3年A組 銀八先生! NEO!   作:カイバーマン。

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第五訓 中学生なんて大抵思考があっち寄り

学園長室を後にした後、新米教師・坂田銀時は、同じく新米教師兼魔法使いのネギ・スプリングフィールドと共に

 

これから職場であり戦場となる3年A組の教室に向かう事となった。

 

「ところでネギ君、具体的に俺は教室でなにすりゃいいのかよくわかんねぇんだけど」

 

「そうですね、今日は初日ですしまずは顔合わせと軽く自己紹介を済ますだけで良いと思いますよ」

 

教室に向かいながら銀時は前を歩くネギからこれから何をするべきかを聞いてみた。

 

教師歴が彼よりもちょっとだけ先輩なだけあって、ネギは頼られてる事にちょっと嬉しそうな反応しながら振り返る。

 

「授業はやらなくて大丈夫です、ていうかいきなり初日からじゃまず無理でしょうし……僕の生徒達とコミュニケーションを上手く取って彼女達の質問に何個か答えればOKです」

 

「ガキ共とコミュニケーション? あーそれはいいやパスで、俺、「常に周りから一歩引いて静かに見守る無口な先生」って設定でいこうと思ってるから」

 

「なんですかその設定……絶対無理ですよ、だってあなた、隙あらば口が物凄い速さで動くじゃないですか……」

 

銀時は正直、生徒と喋るというのはあまり気が進まない、面倒だからだ。

 

ネギは少しは会話をした方が良いと薦めてくるが、彼としてはさっさと元の世界に帰りたい事しか考えておらず、こんな所で生徒達との交流を育み、新しい絆を生もうだのと微塵も思っちゃいない。

 

「お願いですから教師としての最低限度の仕事はやって下さいね、じゃないと監督責任で僕が学園長に怒られちゃいますから……」

 

「安心しろ、そん時は俺があのジジィを一発昇天させてやっから、お前は安心して俺がサボるのを黙認していれば全て丸く収まるから」

 

「収まらないし安心できませんよ! あんなのでもウチの学校のトップなんですからね! 襲撃なんてしたらすぐに他の教師の方達があなたの所に押し寄せてきますよ!」

 

「ジジィが始末された事を皆で祝う為に?」

 

「祝いませんよ! 多分!」

 

ちょっと自信なさそうにネギが最後叫んでいると、彼等の目的地であるA組の教室が見えて来た。

 

「ほら、あそこが僕の生徒達がいる教室です、お願いですからちゃんとして下さいよ」

 

「は~中学生のガキ共と触れ合ってもなんも得にならねえよ……綺麗なネェちゃんとかいないのここ?」

 

「あの、学校をキャバクラかなんかと勘違いしてませんか……?」

 

「ガキのクセにキャバクラとかよく知ってるなお前」

 

「前に同僚の新田先生が教えてくれたんで……」

 

10歳にして既にキャバクラという単語を覚えているネギにも驚きだが

 

それよりもやはり全く教師としてのやる気を見せない銀時が心配だ……

 

『3年A組』という表札が書かれた教室の前まで辿り着くと、ネギは戸の前でピタリと足を止めて

 

「それじゃあ銀八先生、これからいよいよ教師生活のスタートです、なるべく騒ぎを起こさないよう大人しくしていて下さい」

 

「お前どんだけ俺の事が心配なんだよ、ひょっとして侍は猛獣かなんかだと思ってるのか?」 

 

「正直猛獣よりタチが悪いんじゃないかと思ってます」

 

銀時の腰に差された血まみれの木刀を見つめながらネギは素直な感想を述べると、教室の戸をガラララっと開けて彼と共に中へと入るのであった。

 

 

 

 

 

教室に入るとそこには沢山の生徒達がぺちゃくちゃお喋りしながら集まっていた。そして銀時はすぐに気付く

この教室には女子生徒しかいない事を

 

「おいネギ君、なんかここ小娘しかいねぇんだけどどういう事? 年中発情してる世界一バカな種族である中学男子はどこいった?」

 

「いやこの学校女子生徒しかいませんよ、え? もしかして今まで気付かなかったんですか?」

 

「マジかよ、ますますやりにくいなこりゃあ……」

 

麻帆良学園は全学年女子しかいない学校だ、男子生徒など当然いない。そんな話すら聞いていなかった銀時は、ますますめんどくさそうな表情を浮かべて苦々しく舌打ちする。

 

するとネギが教室に銀時を連れて中へと入って来ると、さっきまで騒いでいた生徒達が一斉に彼等の方へ振り返る。

 

