この素晴らしい世界に祝福を!アナザー・ユニバース・アイアンマン 作:Tony.Stank
『デストロイヤー警報! デストロイヤー警報! 冒険者の皆様は……』
けたたましくなり続ける警報。
郊外であるここからでも、混乱した市民の声が聞こえてくる。
昔、『GODZILLA』という映画を見たことがあるが…………。
まさにあれの避難シーンのようだ。
「ほら、逃げるわよ! できる限り荷物を持って……あっ! そうだわ! トニーのラボに隠れてればいいじゃない!!」
「ですね。それが一番でしょう。この屋敷を手放すのは正直辛いですが、トニーのラボに住むというのも悪くはありませんね。私の寝室はスーツの保管室でお願いします」
めぐみんとアクアは既に諦めムード全開だ。
アクアに至っては屋敷とラボに続くエレベーターの入り口を何往復もして私物を運んで山を作ってる。
手提げ袋一つだけのめぐみんを見習ったらどうだ。
ダクネスは真面目な顔して屋敷に走っていったきりだが……真面目な彼女の事だ、きっとギルドに向かう準備をしているのだろう。
さて僕は……。
そんな慌ただしく、各々が準備をする中で、取り残されているものが一人。
「な、なぁ。デストロイヤーっていったい何なんだ? 緊急の呼び出し受けたんだし、装備整えてとっとと行こうぜ」
カズマのその言葉に、アクアとめぐみんはありえないものを見るような目をカズマに向けて。
「あんた何馬鹿なこと言ってるの? 起動要塞デストロイヤーと戦う気?」
アクアがエレベーター入り口に築いた山にさらに物を放り込みつつカズマにそう言う。
いい加減にしろ、重量オーバーだぞ。
「だからデストロイヤーってなんなんだよ……」
カズマは転生して間もないし、この世界の事をよくしらないのだろう。
とりあえずヤバい何かが来ている程度には把握しているみたいだが。
ちなみに僕は書物を通してそのスペックは知っている。
「起動要塞デストロイヤー……通った後にはアクシズ教徒しか残らないと言われる最強の古代兵器にして最悪の賞金首ですよ。文字通り、山のような巨体を誇る上にクモのような八本の脚から繰り出される速度は馬すら凌駕し、あらゆる魔法をはじき返す結界まで持っています。私の爆裂魔法を二、三発撃ち込んでも突破は無理です。数百年も前から存在し、今もなお倒されることなく、あるゆるものを蹂躙し続けていると言えば、そのヤバさがわかるでしょうか?」
「ついでに言うと、僕も危険な存在だと判断して位置を特定してからミサイルで攻撃しようとした。だが、あいつの結界はステルスコーティングの機能まであるようでね。衛星から位置を特定できなかった」
「なにそれ。クソゲーじゃん……」
鬼気迫るめぐみんと僕の説明を聞いて、カズマの顔から血の気が引いていく。
……だが、その目には何かが静かに燃えていた。
彼はあきらめたわけではない。
それはきっと、昨晩僕らの元に訪れるも、不幸な事故によって先延ばしになってしまった夢の為だろう。
僕だってあきらめるつもりはない。
「装備を整えるのに時間がかかった!! さぁ、ギルドに行くぞ!」
屋敷から飛び出してきたダクネスは、普段の装備に鎖が編み込まれたマント、着脱式の盾まで装備したかなりの重装備をしていた。
この街を守りし聖騎士として、退くつもりは微塵もないらしい。
「ね、ねぇ……なんであんたらそんなやるき出してるのよ……逃げましょうよ? 屋敷が無くなってもラボがあるじゃない!」
「そうですよ! 無謀な戦いはしないのが冒険者です!」
「だがヒーローじゃない」
これまでずっと黙って様子を見てた僕の突然の一言に、全員が黙って僕の方に注目する。
カズマとダクネスがせっかくやる気を出しているんだ。
残りの二人にもやる気も出してもらわないとな。
「めぐみん、君は前に言ったよな? 最強の戦術破壊兵器になるって。で、そんな君は
