実は初の連載開始の時はあまりにもSSとは言えない内容でして……うろ覚えですがめっちゃ短い上に描写不足だった気がします
そのせいもあってかなり叩かれました、そらもうかなり
でも初っ端から辛口評価を頂いたおかげで、これはもう頑張って見返すしかないなと思い、SSの書き方を勉強しながらなんとか続けていこうと思ったんです。
外はすっかり夜になっていた。
「俺がお前に魔法でこの世界に召喚されました? それはわかったから元の世界に帰してくれないかな? 俺向こうで色々と忙しいんだよね、おチビさん?」
「帰し方なんか知らんって何回も言っているだろう、お前の言う『江戸』という国に帰す術など私は知らん」
「チビ人形~このガキ全然使えねぇよ~自分で口寄せしておいて帰せませんだってよ~なんとかしてくれよ~」
「ケケケッ、本当使エナイゴ主人ダナ~」
「お前の世界に送れる事は出来んが、代わりに地獄に送る事は出来るぞ貴様等・・」
前回、自分の世界にいた坂田銀時は、魔法使いのエヴァンジェリンことエヴァにこちらの世界に召喚されて、
現在はエヴァの家の小さなリビングにて互いの世界の事情を話し、ソファに座っている銀時はエヴァの従者の一人チャチャゼロという小型人形を両手で持って、銀時の向かいのソファに座っている寝巻き姿のエヴァをイラつかせながら話している。自分で召喚した相手を見ながらエヴァは深いため息をついた
「全く・・冗談半分で召喚魔法をやってみたらまさかこんな奴が出てくるとは・・それにしても『天人(あまんと)』、まあ宇宙人の事らしいが、江戸に宇宙人が来襲して支配された世界なんて聞いた事もないぞ・・・」
「俺だって生きている中で『魔法使い』がいる世界なんて漫画や映画でしか見たことねえよ、この世界にもヴォルデモート卿みたいな恐え~魔法使いとかいんの?」
「恐ろしい魔法使いなら今貴様の目の前にいるぞクックック・・」
「チビ人形~この痛い子どうにかして~、言ってる事が物凄く痛いよ~ガキのくせに自分の事恐ろしい魔法使いだってよ~痛々しい、痛々しいよこのガキ」
「ドウニモ出来ネェナ~、ゴ主人ハ一生コンナ子供ダカラナ~」
「いちいちチャチャゼロと会話するなッ! すっごいムカつくんだよお前等ッ!!」
相変わらずチャチャゼロと一緒に会話して腹立たしい事を連呼する銀時。そんなふざけた態度の彼にエヴァは額に青筋を浮かべて立ちあがって近付き、とりあえず銀時が持っていたチャチャゼロをひったくってブンッと放り投げる。「ア~レ~」と言いながら家の壁にぶつかり、その場に落ちるチャチャゼロ。そんな光景を無表情で見ていた銀時は目の前で荒い息を吐いているエヴァの方へ顔を向ける。
「じゃあ結局俺が帰れるのかわかんないんだよな?」
「うん、わからん」
「・・・・・・」
エヴァの一言で一刀両断された銀時の意見。しばらく銀時はそれを聞いて下を向いていたが・・
「まあお前の今後は私とジジィが・・むぐッ!」
エヴァの言い分を聞かず銀時はいきなり彼女に近付き、彼女の口の中に自分の親指を突っ込んでそのまま思いっきり引っ張る。銀時の先制攻撃に「いふぇふぇふぇッ!(イテテテッ!)」と驚きと痛みを交えてエヴァは思わず悲鳴を上げる。
「何がわからんだよテメェェェェ!! 人をわけわかんない世界に勝手に呼んで何だそりゃッ!? この世界で暮らせってかッ!? この世界で一生暮らせってかッ!? 俺の住民票どこッ!? 俺の家どこッ!? 俺の仕事どこッ!? 俺のメシ何処だオラァァァァ!!」
「いふぁいふぁッ!(痛いわッ!)ちゃんほおふぁえのしょふうはふぁんふぁえているふぁッ!(ちゃんとお前の処遇は考えているわッ!)」
頬を引っ張られたおかげで理解不能な言語になっているエヴァだが、銀時は理解したのかようやく彼女の口から自分の親指を抜く。解放されたエヴァは自分の両頬をさすりながら恨みがましい目で銀時を睨む。
「この私をよくもこんな目に・・くそ、いつか後悔させてやる・・」
「何か言ったかクソガキ?」