「あ、おはようネギ先生! その天パの人誰!?」

 

「朝のHR遅刻ですよ先生! え!? 誰その死んだ魚のような目をした人!」

 

「ネギ先生ー今日また朝から明日菜が漫画の事で騒いでたから注意してよー、げ!? 誰ですその人生ナメ腐ってる様なけだるそうな男性!」

 

ネギが教壇に辿り着く間に、生徒達の中から次から次へと銀時の事について尋ねだす者が出て来る。

 

なんか怪しいと疑う者

 

なんか怖そうなので恐怖の対象で見る者

 

なんか面白そうだと好奇の者

 

全く興味が無いと完全に目を背けそっぽを向いてる者

 

様々な生徒がそれぞれ反応する様を見せられながら、銀時は見せ物にされてる気分になった。

 

「変な奴ばっかだなここ、学校というより動物園にやって来た気分だ」

 

「そう言わないで下さいよ、みんな可愛い僕の生徒なんですから……」

 

「しかもなんか半透明な奴があそこにいんだけど? 足無いし浮いているし……」

 

精一杯のネギがフォローをしてる中、ふと銀時は教室の隅の席に座る一人の女子生徒に違和感を覚える。

 

何故であろう異質な生徒達の中では珍しくかなり目立たない見た目をしている筈なのに……

 

「まあそういう人間もいるよね、生まれつき体が半透明な奴なんてよくいるモンだよ、うん。足が無いのも、半透明で浮いているのもこれといって何もおかしい事じゃないよ、うん」

 

そうやって自分に何度も言い聞かせながら、やや、必死に頭を何度も下げて納得しているのをよそに

 

ネギはまずコホンと咳を立ててみせ、生徒達の視線を自分に向ける為に声を上げた。

 

「えー皆さんおはようございます、遅刻してすみません、実はこの度、僕達のクラスに新しい教師が副担任として赴任しました」

 

「ええ!? その人先生だったの!?」

 

「人にモノ教えれるような見た目じゃないけどな……大丈夫なのか先生?」

 

「なんか怖い……」

 

皆、銀時の見た目がちんぷんかんぷん過ぎて、あまり好意的に見てくれる者はいなかった。

 

彼自身もこういう反応になるのは当たり前だと後ろ髪をポリポリと掻きながら、銀時はネギと一緒に教壇に立って小指で耳をほじりながら

 

 

「え~この度この学校で不運にも教師としてこのクラスの副担任になってしまいました坂田銀八でーす」

 

「今サラッと不運って言った!?」

 

「なってしまいましたとも言ってましたよ! 全くやる気ナッシングじゃないですか!」

 

「黙れガキ共、教師というのに求められるのはやる気じゃねぇんだよ、どんなに生徒に暴れても、保護者に理不尽なクレームが来ようと決して折れない鋼のメンタルだけあればやっていけんだ」

 

「そしていきなり早口で反論して来た! なんなの本当に、これが先生!?」

 

銀時の持論に眼鏡を付けて二本のアホ毛が触角のように生えている女子生徒、早乙女ハルナが立ちあがり早速ツッコミを入れると、銀時は眉一つ動かさずに仏頂面で

 

「だから先生だっつてんだろ、なんだその頭に二本生えてる奴、抜いていいのそれ?」

 

「ネギ先生! 初対面の人にいきなり「抜いていい?」と言われました! セクハラです! 教育委員会に訴えて良いですか!?」

 

「バカお前、そっちの意味じゃねぇよ、なんだお前、やっぱり女子でも中学生の頭の中ってのはそっち方面しか考えられねぇのか」

 

自分の言葉を悪い方向に転換させてネギに助けを求めるハルナに今度は銀時の方がツッコミを入れる。

 

そんな掛け合いを続けていると、他の生徒達の中にふと見知った人物がいる事に彼は気付いた。

 

「クックック……精々そうやってコイツ等に翻弄され続けるが良いわ……私を犬小屋に寝かせた報いを受けろ」

 

「あ、アイツ」

 

一番後ろの席で一人だけでほくそ笑む痛い少女、銀時の一応保護者であるエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル

がそこにいたのだ。

 

彼女を見つけてすぐに銀時が反応すると、それを見てまたハルナがバッと後ろに振り返り、彼の視線の先にエヴァがいる事に気付いて

 

「ネギ先生大変だよ! この人もうウチのクラス生粋のロリっ娘エヴァちゃんをガン見し出したよ! 完全にロックオンしてるよ! 完全にロリコンだよ!」

 

