前回のあらすじ
A組最強の暴君、神楽坂明日菜・降臨
「ちょっとぉ! アンタなにこんな人類史上最も大変な事件が起きてるのに他人面してんのよ! あのギンタマンが終わってしまったの! わかってんのコラ!」
「明日菜落ち着いて! 訳の分からない事言ってザジちゃんに絡まないで!」
「……」
雪広あやかとの問答勝負をしている最中、銀時の前に遅刻した事に一切悪びれもせずに彼女が教室に現れた。
そして彼がいる事など気にも留めずに、身近にいた生徒の胸倉を掴んで身勝手な理由でキレる始末。
現れていきなりこのインパクト、これには銀時も思わず目をパチクリさせて言葉を失ってしまう。
「おいネギ君……この学校は猿も一人の生徒として迎え入れてんのか?」
「それ猿に失礼です、猿には猿のルールがあり己を制御する事だって出来る賢い生き物なんですよ、しかし明日菜さんには己の本能を止めるタガはありません」
「要するに猿以下って事か……てかアイツもだけど、お前もお前で結構ひでぇな」
思わず傍にいたネギになんなのだアレはと尋ねると、彼は真顔で彼女の事を遠回しに乏す。
しかしその瞬間
「なに人の事を猿以下とかほざいてんのよこのバカネギィィィィィ!!!」
「えぇ聞こえてたんですか!? うべ!」
「ネ、ネギ先生ェェェェェ!!」
ギンタマンの事で頭が一杯で会った筈なのに、自分に対する悪口が僅かに聞こえた事に敏感に反応する明日菜。
尋常じゃない聴力を持った彼女はそのままネギに駆け寄ると、何のためらいもなく思いきり飛び蹴り
吹っ飛ばされたネギを見てあやかは血相を変える。
「な! 何をしてるんですかあなたは! 教師に暴力を振るうなんて! それもわたくしのネギ先生に!」
「フン、なにがわたくしのネギ先生よこのショタコン、朝っぱらからいちいち騒がないでくれる?」
「騒いでるのはアナタの方でしょ神楽坂明日菜! 好きな漫画が終わった程度で毎日ギャーギャーと叫びっぱなし! アナタがクラスにどれほどの迷惑を掛けているのかおわかりですか!?」
「は? 終わった程度ですって? なに私に喧嘩売ってんのいいんちょ? 3秒ですり潰すわよ?」
すぐに食って掛かるあやかに対し、明日菜も負けじと喧嘩腰で迎え撃つ。
二人の間に不穏な雰囲気が流れ始めると、あやかは怒りで顔を真っ赤にしながら
「今日という今日は許しませんわ! さあ坂田さん出番ですわよ! この腐ったミカンをやってしまいなさい!」
「は? なんで俺?」
「ああ? なによアンタが挑むんじゃないのいいんちょ、他人に任せるなんてシラケるわね……って」
いきなり面倒事を投げられて銀時が口をへの字にして嫌がるリアクションを取っていると
ようやく明日菜は彼の存在に気付いた様子で目を細めてジーッと見つめ
「……誰? このいかにもな胡散臭そうな天パのオッサン……?」
「ここのガキ共は初対面の相手に喧嘩を売らなきゃ気が済まない訳? そろそろキレるぞコラ」
失礼な物言いに銀時は苦々しい表情で舌打ちすると、彼女の方へ顔を近づけて喧嘩腰で
「いいかよく覚えとけ、俺は今日からこのクラスを仕切る事になった坂田銀八大先生だ、俺の支配下に収まるテメェ等が今まで通りに振舞えると思うなよ」
「はぁ!? ちょっとネギどういう……えぇ!? ネギの奴倒れてるじゃないの!? なにがあったの!?」
「あなたが吹っ飛ばしたんでしょうが! このスカポンタン!」
やや大げさに己を誇張しながら名乗りを上げる銀時を前に、どういう事かと明日菜はネギに声を掛けるが
彼は今、彼女によって壁に頭から突っ込んで気絶中だという事を、あやかがツッコミながら罵倒する。
「とりあえず遅刻したテメェはバツとして、これから死ぬまで俺に毎週ジャンプを献上しろ、SQの方もだ」
「なによそれ! 遅刻しただけでペナルティ高過ぎるでしょ! デタラメばっか言って私を騙そうたってそうはいかないわ!!」
「うお!」
無茶な要求に明日菜はすぐにスカートである事も気にせずに再び足を振るう。
間髪入れない行動の速さと、真っ直ぐに自分の顔面を捉えようとする蹴りに、銀時は彼女の身体能力を垣間見るも
条件反射ですぐに頭をサッと動かしてギリギリのタイミングでそれを避けた。
