この素晴らしい世界に祝福を!アナザー・ユニバース・アイアンマン   作:Tony.Stank

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タイトルの元ネタはアニメこのすば一期OP、およびデストロイヤー戦で流れた「Fantastic dreamer」から。
machicoさんは最高やでぇ。


第32話 FANTASTIC AVENGERS

 みんなハッピーエンドが好きだ。

 

 だろ? 

 だが……いつもそうはいかない。

 

 それでも、もし自分がそれを変えられるなら…………、

 

 誰だって力を尽くすはずだ。

 

 

『トニー! お前は史上最低最悪のマッドサイエンティストだ!!』

 

 例え、こんないわれのないことを叫ばれたとしても。

 

 僕らは今、超高速でデストロイヤーの元へと向かっていた。

 

『生命の危険を感じざるを得ない安全性の無さと、ギチギチに詰められた圧迫感……し、新感覚だ……!!』

『うおおおお!! こ、ここにいたら死にます!! 出してください! ここから出してください!』

『いやー! 助けて! お願いここから出してー!! カズマさーん!!』

『声が反響するから叫ぶな!!』

 

 僕とウィズ以外は、鐘の中に入れられた状態で。

 

 そう、アクセルの街の中央にあった巨大な鐘をもぎ取り、それを逆さにしてみんなを底に敷き詰め、僕が下から無理やり担いで飛んでいる。

 

 ちなみに乗り心地はカエルの胃袋の方がまだマシだとかなりの評判だ。

 

「みんな楽しんでるようで何よりだ」

『怨嗟と苦しみの声しか聞こえてきませんよ!?』

 

 頭部を晒しながら高速で飛んでるにもかかわらず、目を細めることも息苦しそうにすることも無くこうして平然と僕の横を飛んでインカム越しにツッコミを入れてくるウィズ。

 

 本来なら目は開けられず、呼吸もままならないはずなのだが。

 

「君この向かい風の中、どうして普通にしていられるんだ?」

『風の防壁を張る魔法を頭部に纏っています。ふふ、こう見えて結構快適なんですよ?』

 

 ウィズにMk.43を装着させる際、髪の毛が長すぎてどう頑張っても巻き込みそうだったので仕方なく頭部だけは装着させなかったのだが……そこは流石魔法の世界と言ったところか。

 

 女性として譲れない部分もあったのかもしれない。

 

「聞いておきたいんだが、スーパーヒーローになってみた感想は?」

『あ、あはは……正直少し窮屈ですが……でも、空を飛べるってのは素晴らしいですね! 感動します!』

「良い感想だ。またそのうち機会があったら着せてやるよ」

 

 窮屈なのは君の胸が大きすぎるからだろうに。

 ペッパーが見たら羨まし……いや、これ以上考えるのはやめておこう。

 

 この世は大きさが全てじゃない。

 

 そんな僕の邪推を吹き飛ばすかのような大声が突然僕の右耳に飛び込み、そのまま左へと突き抜けた。

 

『あああああーっ!! そうですよトニー!!!』

 

 めぐみんのシャウトがしばらく頭の中でこだまする。

 

「おい……耳が吹っ飛ぶかと思ったぞ」

『いいから聞いてください! あれだけ私にはスーツは着せないって言ってたのに、どうしてちゃっかりウィズに着せてるんですか!? ズルイです!! ズルイですよ!! 私にも着せてください!!』

 

 なおも響くめぐみんの魅惑の爆裂ボイス。

 カズマたちも耳がやられたようだ。罵声が聞こえて来る。

 

『うっせーぞこのロリっ子!! 大声出すと鐘の中で響くって言ってんだろが!!』

『ねぇ!! カズマもうるさいんですけど!! インカムあるんだから普通に喋りなさいよ!!』

『あぁ……頭がグワングワンする……悪くない……』

 

 めぐみんの叫びをカズマが叫んで注意し、そんなカズマをアクアが叫んで注意する。

 無間地獄と化した鐘の中、駄々っ子めぐみんのひがむ声が絶え間なく聞こえて来るが……、

 

 僕はそんなめぐみんに対し、心のそこから慰めるような声色で返す。

 

 

 

「めぐみん、悪いがスーツは大人用のサイズなんだ」

『…………』

『『『あっ』』』

 

 めぐみんの声がピタリと止み、それも相まって察した三人の声が極めてクリアに聞こえてきた。

 向かい風によって震える鐘の音がインカムに入り、独特な音がしばらく流れた。

 

『め、めぐみん……家に帰ったら牛乳パックでトニーのスーツを再現してあげるわ。だから……ねっ? 元気出して?』

『……約束ですよ』

 

 僕のスーツを牛乳パックなんかで再現するというのが引っかかるが、めぐみんはこの作戦の要なのでやる気を出してもらえてよかった。

 

