3年A組 銀八先生! NEO!   作:カイバーマン。

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第一訓 最悪なファーストコンタクト

魔法使い

 

それはおとぎ話だけの架空の存在ではない、ハッキリと確かに実在する。

 

魔法を知らぬ人間と、魔法を知る人間の二つの世界が混合している世界があり

 

普通の人間は魔法そのものがある事も認知されていない世界(人間世界)

 

一方で魔法使いは裏の世界(魔法世界)に住み、互いに干渉せず暮らし

 

中には表の一般世界で普通の人間を装って魔法使いだとバレないように暮らしている人もいる。

 

そして大昔の混沌と化した時代の中、かつては闇の福音と称され、散々魔法世界で暴れ回っていた吸血鬼もまた

 

英傑と呼ばれし一人の伝説の魔法使いによって退治され

 

そのまま人間世界に連れてかれ、ここで長きに渡る学園生活に身を置きながら退屈な日々を送り続けていたのであった。

 

「全くあのジジィめ、いきなり人の事を呼び出したかと思ったら長々と下らん話を」

 

日が落ちかけ夕方になった頃

 

森の中を歩いてブツブツと文句を垂れる金髪の小さな少女がいた

 

彼女こそ吸血鬼・エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。

 

小柄で可愛らしい見た目ではあるが、数百年以上の時を過ごしてきた真祖の吸血鬼であり、かつてとある魔法使いに敗れ去ってからはその力の大半を失ってしまった。

 

更に「登校地獄」という忌々しい呪いまでかけられ、結果、人間の世界で何十年も中学生としての生活を送り続ける事を義務付けられ、つまらない授業を受けながら、自分より遥かに年下の娘達と一緒に学園生活をしなければならないという、正に闇の魔法使いと恐れられていた彼女にとってこの上ない屈辱的な地獄だった。

 

「マスター、学園長とどんな話をなされたのですか?」

 

「ああいつもの戯言だ、ついさっき魔法世界で突如あの英傑の一人「ジャック・ラカン」の魔力が探知できなくなり行方不明になったから見つける方法は無いかだと……」

 

「それはマスターが関わるほどに重要な事なのですか?」

 

不機嫌そうに歩くエヴァの後を従順について行きながら機械的に話しかけるのは絡繰茶々丸

 

魔法使いである彼女の従者として常に傍でサポートする役目を担う、機械人形だ。

 

そんな彼女にエヴァは振り返りもせずに吐き捨てる様に答える、

 

「いや、重要もへったくれもないただの下らん話だよ、全く私のいない魔法世界がどうなろうが知った事か、あのゴリラの事などますますどうでもいい、その辺にバナナでも置いとけばすぐ出てくるだろうと答えてやったわ」

 

「それで本当に出てくるのですか?」

 

「出て来るらしいぞあのゴリラ、私の旧友から聞いた事がある、たまにナギが釣れる事もあったらしいが」

 

茶々丸とそんな他愛もない談笑を交えながら、エヴァは森の奥深くに建てられているこじんまりとした小屋に辿り着いた。

 

ここは彼女が通う事を義務付けられている「麻帆良学園」の敷地内であり、そこに置かれているこの小屋は長らく彼女が住んでいる家でもある。

 

「アイツは空腹状態の時ヤバかったからな、腐りかけのカニを躊躇なく食ってえらい事になったのを今でも覚えている」

 

「なるほど、そんなお人にマスターは敗北為されて現在に至ると」

 

「あの敗北は腐りかけのカニよりも忘れられん味だった……あの時奴に負けなければ、こんなせまっ苦しい場所に閉じ込められ、子娘供と毎日学校行く事など無かっただろうに……」

 

ドアを開けて小屋の中へと入りながら、エヴァがブツブツと己の現状に不満を漏らしつつトイレの方へと向かう。

 

「いかんな、あの耐えがたい敗北を思い出すとつい愚痴を垂れ流してしまう、長くこの屈辱の日々を送ったせいか我ながら人間臭くなってしまったみたいだ……ここは一人トイレに籠って物思いにふけり、しばし己自身を見つめ直す事にするか」

