初めての異世界
晴斗が潜ったその先は、
様々な異世界の様子がまるで写真のように周囲に散らばっていた。
「これが....異世界への扉...なのか?」
写真を見て晴斗はそう口に出した。
(そうです....これが、異世界への扉...それに触れればその写っている異世界へと行く事が出来ます...但し、一度その世界へ入ってしまうと、結末を変えるまではここに戻ってくる事は叶いません。)
(成る程....つまり、選択を慎重に行えと...そういうことだろう。)
(さて、最初に行く異世界ですが.....)
「あ、もう決まった。」
(そうですか、もう決まりましたか......え?)
晴斗の言葉に少しだけ戸惑う声。
(あの、出来れば慎重に選んで欲しかったのですが.....。)
「もう決めてたからな....これにする。」
晴斗が選んだのは、軍略が必要とされる世界『ファイアーエムブレム覚醒』の世界だった。
晴斗が触れた写真は、波紋が浮かび上がり、そこから晴斗を吸い込んで行く。
(え?....あの、特典とかは....)
「特典?....なら、対象の力を"奪う"力にしてくれ。」
それだけ言い残すと、晴斗は写真に吸い込まれて消えてしまった。
(ああ....行っちゃった。まぁ、特典は此処からでも渡すことは出来るんですが....。)
その時、写真の中に一筋の光が飛び込んでいった。
恐らく、それこそが晴斗の選んだ特典ではないのだろうか。
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『ファイアーエムブレム 覚醒』の世界
「着地方法とか考えて無かったぁあぁぁあぁぁぁ.....」
晴斗はこの世界の空に出現した穴から落ちてきた。
(聞こえますか、晴斗。)
「あ、はい....聞こえます。」
(その世界は、現在戦争状態にあります。)
「ああ、知ってる。」
(そうですか.......え?)
声の主、二度目の驚き。
「この世界の事は既にゲームでプレイ済みだ...ストーリーや今後の展開なんて全て熟知している。」
(残念ながら、貴方の知っている流れにはならないと思いますよ。)
「え?....何で?」
(現在、貴方という異物を受け入れた事でこの世界は少しだけ流れが変化しました。)
「て、事は.... 」
(はい、死ぬ必要の無い犠牲とかバンバン出ます♪)
「ふざけんなぁァァァァ!!!」
晴斗は急いで走り出した。
(ちょっ!?...え!?...何処に行くんですかぁぁぁ!!!?)
声には耳も暮れずに何処かへと急いで走っていく晴斗。
(マズイマズイマズイ!もし俺の想像通りの展開になる可能性がある。だとしたら相当ヤバい!)
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「すぅ......すぅ....。」
可愛らしい寝息をたてて草原に横たわっている女性が一人。
彼女の名前はルフレ。この世界で言うところの主人公である。
現在、彼女は敵である屍兵に周りを囲まれ、逃げられない状況であった。だが、
「すぅ......すぅ。」
彼女は起きるどころか危機感を感じですはいない様子でまだ寝息をたてている。
「.....」
屍兵は互いに顔を見合わせると、ルフレに武器を振り下ろそうとした....その時、
「イ~~ナ~~~ズ~~マ~~~キーーーーック!!」
晴斗がドロップキックを屍兵の一体に叩き込むと、倒れた屍兵の武器を即座に奪い取った。
「青銅の槍....いいな、これ!」
槍を如意棒の如く振り回し、屍兵を挑発する。
「さぁ来いよ!死に損ない共が!...テメェらの相手は...この俺だ!」
右目を敢えて見せ付け、屍兵達を挑発する。
「グ.....ガァァァァ!!!」
屍兵達は晴斗の目を見るなり、即座に襲いかかる。
「オラオラァ!....もっとだ!もっと来いよオラァ!!!」
槍一本で屍兵達をどんどん倒していく。
そしてあと十数体といったところ...
