この素晴らしい世界に祝福を!アナザー・ユニバース・アイアンマン 作:Tony.Stank
今日もステキな一日がやってくる。
ショーケースの中の世界だが、外を見渡すと様々な世界が見え、これがまた中々に楽しい。
喋るアヒル、変な服を着た犬、見たこともない動植物たち……。
だが、中でも特に楽しみにしているのは……。
「はい、本日のお手入れです」
「待ぁってましたぁ!!恋しかったぞ、お姉さん!!今日も俺の頼んだとおりに磨いてくれ、愛しい人の頭をなでるようにしながらな!!」
「……コレクター様……」
「言われたとおりにしたまえ。そいつは私のお気に入りなのだ」
この男の名はコレクター。またの名をタニリーア・ティバンという。
ありとあらゆる世界から珍しい生物や品物をそろえており、それはそれは楽しそうに毎日眺めている。
俺の日課はというと、このコレクターという男と話をしたり、今みたいに胸元の空いた服を着た女性に全身を……まぁ、俺の体は首だけだが、それでも全身と言えば全身だ。
「へいへい、お姉さんまたコレクターにこき使われちゃったの?かわいそうに、でも俺は味方だよ。だからもっと胸元を強調しながら拭いてもらえないかな?おおっ!いいねいいね!そんな感じ!!」
「それで、ベルディア君。また話を聞きたいのだが……」
「おっと、俺のいる世界についてだな?なんでも聞いてくれ。もう魔王軍でもないしな」
トニー・スターク……いや、アイアンマンによって訳も分からない場所に放逐された俺だったが、きがついたらこいつに回収されていた。
最初は見世物のような扱いに憤りを覚えたが、俺がこのコレクターも知らない世界から来たと聞くや否や、このVIP待遇である。
「さて、貴様の世界に存在する珍しい生物とはどんなだ?」
「名を安楽少女と言ってだな……人の形をした植物なのだが……」
「ほう!それはまた珍しい!!グルートの仲間か……?」
「ぐるーととやらは知らんが、こいつはかなり悪質な生物でな……」
こうして俺の話を度々聞かせるのが俺の日課の一部。
コレクターは俺の世界に大変興味を持っているらしく、一度行ってみたいらしい。
なんでも、空飛ぶキャベツや畑から採れるサンマが見たいのだとか。
俺の世界はどっちも当たり前の存在だというのに、こいつらから見たらかなり異常らしい。
一通り話し終えると、コレクターは満足そうに息を吐く。
「ふむ、今日も楽しませてもらった。なにか希望はあるかね?」
「そうだな……宇宙が見たい」
「いいとも。君は宇宙を見るのが好きだな。連れて行ってやれ」
「了解しました」
「運ぶときは胸を俺の後頭部に押し付けてくれ」
「……了解しました」
アイアンマンには正直感謝している。
宇宙は美しく、そして雄大だ。それをアイツは教えてくれた。
使用人に連れられた先のバルコニーで俺は眼前に広がる宇宙を眺める。
毎度毎度この光景にはため息が出てしまうもんだ。
元居た星とは違った星々が連なる空。
青紫色のカーテンが、輝く宝石のような星々を羽衣のように包んでいる。
例えどんな金銀財宝の山を積もうが……この光景にだけは決して勝てないだろう。
そんな、果てしない宇宙を眺めていると、ひと際輝きを放つ星を見つけた。
もしかすると、俺が居た星かもしれない。
全くのあてずっぽうなのだが、そこが俺の故郷であることをなんとなく信じて。
そして、そこにいるだろう愛しのウィズやかつての仲間たち思い浮かべて……。
星に静かに熱視線を向けて、心の中で叫んだ。
――こっち来いよ!