 

「マスター、トイレをご使用するならなるべくお短めに、後がつかえていますので」

 

「いやお前は使わんだろ」

 

「いえ、今日はなんだか出そうな気がしますので」

 

「なにが!? 機械仕掛けの人形が出せる訳ないだろうがたわけ!」

 

真顔で何言ってんだコイツと、自分の背後に立って並ぼうとする茶々丸にツッコミを入れると、エヴァはガチャリとトイレのドアを開けた。

 

するとそこには

 

 

 

 

 

 

「あちゃー、やっぱコレ打ち切りかー、俺好きだったんだけどなー、あん?」

 

「……」

 

目の前に広がる光景にエヴァは口を開けたまま固まる。

 

着物を着た銀髪天然パーマの死んだ魚のような目をした男が

 

人のトイレを勝手に使用してるばかりかジャンプを読んでいたからだ。

 

すると男はドアを開けたまま微動だにしないエヴァの方へ視線を上げ

 

「なんだテメー、今こっちがトイレ使ってんだから開けんな、しばらくしたら出るからドア閉めろ」

 

「……」

 

ぶっきらぼうにそういう銀時に彼女は黙り込んだまま言われた通りゆっくりとそのドアを閉めた。

 

そしてしばしの間を置くと自分の顔を手で押さえながら

 

「あーしまった、私としたことがつい使用中のトイレをノックもせずに開けてしまうとは」

 

「マスターでもうっかりする事あるんですね、トイレに入る前はまず中に誰かいないか確認せねばいけません」

 

「そうだな、コレは全面的に私が悪いな、仕方ない、しばらくここで待つ事に……」

 

 

 

 

 

「ってなるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「どわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

茶々丸に言われながら素直に反省するのかと思いきや、衝動的にトイレのドアを蹴破って中にお邪魔するエヴァ。

 

「一体誰だ貴様ぁ! なにノコノコと私の家に上がって勝手にトイレ使ってんだ! しかもよりにもよって大きい方だと! ふざけるのはその恰好だけにしろ!」

 

「あーーー待て待て待て! あれ!? ひょっとしてあのジジィのからくり成功しちゃった!? てことはまさかどこぞの家のトイレと繋がっちまったって事!? 待て小娘! コレには海よりも深い訳が!」

 

「不法侵入者の言い訳なんか聞く耳持たんわぁぁぁぁぁ!!!」

 

「ぶげらッ!」 

 

人の家に勝手に入り込んで勝手にトイレを使用している不届き者に、闇の福音の制裁が下される。

 

 

 

 

数分後、彼女に一発頭を殴られた銀時は、ようやくここに来た経緯を説明する機会を貰った。

 

自分はかぶき町に住むごくごく平凡な侍である事

 

人々を笑顔にする為に日夜万事屋として汗水たらして働く立派な社会人である事

 

しかし、とあるマッドサイエンティスト、平賀源外の悪しき陰謀によって、まんまと奴の策略に乗せられ「どこでもトイレ」という恐ろしいからくり兵器の実験体にされてしまった事

 

「そしてなんやかんやで気が付いたらここにいました」

 

「うむ、私が頭を強く殴り過ぎたせいなのか、それとも元々頭がおかしい奴なのか、言ってる事がさっぱりわからん」

 

 

リビングで正座して事の経緯を語り終えた銀時だが、ソファに座りながら彼を見下ろしながら聞いていたエヴァはジト目でただ首を傾げるだけだ。

 

「そもそも侍ってのはアレだろ、詠春から聞いた事あるが、日本の昔にいたとかいう刃物振り回す人斬りの類であろう、そんなのとっくに絶滅してるんじゃなかったのか?」

 

「いやいや確かにちっとは世の中が平和になったからといって侍はまだ死に絶えてねぇよ、100歩譲って絶滅危惧種ぐらいだろ、だがら貴重な侍である俺を優しく保護して無事に家に帰らせて下さい」

 

「フン、生憎私は相手が絶滅危惧種だろうが勝手に家に入って来た輩をそうやすやすと逃がしはせん、100歩譲ってパンダなら逃がしてやってもいいが」

 