 だが、とりあえず今から数百年にわたって人類を苦しめたという賞金首に挑むとは思えないアホな空気を何とかしてほしい。

 

 

 

 ──そんな中、緊張感をにじませたウィズの声が響いた。

 

 

『皆さん見てください! デストロイヤーが見えてきましたよ!』

 

 いよいよ目視で確認できる位置まで近づいたことにより、さっきまでの空気も引き締まる。

 

『いや見えねーよ、鐘の中なんだから。一面真っ黒だわ』

『す、すみません……!』

 

 ……なんてこともなく。

 

 まぁ、こういう方がこいつららしいと割り切って、僕も深く考えないことにした。

 たまには論理的思考抜きで戦った方が強い。

 

 バナーがハルクになるのはそう言う意味合いもあるのかもしれない。

 

「いいかみんな。今からデストロイヤーに突撃するぞ、シートベルト閉めたか?」

 

 僕も合わせてふざけたことを言おうと思ったのだが、どうやら逆効果でしかなかったようだ。

 

『ジョークも大概にしろよこの野郎! 何がシートベルトだふざけやがって!! ひき肉になるわ!!』

『女神の命を何だと思ってるのよラボ籠りのヒゲニート! しまいにはバチあてるわよ!』

『こんな時に馬鹿な事いわないでくださいよ! あっ、ちょっ……加速してます! 本当に加速させましたよこの人!!』

 

 ダクネスみたいに誹謗中傷を黙って受ける趣味はない。

 せっかく合わせてふざけたこと言ってみたらこの仕打ち。

 

「トロトロ飛んでたらかえって矢の餌食だ。全員()()の準備しておけよ」

 

 デストロイヤーの元へと緩やかに加速させながら接近する。

 その背の真上をとるようにして、高度を高く上げながら。

 

 胸部と背部、脚部のスラスターが最大まで展開し、噴出する推進リパルサ―が僕の背後に光の軌跡を描いてゆく。

 

 デストロイヤーの背から矢が飛んでは来るものの、僕はもちろん、金属製の鐘が矢を弾いて中にいる四人を守る。

 

 作戦通りだ。

 

 ただ一つ誤算だったのは…………。

 

「「「「あああああああ! 耳があああああああ!!!」」」」

 

 鐘が矢を弾く度に盛大に響き、中の四人の悲痛な叫びが僕の耳に入ってくることくらいだ。

 

 これ以上うるさくされると聴覚に異常をきたしそうだったので、少し真面目な話をして静かにしてもらうとしよう。

 

 全員が知っておくべき話でもある。

 

 僕は矢が届かない高度まで達してから真面目な口調で話し始めた。

 

「みんな聞いてくれ、アルダープの事だ。僕は奴の本当の狙いを突き止めた」

『えっ……なにそれ? あいつは支払いを放棄して、それであとはダクネスが正規の手段であいつを倒すだけって話じゃなかったのか?』

「違う。チェックをかけられているはダクネスの方だ。君らが借金を背負わされた時の話を覚えているか? 壁の弁償代、一部だけで良いから出してくれって言われただろ?」

『そ、そういえば……』

『トニー……!』

 

 ダクネスがそれ以上は言うなと制止の声をかけてくるが知ったこっちゃない。

 

 元はといえば相談するそぶりすら見せなかった君が悪いんだぞ。

 

「悪いが言わせてもらうからな。……さて、あの時の壁の弁償代だが……払ったのはなんとダクネスだ」

『……は?』

「ダスティネス家は弁償金を払うため、屋敷以外の保有資産をほとんど投げ打った。おかげでダクネスは今や貧乏貴族、エリス教会が配給するパンが生命線になってしまった。今夜の祝勝会のお代、ダクネスの分はみんなでおごってやろうじゃないか」

『わかったわ! まったくもう、ダクネスったらまったくもう。無茶しすぎちゃ駄目よ? そういうのはなんか発明品やらなんやらで色々と便利なスーパーヒーローとかに任せておけばいいの!』

 

 そう言って『でしょ?』と肩をたたくかのようなノリで鐘の底をゴンゴンノックするアクア。

 僕のことを困ったら何とかしてくれる便利屋か何かと勘違いしているらしい。

 

『おいトニー! 変なことを付け足すな! 私の家はそこまで貧しくなってなどいない!!』

『……お前何勝手なことしてやがんだ』

『そうですよ……一言言ってくれれば、領主の家まで行って爆裂魔法で脅してきましたのに』

『うぅ……』

 

 約一名、ことをよりややこしくしそうなアホがいるな。

 

 それはともかく。

 

 僕は以前、死ぬ寸前まで自分の問題を打ち明けず大勢に迷惑をかけたことがあった。

 良かれと思って相談もせずに作ったウルトロンが世界を滅ぼしかけたこともあった。

 

 自分が犯したのと同じような過ちを仲間に……それも、二十歳にもなっていないこんな少女にさせたくはない。

 