「テメ……! なにすんだコラァ!!」
「チッ、私の蹴りを避けるぐらいには出来るみたいね、天パのクセに」
「この野郎、どいつもこいつも人の事をナメやがって……!」
ここに来てから散々理不尽な目に遭わされていた銀時が、明日菜の無愛想な態度のせいで遂に我慢の限界に達してしまう。
ジト目で睨みつけてくる彼女に対し、負けじと顔を近づけてメンチを切って
「いい加減にしろよコノヤロー! ギンタマンなんて下らねぇモンに振り回されて人生棒に振ってる小娘のクセに!」
「ああん!? 今アンタなんて言ったのかわかってんの!? その発言はつまり、私達ギンタマンファン、A組のクラス全員を敵に回して戦争を始めようという意思表示として受け取っていいのかしら!?」
「私は別にファンでも無いんだが? というかなんだギンタマンって、知ってるか桜咲」
「知らん、そんな事私に聞かないでくれ龍宮」
勝手に自分のクラス全員をギンタマンファンに仕立て上げる明日菜だが、長身の褐色の生徒と剣士風の出で立ちをする生徒の二人の反応は薄い。
というより他の生徒達も頭に「?」を浮かべているので、明らかにギンタマンのファンではないのは明白だ。
「言っておくけどウチのA組の生徒は半端ない奴等ばっかりよ! 総合的に考えると頭のおかしい連中ばかりだけど! どいつもこいつも一筋縄ではいかない猛者揃いなんだから!」
「上等だかかってこいよ! 全員まとめてぶん殴って正気に戻してやる!! いつまでも低俗でしょうもねぇ下ネタしかない作品に未練残してねぇでとっとと現実を見ろバカヤローってな!!」
「なんですってぇぇ!?」
売り言葉に買い言葉、互いに罵り合いながらピリピリとした雰囲気を放ち始める銀時と明日菜
他の生徒達も「やれやれー!」と止める所か盛り上がって二人に声援を贈り
銀時を彼女にけしかけた本人であるあやかも「これで両者共倒れになれば全て丸くおさまりそうですわ……」と全てを裏で操る黒幕みたいなポジションで下衆な笑い声を上げている。
このままだと二人のぶつかり合いが目に見えている、そう思われたその時……
「ネギく~ん! 大変や~!」
銀時と明日菜が「シャーッ!」と呻きながら威嚇し合っている所に、その空気を裂くように血相変えた生徒が教室に入って来た。
その少女の声が教室中に木霊すると、さっきまで気絶していたネギがすぐにムクリと起き上がる。
「う~ん……なにかあったんですか木乃香さん……? ていうか遅刻ですよ」
「そんな事言うとる場合やないよ! さっきじいちゃんに聞いたんやけど学校で事件が……! ってアレ? 誰なんこの人?」
何やら慌てた様子でネギになにか言おうとする少女であったが、銀時に気付いてすぐに彼の方へ振り返る。
すると頭を押さえながらネギが彼の隣に立って
「この人は今日からこの学校の副担任になった坂田銀八先生です、あまり近づかないでくださいね、噛まれますから」
「へー新しい先生か~、初めましてウチは近衛木乃香って言います、ここに来たばかりみたいやし、わからん事あったらいつでもウチに聞いてええよ坂田先生」
「お、おう……」
ネギが軽く紹介すると木乃香と名乗る少女は友好的にニコッと銀時に笑いかけた。
するとさっきまで喧嘩腰であった彼は急に面食らった様子でたじろいでしまう。
「おいどういう事だ……このクラス、いやこの世界にこんな極々普通にまともそうなガキがいたなんて聞いてねぇぞ俺、なんだアレ、もしかして俺をハメようって企んでるのか? あんなこっちに優しく笑いかけながら、実は後ろから刺そうとか思ってるのか?」
「どんだけこの世界の事を悪く見てたんですか……大丈夫です、木乃香さんは優しくて親切な方です。僕もいつも助けて貰ってますし本当に良い人です」
「マジかよ……こんな荒みきったガキしかいないと思われていた場所に、まさかこんな清純そうな小娘がいたなんて……基本ゴリラみたいな女しかいない俺の世界でもいなかったぜ……」
「言っておきますけど木乃香さん以外にもまともな人はいますからねウチの生徒……2割ぐらい」
それはつまり8割はヤバい奴という事ではないか、と普通ならすぐにツッコむ所である銀時だが