ピクッとめぐみんの肩が動き、段々と燃え上がる暖炉の炎のようにゆっくりと目の紅い光が増していく。
それはまるで、怒りのボルテージを表しているかのようで。
めぐみんは、静かに唸るように。
「今……なんといいました?」
「腰抜け……って言ったんだ」
その次の瞬間その煌々と光る紅い目を僕に向け、怒りに震えながら叫ぶ。
「誰にも……腰抜けだなんて……言わせませんよ! 良いでしょう!! 今日をもってデストロイヤーは終焉を迎えることとなるでしょう!! この私の爆裂魔法の手によって!! さぁ行きますよ!!」
なんてチョロさだ。
やっておいてなんだが、ここまですんなりいくと逆に悪い気がしてくる。
だがまぁ、ここまでくれば後は簡単だ。
決意を胸に宿したカズマが腕を振り上げ、その後ろからダクネス、めぐみんと続いていく。
「おっし、ギルドに向かうぞ!」
「賛成だ!」
「GRRRRRRRRRRR!!」
そんな彼らの背中を、アクアが寂しそうな顔で眺め……。
「ね、ねぇ待ってよ! 私だけ一人にしないでよーっ!!」
遠ざかりつつある三人の元へ一気に駆けだした。
▽
「おっ、お前も来ると思っていたぜ」
俺にサキュバスの店を教えてくれたチンピラ冒険者こと、ダストが笑いかけてくる。
俺もお前が来ていると思ってたぜ。
そりゃ逃げる訳には行かないもんな。
ギルドの中央ではテーブルを円形に並べて即席の会議室を作っており、それがかなり物々しい雰囲気を醸し出していた。
「それでは、皆さんが集まったところで……あの、スタークさんは……?」
「トニーはなんか準備があるってまだ家にいるよ」
「マジかよあの成金ヒゲオヤジ。あいついれば何とかなるみてーなとこあったろ、飛べるし。いや、何で飛ぶのか何で飛べるのか知らないけどよ」
トニーの遅刻の報せを聞いて、ダストが軽い悪態をついた。
「あの人は本当に……私を腰抜け呼ばわりしといて……!」
めぐみんの目はさっきから光ったままだ。
さっきのトニーの煽りがかなり効いたらしい。
そんなめぐみんを焚き付けた本人はと言うと、ラボに篭ってなにか作業をしているようだ。
たしか、『せっかくだから試作兵器を使う』……とか言ってたが……。
ロマンを感じずにはいられないが、一体なんなんだろう。
「それではお集りの皆さん、ただいまより対デスロイヤーの緊急会議をはじめます!! まずは、デストロイヤーのとは何かから……」
受付のお姉さんが声を張り上げ、デストロイヤーとは何か、今までどれだけ対抗策を講じて失敗して来たかの説明を始めた。
──デストロイヤーを生み出した国は真っ先に滅び、落とし穴はジャンプで飛び越え、バリケードを築けば踏み越えるか迂回され、空からモンスターの背に乗って乗り込もうとすればゴーレムが備え付けのバリスタで迎え撃ち、地上からフックをかけようとしても速すぎて無理。
こんなやる前から匙を投げたくなるような無理ゲー具合の説明に、冒険者たちもその説明をしている本人であるお姉さんもどんどん表情が暗くなっていった。
そんな中、思いついたように冒険者の一人が。
「あの空飛ぶ鎧のオッチャンに頼むのはどうなんだ? あの機動力ならバリスタで撃つのも無理だろ。今ここで考えられる限りの最高戦力を、あいつに抱えて運んでもらってデストロイヤーに乗り込めば」
「無理でしょうね。トニーのスーツ……あの空飛ぶ鎧は、確かにバリスタから飛んで来る矢を避けられるでしょう。ですが、抱えられている人たちはその急加速に耐えられません。トニーが一人で乗り込んでも、もし中に大量の兵やゴーレムが潜んでいたとしたら……。トニーなら一人でそれらを片付けられるかもしれませんが、時間稼ぎに徹されたら先にアクセルが滅ぼされます」
「…………」
「ほ、他に意見はありませんか?」
思わず場が静まり返る。
魔法を防ぐ結界さえなければどうにでもなるのに……。
……いや、待てよ?
