬ。

 ……と言いたいところだが、貴族の権力があまりにも増長してるこの世界では、こんなのは普通のことなのかもしれない。

 

 

 

 ──だが、だからといってそれがこの子達が不当な借金を背負わされていい理由にはならない。

 

「アレクセイ卿」

「……なんだ」

「お言葉ですが、余りすぎたことをしていると、そのうち酷い目に遭いますよ?」

「……ほう? ほうほうほう…………それは脅しかね? ん?」

 

 バカにしたような面をズイっと僕に近づけ、大げさに耳をこちらへ傾けてくるアレクセイ。

 

「いいえ、ただの忠告ですよ。私は商人でしてね。欲張りすぎた人間の哀れな末路を散々見てきましたから。あなたには善政を敷き続けていて欲しい」

 

 アルダープは僕の今の権力、財力を知っているのだろう。

 その上で、何かを狙って僕が弁償金を肩代わりするのを阻止してきたのだ。

 

 こいつの目的は謎だ。金なんて誰が払っても同じだろうに、何故僕が払おうとするのを阻止するのか、今は分からない。

 

 とりあえず聞かなくてはならないことが一つある。

 

「くだらん皮肉をいいおって……そんなものでこのワシに恥をかかせられるとでも思っていたのか?」

「それ、自分は善政を敷いてないって言ってるようなものでは…………? まぁ、いいでしょう。ところで、ひとつお聞きしたいのですが、何故アレクセイ卿はここに? 借金背負った冒険者を見て笑いに来た訳ではないでしょう?」

 

 僕の質問に、アルダープはそうだったと思い出したような素振りを見せて。

 

「今回来た理由は他でもない、貴様だ」

 

 ……嫌な予感がする。

 

「貴様の技術力を買いに来たのだ。ワシの屋敷を、貴様のもつ技術力とやらで改築してもらいたいのだ」

「……財政に余裕が無かったのでは?」

「なあに、ちょっとした改築程度なら問題あるまい。受けない…………などとは言わんよな?」

 

 ここにきてまさか、僕に家のリフォームを依頼してくるとは。

 借金云々はまるでこれが当然かのように考えているらしい。

 

 …………答えは決まっている。

 

「…………ええ、引き受けましょう」

 

 後ろでは意外そうな声が上がった。

 たしかに、ここは突っぱねてやったほうが溜飲は下がるだろう。

 

 でも大局を見るのであれば、ここは受けた方がいいのだ。

 

 こいつは腐りきっている。

 失脚させてこの街から追放するのが一番だろう。

 

 ひとまずここは、相手の嫌がらせを少しでも和らげる。

 幸いにも、そのためのカードはこいつ自身がくれた。

 

「引き受けはしますが、その代わりに……今回の壁の弁償金を減額して欲しい。改築の報酬はそれで構いません」

「おい、トっ…………」

 

 ダクネスが引き止めようと一歩出るが、僕はそれを手で制する。

 

「……それでいいのか?」

「ええ。あなたこそ、領主としてこの事態に少しでも金を出さないと外聞が悪いのでは?」

 

 僕がそう言うと、アルダープは願ったり叶ったりとでも言いたげに笑みを浮かべて。

 

「よかろう。では、その条件でワシの家を改築せい。なるべく早めにな?」

「ええ、準備が出来次第すぐにでも」

 

 それを聞き、満足そうに踵を返してギルドから出ていくアルダープ。

 

 静寂が包むギルドの中で、最初に口を開いたのはダクネスだった。

 

「トニー! なぜあんなことをした!?」

「あれがベストなんだよ。というか、どうなってるんだ? なんであんなめちゃくちゃがまかり通ってる?」

 

 僕がそう聞くと、ダクネスは僕の方へと来て、他人に聞こえないように小声で耳打ちしてきた。

 

「あの男は、トニーの言う通りめちゃくちゃな奴なのだが、その証拠が一切出てこない、かなりのやり手なのだ。私も……我がダスティネス家も見張り役としてこの街に配属されている」

「Hmm……なるほどな、まぁ見てろ。あいつは僕が潰してやる。クレアも味方してくれるだろう」

「ま、まて! シンフォニア家の者を巻き込むな!! いつのまに名を呼び捨てる仲になっておるのだ!」

 

 不器用なくせに、小声で怒鳴るという器用なことを続けるダクネス。

 

 そんな彼女をなだめ、申し訳なさそうにこっちを見ているカズマとめぐみんの方へと向かう。

 

「どうした? 借金を減らしてやったんだぞ、もっと嬉しい顔しろよ」

「トニー……」

「壊したのは私ですのに……結局またあなたに頼る結果に……」

「気にするな。いい作戦が浮かんだんでね、その第一段階のついでだ」

 

 その言葉に不思議そうに首を傾げる二人。

 

 証拠が出ないと言うなら、僕が掴んでやろう。

 あいつが改築をしてくれと頼んできたのはむしろ好都合だった。

 

「改築……つまり、()()()()()()()()()()ってあいつは言ったんだ。カズマ、めぐみん。君たちなら、アルダープがどんな誤算をしたか分かるだろ?」

 

 それを聞いたカズマとめぐみんが、何かを察し、そして悪い笑みを浮かべた。

 

 せいぜいふんぞり返っていればいい。

 あんたがどんな汚い手を使おうが…………。

 

 こっちには筒抜けになるだろう。

 

「ね、ねぇ……三人ともどうしちゃったの? あの変なおじさんに色々言われておかしくなっちゃったの? 注意してきてあげよっか? ね、ねぇってば……ねぇ!? 本当に大丈夫!? 頭にヒールかけたげるわよ!?」

 

 僕とめぐみんとカズマだけが、小さくなっていくアルダープの背中を汚い笑みで見守っていた。

 

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