Parallel Worid of ZI-O -仮面ライダーピリオド- 作:楓/雪那
『……ミ……エミ……おい、起きろエミ!』
ウーン……うるさいな……体痛い……
『そんなこと言ってる場合か!早く起きて状況確認しろ!』
……ん、確認?なんのこと?
『寝ぼけてるのか?俺ら、あのアトラにタイムマジーンごと時空の穴に放り込まれたんだぞ』
ああ……そういえばそうだった……
……ここどこ?
『だからそれを確認しろっていってるんだよ!』
む~……そんなかっかせんでも。
てか視界暗~……出口どこだっけ?あ、あった。
ふう、ようやく外の空気吸える…………あああああああ!!!
私の……私のタイムマジーンが……555最終回のバジンたんみたいに!
……なーんて、私オーロラカーテン開けるんで大した痛手にはならないんですけどねー。
『いや、無理だ』
……(OwO)ウェ?
『理由は知らんがどやら一時的に使えなくなってるな』
…………エボルトォォォォ!!!!
『無実なんだが』
ごめんなんか叫びたい気分だった。
しかしこれは困ったわね。
私にもエボルトにもタイムマジーンを修理する技術なんてない。
となるとこの時代で直せそうな人を探すしかない。
……とりあえずここ山だし、いっぺん町に行きましょ。
お腹すいたし。
『まあ情報収集するならそれが一番だからな』
そんなわけで街に来た私たちを待ち受けていたのは……
やたらと近未来感が強い空飛ぶ車にホログラムの電光掲示板。
そしてそれと対照的なのが街の人たち。
その服装はどうみても舞台とかドラマでよく見る忍び装束。
最初はそういうファッションが流行りなのかなって自分でも無理がありそうな考えをしたけど、私の目の前で鎖鎌を使ってビルの壁を登ったり、風を操ってごみ掃除したりするの見たらもう確定だよね。
そしてコンビニで新聞を見たら今は2022年らしい。
……ええ?あと3年もすればこんな忍者社会になるの?
そして今さ、適当な食堂でお昼食べてるんだけど、そこの店長が「火遁の術!」って叫んで料理しだしたから何事かと思ったら案の定自分で火吹いてましたよ。
何?この……何?
いや面食らってる場合じゃない。
とりあえず情報収集だ。
「あのー店長。ちょっと聞きたいんですけど、この辺りで一番有名な修理屋ってどこですか?」
「修理屋?うーん……いや、分かんねぇな。今どきはよっぽどのもん以外は何でも自分で直すのが普通だしな。無理なものは作ったやつに任せるし」
「あはは……やっぱりそんな感じですか……」
「あーでも『今生カンパニー』なら確かかもな」
「今生カンパニー?」
「なんだ嬢ちゃん、知らねぇのか。街中の広告にあるだろ」
店長に言われて(ちゃんと会計をしてから)外に出て辺りを見渡す。
……確かにあった。なんか美男子の顔がアップで映ってたからモデルの広告かと思ったけど違ったわ。
『ふむふむ……今生カンパニー、2022年の巨大複合企業だな。この忍者社会でいち早く忍具の開発をして頭一つ飛びぬけたらしいぞ』
いや待って、あんた今どうやって調べた。
『地球の本棚に接続した』
ファッ!?ナンデ!?地球の本棚ナンデ!?
『細かいことは気にするな。ご都合主義みたいなものと思え』
メタぁ!
『話を戻すぞ。それで今あの広告に映ってるイケメンが社長御曹司の今生勇道、そしてこの時代の仮面ライダーらしいな』
わぁい思ったより早く見つかった……って違う!私ライダー探しに来たんじゃない!
