Parallel Worid of ZI-O -仮面ライダーピリオド-   作:楓/雪那

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ハロー・マイフューチャー/2068

「なーにあれ…?」

 

 

自宅があるマンションの4階のベランダ。

そこから見えるのは街を破壊しようとする七体の巨大ロボ。

側から見たらでっかい電動剃刀にしか見えないけど、そんなコミカルな印象抱いてる暇じゃあない。

 

『五体でようやく街一つ滅ぼせるくらいか、俺1人には到底及ばないな。』

 

張り合うな張り合うな。

てか急に空から降ってきたけど、あれは敵なの?それとも味方?

 

「あれはダイマジーン。オーマの日に世界を滅ぼす我が魔王の兵器さ。」

「ウォズ君、君は人の話を聞かないの?」

「ベランダだから問題はないだろう。」

「不法侵入には変わりないから。アンタもだよ、アトラ。」

「ははっ、やっぱ分かるか?」

 

いつの間に来たかは知らんが、いるって感じだけはしたからねぇ。

まあウォズ君の言う通りベランダの方がまだマシだからなんも言わない、シャクだけど。

 

「で、世界を滅ぼすあの巨大剃刀はソウゴ君が呼び出したの?」

「いや、あれは自然に起動するもの。我が魔王の覇道において起こりうる事態だ。」

「嘘つくなよ。誰がとは言わないがあれは人為的なもんだろ?それにオーマの日にはまだ至ってないはずだ。」

「……何故そのことを君が知っている?」

 

どうやらアトラはウォズ君が導こうとしている覇道の裏を知っているらしい。

ウォズ君の反応からするとタイムジャッカー側も知らないはずの事だろう。

 

「へぇ、しらばっくれはしないんだ。」

「隠すだけ無駄じゃないかと思ったからね。私の予想が正しければ君はこの事を我が魔王には伝えないのだろう?」

「よく分かってるじゃないか。あいつらはまだ必要だからな。ウールやオーラは困ってるぽいが、俺にとっては正史からかけ離れてればより良いからさ。」

「さりげに話を逸らしてる感じがするから、私が聞くわ。アトラ、アンタは何であれが人為的なものって知ってるの?」

「さぁねぇ。一言言えるのはオーマジオウにとってもあれは害悪だと言うこと。得するのはウォズくらいだものな。」

 

 

 

 

 

「否。あの程度は我が魔王にとって障害にすらなり得ません。貴方がたが如何なる手を打とうとも我が魔王に至る未来は変わりません。」

 

 

 

 

聞き覚えのない4人目の声。

一斉に全員が振り返る。

そこにいたのは黒の軍服とドレスコートが一つになったような独特な、それでいて気高さを感じる服を羽織った女性。

その顔は紛れもなく()

 

 

「……未来の私、であってるよね?」

「いかにも。はじめまして、過去の私。」

「驚いたわね、今の顔と全く同じなんて。世の女性が知ったら血涙流して知りたがる美容法じゃない。」

「私自身、姿が変わらないのは驚いていますよ。ウォッチの力、大方エターナルかオーディン、あるいはゼロノス辺りでしょうかね。」

 

世にも奇妙な光景を目の当たりにしつつも、案外冷静みたい。

タイムトラベル系ライダーならあり得なくもないって前々から思ってたからかしらね。

 

「…過去と未来の同一人物が談笑するシーンとか面白すぎるね。それで騎士団長様がこんな時代まで何の用ですかね?」

「アトラ、結局貴方が何をしたかったのか私には分かりませんでした。故に私は未来が歪められないように正史を護りに来た、それだけのことです。」

 

そう言って空中に手をかざす未来の私。

するとかざした場所にホログラムのように映像が浮かび上がる。

そこに映っているのは黄色のロボットと戦うライダーゲイツ、そしてディケイドと戦うジオウ。

 

「未来を変えうる可能性のある明光院ゲイツ、彼を排除するため私の部下であるカッシーンを向かわせました。過去の我が魔王には襲いかかることは無いのでご安心を。」

「流石だね、騎士団長殿。」

「余計な真似しやがって…」

 

