Parallel Worid of ZI-O -仮面ライダーピリオド-   作:楓/雪那

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ミライダー編はすべてオリジナルです。
それと平ジェネ時空はないので、Wとクウガのウォッチは未所持です。


I・Future/2019

私、高倉エミは新年早々悩んでいた。

事態が急変してきたのだ。

 

一つ目は新たなアナザーライダー。

スウォルツが創り出したのは『仮面ライダーシノビ』という仮面ライダーのアナザー。

曰く2()0()2()2()()に活躍するライダーとのこと。

つまり未来のライダーから力をとったということ。

だけどここで矛盾が生じる。

ゲイツ君やツクヨミちゃんが言うには、ジオウがオーマジオウへと覚醒する『オーマの日』以降は仮面ライダーは生まれないらしい。

じゃあシノビに至る未来とはなんなのか。

 

その疑問を解き明かした二つ目の出来事は()()()()()()()()

私たちとは別のシステムで変身までする第4のライダー・仮面ライダーウォズ。

突然現れた彼が言うには、彼は『オーマの日にゲイツがジオウを倒して救世主となった未来』からやってきたらしい。

つまり仮面ライダーシノビとはその『救世主ゲイツリバイブ』の未来のライダーだということになる。

 

ここで私の悩みについて語ろう。

オーマジオウ側のウォズ君もゲイツ君とツクヨミちゃんの介入はある程度予期していたが、もう一人の自分については知らなかった。

となると未来の私も知らなかった可能性は高い。

あの時未来の私は『常盤ソウゴがオーマジオウとなる未来は揺るがない』とか言ってたけど、ここまでイレギュラーが生じるとそれすら危うい。

……エボルト、どう思う?

 

 

『そうだな…あのアナザーライダーが従来のウォッチで倒せない…というよりウォッチを作れるのが白い方のウォズだけだからな。そうなるとアナザーライダーを倒すにはあいつと協力する必要がある。だがそれはゲイツリバイブの誕生を手伝うことになる』

 

 

ええ、そして別人とはいえ元々はオーマジオウの力をよく知るウォズ君がゲイツリバイブとなればオーマジオウを倒せると言った。

それはまぐれ勝ちなんかじゃなくて確定要素、メタ属性みたいなものなんだろうね。

 

 

『お前としてはゲイツリバイブを生ませずに、アナザーライダーを倒したい。となると出来ることとしてはゲイツを始末するか、タイムジャッカーを全滅させるか、だろう』

 

やっぱりそれくらいしかないよね…

 

 

『ああ。オーマジオウを先に覚醒させるのには時間がかかりすぎる。一号枠だけでもあと10人、対して向こうはあと二人で条件を満たす。なによりソウゴ本人が拒否するだろうからそんな簡単にはいかないだろ』

 

 

でもゲイツ君を始末するとソウゴ君と真っ向から戦うことになる。

私一人に対してジオウ、ゲイツ、ウォズ、さらに下手したらアトラ含めて4人同時に相手するのはなかなか難しい。

 

 

「そうなると最善手はタイムジャッカーがアナザーライダーを作れないように全滅させるか…?」

「へえ、随分物騒なこと言うじゃねーか」

 

 

人気のない倉庫の中からアトラが姿を現す。

いつもだったらしかめっ面するところだけど、今だけは都合がいい。

 

 

「何?もしかして待ち伏せでもしてた?」

「まーなー。スウォルツが前回なかなか面白いもん作ったろ?だから俺もやってみたんだけどさ、お前に相手してもらおうと思って、ほれ」

 

 

むかつくくらい気さくに話してくるあいつが呼び寄せたのは蜂の大群。

私の周囲を飛び回る蜂を払いのけると、一か所に集中して人の形を成す。

その姿はアナザーシノビと酷似しているが、体色はくすんだ橙、右目にあたる部分には小太刀が深々と突き刺さっている。

はっきり言ってグロい。

そして体にある数字は『2022』、名前は『HATTARI』。

 

 

「ハッタリ…?随分ふざけた名前ね」

「確かになー。だがこいつの強さはハッタリじゃないぜ」

「それなら見せてもらおうかな、変身!」

 

RIDER TIME! KAMEN RIDER PERIOD!