「ハァ....ハァ....流石に....調子に....乗りすぎた。」
槍を支えとしてやっとその場に立っている状態。
そろそろ彼自身の体力も限界が近いその時、
「ウオオオオ!!!」
突然現れた人物が屍兵を斬った。
「大丈夫か!!」
「え?....あ、ああ....なんとか。」
「後は俺達に任せろ。」
助けに現れたのは、もう一人の主人公 クロム
(え?クロム?....何で此所に?....いや、それよりも。)
「あの!....女性が近くに居たんです...彼女も襲われてるかもしれないので...」
「ご心配には及びません。」
「え?」
「彼女は現在、私達の仲間が保護しています。」
「あ、ありがとうございます......えっと?」
「これは失礼しました。私はフレデリクと申します...宜しくお願いします。」
「あ、ああ....こちらこそ。」
晴斗とフレデリクは互いに握手を交わす。
「なら、俺は休むよ....流石に30体以上倒した気がするよ。」
その場に座り込んで、そこから先はクロムの戦いを見物することにした。
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「クロム様、お疲れ様です。」
「ああ、ありがとう。」
クロムはフレデリクの労いに感謝を述べて晴斗に近付いてくる。
「君が屍兵を全て引き受けて倒してくれたお陰で、周囲に被害が出ないで済んだ....ありがとう。」
「い、いえ....偶々通りかかったところ、女性に襲いかかろうとしてる奴らが居たので助けたってだけなんですけど...。」
「そう謙遜しなくてもいい....お前が屍兵を倒してくれたという事実が今は重要なんだから。」
「は、はい....。」
クロムの言葉に晴斗は肯定の意思を彼に見せるしかないと判断し、それだけ口に出した。
「そういえば、まだ名前を名乗っていなかったな....俺はクロムだ....お前の名前は?」
(流石に本名は伏せるか...。)「ルークと言います。」
「ルーク、そんなに固くならなくてもいいんだぞ?」
「え?....じゃあ、宜しく頼むよ....クロム...?」
「何でそこで疑問に思うんだ?....まぁ、いいか」
クロムは踵を返すと、フレデリクに指示を出す。
「そうだ...ルークに聞いてみたい事があるんだが、」
「?...何?」
「どうやって屍兵を挑発したんだ?」
「え?」
「いやなに、あいつらは死体が突然動き始めた奴らでな...普通に挑発しても効かないと思ったんだが...ルークの場合、その場にいた全ての屍兵がお前に襲いかかってたから....どうやって引き寄せられたのかと思ってな。」
クロムの眼差しはまるで何かを期待しているような感じにキラキラと輝いている。
(どうする....俺の右目について話すか?...いや、多分信じないだろう。....それにもし、見せた時にクロム達にまで襲われたら俺のメンタルが崩壊する....ここは何とか誤魔化さなくては。)
「そう言われてもな....俺も無我夢中で、取り敢えず女性に意識が向かないようにともう必死で挑発してただけだったからさ...詳しい事は俺にも分からないんだよ。」
「そうなのか.....。」
晴斗...いや、ルークがそう言うとクロムは何かを考えてしまう。その際、フレデリクだけは、ルークを見て「何か隠しているのでは?」といった様子でこちらを見ていた。
「え?フレデリク。何...その目....言っとくけど、俺だってホントに知らないんだよ...だから俺をそんな目で見ないでくれ。」
「これは失礼しました。」
ルークが指摘するとフレデリクはルークを見ることを止め、周りを見渡し始めた。
「あっそうだ。」
ルークは何かを思い出して、何処かへと歩いていく。
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「やっぱり此処か。」
歩いた先には、
「すぅ......すぅ。」
やはりまだ眠ったままのルフレがそこにいた。
「ハァ...ったく、俺が全部引き付けたってのにここまで爆睡されるとかえって清々しいな。」
ルークはルフレの鼻を摘まんだ。
「すぅ......ん?」
ルフレは目を覚まし、周囲を見渡す。
「え?....あれ、え?」