「この白髪天然パーマメントが・・まあいいこんな奴を召喚した私が悪い・・こいつの飼育は私がしっくり調教を交えながら飼って・・後は職だな、ずっとウチにいられるのも困るしな・・」
エヴァはしばらくブツブツと独り言をしながら銀時をどうするか考える。そんな彼女を銀時は小指で鼻をほじりながらボケーと眺めていた。
しばらくしてエヴァは一人の人物を思い出した、銀時に職を与えれるのはあの男しかいない
と彼女は立ちあがる。
「どうしたのおチビちゃん?」
「今からちょっと出かけるぞ、お前の職を提供してくれる心優しい人物の所にな、ちょっと着替えてくるから待ってろさすがに寝巻き姿で行くのはヤダ」
「出かけるって何処にだよ?」
「私の従者の一人がお前の事をジジィに報告している頃だな・・そこに私達も行って職を貰いに行くぞ」
「だから何処だっつーのッ! ハローワークか何かかッ!?」
銀時が何処へ行くのかと、自分の部屋に着替えるために階段に登って戻ろうとするエヴァに向かってソファから立ちあがって叫ぶ。少し口から歯を出して、意地の悪い笑みを浮かべてながら彼女は振り返った。
「麻帆良学園だ、ちょうど国語の教師が足りないとかあのジジィほざいていたからな、お前確か前の世界で万事屋とかいうなんでも屋をやっていたんだろ? そんなこと仕事にしているなら器用だと思うし、教師ぐらい出来るだろ」
「・・・はい?・・・何言ってんのお前・・・?」
ポカンと口を開けて固まる銀時に彼女は満足した様子で自分の部屋に戻って行った。
教師・・いくら器用でもそんなこと一回もやった事が無い・・まず人に物事を教え込む自体あまり無い、人に質問されたら返す程度・・教師など無理だ・・
銀時がそんな事を悩んでいると、床に転がっていたチャチャゼロがケケケッと笑っている。
「オ前モ前途多難ダナ~天パ」
「全てテメェのご主人のせいだろうが・・」
自分の心を読んでいたチャチャゼロを銀時は拾ってテーブルにポンと置き、乾いた声でツッコむのであった
第一訓 侍だって教師になれる
ここは麻帆良学園。この巨大な女子校がある島のほとんどはこの麻帆良学園の所有地であり、学校というより、もはや1つの街と言った方がいいのではないかと思うほどめっさデカい。その学園内のトップが今、自室でこの学校の生徒と話をしていた。
「何? エヴァが別世界から奇妙な格好をした銀髪の男を召喚した? いきなりそんな事言われてもの・・ていうか何やってるんじゃアイツは・・その男は大丈夫なんじゃな? 何か目からビーム出すとか、投影魔法が使えるとか、自縛神を呼び出すとかそういう危ない奴じゃったらここにいては困るのじゃが・・?」
「大丈夫です、魔力も持ってないとマスターが言っていましたし、目が死んでいるちゃらんぽらん、持っているのは木刀一本と中身が空の財布のみ、この学園に危険が及ばせる程の人物ではないかと? まあ私を見てすぐに人間では無いとわかったのは凄いと思いましたが」
「その情報聞くと別の意味で危ない奴に思えるんじゃけど・・あとお主がバレるのもわかる気がするんだけど・・だて見た目どう見てもロボじゃん・・なんで気付かないのウチの生徒たち・・」
学園内のトップの人物。麻帆良学園理事長の通称、学園長。彼は自室の学園長室にて、自分用の豪華な椅子に座って目の前で無表情で説明している、エヴァの従者でもありこの学園の生徒の天才少女、葉加瀬聡美が作った高性能アンドロイド絡繰茶々丸から、エヴァが召喚してしまった男の情報を聞いていた。
もしその召喚してしまった男が危険人物なら、この学園に危害が及ぶ。学園長にはこの学園を守る義務があるので、仮にそんな男がこの学園内に入ったら即刻排除する気だったが、茶々丸の情報を聞く限りただの駄目人間が来たという結論に落ち着き安心する。
「まあそんな奴召喚したエヴァが悪いの・・召喚したなら責任持って元の世界に帰すなり、自分の家で世話するなりしろってあの娘ッ子に言っておいてくれ」
「承知しました」
学園長がめんどくさげに言った答えに、茶々丸は相変わらず無感情で頷く。だがその時、学園長室のドアがノックの音もせず開いた。入って来たのは私服姿のエヴァが腕を組んで学園長に向かって歩く。