「本題はここからだ。もしこのままデストロイヤーの進行を許せば、街へと続くあらゆる民家や施設が破壊され、大勢の人間が路頭に迷う」

 

 インカムからは、向かい風に撫でられた振動で微かに鳴る鐘の音だけが響く。

 

「路頭に迷った市民たちはきっと領主の元に向かうだろう。その責務として、失った財産を補償してもらうために。でも、そうはいかない。なぜならその相手は、高い服を着飾って二流ゴルフ場で威張り散らしてるような奴だからだ」

『えっと……?』

「……ケチで見栄っ張りで、助けを求める人の手を嗤って払えるような奴って事だ」

『あぁ、なるほど! とんでもない野郎ね! 出会ったらゴッドブローお見舞いしてやりたいわ!』

『…………』

 

 皮肉を理解できなかったアクア以外、すっかり静かになったカズマ達。

 隣ではいつも柔らかな笑みを浮かべているウィズが、どこか憤りを感じているような顔をしていた。

 

 人畜無害で温和な彼女にこんな顔させるとは……君は罪な男だな、アルダープ。

 

 僕は話を続ける。

 

「となれば、市民が泣きつく先はただ一つ。以前私財をなげうってまで壁の弁償金を出してくれた慈悲深いダスティネス家だ。あぁ、彼女は払うつもりだと堂々と僕に言ったさ。もう金がないダクネスはどこからか借りて来るしかない。借りる先は……? おっと、ケチり続けたおかげで豊かなアルダープがいたじゃないか」

『……? そのアルダープが、どうしてダクネスにだけはお金を貸すの? ケチなんでしょ?』

『それは貸す相手によって様々です。よく考えてください、アクア。お金を貸すというのは、文字通り貸しができるということです。その貸しというのは、何も金銭だけではありません。お金を貸してもらったという恩そのものが重要なのです』

『まぁ、お前は俺からしょっちゅう金借りるクセに、その恩を三日……いや、三時間で忘れるけどな』

『ちょっと! 普段から不甲斐ないあんたの事を助けてあげてるんだから、そんなみみっちい事で……』

「なぁ、話続けていいか? いいよな? ……どうも。で、だ。もしダクネスに金がなくなり、アルダープに貸しができたらどうなる? 家柄はダスティネス家の方が上だが、貸しができればそこにつけ入る隙ができる。ダスティネス家失脚の足掛かりにされるんだ。そう上手く行くかって? 相手はやりたい放題やっといて尻尾をださないやり手、対してこっちは?」

 

 十分な高度まで到達したため、いったん上昇をやめて一定の速度でデストロイヤーの背を追う。

 

「ああそう。一人じゃ何もできないのに、一人で何でも抱えようとする、分厚い政治の本を見たら読み物じゃなくて鈍器だと思うような霊長目亜人科ゴブリン属のララティーナちゃんだ!」

『誰がゴブリンだ! いい加減にしろ貴様! ぶっ殺してやるっ!!』

『トニーさん……その嫌味はあんまりですよ……』

『さすがの俺もそこまでの嫌味は言わねぇわ……』

 

 ダクネスがブチ切れ、鐘の底をドカドカ殴る。

 ウィズもドン引きの表情で僕を見ていた。

 

 後ろの方ではめぐみんやアクアの非難の声も聞こえくる。

 何気にカズマまで引いてるのに少しショックを覚えるが……。

 

 そんな彼らは無視して、僕は下を走るデストロイヤーと、その進行方向の先を交互に見やる。

 

 超高速で駆けつけたおかげで、デストロイヤーが農村に突っ込むまではまだ余裕がある。

 

「とまぁ、今まで僕らに黙ってコソコソ破滅街道まっしぐらしてたララティーナをおちょくるのはこれくらいにして……」

 

 僕は鐘の中の全員を降ろす準備をしながら。

 

「要するに、デストロイヤーがこの先で被害を出したらダクネスはチェックメイト。貸しを元手に政略結婚なんて迫られてみろ、国の懐刀とまで言われたダスティネス家の権力を、アルダープが丸々手に入れてしまう。あの色欲魔の事だ、ダクネスが日ごろ妄想してるようなのよりもっとひどい事されるかもな? まぁ、それはそれで彼女にとってはハッピーエンドかもしれないが……少なくとも、僕らは受け入れる事なんてできないはずだ」

『トニー……』

「やるべき責務を放棄して、私欲の為に仲間(ダクネス)に不当な金を押し付けてきたあのクソ領主に、これ以上好きにさせていいと思うか? そろそろ報復の一つでもしてやりたくないか?」

 

 そんな僕の炊きつけに、カズマ達の反応はというと……。

 

『YESしか返せねぇような発破かけてきやがって! ったく、しょうがねぇなああ!! 貴族に喧嘩売るなんて御免だったけど、街救って借金背負わせてきたあのクソ領主にはムカついてたんだ!! そりゃ超やり返してぇよ!』