「よぉ、起きたか?...この寝ぼすけ。」
「え?だ、誰です....あなた?」
目覚めて直ぐ、目の前にいたルークに対し、警戒心を剥き出しにして様子を伺う。
「あんたが襲われそうだったのを助けた者だ。」
「え?....そう...なんですか?」
近くにいたクロムやフレデリク達に伺うと全員が首を縦に振った。
「ありがとうございます。」
「いや、別にいいよ....大したことじゃないし。」
「あの!....私、ルフレっていいます。」
「俺はルークだ....宜しく。」
握手をしてクロムの元へと歩く二人。
「さて、ルフレ....他の人も紹介しないとな....先ず、この人が、」
「クロム....さん?」
『!?』
その時、ルーク達に衝撃が走った。まだ名乗ってもいないのにルフレはクロムの名前を言い当てたからだ。
「何故、俺の名を?」
「え...?...どうしてでしょう?何処かで会ったような気が...」
(ルフレがクロムの名前を知っていた....間違いなく、ここは俺の知っている『世界』だ。)
ルークは改めて自分が異世界に来てしまった事を理解した。
「悪いが、初対面だぞ。...妙な奴だ。」
それよりも、とクロムが続けてルフレに質問を投げ掛ける。
「お前、何者だ?ここでいったい何をしていた?」
「私は...............私は誰ですか?」
逆に聞き返されて、ルーク以外の面々はずっこけた。
「いや、こっちが知りたいから聞いたんだけど....もしかして、記憶喪失なのか?」
「多分....そうだと思います....それにここも一体どこだか分かりませんし...。」
「おかしな話ですね...では何故、クロムという名を知っていたのですか?...そのような都合の良い記憶喪失...簡単に信用できる話ではありません。」
今度はフレデリクがルフレに疑いの目を向けて質問を始める。
「ですが、私は本当に...」
これ以上は二人の間に溝が出来てしまう。そう思ったルークは二人の間に立って仲裁を始めた。
「まぁまぁ、フレデリク....彼女、本当に何も知らないみたいだし....ここは、少し様子を見ようぜ。」
「...何故、そう言えるのですか?」
「ルフレはこの地域の事を知らないと言った....なら、本当に知らないんだろう。」
「もし嘘をついていたら?」
「それはあり得ない.....彼女...場所が分からないと言った時、凄く悲しそうな目をしていた....嘘を付いているならそんな目は出来ない筈だ。」
「では、クロムという名を口にした事はどう説明するつもりです?」
「同名の知り合いが居て、その人に似ていたから...つい口に出てしまった....もしくは、可能性は低いが...夢で同じ名前の人物...もしくは、本当に同じ名前の知り合いが居るんじゃないか?...クロムの顔を見て名前を口にしたのはきっと、彼女にとって何か特別な意味があるんじゃないのか?」
フレデリクの質問に全て答えたルーク。
「....分かりました。...今は追及しないことに致します。」
「さて、フレデリクも少なからず納得してくれたみたいだし....そういやクロム、何でこんな所に来たんだ?」
「そういえばまだ言ってなかったな...俺達はこの国の人々を助ける為に此所に来てるんだ。」
「クロム様、確かにその通りなのですが...賊どもの一味である疑いがある以上は気を許すのは危険です。」
「なら、取り敢えずこいつを捕まえて町に連れていくか...ルークも一緒に。」
「え!?...はぁ!?...何で俺も!?」
「貴方も彼女と同じで自分の事を何一つ語っていないからですよ。」
と、フレデリクに言われてしまう。
(まぁ、確かにまだ何一つとして自分の事を話してはいないな...でも、此処とは違う世界から来た...なんて説明したところで信じるとは思えないし....)
「俺は、此処とは違う国から旅して来たんだ。」
「ほう...一体何処の国ですか?」
ここぞとばかりにフレデリクが追及してくる。
「いやいや、多分国の名前言っても分からないと思うんだけど。」
「いいから話してください。」
「え~っと.....」(まさかここまで疑り深いとは...恐るべし、フレデ肉!)
「...今何か失礼なこと考えませんでした?」
「い、いや別に何も...」(怖ぇぇ!エスパーかよ...!)