「おいジジィ話がある」
「何じゃエヴァか、何か用? 言っとくけどワシ召喚した奴を元の世界に帰す術なんて知らねえよ?」
「おいおいおい、これがここの一番偉い奴なの? 見た目どう見てもエイリアンか洋梨だろコレ、おいガキ絶対嘘だろ、これここの建物の中に迷い込んだ野良エイリアンか何かだろ?」
「何このいきなりワシに無礼な態度の男・・? いきなりエイリアン呼ばわりされたんだけど・・エヴァ、もしかしてこの男をお前が・・」
エヴァの後から入って来て、学園長を見た早々いきなり自分を指差して失礼な態度を取る銀時に、学園長は眉間に皺を寄せた。恐る恐る学園長はエヴァに質問するが、彼女は髪を掻き毟りながら頷く。
「まさかこんな奴を呼んでしまうなんて思わなかった・・だが私が呼んだんだから一応私に責任がある、コイツは私の家に住まわせる、それで良いなジジィ?」
「別に良いよ、茶々丸君の情報を聞く限り危険人物では無いってわかったし、どうぞ末永くお幸せに~」
「そろそろ昇天するかジジィ・・」
「で? ワシに他に何かあんの? そろそろ孫娘のお見合い相手を探すというワシの趣味をやりたいのじゃが?」
エヴァの言い分にめんどくさげに自分の椅子にもたれながら承諾する学園長に、エヴァはイラつくもとりあえず再び口を開く。
「ジジィ、確かこの学園には国語の教師が不足していると聞いたが?」
「そうなんじゃよね~もう困りまくってんだよね~せめて後一人は欲しいんだよね~」
「ほう、ではこの男を教師にしたらどうだ・・?」
「・・・何言ってんすかアンタ・・?」
思わず自分の口調が変わるほど呆気に取られている学園長。エヴァが自身満々に指差した男、何時の間にか学園長室のお客様用のソファにゴロンと横になって欠伸をかいている銀時だった。そんな銀時を見ながら学園長は話を続ける。
「どう見てもコイツ教師出来ないじゃん・・見た目からして駄目駄目じゃん・・絶対無理よ・・いくら教師不足でもこれは無理よ・・」
「お前の意見など知らん、コイツはこの学園の教師にする、家にずっと居てもらったら困るし何より職も無いプータローを養うなど私のプライドからして出来ん、これはあくまで報告だ決定事項だからな、お前はこの男を教師にするよう手引きをする、わかったな?」
「わかったかジジィ俺を元の世界に帰せ、そうしてお前も自分の星に帰れ」
「いやエヴァの意見も理不尽じゃがそれ以上にこの天パの意見もムカツクんじゃけど・・何でお前を教師にする話がおまえを元の世界に帰す話になっているんじゃ・・しかもワシこの星出身だからね・・?」
いきなり自分とエヴァの会話に入ってくる銀時に学園長が冷静にキレながら彼のほうに目を向ける。何時の間にかソファに座っている茶々丸と相変わらず横になっている銀時がテーブルの上でオセロをやっていた。
「っておいッ! 人の部屋で何勝手にオセロやってんじゃッ! ていうかオセロなんか何処にあったッ!?」
「銀時様、角取りです」
「は~強すぎじゃねお前? これ負けフラグ立ってるよ俺、全部の角取られたらもう勝つ見込みねえよ」
「ワシの言葉聞いてないしッ! 何コイツッ!? ワシの人生の中でトップクラスのムカツク奴なんだけどッ!?」
自分の言葉など全く聞こえていない銀時に学園長はブツブツと小言で文句を言っていると、更に腕を組んで銀時と茶々丸の試合を眺めていたエヴァが追い討ちをかける。
「もしこの男を教師にしないと言うならば、その瞬間お前の天寿が全うするぞ、どうするジジィ?」
「どう考えてもワシがお前に殺されるという脅しにしか聞こえないんだけどッ!? 天寿じゃねえよッ! 明らかに殺されるよワシっ! どっちを取ってもこの学園崩壊の危機じゃんッ! ふざけんじゃねえぞコラッ! ワシだってやる時はや―――「何処の港に沈められたいんだジジィ?」・・・うん、こういう教師も悪くないっすね」
学園長がカッコ良く決めようと思ったが、話し終えるうちにエヴァのドスの効いた脅しが飛んできた、その瞬間速攻で心変わりする学園長。そんな使いやすい学園長にエヴァは満足げに笑う。
