名門大卒ニートの俺が、動画投稿者で居続ける訳   作:motetyan

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ついに動きだした、映画製作の主演に抜擢されたのは幸樹であった。


俺が、主演になった訳

第7章

 柊の人脈は俺の予想を超えていた。その日放課後の教室には、40人以上が集まっていた。

「こんな人数どうやって集めたんだ!?」

「私の人脈をなめてはいけんぞ幸樹少年。この3倍以上を集めようと思えばできたけど今日は教室のシーンを撮りたいからこの人数にしたのだよ。」

 いったいどうすればこんなコミュ力を得られるのか。こいつは将来政治家にでもなんでもなれるのだろうと確信した。

「ってこんな人数集めたのはいいけど、脚本はどうするんだ!?配役だって全然…」

「私がすべて作っておいた!なんでも計画的にね!」

「お前どこまでも計画的な女だな。まさに悪魔だ。で、配役は?」

「これから発表しますから。」

 そう言うと柊は教壇に立ち、全体に向けて話しかけた。

「はーい!ちゅうもーーーく!配役を発表します。主役『高橋幸樹』・ヒロイン『広瀬舞』

監督『私』後の皆さんは、今日はクラスメイト役でお願いしまーーーす!」

(は?俺が主役?)

全く聞いていなかった。俺はそもそも目立たないために学生創作映画を提案したのだ。

その俺が主役?俺自身芝居の経験は全くの0だ。もちろん教室には、学年一のイケメンといわれる男子や面白いと有名なコミュニケーション能力の高い男子もいる。その中でなぜ俺が主役?

 俺は、呆然と立ち尽くしていた。

「あ、なんで俺がとか思ってるでしょ。幸樹君は、自分が思ってる以上に主役に向いてるんだよ。」

 そう言うと、彼女は俺に脚本を渡した。渡された脚本に描かれた主役増はまさに俺そのものであった。

「向いてるというかこの主人公、完全に俺をモチーフにしてるよな!?」

「気にしなーい気にしなーい!」

 柊は、笑顔でそう答えると撮影の準備を始めた。しかし、このヒロインに関しては広瀬さんをモチーフに書いているのか?俺はふと疑問に思ったが、また柊を怒らせる気がして黙っていた。

 

第8章

 高校三年の辰見将暉は、ある日保健室で猪瀬春香と出会う。彼女は、保健室での生活を送っているため一般学生との交流が全くなかった。辰見は翌日も授業中に体調不良になり保健室を訪れる。しかし、そこにいた猪瀬は前日に会っていた辰見のことを覚えていなかった。そんな彼に、保健室の先生が告げたのは短期記憶消失症と呼ばれる一日で記憶がすべてなくなってしまう病気を猪瀬が抱えているという事実であった。彼女は、楽しい記憶もすべて忘れ大事な友達もすべて失ってしまう恐怖から、保健室での生活を送っていたのである。そんな猪瀬に充実した生活を送ってもらいたいと思った辰見は保健室での交流を持つようになる。そんな猪瀬は、重大な偽りを抱えて生活していた。

 

 大方このようなストーリーが脚本には描かれていた。普通に良いストーリーである。さらにはこの主役は絶対に俺をモチーフにしている。

「お前こんな話どうやって考えたんだ?」

 撮影が終了し、静まり返った教室に俺と柊と広瀬さんの三人は脚本の読み合わせをしていた。

「ぼんどにずごぐいいばなじだね。」

 広瀬さんは、脚本を読み終えると涙を流しながら必死に感想を述べていた。

「天才には、ストーリーが天から舞い降りてくるんだよ。」

「まあ間違いないな。こんな話考えられるなら小説家にでもなったほうがいいんじゃないか?」

 俺の素直な感想に、柊は明らかに言葉に詰まっていた。

「ありがとう…。」

「素直に照れることもあるんだな。」

「照れてないから!幸樹君は褒めることがないから驚いただけだから!」

「はいはい。そういえば今日は教室のシーンで広瀬さんの出演はなかったけど続きはいつとるんだ?」

「今から行くよ!」

 そう言うと勢いよく、柊は教室から出ていった。

「高橋君って真奈ちゃんのこと好きなの?」

 いきなり耳元で、広瀬さんに言われた言葉に俺は思考停止した。理由は二つ。何故そう思ったのかという疑問について。そしてもう一つは広瀬さんと俺との距離が限りなく近かったからだ。

「え!?いや違うけど!どうしてそうなったの!?」

 俺は精一杯の反論を言ったつもりであった。

「いやあ、お似合いだと思うんだけどなあ。応援してるよ!!」

(俺が本当に好きなのは!)

 その続きの言葉は出なかった。心の中にしまい表面には出さなかった。

「応援しないでいいから!好きじゃないし!」

 そう言い終えると俺も勢いよく教室を後にして、柊を追った。

「そっか…よかったあ。まだチャンスはあるよね!がんばれ私!」

 教室で一人つぶやく広瀬さんの言葉を、この時の俺が聞くことはなかった。

 




す、ストックが…。
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