ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第104話:総力戦

「全員、突撃!」

「「「うおおぉぉぉっ!!!」」」

 

 

ヒースクリフの号令で皆が勢いよく突撃をしたボス部屋。

しかし、皆の熱気を裏切るかのように部屋は静寂に包まれていた。

 

 

「…何も、いないぞ……?」

 

 

誰かが呟く。

その声の通り、部屋は静まり返っていた。

不気味な程に。

 

 

「……」

 

 

そんな中、シグレは警戒を崩さずに、目を閉じる。

集中し、辺りの気配を探るためだった。

それが仮想の世界でどれほどの意味があるかは分からないが、それでも。

 

 

「…上だ」

 

 

シグレが目を開き、そう呟き、上を見上げる。

そこには、天井を這う、不気味な影が確かにあった。

 

 

「あれは…」

「スカル…リーパー……!」

 

 

キリトが、クラインがその姿を視認し、呟きながら警戒をする。

その不気味な影も、気づかれてそのまま何もしないほど優しい相手でもなく。

 

 

「っ…来る!」

 

 

ヒースクリフが矢面に立ち、落下しながらの攻撃を食い止める。

その攻撃の間に皆は下がり、体勢を立て直す。

とはいえ、ヒースクリフが止めているのは相手の片腕。

もう片方の腕の鎌がシグレを捉え、振り下ろされるが。

 

 

「ちっ…」

 

 

敵の巨体の隙を突き、前進して懐に潜り込み、刀を振るう。

シグレが先ほどまで立っていた場所は鎌が振り下ろされたことで軽く抉り取られている。

攻撃をまともに受ければ、ひとたまりもないだろうということが容易に想像がついた。

鎌は受けられ、懐に潜り込まれ、先制を取られたスカルリーパーもそのままでいるわけがなく、シグレから距離を離そうと後退する。

しかし。

 

 

「せやぁっ!!」

「…せいっ!」

「やあぁぁっ!!」

 

 

スカルリーパーの背後に回り込んでいたアスナが、サチが、ストレアが攻撃を叩き込み、一瞬スカルリーパーを怯ませる。

そして、ここにいる攻略組がそんな隙を見落とすはずもなく。

 

 

「でりゃあああぁっ!!」

「っ…暴れんじゃ、ねぇ!!」

 

 

クラインが、エギルが攻撃を叩き込む。

ボスの体力は半端ではなく、ゲージは5本あり、そのうち1本で精一杯である。

けれど、誰も戦闘不能になることなくここまでこれたことは希望になりうる。

 

 

「…はああぁぁぁっ!!」

 

 

キリトが二刀流での連撃で畳み掛けていく。

 

 

「俺たちも…いくぞっ!」

「「「はあぁっ!!!!」」」

 

 

月夜の黒猫団もケイタが指揮を執り、皆がボスへと向かう。

 

 

皆が皆、圧倒的な強さを誇るボスを翻弄していく。

 

 

…結果として、HPがギリギリまで減らされる者こそいたものの、奇跡的に死者ゼロでボスの討伐に成功したのだった。


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