「良い返事だ、こいつを教師にするための書類やら何やらは全てお前に任せるぞいいな?」
「何でナギの奴、こんな奴をワシの所に送ったんじゃ・・警備としては最強だけど、性格は最悪・・」
「その長い白髭引っこ抜いてやろうか?」
「すんませんそれだけは勘弁して下さい、これワシのチャームポイント何で」
「どんなチャームポイントだよ・・」
自慢の長い白髭を持って、必死に謝る学園長。エヴァは全くチャームではない髭にツッコミを入れる。
「じゃあこいつ・・え~と」
「坂田銀時だ」
「銀時が教師として仕事を始めるのは明日でいいじゃろ? 国語担当だけじゃなく、ちょうどいないA組の副担任もやってもらうか」
「何でA組の副担任にするんだ・・?」
「ネギ君に基本、コイツ全部任せる」
「どんだけ無責任なんだお前は・・」
ある教師に責任全て押し付ける学園長にエヴァは呆れた・・
ふと時計を見ると時刻は既に午後9時になっていた、エヴァはそれを見て「こんな時間か・・」と帰る準備をする。
「じゃあ私達は帰るぞ、おい茶々丸、銀時の服をどっかから調達して来い着物で教師をやる奴などこの時代にはいないからな」
「ロン、九連宝燈(チューレンポート)で役満です48000点」
「うわッ! 『17歩』も強えんだけどコイツッ! 俺一発トビじゃんッ!」
「ってオイッ! 何で麻雀始めていたんだ貴様等ッ!? ていうか何処にあったそんなもんッ!?」
今度はオセロではなく突然麻雀をおっ始めている、相変わらず無表情の茶々丸と頭を抱えてショックを受けて立ち上がっている銀時にエヴァはつい大声でツッコんだ。
銀時とエヴァは二人で家へと帰っていった。茶々丸は「葉加瀬さんの所から銀時様の服を探してきます」と言って別行動になり、会話をする気も無いのでとぼとぼと歩いていた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
無言で歩く二人、空はすっかり真っ暗で、薄暗くなっている道を銀時が先頭で歩いている。
「・・・・・・」
「・・・おい」
「あん?」
無言で歩いていたエヴァが突然立ち止まって前を歩いている銀時を呼ぶ。彼もそれにぶっきらぼうに振り返って立ち止まる。
「お前はあっちの世界で家族とかいるのか・・?」
「血の繋がった家族はいねえな・・」
「どういう意味だ? 血の繋がっていない家族がいるというのか?」
「まあそういう事だ」
「家族というのは血が繋がっているから家族なんだろ・・そんな家族なんかいるか・・」
後ろでポツポツと小声で銀時から目を逸らして喋っているエヴァに、銀時は近付く。
「別に血が繋がってなくても家族なんかなれるんだよ、バカやって、喜んで、怒って、泣いて、笑って、またバカやって、そう言う事を一緒にやってりゃあ絆も生まれる、その絆を俺が家族と言えばそれは俺にとって大事な家族だ」
「ふん、大した楽天家だなお前は・・その家族から引き裂いた私をお前は憎いか?」
「あいつ等は俺がいなくても上手くやっていけるさ、俺はあいつ等の事を信用しているしな、それより俺はお前が心配だよ」
「は?」
銀時が突然エヴァの頭にポンと手を置く、彼女にとっては長年振りの人の温もりだった。
「お前みたいな変なプライド持っている奴は上手く友達作れねんだよな~、お前絶対友達いねえタイプだしな」
「余計なお世話だ・・」
「口寄せやったのも、「自分と喋ってくれる奴でも来て欲しい」とか思ってたんだろ? お前の目前に俺の世界で見た、友達が欲しいのに素直になれなくて絆が生まれる頃には死んじまった奴の目と似ているんだよ」
「・・・・・・」
銀時の推理が合っているかどうかわからないがエヴァは深く黙り込む。そんな彼女の頭をわしゃわしゃと銀時は手で掻きむしる、その手を彼女は振り払わず黙りこくったまんまで銀時に視線を向けた。彼はこちらを向いて優しそうな笑みを浮かべていた。その笑顔は昔会った男と何処か似ている・・姿形では無く雰囲気が・・・