「うるっせぇんだよさっきからテメェ!! あんな見た目小学生で残念頭なクソガキに銀さんが夢中になる訳ねぇだろ! 銀さんのハートを射止められるのは結野アナだけだ!」

 

「おい貴様、誰が残念頭だ! 家に居候してやっている主に対して失礼だろ!」

 

「居候!? うっそマジ!? まさかのエヴァちゃん、ロリコン公認の上に同棲までしてんの!? 引くわ~! 流石にそれは私ドン引きだわ~!!」

 

「「お前(貴様)はいい加減黙れ!!」」

 

銀時とエヴァが口論を始めるとそれを見てハルナがまたもギャーギャーと喚き立てる。

 

すると今度はまた別の生徒が席から立ちあがり、銀時に向かって友好的に笑いかけながらまた話しかけて来た。

 

「なるへそなるへそ~、どうも銀八先生、初めまして朝倉和美です!」

 

「初めまして、座れ」

 

「いやいや~あのいつもムッツリ不機嫌面のエヴァちゃんが珍しく朝からハイテンションになると驚いたよ~、そしてそれを一瞬で引き出した銀八先生、あなた結構やるね~」

 

「いや座れつってんだろがボケ」

 

ノリノリのテンションでグイグイ言い寄って来るのはこのクラスの報道担当、パパラッチの異名を持つ朝倉和美だ

 

銀時がジロリと睨みつけているのに対し全くビビる様子も見せず、むしろその普通の教師とは思えない彼の態度が彼女の取材魂に火を付けたみたいだ。

 

 

「はいはい銀八先生! それじゃあ1つ2つ質問していいよね!?」

 

「お前を今からどうやって永久に黙らせてやろうかって質問には答えてやってもいいけど?」

 

「いやそういう物騒な話じゃなくてさ~」

 

質問をしたいと望む和美に銀時はますます不機嫌そうに睨みつけるが、すっかりマスコミ気分になっている彼女には何の効果も無かった。

 

何処からともなく取り出したマイクを彼の方に向け、勝手にインタビューを開始する。

 

「じゃあ超速攻で本題なんだけど! 銀八先生! さっきエヴァちゃんはあなたを家に住まわせてると言っていましたが! ぶっちゃけエヴァちゃんとはどういう関係で!?」

 

「兄妹です、似てるだろほら」

 

「すぐにわかる嘘は止めて下さい!」

 

髪の色や人相もまるで違う二人のどこが兄妹に見えるのだと、銀時の適当なでっち上げをすぐに見抜く和美。

 

「もしかしてハルナが言ってた通り同棲的なアレですか!?」

 

「どうしてそんな話に飛躍すんだよ、もうちょっと普通に考えてみろ」

 

どストレートにとんでもない事を尋ねて来る彼女に本当に中学生かコイツ?と思いつつ、銀時は腕を組んでキッパリと否定する。

 

「こちとら三十路のおっさんで、向こうは中学生のガキだぞ? 俺はただアイツの家に住んでるだけで、アイツはその家の前にある犬小屋に住んでるだけだ、同棲以前に同じ場所に住んですらいねぇよ」

 

「すみません! 同棲よりもヤバい情報が新たに発掘されたんですけど!? 犬小屋!? エヴァちゃん犬小屋に住んでんの!?」

 

「住んでるっつうかアレだね、俺が無理矢理そうさせたっていうか」

 

「無理矢理!?」

 

「うおい! なにデタラメこいてんだ貴様ァァァァ!!!」

 

余計な事言うなよ、銀時を睨みつけていたエヴァであったが、案の定とんでもない事を言い出してしまう。

 

するとすぐに周りの生徒達がどよめき始め、和美の方はますます興味津々になった様子で彼女に詰め寄り

 

 

「つまりエヴァちゃんは銀八先生とそういったコアなプレイに目覚めてしまい! そのまま堕落した関係を進める事を決心させたということですか!?」

 

「勝手に決心させるな! コイツの言ってる事は全て戯言だ! 私がコイツを犬小屋に押し込んで住まわせているんだ!」

 

「いやそれはそれで結局二人の関係はヤバい事には変わりないんだけどね!」

 

汗を掻きながら慌てて弁明するエヴァだが、それもまた逆効果であり、むしろ彼女の方もそういったプレイを主張するので信憑性が増して来た。

 

他の生徒達もますます銀時の事を怪しく見るようになってしまうが、そこへネギがフォローに入るかのように

 