『当然! 紅魔族が悪徳貴族程度にビビったりするワケが無いでしょう!! 報復一択! ぶちのめしましょう!!』

『私も不満だらけよ!! 貴族相手なんてちょっぴり怖いけど、みんなでやれば怖くないわ!!』

『み、みんな……』

 

 カズマ達のそんな雄たけびに、ダクネスが感極まったような声を出す。

 

 それを聞いた僕はニヒルに笑い、

 

「では諸君──」

 

 皆が入っている鐘をしっかりとつかみ、

 

 

 

 

 

 

 

 

──報復(アベンジ)するぞ

 

 

 真っ逆さまにひっくり返した! 

 

 

 

「あっ……? あ、あああああぁぁぁ……!」

「いやああああああああああぁぁぁ……!」

「ぎぃやあああああああああぁぁぁ……!」

「ぬおおおああああああああぁぁぁ……!」

 

 カズマ、アクア、めぐみん、ダクネス。

 全員が重力に従って下へと落ちて行く。

 

 横でポカンとしてるウィズの方を向いて僕は一言。

 

「見ろ。みんな落ちて行く」

「知ってますよ!? なにしてるんですか!?」

「ちょっとしたユーモアさ。ほら、手筈通りに頼むぞ」

 

 担いでいた鐘は民家のない森の中めがけて軽く投げ、リパルサーではるか彼方へと吹き飛ばした。

 リパルサーが直撃した鐘は壮大に響き、それはまるで戦いを告げるゴングのようで。

 

 僕は頭を下にして推進リパルサ―を照射し、先に下へ向かったカズマ達を追いかけた。

 

 

 ▽

 

 

 少し手を伸ばせば、雲を掴めそうな。

 そんな、高さの空中で。

 

「ああああああああ! あのクソマッドサイエンティストめがあああああーっ!!」

「カ、カズマさーん!! 死ぬ死ぬ! 死んじゃう!! 私女神なのに死んじゃううう!!」

「死んだら枕元で一生爆裂魔法唱えてやりますよトニー!! ああああーっ!!」

「か、帰ったらまずあの男にやり返してやろう!! で、でもこのゴミのように宙を舞うのも……」

 

 俺たちは自由落下でみんなまとめて命の危機だ。

 ある一定の高度まで達したら全員で降下するとは聞いていたが、まさかゴミ捨てみたいにいきなり落とされるだなんて思ってもいなかった! 

 

 そんな俺たちの横に、独特のエンジン音を響かせてながら並ぶ影が。

 その影は、背を下に向け手は後頭部に回して腕枕にし、足まで組んでくつろぐような姿勢をとっていた。

 

「フライデー、記録に取っといてくれ。この星にかかる重力は……地球と同じだ」

 

 この野郎! 

 

「てめーまじで覚えとけよ!!」

「せっかくだから遊覧飛行を楽しめ。良いもの見れるぞ」

 

 そう言いながら右腕で俺とアクアを。左腕でめぐみんとダクネスを抱えて減速する。

 目に涙を浮かべためぐみんとアクアの抗議の喚きが、トニーを左右から挟んだ。

 

「普通に死ぬかと思いましたよ! 降ろすなら言ってください!」

「言ったろ」

「同時に落としちゃ言わないのと同じようなもんよ! 謝って! 女神に死ぬ思いさせたこと謝っ……」

 

 アクアの声を遮るようにして、一条の光が団子状に固まって低速落下する俺らの横を風切り音と共に過ぎ去っていく。

 

 最近仲良くなったダストのパーティ仲間である、キースから教えてもらったアーチャースキル《千里眼》で確認する。

 

 あれは……

 

「ウィズ?」

「結界の穴あけ……始まったか」

 

 インカム越しに聞こえて来る、ウィズの魔法の詠唱。

 その魔法は、一音一音を丁寧に。そして、歌い上げるようにして唱えられてゆく。

 

『フルパワー……! 行きますよ……!』

 

 何かの魔法を完全詠唱したのだろう。

 

『『ライト・オブ…………』

 

 ウィズの手首から先の部分のスーツが展開し、そこから現れたウィズの素手が白く発光する。

 その光は、彼女よりはるか上空にいる俺が視認出来るほどの強い光を放っており。

 

『……セイバー』ッッッ!!!』

 

 瞬間。

 

 長さ数十メートルは優に超えそうな長大な光の剣がウィズの手の先に顕現し、日輪のような美しく輝く円を描いた。

 

 結界と魔法が拮抗する音もなく、デストロイヤーの結界に円形の穴が開くのがしっかりと見えた。

 

「成功だ! よくやったウィズ! 君は一旦退避してろ!」

『はい!』

 