「安心しろ、この銀さんがお前の遊び相手になってやるよ、俺はガキの子守りは得意でね、お前見たいな生意気なガキでも楽勝だ」
「ちゃらんぽらんで私に対してふざけた態度で接する・・お前はアイツと何か似ているな・・」
「何か言った?」
「何でも無い・・にしてもお前コロコロ性格変わるな・・最初私にあんなナメた態度だったのに、急に優しくなりおって、もしやツンデレか?」
「何がツンデレだこのガキ、髪の毛掻きむしりまくって、俺と同じように髪の毛ぐしゃぐしゃにしてやろうかこら?」
「止めろ止めろ! そんなに私の髪の毛を痛めるな! ハゲたらどうするッ!」
エヴァの首に腕でホールドを掻けて逃げれないようにして、もう片方の手で彼女の頭を楽しそうに掻きむしる銀時。
やってる事は子供と変わらない。
「家に帰るまでにお前の頭のてっぺんハゲにしてやろうか? ヘヘッ」
「止めろ小学生かお前はッ! 本当にハゲたら氷漬けにするぞッ!」
ようやく銀時のホールドから抜け出しエヴァは自分の頭を直す。そんな彼女を見ながら銀時はまだ笑っている。そんな男にエヴァはキッとして睨みつけるが急にしぼんだ風船のように顔を落ちこませる。
「悪かった・・」
「あん、いきなりなんだよ?」
「銀時、お前を勝手にこの世界に連れて来てしまって悪かった・・」
「何だそんな事か・・過ぎた事はしょうがねえだろうが、ここでお前と暮らして、先生やって、元の世界に帰り方を探す、今はそれが最善だ、お前の謝罪なんか聞いても背中がかゆくなるだけだっつーの、もう帰るぞ遊びは家に帰ってからだ、行くぞエヴァ」
銀時はそう言いながら自分の背中をボリボリとかいて歩き出すがエヴァは立ち止まったまんまだ。銀時は不審に思い彼女の方へ向く。
「どうしたんだよ? まさか疲れて歩けないとか言うんじゃねえだろうな?」
「いやさっきお前が私の名前初めて言ったなと思ってな・・ちょっと嬉しかった・・」
エヴァは少し顔をほんのり赤らめながら、自分の頬を爪で掻く。そんな彼女の様子に銀時は首を傾げるが「なんだそりゃ」と一言で一蹴してさっさと歩き出してしまった。
「これから一緒に暮らすお前の名前言うのがそんなに変なのかエヴァちゃん?」
「ちゃん付けで言うなッ! あと歩くのが早いんだよお前! 少しペースを落とせ!」
「お前の足が短いだけだろうが、デカくなれ、色んな所をデカくなれ」
「余計なお世話だッ! 痛ッ!」
走って自分の足に蹴りを入れようとするエヴァの攻撃を銀時はヒョイと避けて木刀を抜いて柄でコツンと彼女の頭を軽く小突く。そんな調子で二人は我が家へと帰っていった。
「これが俺の教師用の服か?」
「ハカセさんの研究所から色々とパク・・貰ってきました」
「ていうか眼鏡と白衣がある意味がわからんが・・」
「眼鏡と白衣があれば少しでも知的に見えると思いまして」
「それ俺の見た目がバカに見えるって事かオラ?」
家に戻ってしばらく茶々丸の帰りを待っていた銀時とエヴァ。数分経った頃、彼女は服を数枚調達して帰って来た。
銀時はとりあえずそれに着替えてみる。スーツの上に何故か白衣、小さな伊達眼鏡、履いているのは何故かサンダル。教師にはあまり見えない・・
エヴァも銀時の姿を見て、これが教師と認識されるのか? と首を傾げる。銀時も自分の着ている服を色々とチェックしている。白衣を調べているとふと胸ポケットに何かが入っていることに気付く。
「タバコかコレ・・? 何でタバコ?」
「前の持ち主が吸っていたようですね」
「おい、これ本当に貰ってきたんだよな? 普通タバコ入れたまんま渡すか?」
「・・・・・・」
「何故黙るのッ!?」
茶々丸が目を逸らしたので、銀時は服の本来の持ち主から本当に了承を貰ったのか不安に思うが、とりあえずタバコを胸ポケットに戻して元の服に着替え始める。
欠伸をしていたエヴァは首をコキコキ鳴らしながら自分の部屋に戻ろうとする。
「茶々丸、私は寝るぞ、今日は疲れた」
「わかりました、所で銀時様は何処で寝てもらいましょうか?」
「あ~俺はソファで寝るから気にすんなや」
