ソードアート・オンライン ~戦い続けるは誰が為に~   作:アルタナ

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第108話:望まぬ戦いと、戦う真意 - II

静かに、けれど剣を構え対峙するシグレとアスナ。

けれど、そんな二人に。

 

 

「っ…もうやめてよ!」

 

 

聞き覚えのある声が、二人を制止する。

その声に、二人は剣の構えを解く。

 

 

「…ストレア」

 

 

シグレが声の主の名を呼ぶ。

 

 

「なんで…何でこんなことになるの!?…こんな、こんな…っ!」

 

 

ストレアは動けないままだったが、必死に訴える。

シグレに思いを寄せる一方、アスナを友人として、あるいはライバルとして考えていた。

だからこそ、そんな二人が殺し合いをするという事実に耐え切れなかった。

 

 

「そうだよ、いくらこの世界からの解放の為だからって……!」

 

 

サチも必死に訴える。

彼女の、彼女達の命を救ったシグレ。

そんな彼が、最後の障害として、立ちはだかっている。

今までシグレと行動を共にしていた彼女らにとっては、今の状況が信じられない。

否、信じたくない。

 

 

「…ここでやめれば、俺とヒースクリフは上の層でお前らを待つだけだ。いずれにせよ、戦いは避けられない」

「でも…!」

 

 

シグレは刀を構え、今一度、アスナに尋ねる。

 

 

「アスナ。ここまで立ち会ったが敢えて聞く……続けるか?それとも先延ばしにして、攻略を続けるか?」

 

 

その問いに対するアスナの答えは。

 

 

「…続けましょう。その為にここまで、私たちは戦ったのだから。途中で辞めるつもりは…ないわ」

 

 

細剣をシグレに向ける事だった。

ここまでくれば、二人を止める者はいない。

 

 

「……とはいえ、そろそろ終わりにするぞ」

「えぇ…行くわよ」

 

 

シグレとアスナが一気に駆け出す。

二人はほぼ同じ速度で、一気に距離を詰める。

 

 

「せやぁっ!」

 

 

アスナが剣を振るう。

シグレはそれを刀で止める。

 

 

「はっ……!」

 

 

シグレがアスナの剣を払い、反撃をする。

アスナは咄嗟に後ろに飛び、その剣を交わす。

しかし、シグレはアスナとの距離を再度詰め、刀を振るう。

 

 

「はっ!」

「っ…」

 

 

しかし、アスナはその時点で既に体勢を立て直しており、細剣がシグレの刀を弾く。

突然の衝撃に、シグレは一瞬の隙を晒してしまう。

一度前に動き出したシグレ、後ろに飛ぶことはできず、刀を戻す。

しかし。

 

 

「せやああぁぁぁっ!!」

 

 

その一瞬の隙を逃さず、スキルを発動させるアスナ。

速度重視の彼女の細剣スキル。

その切っ先が、シグレを捉える。

 

 

「っ…!?」

 

 

討ち取れる。

そう確信したアスナの視線の先のシグレの口元には笑みが浮かんでいた。

刀を戻す余裕もあったはずなのに、払われたまま、目を閉じるシグレ。

その時に、アスナは確信した。

シグレは、初めから負けるつもりだったのだと。

自分の命と引き換えに、全プレイヤーを現実世界に帰すことを選んだのだと。

スキルのシステムアシストで捉えた切っ先は、もう、止まらない。

 

 

「シグレ君……っ!」

 

 

アスナはアシストに身を任せたまま、ぐっと目を閉じる。

シグレの想いに気づかずに、決闘で本気で討つことを選んだ自分の切っ先が、彼の命を奪う瞬間を見たくなかった。

その切っ先は、シグレの胸元を奇麗に貫く。

アスナの手に伝わる感触が、彼を貫いた事実を伝えてくる。

目を閉じたところで、何も変わらない。

 

 

「あ……!」

 

 

アスナが恐る恐る目を開いた先には、貫かれ、HPゲージが完全に空になったシグレの姿。

アスナは、事実を悟った。

自分が、自分の手で、この世界で自分を助けてくれた人を、殺したのだと。

最愛の人を、自分の手で、殺したのだと。

シグレの体が光に包まれ、消滅をする寸前。

 

 

「…すまなかったな、アスナ……」

 

 

それだけ言い残し、シグレは光となって霧散した。

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