『ARMOR TIME! KAMEN RIDE! ワオ!ディケイディケイ!DARK DECADE!』

 

ピリオドダークディケイドアーマーに変身する私。

ライドヘイセイバーで切りかかるが、アナザーハッタリは華麗なバク転で回避する。

アナザーシノビは影の中を移動できたけど、こいつにはできないのかね。

なんて考えてたら左腕から針を射出してくる。

私はそれを避けたり、ヘイセイバーで弾いて防ぐが、針が当たった地面や壁がグズグズと溶けていった。

 

 

「猛毒の針…なるほど、蜂らしいわね」

 

 

今度は手で印を結ぶアナザーハッタリ。

するとマフラーのようなもので隠されていた口が露になる。

アナザーライダー共通のむき出しのクラッシャーから白い息が出される。

この寒気、間違いなく冷気ね。

 

「それならこれでどう!?」

 

『ヘイ!GARREN! DUAL TIME IMPACT!』

 

「氷じゃ熱には勝てない……って嘘でしょ!?」

 

 

私の目論見は外れて、炎ごと剣を凍らされる。

 

 

『まぁ、これに関しては逆も然りだしな』

 

 

くっそ、油断してたわ。

けどそれなら別のもの使いましょ。

 

 

『ヘイ! ACCEL! DEUL TIME IMPACT!』

 

 

時計の針を回転させると剣から凄まじい熱気が放出されて氷を融解していく。

再び冷気を吹くアナザーハッタリだがヘイセイバーから打ち出した高熱のA字型のエネルギーには効かず直撃する。

私は追撃しようと接近するが、アナザーハッタリは蜂の大群に姿を変える。

 

 

「あー!ったくもう、それ鬱陶しいのよ!」

 

『ヘイ! KNIGHT! DEUL TIME IMPACT!』

 

 

ヘイセイバーを大きく振るうと黒い竜巻が発生して蜂の群れを吸い寄せる。

これで元の人型になるだろうと思ったら、竜巻が消えて中から一体の巨大な蜂が現れる。

 

 

「集合して巨大化とか、質量保存の法則無視してるでしょ!」

 

 

やむを得ずタイムマジーンを呼び出し乗り込む。

しかし直後機体が大きく揺れる。

 

 

「何事!?」

 

 

モニターを確認すると機体に何かが巻き付いている。

よく見るとそれはドラグブラッカーの形をしている。

実際見るのは初だけど、状況からしてアトラのタイムマジーンなんだろう。

強力な締め付けでコックピットが警報を鳴らし、機械がところどころショートして火花が散る。

出口も塞がれ逃げ場もない。

モニター越しにタイムゲートが開かれたのが見えたのを最後にコックピットの電源が落ちて真っ暗になり、次の衝撃で私も気を失った。

 

 

 


 

 

 

 

「さーてと、これで次のプランの役者は整えた。あとは仕込みが一つだけ必要だな」

 

 

タイムゲートに消えていった自分とエミのタイムマジーンを見送りながら、アトラはぽつりと呟いた。

今回笑みを悩ませている事態はアトラにとっても予期していなかったイレギュラーである。

だが本人はこれを喜んでいた。

ただ単にオーマジオウとノーブルピリオドの未来に繋がるのでは()()()()()()()

そうなるくらいならゲイツリバイブというリスクを抱えてまでこのイレギュラーを活かすべき。

だから急ごしらえではあるものの独断で新たな計画を練った。

しかしそれをよく思わない者も当然いる。

 

 

「飛んで火にいる夏の虫…ってのはまさしくこの事だな、いや虫はアナザーハッタリ(あいつ)なんだけど。なぁ、白い方」

「一体君は何を企んでいる、アトラ?」

 

 

彼の前にはそのイレギュラー、白い服のウォズがいる。

アトラとしては自分から尋ねる予定だったので僥倖だった。

 

 

「仮に俺の計画をお前に伝えたとして、お前はそれに協力してくれるのか?」

「いいや。何故なら我が救世主がゲイツリバイブとなれば無意味だからね」

「ほー、それは随分な自身だな。でもそれはゲイツリバイブが負けた後にも同じことが言えるかな?いやそれどころか、例えば俺がこの後すぐゲイツを殺したら、お前は今のままでいられるか?」

 

 

そういうアトラの瞳にはなにかを確信しているような妖しい輝きがあった。

その気迫に気圧されてウォズは押し黙ってしまう。

そんなウォズを見てアトラはクスリと笑う。

 

 

「案ずるな。ジオウもゲイツも、そして恐らくは白黒両方のお前もツクヨミも今の俺にとっては必要なパーツ、かもしれないからな。当分始末は先延ばしだ。」

「……一体君は何なんだ?ウール君ともオーラ君とも、スウォルツ氏ともでさえ異なっているように感じるがね。そう、まるで魔王や我が救世主など眼中にないかのように」

「そりゃあもっと先のことを考えたらあいつらは必要なくなるさ。今においては、重要なだけだからな。それにしてもお前には感謝してるよ、白。まさか未来のライダーの力を集められる機会を作ってくれるなんてな。お陰でルート分岐こそ起こったが、()()()()()()()

