Parallel Worid of ZI-O -仮面ライダーピリオド- 作:楓/雪那
「「はぁぁぁ‼︎」」
私のジカンサーベルとダークキバのザンバットソードがぶつかり合う。
お互いの技量は大して差は無いが、スペック的に言えば私の方が劣る。
アーマータイムによる手数の多さが強みのピリオドに対して、ダークキバはその高い防御力と攻撃力に加えてほぼノーモーションで発動できる紋章ハメという厄介な能力を持つ。さらにアトラの場合は本来存在しない能力がある。
『ボ・ボ・ボウガン!』
『W!』
一旦距離を取りジカンサーベルをボウガンモードに変形させて射撃を行うが、すかさずダークキバもフエッスルを挿入する。
召喚したのはWのトリガー形態が使用する『トリガーマグナム』。
これがアトラの持つ能力。歴代ライダーの力を他のネガライダーのアイテムに変換することができる。ダークキバの場合はフエッスル、以前戦った時にはアドベントカードやロックシードまで所持していた。
トリガーマグナムはルナトリガーの状態で召喚されたのか、弾道が不規則に変化する。あまり遠距離戦がいいとは思えない。つーかエボルでいったほうが良かった。
『今更すぎる。が、紋章ハメは流石のオレでもどうにもならんぞ。』
ワープ機能がある分幾分かはマシでしょ。
近接パワータイプで押し切るわ。
『GILLS!』
『Armor Time!GILLS!』
ギルスウォッチを起動し、濃い緑色の生物感が強いギルスアーマーを纏う。私目掛けて飛んでくる光弾を両肩から伸びる触手『Ωギルスフィーラー』で払い除けて行き、両腕から生えた刃『Ωギルスクロウ』でダークキバに斬りかかる。
ダメージは微妙だがさっきよりかはマシらしく、少し怯んでいる。その隙に触手を駆使してトリガーマグナムを奪い取り撃ち込む。
「ハッ、ジオウやゲイツより強いのは当然か。ならもう少し手の内を見せてやる。」
余裕そうにアトラが取り出したのは…またもや銃形の武器……!?あれは…!
『カイジン ライド レギオン バハムート』
ディエンドライバーにカードを装填しトリガーを引くと、二体の怪人が召喚される。
薙刀を持った単眼の怪人、レギオン。
赤い肉体のどこか魚類を思われる怪人、バハムート。
いずれもウィザードと戦った、しかも幹部級では無いとは言えウィザード、ビーストを苦戦させたファントム。
「貴女の心…実に美しい…エキサイティング‼︎」
「クク…俺も楽しませろ!」
躊躇いなく突っ込んでくる二体の怪人を迎え撃つ、がギルスアーマーは攻撃力は高くても紙装甲。あいつら相手には相性が悪いかも。
特にレギオンはヤバい。あいつの槍『ハルメギド』は切り裂くだけでアンダーワールドへの侵入を可能にする面倒な能力がある。できれば近づきたくないけどゴリゴリ脳筋型なバハムートに押し勝てる遠距離型は…くっそ、タンクタンクとかカチドキとか中間形態が羨ましい!
『だからエボルにしとけばってあれほど…』
一回しか言ってないでしょーが!とりあえずはローグで凌ぐのがベスト…
『あ…ヤバい…エミ、上見ろ。』
は?何よ急に……やっべ、紋章あるじゃん。
気付いた時には時すでに遅し、紋章が私どころかファントム達の身体を擦り抜け、次の瞬間強烈な電撃のような痛みで身動きが取れなくなる。
『ビルド!』
…てあいつ味方ごとぶちかますつもり!?あ、そりゃそっか!召喚しただけだもんね!どっちにしろヤバい!