 デストロイヤーの背を守るゴーレムたちがバリスタで一斉にウィズを狙い、矢の弾幕が飛んでいくが、スーツの速度には追いつけるはずもなく。

 ただむなしくウィズが飛んだ後の軌跡をなぞり、地面に向かって落ちていくだけだった。

 

「めぐみん!! 爆裂魔法をあの穴に撃ち込め!!」

「任せてください!」

 

 トニーに抱えられているめぐみんが静かに目を閉じ、聞き覚えのある魔法の詠唱を始めた。

 

 ちょくちょく付き合わされるめぐみんの日課。そこでいつも聞かされる、威力だけはバカみたいに高い究極の攻撃魔法の詠唱。

 災禍を告げるカウントダウン。

 

「暴虐の限りを尽くしてきた起動要塞に終焔を──」

 

 めぐみんの杖の先に、超高エネルギーを宿した光の珠が輝き。

 

 

「──我らが報復に祝福を!! 『エクスプロージョン』ッッッ!!!」

 

 その珠は、まるで静かな泉に落ちる雫みたいに。

 デストロイヤーの背へと、破滅を乗せて向かっていった。

 

 真の脅威がウィズではないと気が付いたゴーレムたちが、バリスタの照準をこっちに向けるがもう遅い。

 

「来るぞ!」

 

 トニーがそう叫んだその数瞬後。

 

 デストロイヤーの背が一瞬輝いたかと思えば、轟音と共に業火の大輪が咲いた。

 その威力たるや、背にいるゴーレムを消し飛ばすだけでは飽き足らず、その名の元となった巨体を大きくグラつかせる。

 

 そして、ウィズが開けた結界の穴から、逃げ場を失った爆炎が噴火のごとき勢いで噴き出し、俺らのすぐ横をかすめていった! 

 

「あ、あぶねー!」

 

 爆裂魔法の直撃でデストロイヤーの姿勢がズレていなかったら軽く炙られていたかもしれない。

 

「今からデストロイヤーに乗り込む。全員、着地はかっこよく決めろよ」

「え、いや、普通に下ろし……」

 

 トニーは聞く耳を持たず、空いた結界の穴からデストロイヤーの背へと向かう。

 

 …………せっかくだし、トニーがいつもやってるあの着地をやってみよう。

 なんかカッコイイポーズなので、地味にやってみたかった。

 

 地面から数メートル離れたところでトニーから離れ、未だ爆煙が立ち込めるデストロイヤーの背に、膝と拳をつきたてて着地しようと……。

 

「まぉ゛あ゛ぁっ! !」

 

 膝からメキッと音がなり、変な悲鳴を上げて膝を抱えながら地面に転がった。

 

 俺の横では同じくアクアも地面に転がって震えていた。

 

「おい……なんだよ……これ……ひ、膝が……」

「グスッ……痛い、超痛いわ……『ヒール』……」

「カズマさん!? アクア様!? 大丈夫ですか!?」

 

 膝の皿が割れたかもしれない。

 

 なんでアイツはこんな非効率な着陸の仕方してんの? 

 馬鹿なの? 

 

 まともに着地できたのはトニーとダクネス、スーツを装着したウィズだけだ。

 と、そんな様子を見たダクネスが心配そうに声をかけてくるさらにその背中から、背負われためぐみんがやれやれと言った表情で声をかけてきた。

 

「見た目はカッコイイですが、その着地方法はやめた方がいいですよ? 膝に悪いです」

「ミスッて怪我するなんてマヌケだな」

「ちげーよ。これはあれだ、大地を感じているんだよ」

「へぇ。余計マヌケだけどな」

 

 この野郎。

 

 よろよろと立ち上がると、おそらくデストロイヤー内部へ続くのであろう扉の奥から、ドスドスと威圧的で重量感のある足音が響いてきた。

 

 千里眼スキルで確認すると、そこにはこちらへ押し寄せるイカついゴーレムの群れが。

 

 トニーもそれは確認していたようだ。

 こちらに向かって来るゴーレムに向かって拳を向けて。

 

「それじゃ、僕らの街と腹筋レディを救うとしよう」

 

 小型のミサイルを固まってるゴーレムのど真ん中に発射し、木っ端微塵に爆散させた。

 

 ちょうどいい機会だ、アレを試してみよう。

 俺はニヤニヤとトニーに挑発的な笑みを浮かべながら。

 

「おっ、やるなトニー。どうだ? どっちが倒せたか競走しようぜ。負けたら奢りな」

 

 不敵に笑う俺の顔を見て、トニーがキョトンと……いや、マスクで見えないが。

 そんな顔をしてこっちを見たような気がした。

 

「あー……まぁ、構わないさ。ちなみに僕はスコッチが好きだ。おつまみは生ハムでチーズを巻いたやつが良い」

「なに俺が負ける前提で話してんだ!」

「それおいしそうね! 私もそれがいいわ!!」

「お前に至っては関係ねーだろーが!! 馬鹿にしやがって! 見てろよ!! 『スティール』ッ!!」

 