ようやくこの世界で友好的に接してくれるまともな娘と出会えた事で、彼は右手で両目を抑えながらグッと熱くなる目頭を押さえながら感動を隠し切れないでいた。
「長かったぜホント、俺にも優しく接してくれる良い子がいたんだな……教師やってて良かった……」
「なんで泣くんですかそこで……ていうかあなたここに来たばかりですし教師になって初日じゃないですか」
なにベテランの教師っぽい事言ってるんだとネギが冷めた様子でツッコむ中、木乃香が心配そうに嗚咽を漏らす銀時を見上げていた。
「ネギ君、なんかこの人哀しい事でもあったん? ここに来るまでになんか酷い目に遭ったとか」
「いや、気にしないで下さい木乃香さん、それよりさっきなんか慌ててたみたいですけど」
「あ! そやった! 聞いてネギ君! 大事件や!」
一人で勝手に悲しむ銀時をスルーしてネギは彼女に何かあったのかと尋ねると、木乃香は思い出したかのようにハッとしてすぐに声を大きくして
「今日、学校内で”高畑先生”が謎の暴漢に襲われたらしいんや!」
「タカミチが!?」
「高畑先生がァァァァァァァァァァ!?」
「うわ! 急に出てこないで下さい明日菜さん!」
この学校内で一人の教師が、突然何者かに襲われた。
木乃香のその一言にネギと明日菜だけでなく教室中の生徒達一同もざわつき始めた。
さっきまで銀時が来ても全く興味を示さなかった褐色の生徒も眉間にしわを寄せて反応している。
「どういう事ですか木乃香さん!? あのタカミチが襲われるなんて!」
「ウチもじいちゃんから聞いただけで詳しくはわからんけど……なんか高畑先生、後ろから鈍器のようなモノで頭を殴られた形跡があった状態で、男性教師用のロッカーに気絶したまま押し込められていたのが見つかったらしいんや、しかもパンツしか履いてへん状態で」
「ええぇ!? あのタカミチがそんな!」
「高畑先生がパンツ一丁! その様子誰か撮ってないの!? 言い値で買うから!」
「黙っててください明日菜さん!」
高畑という教師はネギは昔からよく知っている、見た目はどこか冴えないオッサンという印象はあるモノの、その実力は非常に高く、その正体はかつて起こった大戦の激戦区にいながら生き残ったほどの魔法使いだという事
そしてそんな高畑を、自分の所の生徒である明日奈が、教師としてでなく異性として意識しまくりだという事も
「パンツ一丁って事は高畑先生はきっと犯人にあんなことやこんな事されて……く! その犯人が羨ましい!」
「人の友人で変な妄想膨らまさないで下さい明日菜さん!」
「木乃香! 犯人は誰なのかもうわかってるの!?」
「いやぁまだ見つかってへんらしいで? けどなんでか知らんけどじいちゃんは、まだこの学校から出ていない事だけはハッキリとわかっとるみたいやったわ」
「「!」」
ネギと明日菜は同時に凍り付く
高畑を襲った犯人は、立ち去るどころかまだこの学校に潜んでいる可能性が高いらしい……
学園全体の敷地内の事であればお見通しの学園長の言ってる事なら信憑性がある、ネギは一体その人物が誰で、どうして高畑を襲い、どうしてまだここに潜んでいるのかと顎に手を当て数々の疑問を思い浮かべていると……
「おい、急にガキ共が騒ぎ出してるけどなにがあった? 全然わかんねぇから銀さんに教えてくれ」
「ええ、実は僕の友人の教師が何者かに襲われ……て……」
死んだ目を向けながら何事かと尋ねてきた銀時に状況を説明する途中で、ふと彼の姿を見てその言葉を途中で途切らせるネギ。
気のせいだろうか……
白衣の下に着ているあのスーツに物凄く覚えがある様な……
「……すみません、あなたが着ているそのスーツ……」
「え? コレ? 借りモンだけど?」
「……誰から借りたんですか?」
「アゴ髭の生えた親切なおじさんだよ」
「……」
キョトンとした様子でスーツを手に入れた経緯を語る銀時、そんな彼を見てネギはまた一つ思い出す。
彼と出会った直後に
血に濡れた禍々しい木刀を所持していた事を
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(タカミチ襲った犯人ここにいたァァァァァァァ!!!)
