共生の物語 ~屍人と響界種と守護竜と~ 作:フォルカー・シュッツェン
残念、バイトとゲームとゲームとゲームで忙しくて書けていなかっただけでした!
ということでお待たせしました、よければ見てやって下さい
「それよりもあたしらが気になるのはさぁ」
「うむ。我らが何者を相手にしておるのか、だな」
「分かってるなら最初から話しなさいよ…」
「ハッハッハ、そうむくれるでない小娘よ」
翌日、セイロンから話を聞く為に集まってまずは自己紹介から始めたのは良かった
しかしセイロンの話が長かったためしびれを切らしたリシェルに中断させられていた
セイロン自身それを分かっていたというのだから質が悪い
曰くセイロンは龍人でやんごとなき身分なんだとかラウスブルクには客人としてもてなされていたとかその流れで次代の御子が守護竜となるまで御使いを務めることになったとか…重要なことも言っていたのだが如何せん長い
しかもやんごとなき身分が事実なのか妙に偉そうな言葉遣いをしておりリシェルなどは少しイライラしている
まぁ偉そうな割には不快にならない不思議な人物であるので私としては構わないのだが
それにそんな産まれであるが故か、ミルリーフに対しては大変に畏まっており最大限の礼節を持って接している
それよりも今は情報が欲しい
敵の情報は非常に有益であり、それの有る無しでは勝利のしやすさに雲泥の差が出る
「話を聞く限りお主らは既に『剣の軍団』と『鋼の軍団』に遭遇しておるようだ。それぞれには『将軍』レンドラー、『教授』ゲックという者が頭目として存在している。ここまでは良いかな?」
「ええ。私達はそれら複数の軍団を束ねる更に上の者がいると踏んでいます」
「正解だ。彼らは『姫』と呼ばれる者を中心に集まり、活動しているようだ」
「ならその『姫』って奴が諸悪の根源なわけね」
「はて、それはどうであろうな」
「何よ、言ってることが違うじゃないのよ」
リシェルの言葉にセイロンは少し自信の無い表情を浮かべて否定とも肯定とも付かないことを言った
『姫』が全ての頭目…にも関わらずセイロンのあの言葉
考えられるのは
「確かなことは我にも分からぬ。だがラウスブルクで戦った時、実際に彼らを率いていたのはクラストフと名乗る青年だったのだよ」
「なるほど、やはりそういうことですか」
「クラストフ…それって家名ですか!?」
「あぁ、そうであったと記憶しているが」
名前を聞いたミントが珍しく驚愕に染まった顔をしており、声を少し荒らげている
「お姉ちゃん、知ってるの?」
「ええ…無色の派閥の一派でね、『魔獣調教師』って呼ばれるほど幻獣界に精通してるらしいの」
「無色の有力者が相手の可能性があると…これは厄介ですね」
無色の派閥…蒼の派閥や金の派閥と同じく召喚士による組織の一つ
だがその性質は両派閥とは大きく異なり、破壊活動に傾いている
一応召喚士が全てを支配する世界の構築を理念に掲げてはいる
しかし過去の大戦等の影響により今では殆ど形骸化しているらしい
それによって無色の派閥としてよりも各家系でのやりたいことをやりたいようにやろうとしているため、活動の予測や対応が寧ろ難しくなっている側面もあるようだ
更に無色の派閥では家系ごとに受け継がれてきた古代の召喚術がある
それらは非常に強力で、一族の者以外扱えないよう秘匿されてきた
つまりは事前に対策のしようのない強力な切り札を持っていることになる
そしてそんな無色の派閥と協力関係にある組織が存在する
それは『紅き手袋』という名の組織で、端的に言えば殺し屋集団だ
金さえ積めば強盗や誘拐、殺しなどなんでもやる
組織名も血に染った手袋に由来するほど危険な組織である
そんな相手が敵にいるという事実は厄介なことこの上ない
「なんてこったよ…そんなの俺らにどうにか出来るのか?」
グラッドが不安を口にした
気持ちは分からなくもない
現状を考えれば普通はそうなる
「やる前から諦めていたら出来ることも出来なくなりますよ、グラッドさん」
「それは、そうですが…しかし」
「それに、もう賽は投げられました。後戻りは出来ません。出来るか出来ないかではなく、最早やるしか選択肢は残されてないんですよ。そんな不確かな心で戦えば…死にますよ」
「大袈裟、とも言えないのが辛いところだな…よし、分かりました!本官も覚悟を決めます!」
グラッドは力のある笑みを浮かべて敬礼した
そこまでやる必要はないが、気合いを入れる為なのだろう
「そうそう、一つ言い忘れておった」
セイロンが手を叩きながら言った
「お主らは幸いなことにまだ出会しておらぬようだが、『獣の軍団』には気を付けた方が良い」
「獣の軍団…メイトルパの軍団ですか?」
「あぁ、そうだ。亜人や魔獣のみで構成された凶暴さでは比類なき部隊でな、尋常ではないしぶとさと破壊力を持つ『獣皇』なる者が率いておる。まともに戦うことは避けるべき相手だな」
「それはまた厄介な…」
「全くだ。遭遇しなければそれに越したことはないが、いずれ相見えるかもしれん。想定はしておくようにな」
「ええ、分かりました。取り敢えずは他の御使いがこの街に来ることを祈るしかありませんか」
「そうだな…それしかあるまいて」
そうして私達は思い思いに過ごすことになった
「ふぅ…今日はこんなものですかね」
私は誰に言うでもなく独り言ちた
やっているのは最早言うまでもないだろう、道の整備だ
物資の集まりが良くて思いの外進んでいる
というのも意外なことにテイラーが私の行っている道の整備に対して協力的なのだ
整備したおかげで売上が上がり、効果が出ていることを認めたから援助をしてやるだけだ…と、そう言っていた