 ゴーレムに向かって放ったその魔法によって、俺の突き出したその手にはしっかりとゴーレムの頭部が載っていた。

 頭部を獲られたゴーレムは活動を停止し、全く動かなくなる。

 

 俺はフッとニヒルな笑みを浮かべたドヤ顔をトニーに向け。

 

 ……そして、そのまま重力にしたがってめちゃくちゃ重たいゴーレムの頭部が俺の腕ごと地面に向かい、腕をサンドイッチにした。

 

「ああああああーっ!! 俺の腕がああああ!!」

「ねぇ、バカなの? あんたってば、賢いフリしたバカなの?」

 

 ニヒルな笑みを浮かべた俺のドヤ顔は一瞬にして泣き顔に変わり、膝に続いて腕をやられた俺は再び地面を転がる。

 

 そんな俺を見たトニーが、盛大にため息をついて。

 

「しょうがないな、君にハンデをやるよ。ウィズ、手がスーツにおおわれてたら魔法が撃てないだろ? ほら、一旦返してもらうぞ」

 

 トニーがそう言うと、ウィズが装着していたアイアンマンスーツの腕部が俺の腕へと飛来し、ガシャガシャと機械的な音を立てて俺の右腕を包んだ。

 

「おおおお! マジかよ!! やった!!! よっしゃ、ここからずっと俺のターン!! 『スティール』ッッ!!」

 

 ロマンを腕に覆った俺はテンションが上がり、目の前に立ち塞がるゴーレムに特効魔法を仕掛け……、

 

「へっ……きゃあ!?」

 

 ウィズの胸に光るアークリアクターを引っこ抜いた。

 スーツの動力源が突然無くなってただの鎧と化し、その重みでウィズが前にコケる。

 

 ……。

 …………。

 

「おい」

「ちょっ……ちょっと待て! おかしいだろ! なんでだ……? 手はゴーレムに向けたはず……」

「どうやら、魔法を放った手を覆っているスーツの腕部がスティールの対象になったようですね」

 

 いや待ておかしい。それじゃ盗賊職は誰も篭手を持てないだろうし、そもそも盗ったのは胸のリアクターだぞ、腕のパーツじゃない。

 

 そんな俺の疑問に答えるように、めぐみんが続けて話をする。

 

「そして、遠隔でつながるスーツの大部分を装着しているウィズがその腕部の所有者として認識され、今の結果となったようです。これは興味深いですね」

「その……ごめん、トニー」

「八十億が一瞬でガラクタになっただけさ、気にするな」

「え゛っ……あれ八十億エリスもすんの……?」

「八十億()()だ」

「…………」

 

 頭が真っ白になって口がポカンと開く。

 

「まぁその……ウィズがスーツを脱いだらきちんとその腕部があなたの装備として認識されるはずです。なので、その……後は頑張ってください」

「頑張れボウズ。壊したぶんは働けよ?」

「ねぇ、カズマさん。私たち今借金してるのよ? あんた何借金増やしてんの?」

 

 …………。

 

 俺はどこか困惑したような様子でこちらの出をうかがっているゴーレムに再び掌を向けて叫ぶ。

 

「チクショー! もうヤケだ! お前ら全員ぶっ壊してやるから覚悟しやがれ!! ていうかトニー! なんでそのスーツそんなバカ高いんだよ!! この先どんな賞金首倒したって赤字確定じゃねーか、バーカバーカ!!! 『スティール』! 『スティール』!! 『スティール』!!!」

「平和に値段は付けられない」

 

 補助電源がついているのか、背面が展開して何とかスーツを脱いだウィズをしっかりと確認し、ゴーレム目掛けてスティールを乱れ打つ。

 魂の叫びも冷静に返された俺は幸運値に物言わせ、次々とゴーレムの動力部やら頭部やらの主要パーツをちぎっては投げていく。

 

 俺TUEEEEな無双をしているというのに、なんだか全然晴れやかな気持ちにならねぇ。

 

 

 ▽

 

 

 カズマが雄たけびを上げてゴーレムを片っ端から無力化していく。

 これは僕も頑張らないと負けるかもしれない。

 

「さっさと中心部に向かってコイツを止めるぞ。ウィズ、まだ動けるか?」

「ええ、大丈夫ですが……結界に穴を開けるのにだいぶ魔力を使ってしまったので、上級魔法の連発はできません……」

「十分だ」

 

 あれだけの大魔法を使っておきながら、歩けるどころか戦闘継続まで可能とは、リッチーというのは恐ろしい存在だと言わざるを得ない。

 これがリッチーのデフォなのだとしたら、敵対的なリッチーと戦う時は苦労しそうだ。

 

 建物の奥へ向かうようにして前へと進んでいると、後ろから不安げなダクネスの声が聞こえてきた。

 

