共生の物語 ~屍人と響界種と守護竜と~   作:フォルカー・シュッツェン

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二話連続投稿します
この回と次の回で分かれてはいますが同じ場面を別の視点から描いたものになります


第八話 屍人VS将軍

「つぇりゃあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 裂帛の気合と共に大上段から戦斧が振り下ろされる

空気を斬り裂き唸りを上げながら迫ってくる斧をサイドステップで回避する

流石にあれをマトモに食らったらタダでは済まない

いくら私の性質が屍となっていて未練を失わない限り不滅だとしても、人間の身であることに変わりはないのだ

レンドラーの攻撃を受ければ再生にかなりの時間を要するだろう

しかしそんな威力を持っている代わりに機動力は低いはずだ

顔以外の全身に頑強な鎧を着ていて、しかも身の丈を越えるほどの大斧を振り回している

軽い剣のように素早い斬り返しは出来ない…と思っていた

斧から逃れた私はそのままレンドラーに接近し、顔に蹴りを叩き込もうとした

昨日の奴らとは明らかに鎧の質が違っていて流石に凹ませるのは私にも出来ないし、この上からダメージを与えようとなるとかなり特殊な手法を用いなければならない

その点頭に兜は着けていないため、上手く決めれば一撃で倒せるだろう

そう思っての攻撃なのだが…

 

「なっ!?」

 

 レンドラーは斧を振り下ろす挙動を途中で変化させ、私のいる方に向かって横凪に一閃してきた

それも片手で、だ

恐ろしい膂力と繊細な技術を両立させていた

片手を斧の上に置き、なんとか跳躍することで回避した

仕方なく一旦距離を取った私はどう攻めるか思案する

ただ突っ込むのではあの斧の餌食になるだけ、しかし回避したところでその方向に向かって再び斧が襲いかかってくる

 

「どうした?攻めてこないのか」

 

「どう攻めたものかと思いましてね。思っていたよりもずっと強くて困ってるんですよ」

 

「ふん、それは名誉なことだな」

 

 軽口を叩く間も油断や隙が一切生じない

その後暫く攻防を繰り返したが、どれも決定打にはならなかった

この男は本当に強い、なるべく屍の力は使いたくないし、生身でどうやって倒すか…

こうなったら一瞬で背後を取って脳をふさぶり、失神させよう

流石に目で追えないほどの速度で後ろを取れば反応が遅れるだろう

そう決めた私は脚に力を込め、一気に背後へ回り込む

そのまま後頭部へ拳を突き出した…のだが

 

「甘いわ!!」

 

「くぅっ…!」

 

 脇の下から斧の柄で突いてきた

目には見えていないはずなので気配だけを頼りに私の正確な位置を把握しているようだ

避けるのが間に合わないため柄を掴んで止める

全力で押さえつけなければ私の腹に突き刺さるのではないか、そう思えるほどの威力があった

すると今度は柄を振り上げ、前方に向かって振り下ろした

全力で掴んでいた私は当然の如く地面に叩きつけられた

レンドラーの身長に斧の柄の長さも相まって3m強の高さから彼の腕力によって高速で落下した私の身体には凄まじい力がかかる

普通なら背骨は粉砕骨折し、臓器も折れた骨が突き刺さったりして絶対に無事では済まない

余裕で死ぬ

そう…普通ならば

しかし私には屍の再生能力があるし、産まれた時から強靭な肉体へとなるよう修行させられてもいた

更に屍化したことで防御力は上乗せされている

そしてこの事はこちらの世界では誰にも話していない

そもそも私が召喚獣だと知っているのはフェア、リシェル、ルシアンの三人だけだ

私が特異な力を持っているなど考えつきはしないだろう

レンドラーも私の口から溢れる血を見て私が瀕死だと確信したようだ

表情が相手を打ち負かした者のそれになっている

この血が私がわざと舌を噛み切ったことによる血だとは気付いていない(舌はその直後に再生している)

本当に相手が死んだのか確認をして来ない

 

「我輩の勝ちだな。なかなかに強かったぞ、アウルよ。出来ることなら貴公とはもっと長く戦いたかったがな…」

 

 だからそうやって油断して背を向けるのだ

闘気すらも霧散したレンドラーに向かって跳躍からの踵落としを決める

脳天に直撃した一撃でレンドラーは崩れ落ちた

 

「がはぁっ…!何故だ…何故、死んでいない!?確実に殺したはずで、あろう!!」

 

「次からは相手が死んだかどうか、きちんと確認することを勧めます。もしくは首でも落としてから構えを解くべきでしたね」

 

「…貴公は、何者だ?」

 

「ただの居候ですよ。今はね」

 

「そうか…殺さぬのか?」

 

「貴方を殺す理由がありませんから。貴方はどうしようもない屑でもなければ、死ぬことでしか救われない終わった者でもありませんから」

 

「それ以外の者は殺さぬということか、なるほどな」

 

 そう言うとレンドラーは立ち上がり、数歩ほどフェア達の方へ歩いた

あれを喰らって立ち上がれるのか…かなり回復が早いな

流石にまだ戦闘は難しいだろうが、こんな鎧を着て普通に立って歩ける時点でおかしい

頭から血も出てるというのに

戦っているフェアを見ていたレンドラーは訝しげな顔をしている

 

「どうしたのです?」

 

「あの小娘の動きだが…何処かで見たような……もしや」

 

「彼女を知っているのですか?」

 

「いや、小娘のことは知らん。だがあの動きは知っている。アウルよ、あやつの父親は冒険者などしておらぬか?」

 

「それを私から言うことは出来ません。本人に確認して下さい」

 

「そうか、ならばそうするか」

 

 そうして私達はフェア達の戦闘を見ることにした

とは言え私とレンドラーが戦ってる間にフェア達の優勢で進んでいたし、いつの間にか乱入したグラッドとミントの加勢で勝負は決したようだ

レンドラーとフェアが向かい合う

私は近くにあった木に背中を預けて事の成り行きを見守ることにした

その選択が間違っていたことを知るのはその直後のことだった

 

 




う~ん、アウルの戦闘描写が難しい!
フェア達の方が書きやすいという現状をなんとかせねば…

リィンバウムや各キャラの紹介をするコーナーというか話を設けた方が良いですか?

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