『フルフルマッチブレーク!』
フエッスルで取り出したビルドの武器、フルボトルバスターから青色のエネルギー弾が放たれ、ファントム諸共私を吹き飛ばす。
呼び出されたファントムは消滅して、私は変身が解除される。
「カハッ…!ケホッコホッ……」
マズい。久しぶりに血が止まらない。早く対処しないと意識が飛ぶ。
私はアトラがトドメを刺す前に、トランスチームガンを使って逃走する。
命からがら自分の部屋に転移した。
吐血はまだ止まらない。すぐに机の上にある薬と水を飲んでソファに横たわる。
「……随分と久しぶりじゃないの、この感覚。」
『暫く負け無しだったからな。』
ピリオドライドウォッチには秘められたリスクがある。
それは変身解除されると今までの負荷が一気にかけられるという点。
自分から解除した時には発動せず、強制解除に限って発動。
ピリオドの名の通り「ダメージを吸収、終止符を打つ」ことで通常なら変身者にかかる負荷は極端に少なくなる。が、解除されるとその「終止符」も解除され私を襲う。これに気付いてからは薬は必須になってしまった。薬に頼らない健康優良児でありたかったのに。
だけどまさかカイジンライドを使えるなんて知らなかった。
あのディエンドライバーは大樹から盗んだのかな?聞いてみようかしら…やめとこ、アイツとも出来るだけ関わりたくない。
ディエンドのカメンライドの性質上、同時召喚上限は3だろうけど、アイツ合わせて4人…いやアナザーライダー含めるともっといるわね。キツすぎる。
考え込んでいるとソウゴ君からメールが来た。
『ツクヨミがアナザーウィザードに眠らされた。』
痛む身体を抑えてクジゴジ堂に行くと、やっぱりというかソウゴ君とゲイツ君は険悪な雰囲気だった。帰りたい。
どうやら2人の間で意見が割れてる…元からか。ツクヨミちゃんがアナザーウィザードの手にかかった以上、直ぐにでも倒すべきと言うゲイツ君。アナザーウィザード・早瀬さんにも事情があるはずだから、まずはそれを解決すべきだと思っているソウゴ君。
まー、私的にはどっちでもいいけどね。
ただアナザービーストなんてものが生まれた以上、急いで対処しなくちゃとは思う。
「…2人に参考程度に教えとくけど、長山さん…アナザーウィザードに襲われてた人がアナザービーストになっちゃってるからね。」
「ビースト…?」
「仮面ライダービースト、別名・古の魔法使い。仮面ライダーウィザードと共に戦ったライダーだよ。その性質から考えると、アナザービーストはアナザーウィザードを倒そうとするわ。」
「…なら好都合だ。二体のアナザーライダーをぶつけて、残った方を倒す。」
「残った方がウィザードなら好都合ね。けどビーストなら裏目に出るよ。」
「何?」
「ビーストは常に飢えている。その空腹を満たす為に他の魔法使いやファントムが持つ魔力を喰らおうとする。アナザービーストがウィザードを倒した場合、パワーアップは避けられないよ。…それにアトラもいる。」
「アトラって?」
「君達を襲ったダークキバ。今はタイムジャッカーの方についてるみたいだけど。」
前にソウゴ君には警告したけど、アイツは相当強い。
あまりにも力に順応していて、キングや大牙なんかよりも扱いが上手い。
「それにウィザードとビーストのウォッチの目星もついてないし…」
「それなら既についている。」
「…マジで?」
「ああ、アナザーウィザードと戦っている時、木の影からこっちを見ていた男がいた。そいつのリュックにウォッチがぶら下がっていた。強引にでも奪いに行く。」
そう言い捨ててゲイツ君は出て行った。
私もあまり人のこと言えないけどおおよそライダーらしからぬ発言やめーや。
「で、改めて聞くけどソウゴ君はどうしたいの?」
「俺は…やっぱり皆救いたい。何もわからないまま倒したって解決にはならないと思う。どうしてタイムジャッカーと契約したのか、どうすればあの人達の心を救えるのか、それを考えて実行するのが俺の理想の王様だ!」
ブレないなー。正直私はあまり気乗りしない。
けれど彼がそうしたいと言うなら、手助けしてあげよう。
彼の考えは私のよく知る正義の為に戦ってきたライダーの心構えだから。
「…分かった。なら教えてあげる。あの2人の関係。」
私はソウゴ君に2人の魔法使いについて教えた。
ソウゴ君達が見に行ったマジックハウスの同僚であること。
ウィザードの方、早瀬さんがそこの支配人の香織さんに片思いしていること。
ビーストの方、長山さんが香織さんと既に婚約していること。
「早瀬さんが長山さんを襲ったのは、その事実に絶望したからだろうね。『香織さんの為にマジックハウスを存続させる』という純粋な香織さんへの思いでしか力を使ってない。」
「じゃあ次のターゲットは…」
「香織さんで確定だろうね。けど香織さんをアナザーウィザードから守ることを使命として生まれたアナザービーストが立ち塞がるからあの2人が戦うのも確定。決着が着く前に急いで行くよ。」
「けどウォッチは…」
「ゲイツ君に任せる。何だったらアナザーライダー達を一度倒して、ウォッチを持ってる人の記憶を一時的に元に戻す。」
戦兎や永夢先生、弦ちゃんや巧さん、今まで関わってきたレジェンド達は皆ライダーとしての記憶を失っていた。
それはアナザーライダーがオリジナルの歴史を乗っ取ったから。なら一度倒せば復活するまでの間は歴史は元に戻る。
その隙にゲイツ君にとってもらおう。
マジックハウス周辺を探していたらやはりそこにいた。