「わ、私はどうすれば……」

「動けないめぐみんを守れるのは君しかいない。頑張ってくれ」

「あ、ああ!」

 

 もしかすると最近出番がないことを気にしているのかもしれない。

 なにか彼女の戦闘力を底上げしてやる装備でも作ってやるべきだろうな。

 

「私は怪我した人をなんとなく治すので、戦闘面は全部あなたたちに任せるわね。頑張って!」

 

 君はもう少しやる気を出せ。

 

 

 

 ──先へと突撃して行ったカズマを追いかけると。

 

「……カズマ? おい、無事か!?」

 

 そこにはひと際大きな扉の前で力尽きたようにして倒れるカズマの姿があった。

 ゴーレムの残骸があちこちにあるので、相打ちにでもなったのかもしれない。

 

 とりあえず回復だ。

 

 僕がアクアの方を見ると、やれやれと言った感じで肩をすくめながらカズマの方へと向かう。

 そして、回復させようとペタペタ触り始めたその瞬間。

 

「ドレインタッチ」

「ああああああああああああああーっ!!」

 

 魔力を吸われたアクアが後ろにもんどりうつ。

 立ち上がったカズマは、サウナ上がりにコーラでも飲んだかのような、生き返ったといった顔で体の埃をパンパンと払って。

 

「ふぅ。いやぁ、ゴーレム相手に無双してたのはいいんだけど、途中で魔力切らしちゃってさ。ちょうどいいところにアクアが来てよかったわ」

「こんのアンデッドニート!! この女神である私の神聖な魔力奪うだなんて、不届き物としてぶっちめてやるわ!!」

「こらやめろ、引っ張るな。幸いここはゴーレムしかいないみたいだし、俺の力が必要になるだろ? だからこれでいいんだよ」

「いいわけないでしょ!! 謝って! 女神の神聖な力奪ってごめんなさいって謝って!!」

 

 このままコント見てるのも悪くはなさそうだが、あいにく急いでいるので喧嘩してる二人の横を通って扉に手をかける。

 

「……鍵がかかってるな」

 

 どうやら魔術的な何かでロックされているようだ。ドアを押すと、それを拒むかのようにドアに魔法陣が浮かび上がる。

 ドアの右には、数字が並んだ暗証番号を入れるタッチパネルがあった。

 

 そんな開かないドアをグッと押した僕を、めぐみんとカズマが何か期待を込めたような目で見て来る。

 

 一体なんだろうか。

 

「なぁ、スパイ映画みたいにこう……扉のシステムをハッキングして開けるとかやるのか……?」

「いやいや、きっとパネルの表面をスキャンして、指紋から指が触れた順番をあぶりだすとかそんなんで……」

 

 適当言ってる二人の声は無視して、僕はペタワットレーザーで強引に扉を丸く切り取る。

 期待を込めた視線が、いっきに白けたようなそれに代わるのを感じた。

 

「……ないわー」

「もうちょっとこう……なかったのでしょうか。紅魔族としては、スマートさに欠けると思いますね」

「今回は早さが優先なんだ、隠密作戦じゃないんだぞ。いちいちハッキングして開けるよりも率が高い方を選ぶのが正解だ」

 

 丸く空いたドアをくぐると、そこは今まで通ってきた部屋とは異なる雰囲気の広間があった。

 部屋丸く取り囲むようにして並ぶ本棚、あらゆる機材が並んだ机……。

 

 そして何より目を引くのは……、

 

「おい、あれって……」

「人骨だな。どうやらここに生きた人間は残っていないようだ」

 

 中央の椅子に腰かけた、白骨化した人の骨。

 一人でポツンとそこに座っているのは、どこか悲哀を感じるが……。

 

「完全に成仏してるわね、未練もなくスッキリと。アンデッドになる心配はないわ」

「いや……それはないだろ、一人寂しく死んでったようにしか見えないぞ……」

「あれ、遺体の近くに何かあるわね……これは……日記かしら」

 

 僕は白骨死体に目をやることは無く、ただ黙って書物を片っ端からスキャンしていく。

 

「──〇月×日。国のお偉いさんが無茶言い出した。こんな……」

 

 アクアが何かを読み上げ始めたが、構ってる暇はない。

 

 このデストロイヤーに僕らだけで乗り込んだのには、街やダクネスの窮地を救う以外にもう一つ大きな理由があった。

 

『ボス、発見しました』

 

 HUDに強調表示された書類の束をパラパラとめくる。

 

「──○月×日。設計図の期限が今日までだ。どうしよう、まだ白紙ですとか今更……」

 

 複雑なパーツの種類や、組み立て方が詳しく書かれた説明書……

 そう、起動要塞デストロイヤーの設計図だ。

 ビンゴ。狙っていたものが完璧な形で手に入った。

 

