ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第101話:密かな交渉

一方。

 

 

「…それで、話とは?」

 

 

ヒースクリフが部屋を後にした後、シグレは彼からメッセージを受け取っていた。

内容はシンプルで、話をしたい、といったもの。

メッセージにしたのは、仲間達から悟られぬように出てきてほしい、との理由からだった。

討伐に向かうまでの間、皆が皆話をしていたので、こうして目を盗んで出てくるのはそれほど難しくなかった。

 

 

「あまり警戒はしなくていい…ちょっとした交渉だ」

「…内容によるな。ついさっき、三下のギルドに交渉という名の喧嘩を売られたばかりだ。内容如何では…」

 

 

容赦はしない、とシグレの目が物語っていた。

そんな彼にヒースクリフは待った、と片手で制止をかける。

 

 

「…なに、別に君の仲間にどうこうするつもりもない。安心していい」

「……」

 

 

ヒースクリフが言うが、シグレは警戒を解かない。

やれやれ、といった感じで。

 

 

「……ならば、こう言えばいいだろうか?…私は茅場昌彦である、と」

「っ…」

 

 

ヒースクリフの言葉に、シグレは一瞬息を呑む。

そんな馬鹿な、といった感じの表情でシグレはヒースクリフを見る。

 

 

「私はこのゲームの開発者だ。カーディナルは自己メンテナンスの機能を持ってはいるが、私が管理コンソールから操作すれば、君をカーディナルの調整対象から外すことは容易だ」

「……別にそれはどうでもいいが、それをちらつかせる理由はなんだ」

 

 

ヒースクリフの言葉にシグレは溜息交じりに警戒を解く。

その様子にヒースクリフは笑みを浮かべて続ける。

 

 

「…実に単純な理由だ。私が正体を明かせば、これから討伐に来る皆は私を討とうとするだろう。こちらとしても、手札が欲しいものでね」

 

 

つまりは、キリト達を裏切り、自分の側につけ。

そうすればカーディナルの調整対象から外し、安心を与える、と。

シグレはそう理解する。

 

 

「…なに、今すぐ、というわけではない…私自身は第100層のボスという設定だ。そこで私は正体を明かす…それまでに決めてくれればいい。無論それまでは彼らの仲間として振舞ってもらって構わない…悪い条件ではないと思うがね」

「………俺を誘い込もうとする理由は、本当に手札を増やしたい、というだけか?」

 

 

シグレは少し考え、ヒースクリフに尋ねる。

その言葉に、ヒースクリフは勿論、と返す。

裏を読ませないポーカーフェイスのヒースクリフにシグレは目を閉じ、考え。

 

 

「…いいだろう。お前の手札になろう」

「ほう?」

「だが…一つ条件がある」

「無茶でないものであれば」

 

 

シグレは一つ、交換条件をヒースクリフにつきつける。

その言葉に、ヒースクリフは応じる。

彼らの契約が、成立した瞬間だった。

 

 

「君の働きには、期待しているよ」

「……」

 

 

ヒースクリフが握手を求めシグレに手を差し出すが、それにシグレは応じなかった。

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