既にアナザーライダー同士が戦っている。
ウィザードは重力操作や火炎、水流などの魔法を駆使し、対するビーストは透明化、飛翔能力、タックルとあまり魔法使いらしい戦い方ではない気がする。しかし治癒能力持ち故か中々しぶとい。
と、悠長に眺めてる場合じゃなかった。
「いくよ、ソウゴ君。」
「うん!」
「「変身!」」
『『Rider Time!』』
『KAMEN RIDER ZI-O!』
『KAMEN RIDER PERIOD!』
私はビースト、ジオウはウィザードを相手する。
生まれてからそこまで時間が経ってないからか、戦闘力は高くない。ジカンサーベルでどんどんと押していく。
一気に決めようとした瞬間、透明になった。逃亡する気かな。
けど逃がすつもりもサラサラない。
『MARIKA!』
『Armor Time!ソーダ!MARIKA!』
私は桃型の女性ライダー、マリカのアーマーを装着する。
マリカアーマーの特性はその超感覚。
視力、聴力などが抜群に上がり、いくつかの音を同時に聴いてもそれぞれを識別できる。どこのペガサスフォームさんですか。
ジカンサーベルをボウガンモードに変えて、耳を澄ましながら武器を構える。
「……そこだ!」
『Finish Time!MARIKA!バリバリブラスト!』
姿を消しても音までは消しきれない。
ジカンサーベルから放たれた桃色の弓が隠れたアナザービーストを貫く。
これで少しだけ時間は作った。後はゲイツ君に…
『ビーストォ…』
は!?すぐ復活⁉︎
「アトラ…!ほんとしつこいな!」
「お互い様だろ。何考えてるかは知らねーが、そう簡単にやらせるかよ。変身。」
『ガブリ!』
私の苦労返せこのやろう。
と言いたいけど無意味なんだよ。
はぁ、もうやだやだ。
前回の反省を活かし、常に距離を取り、さらにジオウの方に引きつけさせないように矢で立ち回る。
アナザービーストは透明化が意味ないことを理解したのか、飛翔してからのダイブで攻め立てる。
出来れば撃ち落としちゃいたいけど、一瞬でもそっちに気を取られすぎると紋章ハメを避けきれない。
ダークキバを絶対に死角に入れさせてはならない。アイツと戦う上での最低条件だ。
まあ前回は肉壁のせいで死角作っちゃったんだけど。
薬を飲んだとは言え、やはり一度負けた直後に連戦はキツすぎる。
ゲイツ君、早くしてくれないと私は保たないよ?
「エミ君。」
突如、突進してきたアナザービーストが衝撃波を受けて吹き飛ぶ。
振り向くとウォズ君が立っていた。彼は私に黄色のウォッチを手渡す。
「ゲイツ君経由で仁藤攻介という人物から受け取った。使いたまえ。」
「仁藤さんが…ふふっ、マヨネーズダース単位で送っといてあげよ。あ、ついでに私とアイツら、他の場所に運んでくれる?」
「……君も大概、人使いが荒いね。」
軽く愚痴てから謎のマフラーで私達3人を包む。
視界が開けると今いたのとは別の場所、さっき戦った川にいた。
「なるほど?アナザービーストとアナザーウィザードを近づけるべきではないって知ってたか。」
「アンタがそんな捻りもクソもない手を打つわけないじゃない。」
『なかなか嫌な信頼だな。割とよく見るけど。」
「それじゃあお前はどんな手を見せてくれるんだ?まさか今手に入れたビーストウォッチを使う、だけなんてわけ無いよな?」
「焦らないでよ。すぐ分からせてあげるからさ。」
私はビーストウォッチを起動せず、別の白のウォッチを起動させる。
『WISEMAN!』
『Armor Time!change!WISEMAN!』
私の体に白基調のデザインの上にオレンジの宝石が散りばめられたアーマーが装着され、さらに正面から私の体を魔法陣が潜り抜けてアーマーの上から真っ白のローブが覆う。
他のアーマーとは一線を画すデザインのワイズマンアーマー。
その多様な魔法の力の一つを早速使う。
『デュープ ナウ』
発動したのは自分を複製する魔法。
そして新たに生まれたもう1人の私がビーストウォッチを起動させる。
『BEAST!』
『Armor Time!Set Open!BEAST!』
正面から全身を魔法陣が潜り抜けて、胸部に獅子の顔がつき肩にはカラフルなマントがついたビーストアーマーが装着される。
「成る程。」
「これで2対2、さぁて始めようか!」
ビーストの方の私はアナザービーストと戦う。
片手にジカンサーベルを持ち、アナザービーストが放った水流を飛ぶことで回避、そのまま上空から降下して斬りつける。
アナザービーストは振り向いてカメレオンの顔から舌を飛ばすが、振り向く前に透明化していた私を捉えられず、足下から発生した水飛沫をもろに受け、サーベルの乱撃を受けてしまう。
「そんな姿になってまで大切な人を守ろうとした心は、絶望しようとしなかった心はスゴイと思う。けどさっきのあなたは、周りの人を考えていなかった。ううん、それどころか香織さんの事も考えてなかった。」
「な…何を…」
「今まで早瀬さんはアナザーウィザードの力をあの人の為に使ってきた。そんな彼に香織さんは感謝していた!けど今のあなたはそんな事を考えようともしてない。それは香織さんを守る事にはならない、ただの自己満足。だからあなたが大切な人を絶望させる前に、私があなたを倒す!」
『Finish Time!』
ベルトを一回転させると同時に、どういうわけかマントがついた左肩とは逆の右肩についたスロットが回転し出す。なんなんだこの肩、と思ったら止まった。
出た目は……4?