 にしても、気になるので日記の内容をいちいち声に出して読まないでほしい。

 

「──○月×日。あの設計図が予想外に好評だ。それクモ叩いた汁ですけど……」

 

 後ろでアクアが読み上げる日記の内容がいやでも耳に入ってくる。

 

 気にしないようにしながら紙の束を上からスキャンし、そのすべてをデジタル化してスーツの記録媒体へ保管していく。

 

「これ全部頂いていくぞ」

『了解です、ボス』

 

 数百年も補給無しで動き続ける超技術の設計図は手に入れた。

 

「──動力源がどうこう言われたが知るか……伝説級の超レア鉱石、コロナタイトでも持って来いと言ってやった……」

 

 ……なるほど、コロナタイトという鉱石が動力源なのか。

 にしても、なんて責任感のない奴なんだ、片手間に聞いてるだけだが軽いイラつきを覚える。

 

 強力な力を持った兵器を作るなら、もっと責任感を持って然るべきだろうに。

 

 ……まぁいい。あと必要なのは、こいつの動力源と優秀な助手だ。

 

「めぐみん君、こっちにきたまえ」

 

 めぐみんに手招きすると、ダクネスの背から降りためぐみんはよろよろと杖を支えにしながらこっちへと向かってくる。

 

「トニー、どうしましたか……って、これは……まさか……!」

「凄いだろ? この紙束一つで世界が変わるぞ」

 

 めぐみんは額に汗を浮かべ、ゴクリと喉を鳴らす。

 

「そそ、その……確かにすごいですが……これ一体どうするんですか? 下手しなくても持ってるだけで処刑されますよ?」

「だからここで燃やしていく。国じゃなくて、コイツを僕らで管理するんだ。なに、デストロイヤーを作り直そうって訳じゃない。新しいスーツの製造に役立てるんだ。結界の展開、軽量のボディ、それらを動かす動力源……上手く使えば、何にも負けない最強のスーツが作れるかもしれない。僕一人でもある程度はやれるが……僕より魔術や魔力を用いた道具に造詣が深い君の力が欲しいんだ」

「ふむ……なるほど、重犯罪に片足突っ込むのはちょっと……いえ、かなり怖いのですが……ほかならぬトニーの頼みです。一緒にやりましょう」

「返事が聞けて良かった。それじゃ……」

 

「──……おっと、これ作った責任者、俺でした!」

 

 ……。

 …………。

 

 僕は無言で振り返り、日記を読み上げていたアクアの方へと歩いていく。

 

「あの、トニー? どうしたのですか?」

 

 後ろ背にそう聞きながら追いかけてくるめぐみんを無視して、アクアから日記をむしり取り……。

 

「ああっ!」

 

 その日記を両面から挟むようにして持ち、両手からリパルサーを発射して木端微塵に消し飛ばした。

 

「ちょっと! 何してんのよ!! 確かにロクでもない内容だったけど、亡くなった人の遺品を吹き飛ばすのは聖職者として見過ごせないわ!! バチ当たるわよ!?」

「むしろこいつが死んでてよかったよ! 生きてたら一発……いや、二発は殴っていたかもしれないからな!」

「……こいつ何でこんな怒ってんの?」

「トニーもあらゆる装備や兵器を製造する科学者ですが、平和を願い、責任を持って製造と提供をしています。無責任にこんな機動兵器を作り、あまつさえ罪悪感も持たずふざけ倒したこの男が許せないのでしょう。確かに死んでてよかったですね。カズマもあまり触れないでおきましょう、怒ったトニーにはあまり近付きたくありません」

「説明どうも。それじゃ、さっさと制御室に向かうぞ」

 

 設計図も全部記録し終えた。

 もうここに用はない。

 

 誰も近くにいないことを確認してから、書物の山にミサイルを放って全てを吹き飛ばし、スキャンを終えた設計図をHUDに表示し、それに従って動力源のある中枢部へと向かった。

 

 そんな僕の背中から、ダクネスが不思議そうに声をかけて来る。

 

「……ずいぶん迷いなく進んでいるようだが、道がわかるのか?」

「……科学者なんでね。こういう兵器の内部のどこに動力部があるかは大体見当が付くんだよ」

 

 そう誤魔化しながら、僕はHUDに表示されたタイマーを確認した。

 

 結界に穴が開くことによって衛星で捕捉できるようになったデストロイヤーの位置と速度、最寄りの農村から元に計算されたタイムリミットだ。

 

 指し示された時間は……残り十分を切っている。

 

 僕は目線をずらし、()()()()()()()()()も確認する。

 それは、HUDに表示された()()()()のシステム調整の進行具合を示すゲージバーと、その上に表示されている完了までの予測時間。

 この試作装置さえ完成すれば、デストロイヤーの進行は確実に抑えられるだろう。

 

 ……のだが。

 

 

 

 指し示された時間は──残り十五分。

 

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