淡々と告げる未来の私にウォズ君は笑みを溢し、アトラは舌打ちする。

 

「それで私には何の用?まさかそれを伝えるためだけに最前線に来たわけじゃあないでしょう?」

 

ディケイドの排除あたりを予想していた私。

だけど未来の私は想像の斜め上をいくことを言った。

 

 

「過去の私。貴女には私と戦ってもらいます。」

 

 

 


 

 

私は返事をする間もなく未来の私によって2068年に連れてこられた。

最初に目にしたのは見渡す限りの廃墟。

その影で人々が身を寄せ合って生活している。

 

「ここは反オーマジオウ軍、いわゆるレジスタンスのキャンプ地の一つです。我が魔王の拠点はここより北西の方角をずっと進んでいった先です。」

「そんなこと敵地で堂々と言っていいの?」

「勿論。既にレジスタンスは幾度となく攻め入って反撃にあっていますから。」

 

周りから憎悪を込められた視線が突き刺さる。

見知らぬ女ならまだしも(世紀末ならそれもそれでヤバいけど)、共通の敵であるオーマジオウの配下と全く同じ顔が、その敵ご本人と並んで歩いているんだもの。

ていうか気がついたら囲まれてるし。

 

「死ね、オーマジオウの手先め!」

「はあ……大人しく隠れて生きていればよかったのですが。何故こうも愚かな真似を……」

 

IMPERER!

JAM!

 

未来の私は2つのウォッチを起動させる。

それに合わせて辺りに散らばってたガラスの破片からはミラーモンスターのゼール軍団が、上空にはクラックが開き中からイナゴの姿をした怪人が何体も現れレジスタンスを襲いだす。

今まで静かだったキャンプ地が一瞬で悲鳴と血に塗れる。

 

「先程みたいにレジスタンスが攻めてこない限りは何もしない、それが我が魔王の方針です。」

「これだけやっといて只々耐えろって?心理的に考えて無理じゃないの。」

「我が魔王のお考えは私如きでは読めませんので。一つだけ言えるのはあのお方は不要な殺生を好まないということです。」

「ますます分からないわ。それだったら何でこんな状況になるのよ。」

「……やむを得ない事情があった、とだけしか答えられません。もっとも人々は疲れ切ってるようですが、土地自体は荒廃していませんし、河も汚染されていません。無駄に抗おうとしなければ縄文・弥生時代並みの生活は送れますよ。いい加減その事を分かって頂けるとありがたいのですが。」

 

ため息を吐きながら語る未来の私について行くとやがて廃墟も何もない、ただ崖に囲まれただけの荒野に着く。

 

「それで、何で私は私と戦わなきゃいけないの?ソウゴ君みたいに自分の未来を変えようとしてるわけじゃないんだけど、私は。」

「常盤ソウゴはオーマジオウになる、これは確定事項なので過去の私(あなた)が心配する必要はありません。そして私は私自身を危惧しているわけでもありません。ただ導くだけ、私が私であるために」

「……何が言いたい。」

「かの仮面ライダーキバ・紅渡は言いました。『想像は破壊からしか生まれない』と。故に私は過去の私(あなた)を『破壊』することで貴女に新たな力を与えましょう。そうすることで貴女が私となる未来を『護れ』ますから。」

 

なるほどね、言いたいことは分かった。

けどやられっぱなしっていうのには納得いかないかな。

 

「……オーケーオーケー、理解はできたよ。けどさ、それなら別に私が未来の私(あなた)を倒しても構わないよね?」

「勿論。あなたが私を倒して私の全てを引き継げるならそれに越したことはありませんから。ですがまだ不完全な貴女が私を倒す、なんて万が一にも有り得ませんよ。」

「物は試しって言うでしょ!変身!」

 

RIDER TIME!KAMEN RIDER PERIOD!

ARMOR TIME!EVOLUTION!EVOL!

 

変身と同時にエボルアーマーを装着。

最初から出し惜しみなんてしない!