襲った理由はスーツを奪う為
逃げていないのはまだ仕事中な為
全ての謎が解かれたネギは目の前にいる犯人に向かって心の中で叫んでいると
その限りなくクロである銀時は、他人事の様子で木乃香と会話しており
「へぇ~てことはその高畑とかいう奴を襲った犯人はまだここにいんのか、怖ぇな~」
「どうもそうみたいなんや、坂田先生も気を付けなあかんよ、襲われたらパンツ一丁にされてしまうみたいやし」
「ふ~ん、男が襲われるたぁ世も末だなこりゃ」
(普通にとぼけてる! どんだけ面の皮が厚いんだこの人!)
木乃香に忠告されながら銀時は全く心配して無さそうな反応、それはそうであろう。
高畑を襲ったのは他でもない彼自身なのだから……
(どうしよう! この恐ろしい事実をこの場で公言するのはマズイし! というかこの人、一体どうやってあのタカミチをやったの!?)
「だが安心しろ、俺はもうその犯人が誰なのかわかった」
「ええ! 本当なん坂田先生!?」
(えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?)
こっちが困っているのに急になに言いだすんですかこの人と、ネギが内心慌てふためいていると
それをよそに犯人に目星がついたと宣言する銀時に、明日菜とあやかが驚きの表情
「本当なのアンタ!? ミスター渋ヒゲのナイスおじさま高畑先生を襲った野郎がわかったって!」
「わたくし達がまだわからぬというのに……ここに来て法螺だったら許しませんわよ」
「バカ野郎、俺は元々なんでも屋として働いてんだぞ、探偵稼業だってやった事ある」
まだ疑っている様子の二人に銀時は鼻を鳴らすと、おもむろに教室全体を見渡して
「間違いねぇ、犯人はこの中にいる」
「な、なんですってー!?」
ハッキリととんでもない事を言い出す銀時に明日菜がお約束の様な叫び声を
そして生徒達も更にざわつき始めた。ネギも内心気が気でない。
(ま、まさかの己の罪を自ら告白すると言うんですか!? この場で潔くハッキリと自分の口で!)
「確か、襲われた奴は頭に鈍器のようなモノで殴れたんだろ」
「うん、じいちゃんが言っとった」
大人しく自分がやったのだと自白するのかとネギが予想する中、銀時は不意に木乃香からは改めて事件の詳細を聞く。
「なんか細くて固いモノで殴られた箇所があったらしいんよ、しかもぎょうさん血が出るぐらいに強く叩かれたらしくて……高畑先生可哀想やわ」
「つまりそいつを襲ったその凶器にはきっと血が付着しているってこった、それもかなりの量がな」
教壇の周りをウロウロしながら探偵気取りで呟くと、銀時は顎に手を当てながら生徒達に向かって目を細め
「返り血が残っている”木刀”なんざそう簡単に処分する事なんざ出来ねぇ、ならばまだその凶器を犯人は今も隠し持っている可能性が高い」
「え、あなたなんで凶器が木刀とわかるんですか? 木乃香さんの話ではただの細くて固い凶器だとしか」
「細くて固い凶器なんてこの世に木刀ぐらいしかねぇだろ、常識だろそんな事」
「は、はぁ……」
つい口が滑った彼にすぐに気付いて指摘するあやかであったが、動じる様子を一切見せずに下手な言い訳で誤魔化す銀時。
「つまりその木刀を持っているのが犯人だ、そして俺の勘が正しければ、そいつを持っているのは間違いなくこの教室にいる、表面上では取り繕って、内心では俺達を嘲り笑いながらな」
(そりゃあそうでしょう、だってその木刀の所有者は紛れもなくあなた自身……ってアレ?)