「可能性……?いったい何のだい?」

「さあなー。まあおしゃべりはここまでにしよう。その可能性のためにお前からビヨンドライバーをもらいたい」

「そう言われてやすやすと渡せると思うかい?」

「どうせスペアの一つや二つくらいあるだろ。ケチくせぇ。しゃーない、プラン通り力づくでいくか」

 

 

嘆息すると黒いカバーに龍の紋章が描かれた箱、リュウガのデッキケースを取り出して倉庫の窓にかざす。

するとアトラの腰に変身ベルト・Ⅴバックルが装着される。

一方の白い方のウォズも自分の変身ベルト・ビヨンドライバーを装着してミライドウォッチを起動する。

 

 

ウォズ!

 

「「変身」」

 

アクション!投影!フューチャータイム!スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ!

 

 

仮面ライダーウォズの前に立つのは鏡の世界の黒龍の騎士、リュウガ。

リュウガは先手をとってディエンドライバーにカードを装填する。

 

 

「悪いがさくっと終わらせたいからさ」

 

『カイジンライド ロブスターオルフェノク パラドキサアンデッド アルビノジョーカー』

 

 

召喚されたのは怪人ではなく()()

しかしいずれも形状は違えど変身に必要なベルトを装着している。

 

 

「「「変身」」」

 

Standing by Complete

Open Up

 

 

妖艶な女性―――ロブスターオルフェノクの人間態である影山冴子は仮面ライダーカイザに、スーツを着た壮年の男―――パラドキサアンデッドの人間態である鎌田は仮面ライダーアビスに、不気味な笑みの青年―――アルビノジョーカーの人間態である志村純一は仮面ライダーグレイブに変身する。

 

 

「頼んだよ」

 

 

その号令とともにウォズへと向かう三人の怪人ライダー達。

最前線を突っ走るのはグレイブで醒剣グレイブライザーをふるって攻撃する。

ウォズはそれを専用武器のジカンデスピア・ヤリモードで防ぐ。

しかし左側から攻めてきたアビスの二本の長剣・アビスセイバーを受けて体勢を崩して仰け反る。

今度はグレイブとアビスを同時に攻撃しようと横なぎを仕掛けるが、それより早くカイザのカイザブレイガンから放たれた光弾を右腹部に受け攻撃にならず、さらにその隙を縫って近づいたリュウガのドラグセイバーに身体を切り裂かれる。

 

 

「どうした。未来のライダーシステムってのはそんなもんか」

「そんな軽口を言えるのも今のうちだ……」

 

シノビ!

アクション!投影!フューチャータイム!ダレジャ?オレジャ!ニンジャ!フューチャーリングシノビ!シノビ!

 

 

ウォズの姿が手裏剣の意匠をしたシノビの力を宿した形態、フューチャーリングシノビへ変わる。

 

 

「分け身の術!」

 

ウォズがそう唱えるとウォズの分身が12体現れ、それぞれ三体ずつライダー達に向かう。

だがリュウガ達は一切動じず次の行動をとる。

 

 

『『ADVENT』』

 

 

リュウガとアビスはバイザーにカードを装填する。

するとウォズたちが突撃してくる真横の窓からリュウガの相棒・ドラグブラッカーとアビスの契約モンスター二匹が合体したモンスター・アビソドンが出現してウォズたちを薙ぎ払う。

すかさずカイザはブレイガンで、グレイブはグレイブラウザーで一体一体立ち上がる前に切りつけて消していく。

二体の大型モンスターも尻尾や尾びれで分身たちを消しとばす。

残った本物もリュウガとアビスの剣技を受けて膝を地につける。

 

 

『FINAL BENT』

STRIKE BENT

Exceed Charge

Mighty

 

 

リュウガとカイザが同時に宙に飛び、アビスは手甲から水流を、グレイブは剣から重力波を放つ。

身動きがとれないウォズめがけてリュウガの黒炎の蹴りとカイザの黄金の蹴りが繰り出されて爆発する。

ウォズは変身解除され、リュウガ以外のライダーは粒子となって消える。

リュウガは倒れているウォズからベルトとブランクのミライドウォッチを奪い取る。

 

 

「んー、まあブランクは量産できるから二つでいいか。……よしこんなもんでいいか。もう一度感謝しとくよ、白い方。お前のこのシステムは存分に役立たせてもらうからな」

 

 

そう言って楽しそうに去っていくアトラを忌々し気にウォズは睨んだ。

オリジナルアーマータイムの詳細解説、いる?

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