ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第100話:75層ボス討伐作戦

55層、血盟騎士団本部。

 

 

「…偵察隊が全滅、か」

「あぁ」

 

 

シグレの言葉にヒースクリフは頷く。

 

 

「我々は5ギルド合同の偵察部隊20名を送り込んだ。まずそのうち10名がボス部屋に侵入したところ、部屋の扉が閉じてしまったのだ」

「クリスタル無効化エリアか…!」

「おそらく。そしてその五分後…扉が開いたら、そこには文字通り、誰もいなかった」

 

 

10名の偵察隊も、ボスさえも。

ヒースクリフはそう続ける。

 

 

「相打ち…?」

「もしそうなら、次の層への扉が開いたはず。だけどそれがないっていうことは…」

「…ボスが偵察隊を全滅させて…どこかに隠れた」

 

 

サチが推測を述べるが、それを否定するアスナ。

そんな彼女にストレアが続く。

 

 

「おそらくそうだろう。実際…残り10名の偵察隊も全滅したわけだからな」

 

 

ストレアの推測を肯定するヒースクリフ。

だからこそ、全力をもってあたらなければならない、と彼は続ける。

攻略を諦めれば、この世界から出られない。

だからこそ、諦めずに進むしかない。

 

 

「…話は分かりました。協力はします…但し、俺が守るべき対象は、今ここにいる四人が最優先だ。もし危険に陥った場合は…」

 

 

ここにいる皆を優先する、とキリトははっきり断言する。

けれど、分かっていたといわんばかりにヒースクリフは笑みを浮かべ。

 

 

「何かを守ろうとする者は強いものだ…君の、いや…君達の勇戦を期待するよ」

 

 

そう、キリトに告げる。

その不敵な笑みに言い返す者は、その場にはいなかった。

 

 

 

その後。

 

 

「あと三時間…」

「…サチ、大丈夫?」

「うん…平気。ありがと…ストレア」

 

 

恐怖を隠し切れないサチにストレアが声をかける。

カウンセリングプログラムとしての本来の役割を失ったとはいえ、彼女自身が変わったわけではない。

だからこれはストレア自身の心配であったのだろう。

 

 

その一方。

 

 

「…キリト君、どうしたの?怖い顔して」

「いや…」

 

 

真剣に何かを考えるキリトにアスナが声をかける。

キリトは考えながら顔を上げ。

 

 

「俺は正直…シグレは参戦しないほうがいいと思ってるんだ」

「え…?」

 

 

考えを述べる。

その考えに問い返すアスナだが、一方でユイは賛成のようで。

 

 

「…私も、正直…パパの言う通りだと思ってます。74層と同じように…何かがあるとも言い切れませんし、危険を避けるという意味では…」

「……そう、ね」

 

 

74層での事はこの場にいる誰にとっても記憶に新しい。

だからこそ、アスナもそれには反論できなかったが。

 

 

「…だけど、そうなったら尚の事、シグレ君は参加をすると思う。あの人は…攻略の為に自分を犠牲にする事を…厭わないから」

「そうだな…だから俺も、皆も苦しむことになった」

 

 

アスナはシグレを止めることはできないと言い切る。

キリトも同意するが、彼はそれで終わるつもりはないようで。

 

 

「……だから今度は、何としてもあいつを守る。守って…皆で76層に行こう」

「…うん」

 

 

キリトが決意を述べる。

それにアスナも頷く。

二人の目は、決意に溢れていた。


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