ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第103話:戦いの火蓋

転移でもって、ヒースクリフが現れ、その場の空気が一瞬で緊迫に包まれる。

無理もない。

未知のエリアのボスに挑むのだから、緊張しない者はいないだろう。

…それを知ってか知らずか、ヒースクリフは回廊を開き。

 

 

「…さぁ、行こうか」

 

 

はっきりとその場の皆に言葉を投げかけ、一同はボス部屋の前に辿り着く。

 

 

 

ボス部屋の門の前。

そこでキリトとシグレは肩を並べ。

 

 

「…シグレ」

 

 

キリトがシグレに声をかける。

シグレは視線だけで先を促す。

 

 

「……死ぬなよ」

 

 

キリトはそうとだけ、シグレに告げる。

たった一言、けれどそこにはどれだけの重みがあるのか。

それに気づいてか気づかずか。

 

 

「互いにな」

 

 

シグレは苦笑で返し、刀を抜く。

キリトも両手で剣を構える。

 

 

「…シグレ君」

「?」

 

 

キリトと反対の隣には、この世界で初めて言葉を交わした人物。

今では『閃光』の異名を持つに至った女性、アスナが細剣を構えながら。

 

 

「もう、私はあの時みたいに、守られてばっかりじゃないから。一緒に…勝って、現実に帰ろうね」

「…そうだな」

 

 

声を掛けられ、少し間を置いてシグレは答える。

内心では、それは叶わないと思っていたから。

内に秘める、ヒースクリフ…茅場との契約。

けれど、そんな不安を煽るのは今である必要はない。

だからこそシグレは肯定の返事を返す。

 

 

「…私も。私たちも…たとえ現実に戻っても、一緒にいたいって思うから」

 

 

まだ諦めないよ、とサチも槍を構えながら前に出る。

その出で立ちは出会った頃とはまるで違う、戦い慣れたからこそ出来る、隙の少ない出で立ちだった。

 

 

「……アタシは、この世界が終わったら……一緒にはいられないけど」

 

 

ストレアも両手剣を構えながら、シグレに笑顔で声をかける。

その笑顔は、自分がどうなろうとどうでもいい、と言っているような笑顔で、それはまるでシグレのようでもあった。

 

 

「最後の最後まで、一緒に戦うから、頑張ろうね!」

 

 

シグレ自身、口にこそ出さないが、皆に助けられた部分は数多く。

だからこそ、ヒースクリフとの『契約』が若干圧し掛かる。

この事実を伝えれば、おそらく皆とは共にいられなくなるだろう。

それでもせめて、今だけでも共に。

 

 

「…そうだな。いい加減…終わりにする必要があるな」

 

 

シグレは決意とともに、刀を少しだけ強く握りしめる。

そんな時。

 

 

「…諸君、ここからの戦いは熾烈を極めるだろう。だが諸君の力を合わせれば切り抜けられると信じている!」

 

 

今こそ、解放の日の為に。

そう掛け声を上げると、誰からともなく気合の入った雄叫びが上がる。

 

 

「……行くぞ!」

 

 

ヒースクリフが扉を開ける。

ボスとの戦いが、始まる瞬間だった。

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