「フレデリク、話の続きは町で聞こう...それと、君もだ。」
「えっ....ちょっと!?」
取り敢えずという事で、ルフレとルークは町まで連行される事となってしまった。
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「...私、これからどうなるのでしょう?」
「多分、俺と一緒に牢屋に入れられるんじゃない?」
ジョークのつもりでルフレにそう言う。するとルフレは分かりやすく落ち込んでしまった。
「そう気を落とすな。イーリス聖王国の敵じゃないとわかれば、自由になれるさ。」
「イーリス聖王国...?」
「今、あなた方がいる国の名...平和を愛する聖王エメリナ様が統治する国です。」
「それと、さっきルークが紹介しようとした俺がクロム、こっちのちんまいのは妹のリズだ。」
「ちんまい言うな!..私、リズね!憶えてよね!でね、えーっと......私達は、イーリスを守る正義の自警団なのだ!」
「正義の自警団...ですか?」
「まぁ、そんなところだ。...で、この小難しい感じの男がフレデリクだ。」(通称 フレデ肉だ。)
余計な情報を心の中で発信するルーク。
「クロム自警団副長のフレデリクと申します。立場上、どうしても先ず疑いの目から入ってしまう事をお許しください。貴女を全く信用しない訳ではありませんが、調べることは調べますのでそのつもりで...」
「分かりました。......私の名前は...そう、ルフレです。これが私の名です...。」
「ルフレか変わった名だな。...町はもうすぐだ。...そこまで行けば...」
すると突然、
「お、お兄ちゃん!大変だよ!見て、あっち!」
リズが指を差して何処かを示している。その方向にはなんと、
町の至るところから黒い煙が上がっていた。
「ッチ!....クソッ!」
「アッ、オイルーク!」
一目散にルークが町へと走り出す。クロム達も後を追いかける。
「あっ...」
クロム達に置いていかれたルフレだったが、直ぐに三人の後を追いかけるのだった。
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「ぐはははっ!奪え!殺せ!奪い終わった家には火を放て!町ごと消し炭にするんだ!これを見りゃ、抵抗しようなんて気が起きなくなるだろうからな!」
賊の親玉が町に火を放ち、略奪行為を行っている。
「いやぁっ!助けて...!誰かぁっ!助けてぇーっ!」
すると、ルークが槍を振り回して賊の群れに飛び込んできた。
「町を襲ってるのはテメェらか....!」
「ああ、そうだ....テメェ、抵抗する気か...?」
するとルークは再び、如意棒の如く槍を振り回し、賊達に対して構えを取る。
「当然だ...テメェら倒して、俺の株を上げてやる!」
ルークは単身、賊達に立ち向かっていく。
「テメェら、やっちまえ!」
『ウオオオオオ!!!』
ルークは槍を構え、賊達を突き刺し、槍でガードしたりと多勢に無勢の様子だが、何とか立ち向かえていた。
そして漸くクロム達が町に辿り着いた。
「お、お兄ちゃんっ!!町の皆が!!」
「急ぐぞ!これ以上、山賊に町を襲わせる訳にはいかない!...そして、ルーク一人に戦わせたりはしない!...行くぞ!」
クロムが山賊達に向かって行こうとした時、
「待ってください!」
ルフレが町へと辿り着いき、クロムを制止させた。
「!...お前、逃げなかったのか?なぜ此所に来た?」
「私にも分かりません。...ですが、私も出来る事をします。」
「...そうか、分かった!...なら、力を貸して貰うぞ!」
ルフレの言葉に嘘偽りが無いことを理解したクロムは、ルフレを信じて、そう言い放った。
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一方、ルークはというと...
「オラッ!」
『グハァッ!』
漸く、賊達の4/1を倒したところであった。
「さぁ...来いよ、次は誰が相手してくれるんだ?」
「こ、こいつ....化け物か...!」
(化け物...化け物か、何度もそう呼ばれたな。)
少しだけ昔を思い出してしまうルーク。だが、それが彼にとって命取りともなる行動であった。
『オラッ!』
「しまった!....ぐっ!」
何とか槍でガードするものの、賊の力は手強く...一人で立ち向かうにはあまりにも無謀過ぎた。
「この....野郎!」
賊の武器を振り払い、槍で突き刺そうとするも、
バキィィン、と大きな音をたてて槍が砕け散ってしまう。
「そ、そんな...槍が...!」
「どうやら...形勢逆転...みたいだなぁ...。」
ニヤリと意地の悪い笑顔をルークに見せると剣をルークに向かって振り下ろそうとした その時、
ヒヒィーン!