すぐ隣で、会議に飽きてコップの水を机にぶちまけて水絵を作ってるアクアを見て一つ思いつく。
以前、ウィズの店に行ったときにこんな会話があったのだ。
アクアの力があれば、魔王の城に張られた結界でもそれが二、三人程度で維持している物なら破れると。
つまり、こいつはもしかするとデストロイヤーの結界を破れるかもしれない訳で。
俺は遊んでいるアクアにそのことを告げる。
「確かにそんなことも言ったけど、確約はできないわよ?」
「そ、それでもやる価値はある! 街の前で構えて、結界を解除したら後はめぐみんの爆裂魔法で……」
「──いいや、駄目だ」
突如聞こえたギルドに響いた声に、全員の視線が入り口のドアに集まる。
そこにいたのは、全身を例のスーツでに身に纏ったトニーと……、
……頭部以外がアイアンマンスーツに覆われたウィズだった。
「す、すいません遅くなりました! 冒険者の資格も持っているので、お手伝いさせていただきます……!」
そんな二人の姿を見た冒険者たちが、一拍間をおいてから歓声を上げ始めた。
「貧乏店主さんだ! 貧乏店主さんと鎧のヒゲオヤジが来たぞ!! これで勝てるな!!」
「そのあだ名付けたのは誰だ? 怒らないから僕の前に出て来い」
「貧乏店主さん、その姿は一体……あの、胸がつかえなかったんですか……?」
「それはその……サラシを限界まで巻いて……それもキツかったですが……うぅ……い、言わせないでください……」
耳まで顔を真っ赤にさせ、胸を隠すように腕を体に回すウィズに冒険者の鼻が伸び……微妙そうに伸びる。
アイアンマンスーツのせいで色気はだいぶ減っているからだろう。
というか、ウィズがアイアンマンスーツを装着している理由は何なのだろうか。
そんな事を考えていると、トニーは若干速足で会議をしていた俺達の輪へと入り、受付のお姉さんに急かすようにして尋ね始めた。
「デストロイヤーがここに来るまでの時間は?」
「えっと……まだ余裕があります……今から作戦を立てて、準備するくらいには……」
「それじゃあ、街へと続く穀倉地帯、治水施設、そのほかの村や設備の元までたどり着く時間は?」
「それは……あまり余裕はないと思われます……ですが、そちらの避難は完了していますが……」
その言葉に、ダクネスが少し悔しそうな顔をした。
ダクネスはこの街の為に尽力を尽くす貴族としての面もある。
俺達は街の前で迎え撃つ方針で作戦進めようとした。
だから、結果としてはやむを得ないとして見捨てられて蹂躙されることになる村や様々な施設に対して胸を痛めているのかもしれない。
そんな、俺の予測に同調するようにしてトニーが。
「……つまり、街まで続く道は全部破壊されるって事で良いんだな?」
「は、はい……そうなってしまいます……で、ですが……それはもう仕方のない事で……避難は終わっているので犠牲者が出るようなことは……」
「避難とは住民に根こそぎ生活を捨てさせることだ。ちょっとそこのダクネスを借りるぞ」
そう言ってトニーはダクネスの腕をつかみ、近くの物陰へと少し強引に引っ張っていった。
「んなっ……お、おい何をするんだトニー!? 私を何処へ連れていくつもりだ!? こういうのはもっと別な時にゆっくりと……」
……あまりの勢いについていけない。
▽
ずっと前から僕が考えていたことがあった。
以前めぐみんが吹き飛ばした外壁の弁償金……。
その時ギルドの受付嬢はこういったのだ、『全額とまではいかないから、せめて一部だけでも』と。
そう、
なら、残りの大部分の弁償金を払ったのは一体誰だ?