『だがあのアナザーハッタリってやつの年代は2022年。ならオリジナルのハッタリ説もあるぞ』
うーん……確かにそうなんだけど。
でも私ビヨンドライバーもミライドウォッチもないですしぃ……
「探し物はこれか?」
「っ!アトラ…!」
「だいぶ困ってるようじゃねえか。」
「あんたのせいなんだけどね」
私が悪態をつくとアトラは嘲笑して何かを投げ渡す。
「これ……ビヨンドライバーにミライドウォッチ?」
「ああ、白い方から奪ってきた。お前にやるよ」
「…なんのつもり?あのアナザーハッタリはあんたが生んだものでしょ?」
「そうだな。だがあれはただのトリガーに過ぎない。そしてそのシステムはお前と俺にとって必要なもの、ということだ」
「はぁ?どういう…」
私が尋ねる前にあいつは消えていた。
ホントに何企んでいるのかよく分からない。
『しかし現状これに頼るしかないんじゃないか?』
ええ、非常に不服だけどそうみたい。
最もミライドウォッチはブランクだからまだ使えないっぽいけど。
けどとりあえずは今生カンパニーね。
「「「「「きゃあああぁぁぁ!!!!」」」」」
突然黄色い声が聞こえた。耳痛。
何事よ一体……
声の先には何人もの女性が群がっている。
男性アイドルでもいるのかと思い見てみると群れの中心にいたのはイケメンが一人。
っていうかあれ今生勇道じゃない。
いやあリアル御曹司って初めて見た……いや、映司さんとか佐野さんとかもそうだった。
でもあの人たち女性に囲まれてるシーンとか無かったし。
しかしどうしたものかしらね…
あれだけ人が多いと近づけないし、下手な真似すると危険人物としてマークされちゃうよね。
どうにかして向こうからこちらに来てもらいたいけど…
『それならこういうのはどうだ』
エボルトの案を実行して、私はタイムマジーンが不時着した場所に戻って今生勇道を待つ。
その案とはフリーズホークに手紙を持たせて送り付けるという単純なもの。
因みに彼が招待を隠してるんじゃないかと予想(忍者だし)して宛名は「仮面ライダーハッタリ様へ」にしといた。
数十分くらいして彼が来た。
「
「ええ、そうよ。仮面ライダーハッタリ、今生勇道」
「いったいどうやって知った。俺様がハッタリだと知ってる奴はいないはずだが」
ウィキペディアの進化系みたいなものです、なんて口が裂けても言えないわ。
「悪いけど企業秘密よ。私の名前は高倉エミ、あなたと同じ仮面ライダーよ。とはいっても未来の、だけどね」
高倉エミ、嘘フェイズ入ります。
だってそうしないとタイムマジーンの説明つかないし。
流石に3年ちょっとじゃタイムマシンなんてまだ実用には程遠いらしいし。
だからこの嘘は必要、うん。
「未来からぁ!?そんなの信じられるか!」
「信じられなくてもこれから魅せるものを見れば嫌でも信じるわよ。それで君を呼び出したのにはあることを頼みたいから」
そう言って私はタイムマジーンを見せる。
「これは未来で作られたタイムマシンなんだけど、ちょっと事故らされてこの時代に不時着しちゃってね。あいにく私には機械工学系の知識も資金もない。だから君の会社に修理を頼みたいんだけど」
「ち、ちょっと待て!」
「ん?時空転移機能についてはまあいいよ。とりあえず外装と動力部分とかを治してくれればいいわけだし、どうやらタイムジャンプの方はなんとかなってるっぽいんだよねー」
「いやそうじゃなくて!俺様はまだ受けるって言ってない!そんなのこっちに負担しかないじゃないか!」
「えー、タイムマシンを研究できるんだよー?それだけで儲けものじゃない?」
「ぐっ…」
「あーそれにー?私は君の秘密握ってるわけだしー?あーあ引き受けてくれないと腹いせで口が滑っちゃうかもなー」
「わ、分かった!引き受ける!…その代わり交換条件だ」
「……内容によるけど」
「これを開発部が修理し終えるまででいい。俺様を手伝ってくれ!」
「見えるか?あのすっごく素敵な少女がターゲットの神蔵紅芭さんだ」
「なるほどねー……はー、気が乗らない」
現在私たち二人がいるのは今生カンパニー主催の忍術大会会場。
……の離れの木の上から望遠鏡をつかって会場を見ている。
勇道君から依頼されたのは現在監視している紅芭ちゃんの妨害の手伝いというもの。
「てかさー、何であの子の邪魔しなきゃいけないの?産業スパイか何か?」
「え!?」
「え?」
「いやだって俺様の秘密握ってるって……」
「え、仮面ライダーのことじゃないの?」
どうやら私と彼の間で認識の差があったらしい。
ということはあの子に彼の秘密があるのね。
肝心の彼は私の脅しに踊らされていたのに気づいて頭を抑えている。
「まあ今のはそっちがゲロっちゃったってわけで話しな?」
「……ホントに言わなきゃダメ?」
「あーあー何か今から紅芭ちゃんのところ言ってうっから口が滑っちゃいそうだなー」
「ちょま、待て待て!分かった!ええっとだな……俺様は…紅芭さんのことがな………す、好きなんだ!」
『「………はぁ?」』
「いや何だよその呆れた目は!言えって言ったのお前だろ!」
「いやいや動機が訳わからないんだけど。なんで好きな子の邪魔するのよ。小学生かよ」
「仕方ないんだ…俺様だって紅芭さんのことを応援したい……でも、今生カンパニーは社内恋愛禁止なんだよ!」
『「………」』
「だから紅芭さんが大会で注目されて入社されると俺様と紅芭さんが結ばれることが……ってなんで今度はそんな冷めた目してるんだよ!」