確かに表面上では平静を取り繕っているなと銀時に呆れていたネギであったが、ふと彼の腰元を見てある事に気付いた。
(……腰にぶら下げていた筈のあの木刀が、無い……)
この教室に来るまで間違いなく腰に差していた彼の木刀が、いつの間にか忽然と姿を消していたのだ。
どういう事だとネギが不思議そうに眺めていると、生徒達の中で動きが
「ねぇまき絵、アンタの机の足元になんか落ちてるけど何それ?」
「え?」
隣の生徒に指摘されたのは木乃香と同じく比較的まともな部類に入る一般的な少女、佐々木まき絵であった。
いつの間にか足元に転がっていたモノに初めて気づいた彼女は、一体何なのだろうとそれを片手でヒョイと掴んで机の上に出す。
「……なにコレ? なんかカレー臭いんだけど」
「ま、まき絵……アンタそれってもしかして……!」
それは柄に洞爺湖と彫られた、どこかカレーの香りがする古臭い木刀、それも先っぽが真っ赤に染まった……
まき絵はキョトンと首を傾げてそれを眺めていると、彼女に指摘した生徒がワナワナと震え始める。
すると銀時はビシッと彼女の方へ指を差し……
「犯人はそこにいるお前だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「……へ?」
「まき絵さん! ま、まさかあなたが高畑先生をやったんですの!?」
「い、いや違……!」
身の置かれた状況に理解出来ないでいるまき絵だが、他の生徒達が凶器を持つ彼女に一斉に注目を浴びせる。
しかし困惑する彼女達をよそに、ネギだけは口をあんぐりと開けて言葉を失い
(ハ、ハメたぁぁぁぁぁぁ!! なんて恐ろしい人だ! いずれバレると判断し! 咄嗟に生徒に罪を擦り付けようと既に凶器の木刀をまき絵さんの傍に投げ捨ててたんだぁ!)
「まさかまき絵が犯人だったなんて……」
「あの虫も殺せない様なまき絵がそんなバイオレンスな真似をするモンスターだったなんて……」
「え、待って、もしかして私が犯人だと思われてるの!? 違う違う違うから!
「よし! 私と勝負するアル、まき絵!」
「抜け駆けはダメでござるよ古菲、あの御仁を破ったのであれば拙者も是非一戦やり合ってみたい」
「いやだから私じゃないってばぁ! これはただ偶然机の下に落ちてただけなのぉ!」
銀時はこうなる事をハナっからわかっていたのであろう、いずれ高畑が襲われた事が周りに知られると
その為に自分が犯人であるというのを隠す為に、あろう事か守るべき生徒を事前に変わり身に出来るよう既に動いていたのだ。
なんと大胆かつ卑劣な手段……周りに必死に自分は無実だと主張するまき絵を、さも他人事で静観している銀時に
恐ろしい男だとネギは戦慄を覚えるのであった。
「まき絵ぇ! アンタが高畑先生を襲った犯人だったのね! ぶっ殺す!!」
「ち、違うよぉ明日菜! なんで私が先生を襲うのさぁ!!」
「言い訳言ってんじゃないわよコラ! 高畑先生の仇! ここで取ってやる!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
そして犯人がまき絵だと断定した明日奈は、憤怒の形相を浮かべながら、拳を鳴らしつつゆっくりと彼女の方へ歩み寄って行く。
悲鳴を上げて泣き叫ぶまき絵を見ながら、銀時はうんうんと頷きながら
「因果応報、やっちまったモンはどう足掻いても自分に返って来るモノなのさ……」
「……」
数分後、全てを見通していたネギがあっさりと真犯人をバラしたのは言うまでもない
教師としての初日
坂田銀時に対しての生徒達の評価は
「危険人物」であった