時刻は、深夜を少し過ぎた頃
電気の消された執務室で、白色の制服を着た男性がパソコンと見つめ合っていた。
彼の名前は海崎隆盛(かいざきりゅうせい)呉鎮守府に所属する提督である。
海崎は海上自衛隊第4護衛隊群第4護衛隊、ヘリコプター搭載護衛艦「かが」
で、SH60K哨戒ヘリコプターのパイロットとして勤めていた2等海尉で
護衛艦「かが」の大きな特徴とも言える、全通甲板から発艦し、人員、物資の輸送や、哨戒任務をこなし日々
日本の安全を守っていた。
さて、そんな海崎は、護衛艦「かが」での職務から離れ、呉鎮守府という所で、提督業務に勤しんでいる。
日々、艦娘(かんむす)と呼ばれる少女達の指揮を執り、士気を上げ、また彼女らの安全を守るというのが
業務内容なのだが、呉鎮守府に所属する艦娘は皆個性的な子が多く、
活気溢れる、職場だった。
海崎「もうこんな時間か、、、はぁ、報告書もまだこんなに汗、こんなんじゃ、時間がいくらあっても足らない!、、、」
海崎は、そう嘆くと髪の毛を掻き毟り、ノートパソコンの画面を睨みつけた。
先日実に十数ヶ月ぶりともなる大規模作戦を敢行し、見事勝利した呉鎮守府。
勝利という歓喜に、艦娘達は、料理に酒にとドンちゃん騒ぎの中、海崎は、防衛省に上げる、報告書を製作していた。
海崎「最終戦闘結果報告、、、えーと敵棲艦、撃沈に至らなかった艦艇多数いるものの、大元はほぼ撃破、、、我が艦隊の損害軽微っと、、、終わったぁ~」
4時間続けていた文章化の作業が終わり、一段楽した海崎は背を伸ばすと、椅子から立ち上がり窓の外に広がる夜空を見上げた。
しばらく夜空を見つめていると、ノックされる音が鳴り、ドアが開いた。
開いたドアから顔を出したのは、戦艦長門だった。
黒髪長髪で、凛とした顔つきの長門は、海崎が提督として赴任して以来作戦の立案など、あらゆる行動を
共にしてきた、呉鎮守府の重鎮であり、秘書艦である。
長門「なんだ、提督まだ起きていたのか」
海崎「ん?、、うん、報告書の書く量が多くてね汗」
引きつったような笑みを浮かべ、印刷機から出てきた報告書を纏め、封筒に入れた。
長門「そうか、、あまり無理はするな、、、体を壊してしまっては元も子もないからな」
長門は心配そうな表情を浮かべつつも、海崎の肩をポンッとすると、食器棚の扉を開けカップを2つ取り出した。
海崎「報告書は今先やっと書き終えたから、大丈夫だよ♪、ありがとう長門♪」
長門「っふ、提督を支えるのも、また秘書艦としての務めだからな、気にするな、それより、紅茶入れたぞ、飲むか?」
海崎「あぁ、頂くよ♪」
提督の分の紅茶を執務机の上に置き、ソファーに腰を下ろした。
海崎「提督を支える、、か、長門はいいお嫁さんになりそうだな♪」
長門「ぶふっ、、、あ、あはは、、て、提督も冗談が上手くなったものだな、、、」
紅茶を吹き出した長門は、頬を赤らながら、机を拭きはじめた。
海崎「冗談ではないよ、私は、長門には凄く感謝しているんだ、元々ヘリコプターのパイロットで、艦隊運用の知識なんてなかった私の傍で、色々教えてくれて、執務中の私の身の回りのお世話もしてくれた、これを感謝せずして何を感謝するのか、ありがとうな、長門」
長門「秘書艦として、当然な事をしたまで、感謝される事でもないさ、、で、では、私は少し、見回りに行ってくる、提督もあまり夜更かしはしないような、、」
そう言うと、長門は紅茶を飲み干し、洗い場に出すとそそくさと部屋を出て行った。
部屋を後にした長門は、提督室から少し離れた所にある資料室に入ると、
激しく鼓動する胸を押さえた。
長門「提督は、私に、、そのような思いを、、、、うっ、、、っぷ、、あはははは!!!これは夢だろうか、、いや、そうに決まっているではないか、なんという現実味のある夢なのだ!、、あはははは!!」
渾身の力を込めて、笑い始めた。
それは、勝ち誇ったり、気分が高揚した時のような笑いではなく、
信じる事のできない、現実に戸惑った挙句、抑えきれない感情を紛らわせる
そんな笑いであった。
ーーーーーーー第1話 完ーーーーーーー
各話短編で、書いていこうと思います。
是非是非、評価お願い致します。