『Chimerais Time Impact!』
私は勢いよくジャンプしてキックの体勢に入る。
するとその手前に巨大な魔法陣が現れて、必然的にそこを潜る。
通り抜けた瞬間、なんと私が4人になっていた。
4人の私は一斉にアナザービースト目掛けてキックを放った。
直撃を受けたアナザービーストは爆発し、ウォッチも砕けた。
一方、ワイズマンアーマーの私はツインセイバーモードのジカンサーベルでダークキバのザンバットソードと渡り合っていた。
分身を生んだことで大分身体は疲れるのだが、実はこのアーマー、ダキバ相手にかなり相性がいい。
テレポートの魔法を使うことでギリギリのタイミングで紋章を避けられるのだ。
『じゃあなんでさっき使わなかった?』
…100人以上いるライダーの中からどれが1番相性いいかって咄嗟に思いつく?出来なくはないけど中々難しいよ?私、作戦会議中に『そういえば』でようやく思いついたからね?
『…その……すまん。そうだな。』
テレポートを駆使してダークキバを翻弄する私。
だけどそろそろ見切られるかもしれない。
「…読めてきたぜ。これならどうだ?」
『W!』
発動したのはWのフエッスル。
今回はトリガーマグナムの召喚ではなく、自身の周囲に竜巻を発生させた。
姿が見えないし近寄れない!
竜巻が止むとすぐにザンバットソードで攻撃してくる。
これをギリギリジカンサーベルで押し返して、またもやテレポートを使い背後に移動する。
だが流石にアトラも読んでいたのだろう。後ろに手を向けて紋章を飛ばしてくる。
私の体を動かなくするほどの痛みが全身を襲う。
だがそれが命中する前に私は別の魔法を使った。
『エクスプロージョン ナウ』
周囲の魔力を圧縮して大爆発を生む魔法、エクスプロージョンを使いダークキバを吹き飛ばす。これで紋章発動に使っていた集中力を切らす。
避けるだけならテレポートでもいいけど決定的なダメージを与えるなら、肉を絶って骨を切るくらいの戦法が必要だ。
お互いにこれ以上の長期戦は良くないと考えて、必殺技の構えに入る。
『Finish Time!Strike Time Impact!』
『ウェイクアップ・2!』
白い魔法陣から魔力を右足に収束させた私の蹴りと、紋章から魔皇力を溜めたダークキバの蹴りが空中でぶつかり合う。
しばらくの鍔迫り合いの末にお互い弾かれる。
ダークキバはまだ変身解除になってないはず。今まで散々あの防御力を体験してきたから嫌でも想像がつく。
だから反撃の暇も与えずに、次の一撃を叩き込む!
『Armor Time!Break Up!CHASER!』
すかさず装着したのは、紫色で顔の半分が鉄格子みたいなので隠された魔進チェイサーアーマー。
そして全身からそのアーマーに秘められたエネルギーを放出する。
「グァッ…!?これは…重加速か!」
魔進チェイサーアーマーから放たれた重加速現象によって私以外のものの動きがスローになる。
ダークキバはフエッスル、間違いなくドライブのを取り出そうとしているが当然そんなことはさせない。
『Finish Time!CHASER!ユラユラスラスト!』
ジカンサーベルサーベルモードにライドウォッチをセットし、刃に紫色のオーラを纏わせる。
勢いよく振るった死神の裁きの一閃がダークキバを切り裂く。
さすがに耐えきれなかったようで(これで耐えられてたらもう終わってた。)、アトラは変身解除に至った。
「クク…しばらくの間にまた腕を上げたな。」
「アンタに褒められても嬉しくない。」
「だろうな。ここは引こう。また会おうじゃないか。」
そう言ってアトラは灰色のオーロラを出して、去っていった。
私は変身解除をしてその場に仰向けになった。
「……づっがれた〜〜〜!」
今回で一時的に活動を休止します。
詳細は後で活動報告の方に書きますので。
投稿再開は来年3月頃になると思います。
オリジナルアーマータイムの詳細解説、いる?
-
いる
-
いらない