もう既に壊れた外壁と住居の修理工事は始まっている。つまりは支払いも完了しているということだ。
アルダープは論外。あいつはもとより払う気が無いと言っている。
だとすれば、アクセルの管理者の名のもとに、弁償金を払うような人間はただ一人。
それは……。
「ど、どうしていきなりこんな物陰に連れてくるのだ……一体私にナニをするつもりなのだ? 嬲りたいのか!?」
それは、今この目の前で訳の分からない馬鹿なことをのたまってるこの変態貴族様だ。
「おい、真面目な話をするからよく聞け。壁の修繕費の大半部分を出したのは君だろ? 正直に言え」
「……! そ、それは……!」
この子は嘘が下手だってことは分かってる。
初めて組んだパーティーメンバーで、付き合いもそれなりに長いんだからな。
ダクネスは少しうつむき、やがて観念したかのように僕の顔を見た。
「そ、そうだ……アルダープが支払いを拒否し、そのせいで路頭に迷いかけた民を救うために……屋敷を除くほとんどの保有資産をその弁償金に……充てた……」
思わずため息が出てしまった。
「ったく……君はなんて馬鹿なんだ……」
「では、民を見捨てるべきだったというのか!?」
「そうじゃない、何故君よりはるかに家格が下のアルダープに払うよう命じなかった?」
「わ、わからない……今にして思えば、そうすべきだったのだろうが……なぜか、その選択肢はその時浮かばなかったのだ……そんな簡単な策が……だ」
やはりあいつは何か特別な力を持っているとしか思えない。
それも、とびっきりのパワーだ。魔法についてはあらかた調べたが、人の思考までも捻じ曲げてしまうような魔法は存在しなかった。
その正体が気になるところだが、今重要なのはそこじゃない。
「とりあえず、今はその話はいい。ダクネス、君に第二の質問だ。もし、デストロイヤーによって村や農業地帯が壊滅的ダメージを負ったら、その補填の金は誰が支払うんだ? アルダープだろ?」
「その通りだ……だ、だが……あいつは絶対に払わないだろう。だから……借金してでも……」
「借りる相手はアルダープか?」
「…………」
僕の問いに、ダクネスは黙り込んでしまった。
そのつもりらしい。
あまりにも破滅的な背負いこみようだ。
昔の僕よりひどいかもしれない。
だが、今ので点と点がつながった。
「ダクネス、アルダープの狙いはダスティネス家の失脚だ。君に私財を失わせたところで、君から金を巻き上げて借りを作らせ、何もかも奪うつもりだ!」
「で、でも……私はどうすれば……こうすることしか浮かばないのだ……トニー、私はどうしたらいいのだ……?」
僕の目の前にいるダクネスは、いつもの威風堂々とした雰囲気は微塵も残っておらず、ただ迷い続ける困り果てた一人の少女にしか見えなかった。
「僕に任せろ」
要するに、デストロイヤーを街の入り口ではなくアクセルの領土自体の前で止めれば、ダクネスが借金をしなくて済むということだ。
再びダクネスを連れてみんながいるギルドの真ん中へと戻る。
そして、ギルドの職員に遊びに行く先を告げるかのように軽い口調で告げた。
「計画変更。デストロイヤーは街の入り口ではなくアクセル領地に入る前に破壊する」
「は、はい!?」
先程まで避難どうこう言っていた受付嬢が驚きに目を剥いて声をあげた。
そんな彼女のリアクション芸人張りの反応は無視し、めぐみんとカズマ、アクアにダクネス、そしてMk.43に身を包んだウィズを連れてまっすぐ出口へと歩き始めた。
僕らの後ろから受付嬢がかなり焦った形相で追ってくる。
他のみんなも不思議そうに僕らを見ていた。
「ちょちょ、ちょっと待ってください! アクセル領地の入り口!? なぜそこで!? どうするつもりなんですか!?」
「詳しい説明は省くが、今デストロイヤーに村や穀倉地帯を破壊されると面倒なことになるから、そこに到達される前に僕らで乗り込んで内側から止める」
「そんなことができるんですか!? ちゃんと計算された作戦なんですか!?」