 

「変……身」

 

対称的に落ち着いた声を出す未来の私。

そして彼女を中心にブリザードが巻き起こる。

 

永久の刻!天上天下!唯我独尊!永劫不滅!ノーブルピリオド!

 

ブリザードが止むとその跡地には巨大なライダーの氷像。

その像が砕け散り、中から彼女が現れる。

白銀のボディに紫色の『RIDER』の複眼。

肩から腰に斜めにかけられているのは、ジオウの変身シークエンス時に変身者を囲む時計の腕輪のよう。

背中には複眼と同じ紫色のマントをまとい、全身にはさながら血管のように肩にかかっている腕輪のようなラインが流れている。

 

「申し遅れました。私の名は高倉エミ、オーマジオウ直属の騎士団団長。又の名を仮面ライダーノーブルピリオド。」

 

名は見た目を表すっていう言葉がこれ程までに似合うのって中々いない。

そう思うくらい美しく感じてしまう。

 

「自分で高貴って名乗るとか痛すぎじゃない。せめてその名に見合うくらいの力を魅せてよ!」

 

あえて思ったこととは逆の軽口を言い、私は殴りかかる。

しかしそれは突如目の前に現れた氷の盾に塞がれる。

パンチ、キックを胸部だけでなく腕や脚、角度を変えて斜め下や上から放つが、ノーブルピリオドは氷の盾を解除と精製を繰り返して防いでくる。

火星人ムーブで背後や上空に瞬間移動しても変わらない。

それどころかこちらを見ることなく、どこから来るか分かっているかのように盾を作って防ぐ。

 

「やはりまだその程度…ですね。」

 

何の感情も感じないその言葉とともに私が受けたのは何の変哲もない横蹴り。

だけどその威力は凄まじく、私は軽々と100メートルほど蹴り飛ばされる。

 

SPECTER!

PARA-DX!

 

ウォッチの起動音でようやく背後に回り込まれたことに気がついた。

けどもう遅い。

左手にはディープスラッシャー、右手にはガシャコンパラブレイガンを持ったノーブルピリオドの乱撃を立て続けに受ける。

 

「まだ……まだぁっ!」

 

ボ・ボ・ボウガン!

 

ジカンサーベルをボウガンモードの状態で取り出して弓を放つ。

だがそれもやはり氷の盾に阻まれ、その間にノーブルピリオドは必殺技のチャージを溜める。

 

メガハゲシー!極限ダイカイガン!ギガオメガギリ!

『キメワザ!KNOCKOUT CRITICALFINISH!

 

紫と赤の斬撃は私が打ち出した弓をまるで箒で埃を払うかのように消しとばして、私の身体を切り裂く。

けどそれだけでは終わらない。

 

OUJA!

SAGA!

NEGA DEN-O!

 

3つのライドウォッチを起動させるノーブルピリオド。

その力で仮面ライダー王蛇の最強の契約モンスター・ジェノサイダー、仮面ライダーサガの眷属・ククルカン、ネガ電王が所持するギガンテス・ハデスの三体が出現、それぞれが電撃砲やらエネルギー弾やら破壊光線やらを打ち出し、私の身体を焼き尽くさんとする。

 

ROUGH!

THEBEE!

 

気を失う暇もなく何かがぶつかり、私の身体が宙を舞う。

次の衝撃でそれが超高速で動く火の鳥だということが分かった。

 

G4!

KAIXA!

 

何度と弾き飛ばされるうちに、いつのまにか真横には落下途中の巡航ミサイルとフォトンミサイルがいくつもあった。

そして回転する肉体に身を任せて真上を見ると、

 

SORCERER!

 

黄金の魔法陣が一つ。

ノーブルピリオドはそれを上から押し込み、踏みつけられた魔法陣は一直線に私に命中する。

当たるとともに魔法陣を中心に大爆発、さらにそれに誘爆してミサイルも爆発する。

私はボロ切れのように地に落ちる。

何で生きてるのかもはや分からないくらい何も感じない。

 

 

 

 

だけど立ち上がる

 

 

 

理由も目的も分からない。

 

 

 

ただ立ち上がる。

 

 

 

立ち上がらなきゃいけないと思ったから。

 

 

 

 

「……!今のを受けて立ち上がりますか…流石は私、とでも言いましょう。ならば……これを耐えてみせなさい!」

 

ANOTHER AGITO!