銀時はカチャカチャと自分のベルトを締めながら欠伸をかきながら茶々丸とエヴァにに口を開く。
「俺ここの居候だしよ、わざわざお前等に寝床作ってもらうのも悪いわ」
「ふん、お前の遠慮など聞いても背中がかゆくなるだけだ、お前らしくない事を言うな」
「微妙に俺がお前に言った台詞と被ってねえか・・?」
「それにベッドぐらいならすぐに用意できるぞ、着替え終わったなら私の部屋に来い」
「はぁ?」
エヴァはそそくさと階段を昇って自分の部屋に戻って行った。
着替え終わった銀時は持っている羽織を肩に引っかけて、頭に『?』マークを浮かべている。
「俺が寝る用のベッドなんてあんのか?」
「ここから歩いて数キロにベッドが置いてあるデパートがありますが?」
「いやそういう意味じゃないから」
ボケなのか素なのかわからないが、とりあえず銀時は茶々丸に軽くツッコんで、エヴァの部屋に行くため階段を上っていった。
「で? 俺の寝床何処よ?」
「貴様の目の前にあるだろ」
「いやこのベッドお前のだろうが・・」
エヴァの部屋に入って来た銀時はしかめっ面で、目の前で自分のベッドに座って、ふふんと笑っている少女を見る。
「お前は何処で寝んだよ?」
「私のベッドに決まっているだろうが」
「そして俺は何処で寝るの?」
「私のベッドに決まっているだろうが」
「茶々丸、さっき言ってたデパートの場所教えてくれ、ちょっとベッド買ってくる」
「おい待てぃ銀時ッ!」
エヴァと会話して数秒で後ろに振り返って部屋から出ようとする銀時。それをエヴァは慌てて腰に抱きついて止めた。
「この私が一緒に寝てやると言ってんだぞッ! 遠慮するなって言っただろうがッ!」
「うっさいガキ、一人で寝ろ」
「くぎゅッ!」
自分の腰に抱き着いて抗議するエヴァの手を掴んで取って自分の腰から引き剥がす銀時、そのまま彼女をベッドに放り投げ、そのままエヴァはベッドに倒れこんだ。
「じゃあおやすみ~」
「おい待・・!」
そのままバタンと銀時は部屋をバタンッとドアを閉めた。ベッドに投げられたエヴァはベッドの上で体を起こしてあぐらをかきながら、ハァ~とため息をついた。
「やっぱりナギの奴と似ているな・・アイツも私が誘っても軽くあしらうだけだったもんな・・」
かつての想い人と銀時を比べているとエヴァは相当疲れていたのか、部屋の明かりを消さずにそのままコテンと倒れて眠ってしまった。
「銀時様、電話です」
「は? 俺この世界での知り合いなんてお前等ぐらいしかいねえよ?」
「学園長からです」
「あのエイリアンが・・?」
一階に戻ってやはりソファに寝ることになった銀時はくつろいでいると、茶々丸が電話の子機を持ってくる。どうやら学園長からの電話らしいが、銀時はめんどくさそうにその子機を受け取る。
「何すか? 俺もう寝たいんだけど?」
【ワシも寝たいんだけどね、お前のおかげで眠れないんじゃよ・・色々とお前の教職につける為の書類を作成するの大変なんだよね~本当】
「死ぬほど頑張れジジィ、はい俺のエールで元気になったか?」
【ならねえよッ! ていうか今ジジィつったろッ!?】
学園長が向こうで怒り狂っているのがわかるほど声を荒げているが銀時は全く気にしていない様子
「ていうか用があるんだろ? 早く言えや」
【本当ムカツク奴じゃの・・明日早朝にワシの部屋に来い、会わせたい先生がおる】
「めんどくせえな」
【つべこべ言うなッ! 明日遅刻すんなよッ! もし遅刻したらパワーボムかますぞッ!】
「いやお前みたいなジジィがパワーボムやったらオメェが死ぬ・・・・・・あ切りやがった・・」
自分の用件だけを言ってすぐに電話切った学園長に舌打ちして、銀時は電話を茶々丸に返す。
「俺もう寝るわ・・明日早く起こしてくれ、ジジィが話しがあるってよ」
「わかりました、この部屋の電気消しときますね」
そう言って茶々丸は部屋の電気を切った。一気に部屋は暗くなり、銀時はそのままソファに寝転がる。
「ここでやっていけるかね~?」
「マア為ル用ニナレダナ」
銀時の独り言にテーブルの上に放置されていたチャチャゼロだけが暗闇の中で銀時に答えを返した。