体よくこの場を去ろうとする銀時を逃す訳にはいかぬと、まずは正体を探らせる為にエヴァは彼の背後にいる茶々丸に目配せし

 

「茶々丸、コイツの身元がわかる奴は出て来たか」

 

「少年ジャンプと小汚い木刀が一本、ほとんど空の財布しか持っていませんでした、しかし中には免許証があったので本人確認には十分かと」

 

「っておい! いつの間になに人のモンを調べてんだこのからくり! 免許証返せ!」

 

いつの間にか自分の懐から大事な木刀を財布を取られていた事にやっと気付く銀時であったが、茶々丸は既に財布から抜き取った免許証をエヴァに渡してしまっていた。

 

「どうぞマスター」

 

「本名、坂田銀時、平凡な名前だ、確かに住所はかぶき町……ん? なんだ随分と表記がおかしいぞ……かぶき町ってこう書くんだったか?」

 

エヴァは日本育ちではないが長く暮らしているのもあって多少のこの国の知識はある。

 

確かに現代社会の日本で使用されている免許証と同じではあるが、どこか違和感ある。

 

確かに本物ではあるのかもしれないが、これは一体……

 

「怪しいな貴様……それにどうも昔、私が戦った連中と似通っている気がする……侵略戦争に魔法世界を破壊し尽くした”夜兎”や”荼吉尼”に近い何かが……」

 

「はぁ? 夜兎? なんで俺が天人と同じにされんだよ」

 

「夜兎を知ってるのか貴様……てことはもしや」

 

ボソリと自分が呟いた単語に素早く反応する銀時を見て、エヴァはすぐに何かを悟った。

 

「さっきから胡散臭いとは思っていたが、まさか”第三世界”の来訪者か?」

 

「は? 第三世界?」

 

「こことは違う全く別の世界という事だよ、めんどくさいが説明してやろう」

 

その言葉には聞き慣れてない様子で口をへの字に曲げる銀時に、エヴァはソファに背もたれながら話を続ける。

 

「いいか、まずここは侍も宇宙人もいない、なおかつ魔法の存在さえも知られていない平凡な世界だ、一般的には表の世界、または第一世界とも呼ばれている」

 

「……」

 

「次に魔法が日常的に使われそれが軸として成り立っており、過去に宇宙人からの侵略によって大戦争が勃発した世界は魔法世界、または第二世界と呼ばれる」

 

「いやあのすみません……言ってる事全然わからないんですけど……」

 

ざっくり短くまとめながらわかりやすく説明しているつもりのエヴァだが、銀時はてんで分かってない様子で困惑するばかり、第一世界だの第二世界だの、はたまた魔法だのなんだのさっぱり理解出来ない……

 

「そして最後に、他二つとは完全に遮断され、こちらからの干渉を一切受け付けず、独自に文明を作り続けている第三世界だ、詳しい事は私でさえ知らん、ただ一つわかっている事は、何らかの方法で世界線を越え、魔法世界へ赴いて侵略しようとした宇宙人共の故郷だという事ぐらいだ」

 

「待て待て待て勝手に話進めんな、ちょっとこっちで整理させろ……んじゃなにか? ここは俺が元々いた世界じゃなくて、第一世界っていう全く別の世界って訳か?」

 

「そういう事になる、もっとも向こうの世界からただの人間がやって来たというのは初めて聞いたケースだがな」

 

「は~なるほどなるほどそうかそうか、てことは俺はあのジーさんの発明品で次元を乗り越え、はるばる別の世界へとやって来たという訳か、へ~」

 

ようやく三つの世界の仕組みを理解出来た風に何度も頷く銀時、だが正座した状態から勢いよく立ち上がり

 

「って理解出来る訳ねぇだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! ここは別世界!? 信じれるかそんな事! こことは別に魔法が存在する世界がありますだぁ!? ある訳ねぇだろそんな所!」

 

「貴様が否定しようがこれこそが世界の真理だ、貴様がいた世界とこの世界、そして魔法世界と三つの世界は確かに存在する」

 