どうやら結果を出せばそれをしっかりと受け止めて真っ当な評価をするばかりか、その頑張りに対してのご褒美のようなものまで惜しみなく送る人物であったらしい
こういう人物が上役についているなら頑張り甲斐があって仕事も楽しく出来るだろう
それを知っていたからこそフェアはテイラーに苦言を呈する私を止めたのだろうか
だとすると…いや、どちらにしても私はテイラーを少し誤解していたようだ
結果を出さなかった時の姿しか見たことがなかったからと言えばそれまでだが…それに明らかに言い過ぎであるのも確かだし
とまぁそんなことはどうでもいい
階段を作る作業も残り5分の2といったところだ
今日はこれで切り上げて階段作りが終わった後の作業となる手摺の作成をどうしていくかを煮詰めることにしよう
ある程度構想を固めておけば階段が終わってからすぐに作業に取り掛れる
その初動の差は意外と大きな違いを産む
これからの工程を考えながら私は宿に戻り、手洗いや着替え等を終えた
さてこれからどうしようかなと思案しながら廊下を歩いているとリビエルの部屋から話し声が聞こえてきた
「…ですからして、保護者である貴女がお手本を」
「わ、分かった!分かったからさ、リビエル…もうこの辺でお説教は勘弁してくれないかな?」
「まだ話は半分も終わってません!!」
「は、はんぶん!?」
どうやらフェアがリビエルにかなり長い時間説教を喰らっているようだ
どれくらい続いてるかは知らないがもしも私が作業を始めた時からだとすれば二時間は……うん、流石に止めた方が良いかな
そう思っていたが私が出る幕もなかったようだ
ルシアンが部屋に入っていくのが見えた
「いいですか?そもそも貴女の立場は…」
「今日のところはその辺にしておいてあげてよ」
「ル、ルシアン…」
「そうはいきませんわ。これはとても大事なお話なんですのよ」
「いくら大事な話でもいっぺんに聞くのは無理があるってば。せっかく話したって、それが反映されなきゃ意味がないでしょ?」
「それは…まぁ、そうですけど」
ルシアンが中々上手いこと言い含めている最中にフェアがこっそり部屋から出てきた
目が合ったので少しジト目で睨んでやるとちょこんと舌を出しておどけてきた
くそ、可愛いじゃないか
そうしている間にも部屋の中では話が続いている
「残りの話はまた日を改めてってことで。フェアさんもそれで良いですよね?…って」
そう、そこにはもう誰もいないのだ
「あ、あれぇっ!?」
「ルシアン?貴方もしかして逃がす時間をかせいで…」
「ちちっ、違うよ!?僕、そんなつもりじゃないって…」
「責任取って、貴方が代わりに聞きなさい!」
「えぇ〜!?」
おっと、これでは余りにルシアンが不憫だ
フェアを助けてくれたし、助け舟を出そうかな
「リビエル、それは流石に理不尽でしょうに。ルシアンに聞かせても意味がないですし」
「それはそうかもしれませんがですが!!」
「それは単に貴女が説教をしたいだけの独り善がりになってませんか?果たして知識を司る天使がそれで良いのでしょうか」
「うぐ…そ、それは」
「それよりもリビエル、少し相談したいことがありまして」
「私に?なんでしょう?」
「今作っている階段を作り終えたら手摺を作るのですがその設計で…」
そうこうしている内にリビエルの意識が完全にこちらに向いたのでルシアンに軽く目配せして離れるように促した
ルシアンは察したのか軽く頭を下げて部屋を出ていく
因みにリビエルに設計の相談をしたかったのは本当だ
なのでそれからは真面目に話し合い、意見を出し合って取り敢えずの方針を固めることが出来た
…本当はリビエルに召喚術に関して教えて欲しいのだが彼女はまだ人間に不信感を抱いている節がある
私達のことは信じてくれているようだが、それでも召喚術を人間に教えるとなるとまだ抵抗があるだろう
まずは個人的に仲良くなって彼女の心からの信頼を得る必要がある
それまでは我慢だ
リビエルの説教事件から暫く経った後、私達は皆でシリカの森にいた
シリカの森はトレイユの街の南西部にある自然豊かな森だ
そこには綺麗で澄んだ池もあり、弁当でも持っていけばとても良い森林浴が出来るだろう
そして何故そんな場所にいるかと言うと
「この前は結局ドタバタしてしまいましたから今度はゆっくりとピクニックを致しましょう!」
というポムニットの発言が発端である
どうやらリビエルを見つけた際に行っていたピクニックが最終的に戦いで締められたことに不満を持っていたようだ
フェアが店の管理をするようになってから会う機会がかなり減ったらしく、更には一緒に遊ぶことが殆どなくなってしまったことに寂しさを感じていたらしい
そんな中訪れた折角の機会が戦闘で終わりというのは確かに納得いかないだろう、ということで御使いの二人も巻き込んで今此処にいる
「しっかしこの森に来るのも久し振りね〜」
「そうだね。昔は偶に三人で来てたよね」
「懐かしいね〜。どう、ミルリーフ?歩くだけで退屈じゃないかな」
「ううん、楽しいよ!それにここなんだか心がスーッとして落ち着くんだ」
「御子殿は元来メイトルパにおわす御方故、自然豊かなこの地にまだ見ぬ故郷を重ねておられるのでしょう」
「なるほど…」
「私もメイトルパの召喚士だからかここは好きだな。最近は忙しくてあんまり来れなかったけど、来れて良かったぁ」
「ムイムイッ!」
ミントも羽を伸ばしているようだ
私も自然は好きだ
木々が優しく生い茂っている森は特に好みで、ログハウスを建てたくなる
静かで空気が綺麗で………静か?