RAIA!

PSYGA!

CHALICE!

KIRAMEKI!

CAUCUSES!

ZERONUS!

ARK!

 

SKULL!

BIRTH!

NADESHIKO!

WISEMAN!

TYRANT!

CHASER!

DARK GHOST!

GENM!

BLOOD!

 

私を取り囲むように17人のライダーが召喚される。

それぞれが必殺技の構えを取り始める。

 

WILD

「音撃拍・軽佻訃爆!」

FULL CHARGE

BREST CANON

ドラゴンエナジースパーキング!

『マブシー!ダイカイガン!オメガフラッシュ!』

 

ワイルドカリス、ゼロノス・ベガフォーム、タイラントのエネルギーの弓矢と煌鬼の音撃、バースのブレストキャノン、そしてダークゴーストの熱線が私を襲う。

そして他のライダー達も一斉に必殺技を繰り出す。

 

FINAL BENT

Excced Charge

Maximum Rider Power Rider Kick

『ウェェイクアップ!』

SKULL!MAXIMUM DRIVE!

ROCKET LIMIT BREAK

イエス!キックストライク!アンダスタン?

ヒッサツ!フルスロットル!チェイサー!

キメワザ!CRITICAL END!

Ready Go!Hazard Finish!Great Dragonic Finish!

 

アナザーアギトのアサルトキックを皮切りにして、怒涛のラッシュが私に迫る。

キック、突撃、エネルギーの蹴り飛ばし等、計11人分の攻撃が容赦なく襲いかかる。

もはや私には自分がどうなっているのかすら分からない。

原型を留めていないんじゃないかと思う。

地を這うことすら出来ずピクリとも動かない自分の身体。

けどやがて少しずつに手先や脚先の感覚が戻って、ゆっくりとだが動かせるようになる。

まだ重い頭を上げてみると、ノーブルピリオドがいた。

 

「何を不思議そうにしているのですか?貴女は私なのですから殺すことなんてできませんよ。」

 

何でマスク越しの表情が分かるんだよと言いたいが、目の前のライダーが私ならきっと分かるんだろう。

身体を動かせるのもノーブルピリオドが回復させてくれたに違いない。

 

「それにしても凄いですね。私はてっきり腕の一本二本くらいは無くなるものかと思っていました。自画自賛のようですが騎士の力は伊達ではないようです。」

 

本当に他人事のように話す。

段々と身体も全快したような気がしてきて、案の定普通に立てた。

回復の時には既に変身解除はされていた。

しかし何故戦闘中に解除されなかったんだろう。

 

「恐らく死に至るものではないと判断されたからでしょう。時代は違えど同じ人間が戦ったから、貴女が死ぬ程のダメージは負うことはない。故に外れなかった、だと思いますよ。」

 

 

??????

よく分からないけどまあいいや。

 

 

「では過去の私、これを。」

 

疑問を放棄した私に変身解除した未来の私がウォッチを渡す。

通常のウォッチの倍の長さがある黒いウォッチだ。

 

「ダークディケイド……」

「如何にも。私の力の一端、それこそ5%くらいですが。しかし貴女が私に至る為に必要な力。それを使い貴女は貴女の使命を果たしなさい。……それとどうやら若き日の我が魔王もこの時代に来たようです。」

 

ソウゴ君が?

 

 

「ええ、門矢士の手によって。そして今の我が魔王に敗れました。彼は今オーマジオウへの道を歩むか、それともベルトと共にその道を捨てるか、選択を委ねられています。ですがそれもまた些細なこと。貴女の為すべき事は変わりません。貴女も過去に戻りなさい。」

 

そう告げた未来の私は過去に戻るゲートを開き、私は2018年に戻った。

 

オリジナルアーマータイムの詳細解説、いる?

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