「知らねぇよそんな真理! そもそもテメェはなにモンだ! ガキのクセにさっきから偉そうにふんぞり返りやがって!!」

 

未だ己の現状を飲み込めずに、更にはガキ呼ばわりして来る失礼な態度にカチンと来ながらも

 

軽く舌打ちをした後、エヴァは初めて彼に名を名乗った。

 

「私の名はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル、どうせ知らんだろうから覚えて置け」

 

「なんだその長ったるい名前! ふざけてんのかコラ!」

 

「ふざけてるのは貴様であろう、言っておくが私は数百年以上生きた真祖の吸血鬼であり、棒っきれしか持たぬ貴様程度など一瞬で塵芥に帰す力を持った闇の魔法使いだぞ、今は訳合って力を封印されている状態ではあるがな」

 

「ああダメだ! やっぱりこの娘おかしいわ! 聞いた俺がバカだった! 絶対厨二病だよコレ! 宇宙一バカな種族である中学二年生と同じ思考にハマってしまうとかいう関わっちゃいけないタイプだ!」

 

「お、お前なぁ……! こっちは勝手に家に迷い込んで来た貴様に、柄にも無くわざわざ丁寧に一から説明してやったんだぞ! 土下座をして礼を言われる筋合いはあれどバカにされる覚えは無いわ!!」

 

突然訳の分からない場所に放り込まれてパニックになっているのか、いつも以上に取り乱している銀時にエヴァが遂に声を荒げてキレだす。

 

「その無礼な態度と物言いといい、やはり貴様は間違いなく第三世界の住人だな! あそこの連中はどいつもこいつも血の気が立ちやすくて何かあればすぐ暴力で片付けようとする野蛮な輩ばかり! おかげで魔法世界は滅茶苦茶になったんだからな! ナギやその仲間が追い出さなければ滅ぶ所だったんだぞ!!」 

 

「そんなの知るか! 俺はもう帰る! こんな電波娘の話なんて聞いてたらこっちまでおかしくなっちまう!」

 

彼女の話を頑なに信じようとはせず、銀時は逃げるかの様に速足で駆け込むかのようにトイレに直行する。

 

もう一度源外の発明品を使って元の場所に帰る為だ、しかし

 

「ってあれ……?」

 

トイレのドアをガチャリと開けると、思わず間抜けな声を漏らしてしまう銀時。

 

そこにはなんの変哲もない、極々一般家庭で使われている普通の洋式トイレがあるだけだったのだ。

 

「おいちょっと待て……俺がここに飛んだ時に使ったジジィの発明品……どこでもトイレはどこ行った!?」

 

「は? どこでもトイレ? なんだその偉大な漫画家が生み出した産物を、下らん下ネタで汚した冒涜的なネーミングは?」

 

「俺は確かにここに飛ばされたはずだぞ! なのになんで普通のトイレになってんだ! あの銀色でメカメカしい、座ってるとケツが痛くなるトイレがある筈だろ!」

 

「そんなセンスの悪いトイレを使うわけないだろバカ者、ウチは使い勝手のいい日本製のウォシュレット付きトイレだ」

 

背後から聞こえるエヴァのツッコミを無視して、銀時は愕然とした様子でトイレの前で両膝を突く。

 

もしやあのどこでもトイレは……片道のみであり帰る方法は……

 

「嘘だろオイ、洒落にならねぇよ……まさかあのクソジジィ、こんな訳の分からない場所に飛ばしておいて後は自力で帰れって事か……? いやいやいや! ちょっと待ってよ!」

 

「なに人のトイレに向かって叫んでるんだ気色悪い……さては新手の変態か?」

 

我が家のトイレの前で崩れ落ちる彼をドン引きした様子で観察するエヴァに、銀時はクルリと振り返ると必死な様子で

 

「おい小娘! ここからかぶき町に帰るのに何日かかんだ!」

 

「貴様の世界にあるかぶき町の方にか? そんなの私が知るか、少なくとももう一度次元を超えるでもせんと無理だろうよ」

 

「マジかよ、ヤベェ……なんかそこまでしつこく言われると、本当にここが別の世界なんじゃないかと思えて来た……」

 