いや、風切り音が聞こえる
これは…矢?
矢が空気を切り裂いて飛んでいる
誰かが訓練をしている、というわけでもないようだ
風に運ばれてくる血の匂いが狩猟、もしくは戦いが起きていることを私に知らせてくれた
ただ狩りをしているだけならば良い、巻き込まれないようにするだけだ
だがもしも戦いで、更にミルリーフが関わるような戦いなのであれば……嫌な予感がする
こういう時の勘は何故か良く当たるものである
「あの、リビエル。つかぬ事を聞きますが…」
「あら、なんですの?」
「御使いの中に弓矢を使う人はいますか?」
「ええ、いるわ。アロエリっていうセルファンの、有翼亜人の女性が…何故そんなことを聞きますの?」
「…本当に、悪い予感ほど良く当たるのはなんなんでしょうね。おそらくそのアロエリという人が戦っていますよ」
「なんと、それは真か!?」
話を聞いていたのかセイロンが驚いた様子で声を上げた
その声にみんなも気付いてこちらを見たので事情を説明してすぐにその方角に向かった
「りゃあぁぁぁ!」
「ギャウゥ!?」
「む、あれはアロエリだな。アウルの言う通りであったか」
向かった先では南米民族のものに似た衣装を身にまとった女性が矢を放っていた
放たれた矢は毛むくじゃらで大柄な亜人の右肩に突き刺さり、持っていた斧を落とさせた
あれでは少なくとも治療しなければ戦うことは出来ないだろう
必要以上に傷を与えず、確実に戦闘能力を削ぐような位置に当てている
正確無比な射撃精度だ
「アロエリは弓の名手でその腕前は百発百中と言っても差し支えないですわ。でも、あれだけの数に囲まれては…」
「冷静に分析してる場合!?仲間なら助けに行きなさいよ!」
「うむ、尤もだ。往くぞ、店主よ!」
「ええ!」
セイロンは何故かフェアのことを店主と呼ぶ
正確には雇われ店長なのだが…今はそんなこと気にしてる場合ではないな
私達は武器を構えて亜人達の元へ走り出した
「フウウゥゥゥ……ホアッチャアァ!!」
「グオォン!」
亜人の一人にセイロンの飛び蹴りが炸裂し、大きく吹き飛ばした
その姿にアロエリは目を丸くして驚いていた
「セイロン!?」
「これだけの敵を相手に一人でよくぞ頑張ったな。ほめてつかわすぞ、あっはっはっは!」
「ちっ、相変わらず脳天気なヤツめ」
「もう、こんなにあちこち傷だらけにしちゃって…癒すこっちの手間も考えて欲しいですわ」
「リビエル…そうか、お前も無事だったのか」
「御子様も無事ですわ。不本意ではあるけど、助けてもらったの」
「あの者達に、な」
そう言われてアロエリはセイロンの指し示す先を見た
そこではフェアが亜人の一人の武器を剣で叩き落としていた
「人間だと!?」
「貴女の言いたいことは分かるつもりですわ。今は目の前の敵のことだけを考えて」
「彼女らは御子殿の味方だ。不本意であろうとも、それが真実なのだ。そなた本人の感情は、後回しにしておけ」
「くっ…!」
アロエリは悔しそうに下唇を噛んだ
「セイロンの言ってた獣の軍団ってのはこいつらみたいだな」
「気をつけて!魔獣や亜人は人間より力が強いから!」
グラッドが納得したように呟き、ミントがみんなに注意を促した
「それなら、やられる前にやるだけよ…かかって来なさい!!」
こうして新たな敵『獣の軍団』との戦いは始まった
お読みくださりありがとうございました
アンケートは今回で締め切りとさせていただきます
よってサモンナイトの世界観や4の登場人物の軽い解説等を投稿します
いつになるかは分かりませんがね('ω')