「な、何だ!?」
馬がルークと賊の前に飛び出し、その馬にはルークにとって見覚えのある人物が跨がっていた。
「無事ですか!ルークさん!」
「フレデリク!」
突然現れた救援にルークは安堵の表情を彼に見せる。
「どうやら間に合ったみたいですね....此処からは我々も戦います。...ルークさん、構えて下さい。」
「いや、フレデリク....助けにきてくれたのは正直、嬉しいんだけど....さっき、使ってた槍が壊れちゃって...今は何も持ってないんだ。」
ルークを一瞥するとフレデリクは、
「ではこれを使ってください。」
「おっと....これは....!」
そう言って、彼に鉄の槍を渡した。
「これなら、また戦えますね?」
「ああ、勿論だ!」
ルークはフレデリクに並んで立ち、賊に向き直る。
「ルークさん、私とペアを組んで下さい。」
「?...要するに、一緒に攻撃すればいいんだな?」
「そのようなものです。」
「了解....なら、フレデリクに合わせるようにしよう。」
「テメェらさっきからごちゃごちゃとうるせぇんだよ!」
賊の男がルークに向かって武器を振り下ろそうとした
が、それはフレデリクの槍によって防がれてしまう。
「貴方の相手は私です...はぁっ!」
「ぐぁっ!」
「せいっ!」
フレデリクが突き刺し、ルークもそれに続く。そうして賊を次々に倒していく。
そして、
「これで....終わりだ!」
「ぎゃああっ...!」
山賊の親玉をクロムとルフレのペアが倒し、山賊達を全滅させることに成功した。
━━━━━━━━━━━━━
「何とか終わりましたね...」
「町の人達、無事みたいだね。良かったぁ...」
ルフレとリズが安堵の声を漏らし、漸く襲撃を収めることに成功したのだと遠くから見ていたルークでも理解ができた。
「それにしても、ルフレ....聞いたぜ、戦術を練って戦ったんだって?」
「いえ、....戦術と言える程、大したものでは...」
と、ルークの言葉に謙遜した様子を見せる。
「しかし、戦いに関して秘めるものがあるのは事実だ...ただの行き倒れではないということだな。」
「本当に記憶喪失なのか、益々もって疑わしくなりましたが...」
フレデリクが益々疑惑の目でルフレを見ている。
「えっと...どうしてでしょう?...その......戦っているうちに、戦い方が頭に浮かんできたんです。...でも信じてください。記憶が無いのは本当なんです...。」
ルフレの言葉に対し、ルークが放った言葉。それは、
「?...そりゃ、信じるよ...なぁ、クロム。」
信用に値する....そう言い放った。
「ああ、町の人達の為に戦ってくれたんだ。疑うものか、俺はお前を信じている。」
「よろしいのですか?完全には疑いは晴れていませんが...」
「分かっている。だが、ルフレの能力こそ、俺が求めていたものだ。賊どもや他国がのさばって来ている現状、有用な軍師は是非とも欲しい。...それに俺は、一緒に戦ってくれたルフレを信じたい。」
「...クロムさん...」
「それと、」
「?」
クロムは次にルークを見た。
「ルークみたいに、我先にと特攻していくような人材も欲しかったところだ。」
「え、良いの?」
「ああ....どうだ、ルフレ...ルーク...俺達と一緒に来ないか?」
ルークとルフレをスカウトするというクロムの言葉。
「俺は勿論、クロムに付いていくよ....ルフレは?」
「ええ、勿論です。クロムさん。」
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「...あの山賊達は、隣国ペレジアから流れてきたようですね。」
「ペレジア?」
「イーリスの西にある国だ。..奴らはこのイーリスに入り込んでは悪事を働いている。」
「町がめちゃくちゃ...どうしてこんな酷いことできるんだろ...」
「顔を上げてくださいリズ様。...このような事から民を守る為、我々がいるのです。」
「...フレデリク...。うん!そうだよね!私頑張る!」
「やれやれ....やっと始まりか....」
ルークがそう呟くと、
(晴斗、聞こえますか?)
「!...ああ。」
(今後は心の中で話しかけてくれれば何時でも答えます。...それで、どうですか...これから先、やっていけそうですか?)
(そうだな.....)
少しだけ、クロムやルフレを見てから、こう答える。
(取り敢えず、彼らと一緒にいればやっていけると思うよ。)
(....そうですか、フフッ...では、頑張ってください。)
声は消え、意識は再び元に戻る。
ルークがすべき使命、それを果たすまでは彼らと行動を共にすることとなるだろう。