「朝倉さん、とりあえずお話はその辺にしておいて下さい、銀八先生もエヴァさんはただの教師と生徒であって、そういった深い関係では無い筈ですから……」

 

流石にこれでは銀時が生徒達に白い目で見られ孤立してしまうと察したのか、彼よりずっと子供である筈のネギがやんわりと事態の収束に入ったのだ。

 

「今後は銀八先生を困らせるような質問は勘弁してあげて下さいね、この人遠い所から来たばかりで土地勘に慣れてない上に教師をやるのも初めてなんで」

 

「そうだよ、銀八先生はまだこの学校の事をよくわかってない新参者なんだよ、傷付けずに優しく丁寧に扱うべきなんだよお前等は、教師だって一人の人間なんだよ」

 

「う~ん、でも傷付くようなタイプには見えないけどなぁ」

 

「はい今の言葉で先生の心は傷付きました、退学」

 

「ええ!?」

 

教師らしく上手く纏めてくれたネギの隣で賛同するかのように頷きながら、まだ納得いかない様子の和美にサラッと退学だと宣言する銀時。

 

ネギのおかげで事態はすぐに丸く収まると思われた、ところが……

 

「フッフッフ……流石はネギ先生ですわ、その様な素性の知れぬ怪しい人を庇い立てしてあげるなんて……」

 

そこへネギに対して賛辞を送りながら一人の生徒が立ちあがった。

 

日本人には珍しいロングの金髪の、出る所が出てる少女、本当に中学校かどうか怪しいぐらいに綺麗なスタイルだ。

 

「しかしネギ先生、わたくし達には彼についてもっと知る権利があります、なにせ彼はさっきから言ってる事も態度もふざけてばかり……これではわたくし達A組の副担任になるにはとても相応しくありませんわ」

 

「おお! いいんちょが動いた!」

 

「よーし言ったれいいんちょ!」

 

キリッとした表情で正論を並べ、銀時がこの学校の教師になる資格は無しと断言すると、他の生徒達が面白くなりそうだとやんややんやと彼女に声を上げる。

 

すると銀時は隣にいるネギに耳元にコソコソと

 

「おい、なんだあのいかにもなコテコテのお嬢様キャラ……なんか他の奴等にいいんちょとか呼ばれてっけど」

 

「ウチのクラスの纏め役、学級委員長の雪広あやかさんです、僕も他の生徒も基本はいいんちょって呼んでます、家柄がお金持ちな事を鼻にかけず本当に頑張り屋さんで、クラスのみんなは彼女の事を強く信頼しています」

 

「要するにここの仕切屋って訳か……めんどくせぇ奴に目ぇ付けられちまったな」

 

学級委員長の雪広あやか、通称「いいんちょ」家柄も教養も高く本物のお嬢様である彼女の事をネギから聞いて、ますます苦手なタイプだと銀時が嫌そうな表情を浮かべると、そんな彼にあやかがビシッと指を突き指し

 

「よってわたくしはあなたを教師となど一切認めませんわ! もし認められたくばここで私が出す門答に模範的な回答をなさい! その結果によってはあなたを教師と呼んでも構いませんの事よ!」

 

「いいんちょVS胡散臭い天然パーマ男の対決だ!」

 

「いいね面白くなってきたじゃないの!」

 

「いや別に教師と認められなくても構わないんだけど俺」

 

何故かクラスの学級委員長と門答対決する羽目になった銀時。

 

他の生徒達が騒いでる中で彼は一人やる気無さそうに彼女から目を背けるのであった。

 

そして騒いでる生徒達の中にも彼と同じくやる気無さそうに机に頬杖を突いて欠伸をする者が一人。

 

(どーでもいいからさっさとHR終わらせろよ……)

 

オレンジ髪で眼鏡をを掛けた、少々地味な感じの印象である生徒、長谷川千雨だけは全くこの対決に興味を示さない。

 

そんな彼女をよそに、あやかによる銀時がA組の教師として認められる為の試練が間もなく始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「ところでいいんちょさん、明日菜さんと木乃香さんが見当たらないんですけど……」

 

「ご心配ならずネギ先生、あのおバカさんならどうせいつもの好きな漫画が終わったとかで落ち込んでるに決まってますわ、木乃香さんもきっと付き合ってあげてるだけです、しばらくすればどうせケロッと来る筈でしょう」

 

「やっぱりですか……落ち込むのは構わないんですけど遅刻だけは勘弁して欲しいんだけどなぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 




いいんちょが銀さんに好戦的です、これは元祖の時は無かった展開ですね。
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