「だからさっきから何度も言っているだろうが……」

 

腕を組みながら冷たく突き放すと、一人で勝手に途方に暮れる銀時を見下ろしながら、エヴァは顔をしかめたまま傍で待機している茶々丸の方へ振り返り

 

「仕方ない、これ以上ウチでギャーギャー騒がれても耳障りなだけだ。おい茶々丸、ジジィの奴に連絡しろ、第三世界から自称侍と名乗るふざけた輩が来たとな」

 

「了解しました、この方をどうなさるおつもりですか?」

 

「邪魔だからここから追い出す、見た感じ大した力も持ってなさそうだしほっといても害はなかろう、これ以上こんな無礼な奴の面倒なんてみれるか」

 

イライラしながら茶々丸にそう言葉を返すと、早急にある人物に連絡を着けるよう指示する。

 

するとエヴァはいよいよその場で泣き崩れそうな銀時の頭に足を置いて

 

「おい天然パーマ、無礼極まりない貴様の面倒を見てくれるという懐の広い奴を紹介してやるぞ、有難く思え」

 

「人の頭に足乗せんなクソチビ」

 

振り返り様に銀時は彼女の足を頭から乱暴にどかすと、胡散臭そうに彼女を見つめながら舌打ち

 

「なに面倒見てくれる奴って、もしかしてそいつが俺をかぶき町、元の世界にまで送ってくれんの?」

 

「それは無理だろうが、助けにはなるやもしれんぞ、色々と話を聞いてもらえばいい」

 

「ふーん、どんな奴?」

 

「会えばわかる、ほらさっさと行くぞ、立て」

 

命令口調を使いながらエヴァが銀時を立ちあがらせていると、そこへちょうど電話越しに連絡を終えた茶々丸が戻って来た。

 

「マスター、先程連絡したのですがどうやら学園長は慌てているようです、暴れない内に早くこちらに連れてこいと」

 

「フン、奴が慌てるのは予想済みだ、第三世界の連中には散々好き勝手もやられたからな、その世界からまた何者かがこちらに侵入して来たと聞けば、今度はこっちの世界まで破壊されるかもと思っているんだろう」

 

茶々丸からの伝言を聞き終えると、エヴァは早速銀時の着物の袖を掴んでズルズルと引っ張って家から出ようとする。

 

「なら現物を見せて更に驚かせてやるとするか、ほら歩け貴様、私の手をこれ以上煩わせるな」

 

「テメェさっきからなんだその生意気な……歩けってどこに行く気なんだよコラ」

 

「『麻帆良学園』だ、そこに貴様を歓迎してくれる奴が待っている」

 

「麻帆良学園? なんだそりゃ、もしかして教え所か?」

 

最初からずっと偉そうな態度のエヴァに、そろそろ銀時の方もキレそうになっていると、彼女家のドアを開け、彼を連れたまま外へ

 

「全くどうして闇の福音と恐れられていた私がこんな真似をしなきゃならんのだ……それにしても」

 

ため息交じりにそう呟くと、銀時の裾を引っ張りながらエヴァはチラリと彼の方へ目を向けて

 

 

 

 

「ていうかどことなく”アイツ”と似ていないかコイツ……ツラはアイツの方が大分マシだが、この人をナメ腐った態度とふざけた言動は……」

 

「なぁオイ、腹減ってるから目的地に向かう途中でどっか寄らせてくれよ、定期的に甘いモン摂らないとダメなんだよ俺」

 

「その辺に生えてる雑草でも食ってろたわけ、本当にアイツと話してるみたいで気分が悪い……」

 

どことなくこの男からは昔の因縁相手と似通った部分があると感じながら

 

我ながら柄にもならない真似をする程この平和な世界に馴染んでしまったのかと内心嘆きつつエヴァは連絡先の相手の所へと向かうのであった。

 

かつて多くの人々から恐れられ世界中からその首を狙われた恐ろしい吸血鬼

 

かつて多くの天人から恐れられ世界中を敵に回して戦った侍

 

物語はそんな二人の出会いから始まり、ゆっくりと幕は開いた

 

 

 

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