「ああ、今計算した。大丈夫さ」
「今!?」
受付嬢が焦るのも無理はない。
いきなり現れていきなり僕らだけで戦うと言ってギルドを飛び出していけば、そりゃ焦りもするだろう。
「落ち着け。とにかく僕に任せろ。君は回れ右してギルドに戻って、待っててくれ」
「し、しかし……」
今迄黙っていたパーティーメンバーたちも、流石にどういうことだと視線を向けてきた。
そんなみんなを代表してか、めぐみんが僕の背中を拳で軽くノックして。
「落ち着くのはトニーの方ですよ。一体なぜ避難が済んでいる区域も守ると……あぁ、なるほどそういうことですか……」
ここで説明したら、このギルドにいる事情を知らない冒険者たちにも聞こえてしまうだろう。
なので、現状についての説明が載っているメッセージ文をスーツからメールの形で送信した。
めぐみんも眼帯型デバイスで受信し、おそらく眼帯裏に映ったであろうメール文を読んで納得してくれただろう。
「お、おい俺にも説明しろよトニー。ウィズがスーツ着てる理由も含めてさ」
「時間がないからそれは移動しながらだ。ところでカズマ、今から空飛んでデストロイヤーに接近する。バリスタの集中砲火を受けながら乗り込まなきゃならない訳だが……仮に僕とウィズで君らを抱えて飛んだとしても、負荷と重量の都合上避けられないだろう。なんか考えはないか?」
「トニーが今考えている作戦の流れもまだ理解していないし、今回の作戦指揮はお前にまかせるよ、天才さん」
「それじゃ、お言葉に甘えて。仕切りたがり屋トニーの作戦タイムだ」
冗談めかしながら、近づくまでの作戦を頭で考える。
近付いたあとの事は考えてあるのだ。
デストロイヤーの厄介なところは乗り込むことじゃない、乗り込んだ後にある。
全員を連れて乗り込めそうなデストロイヤーの背中部分には相当数のゴーレムがおり、着陸前と着陸時にそいつらが迎え撃ってくるのが厄介なのだ。時間稼ぎされたら被害が出てしまう。
だが、それはめぐみんの爆裂魔法で解決できる。一発で背中にいるゴーレムを粉砕してくれるはずだ。
しかし、そのためには結界を破る必要がある。
そこでウィズの登場だ。彼女の役目は結界を破る事。
ライト・オブ・セイバーという魔法で、過去に魔王城の結界を切り裂いて中に侵入した者がいるという話を以前僕は紅魔の里で聞いた。
なら、強力な力を持ったアークウィザードにしてリッチーのウィズなら、それと同じようなことがデストロイヤーの結界に出来るのではないかと思ったというわけだ。
この話をウィズにしたら、おそらく可能だと答えてくれたので連れてきた。
何故か冷や汗かいて苦笑していたのが気になったが。
ウィズには僕のスーツを一時貸し、デストロイヤーまで接近してから結界に穴を開けてもらう。
そして、その空いた穴にめぐみんが爆裂魔法をぶち込んでデストロイヤーの背中のゴーレムをせん滅してもらうという寸法だ。
自分が立てた作戦を頭の中で振り返りながら、近づくまでの手段を探す。
バリスタを撃ち落としながら目指すにしたって、めぐみんらを抱えていては両手がふさがってそれもできない。
だから、必要なのはバリスタの矢から逃れる箱状の遮蔽物のようなものだ。
その箱の中にパーティーメンバーを入れ、それを僕が担いで飛べばバリスタの矢を撃ち落とす必要もない。
このスーツなら、矢がいくら当たっても平気だからな。
だが……バリスタの矢を何本も防げるそんな都合のいい物は……。
と、ギルドの外まで出てから周囲を見回していると、ギルドの建物の屋上にあったあるものが目に留まった。
あれなら……。
僕は、僕の後ろをついてきて同じくギルドの外へと出てきた皆に向き直り、ニヤリと笑って。
「さて諸君、全てが丸く収まるハッピーエンドと行こうじゃないか。あ、受付嬢君。あれ、借りてくぞ」
「あの、あれとは一体なんの」
僕は答えを聞く前にギルドの屋上へと飛び、そこに設置されていた、
「
「何してんですかあああああ!?」
──力いっぱいもぎ取った!!