「いやー……流石に動機がゲスすぎて……」
『これは俺でもひくわー』
アンタは猛省しな。
しっかしここまで動機が不純だと協力したのを後悔しかけてるわ。
『お前に縁のない色恋沙汰だからな』
よっしゃエボルト今からこの前テレビで見たキャメルクラッチってやつ試してやるよ。
いざ紅芭ちゃんの邪魔をしようにも中々上手くいかない。
手裏剣に細工を施しても、鍵縄の紐を緩くしても、煙玉を湿らせてもこれが兄・神蔵蓮太郎のサポートで一回の失敗程度で済んでしまう。
そして最後の競技はフリーランニング、いわゆる障害走。
紅芭ちゃんはぶっちぎりのトップ……なのだが事前に行き先を示す看板を別方向にしておくという古典的トラップのために絶賛コースアウト中。
だけど……さっきからつけられてるわね。
勇道君は気付いてないみたいだけど……
すると急に紅芭ちゃんが立ち止まる。
「さっきからうちをつけてるのは誰?」
「まっ、まさかバレたのか!?」
「いいえ、ちょっと待ちなさい」
私たちは息をひそめる。
すると私たちとは反対側の茂みから蝉のような怪人が現れる。
「ほう、吾輩の気配に気づくとは流石だな。もう一組の方はどうだ?」
「そうよ、まだ二人いるでしょ」
あらら、バレちゃってたか。
仕方ないから私たちも姿を見せる。
ただし勇道君は覆面で顔を隠している。
「ふむ、貴様たち、中々の手練れだな。名は?」
「人の名を聞くときはまず自分からでしょう?」
「くくっ、面白い女だ。いいだろう、吾輩は虹蛇・諜報部隊の
「……高倉エミ、フリーランス。またの名を仮面ライダーピリオド。変身!」
『RIDER TIME! KAMEN RIDER PERIOD!』
「ほう……貴様も仮面ライダー……つまり横のが件のハッタリというやつか」
「ふっ、俺様のことを知ってるなら話が早いな。変身!」
『フンダリ!ケッタリ!ハッタリ!仮面ライダーハッタ―リ!』
勇道君が金色の瓢箪のふたを開けると腰にベルトが装着される。
そしてベルトにプレートのようなものを挿し込むと、後ろに巨大な蜂が出現して防具を吐き出しその姿を変える。
「お前を片腕5秒で倒す。はったりじゃなくてマジでな!」
「ふん、粋がるな。かかれ!」
虚丸の呼び出しと共にどこからともなくダスタードそっくりな戦闘員が現れる。
「ハッタリ、お前にはおあつらえの相手を用意している。いけ!」
さらに鬱陶しい羽音とともに現れたのは蜂の大群。
その大群は人の形を成してアナザーハッタリへと変わる。
「いさ……じゃなかった、ハッタリ!その君の偽ものは君にしか倒せないからよろしく!」
そう一言だけ声をかけといて私は虚丸と向き合う。
勇道君は後ろでそんなの聞いてないとか抗議してるが知らねっ。
『ジカンサーベル!サ・サ・サーベル!』
ジカンサーベル片手に手始めにダスタードもどきを相手取る。
素早い動きによる波状攻撃と煙玉で翻弄してくるが、直感で飛び掛かってきた敵を切り裂き、煙玉が飛んできた方向目掛けてボウガンに切り替えて打ち抜いていく。
そんな中何体かが木の影に隠れて見ていた紅芭ちゃんに近づく。
「忍者には忍者、量には量でしょ!」
『ARMOR TIME! LEVEL UP! FUMA!』
私が纏ったのは白髪が特徴的な風魔アーマー。
装着と共にすぐにその能力で忍者プレイヤーを召喚する。
「よろしくね」
私の号令とともに忍者プレイヤーたちはダスタードもどきの始末に動く。
戦闘員とはいえ一人一人がレベル50相当のステータスを持つ忍者プレイヤーにダスタードもどきたちは次々と倒されていく。
三体ほど紅芭ちゃんの護衛を任せて私は虚丸と一対一の構えをとる。
私が腰から引き抜いた二本の刀を虚丸は薙刀で防ぐ。
足元めがけて払われた薙刀の刃をバク転でかわす。
しかしすかさず左手に仕込まれていた飛びかぎ爪が射出される。
それを私は刀をX字にしてガード、着地とともに電子手裏剣を投擲する。
だが虚丸は薙刀を回転させて手裏剣をはじき落とす。
「ほう、中々面白い術を使うな。俄然興味が湧いた」
「それは悪いわね。私はとっととあんたに引っ込んでもらいたいから、ちゃちゃっと決めることにするよ」
『FINISH TIME! CRITICAL TIME IMPACT!』
二本の刀をそれぞれ高速回転させることで竜巻を発生させる。
その暴風に虚丸はたまらず吹き飛ばされる。
苦悶の声は聞こえなかった。
まあ風のうなりでかき消されたのだろう。
そう思って竜巻の終着点に行くと、そこには虚丸の忍び装束しかない。
「……!やられた……!空蝉の術ね…!」
私は警戒を高め周囲を気にする。
しかしそれも2秒程度のこと。
やつが紅芭ちゃんをストーキングしてたことを思い出し紅芭ちゃんの隠れている気へ向かう。
でも紅芭ちゃんも護衛も無事だった。
ということは…
「ハッタリが目的…!?」
私は急いで勇道君を探す。
もしそれがブラフだとした場合危険なので紅芭ちゃんも連れて。
そしてついに彼を見つけた。
そこにいたのはアナザーハッタリ。
変身解除され地に伏せている勇道君。
そして先ほどのダメージをやはり受けておらず、その手に勇道君の金色の瓢箪を持った虚丸の三人だった。
オリジナルアーマータイムの詳細解説、いる?
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いる
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いらない